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BMI正常でも死亡リスク2倍!メタボ男性が注意したい腹囲

メタボ腹囲

メタボリックシンドロームと診断される必須項目は中心性肥満(内臓肥満)です。これはおへその位置でCT検査を行い、内臓脂肪が100cm2を超えている状態のことを指します。

この状態の男性では、体重が正常であっても死亡リスクが高まることが判りました。

単に正常体重で中心性肥満でない人と比べたものだけじゃなく、「過体重状態や肥満状態の体重で中心性肥満ではない人より2倍もリスクが高い」と言う怖い結果が出たのです。そして、女性についても男性ほどではないものの、その傾向は見られました。

肥満の中でも”体重が正常で腹部肥満の男性”と言うのが最も危険

この研究はアメリカ疾病管理予防センターCDCが行った、第3回国民健康栄養調査(The National Health and Nutrition Examination Survey III)のデータを解析して得られたものです。

アメリカでも、肥満と健康については、身長と体重の関係であるBMIでコントロールすることが多いのですが、それだけでは不足であるという警鐘としてこのデータは受け止められているようですね。

体重計に乗るだけでは安心できないことを示していた

この研究は、まず体重別に研究対象を3つに分けています。BMI18.5kg/m2未満の痩せの人は今回対象にされていません。グループ分けは次の通りです。

  • BMI25.0kg/m2未満の普通体重の人
  • BMI25.0kg/m2以上30.0kg/m2未満の過体重(overweight)の人
  • BMI30.0kg/m2の肥満(ovesity)の人

ここで言う「過体重」は、日本では肥満度1とされていますね。そして、これをさらにそれぞれ中心性肥満の有無で2つに分けることで、全部で6グループができます。そしてそれぞれの全死亡リスクと心血管疾患による死亡リスクを見比べたのです。

その結果は驚くべき物でした。普通体重であっても中心性肥満のある人は、中心性肥満のない過体重や肥満の人よりもリスクが高かったのです。

アメリカで肥満と言うとBMIが30.0kg/m2以上ですから、日本でいう肥満度2以上なんですよ。

アメリカ人ですから、ちょっと身長を高めに見て仮に182cmの人を見てみましょう。標準体重は約73kgです。この体重で中心性肥満の人の方が体重100kgの中心性肥満のない人より死亡リスクが高いと言われたらびっくりしますよね。

体形比較

意外にも太っていてもリスクは高まらない

研究結果によると、普通体重で中心性肥満の人は中心性肥満を持たない人より全死亡リスクが高くなっていました。

「普通体重で中心性肥満のある人」の全死亡リスクは以下の通りです。

比較対象 死亡リスク
普通体重で中心性肥満のない人に対して 1.87倍
過体重で中心性肥満のない人に対して 2.24倍
肥満で中心性肥満のない人に対して 2.42倍

そのハザード比の大きさもさることながら、中心性肥満がない人では「太っている方が死亡リスクが低くなっていた」と言う可能性が示唆されているのは実に驚くべきことです。

女性でも同じような傾向が見られた

女性では男性ほど極端な比率ではありませんし、肥満傾向が進むほど差が小さくなっています。

「普通体重で中心性肥満のある人」の全死亡リスクは以下の通りです。

比較対象 死亡リスク
普通体重で中心性肥満のない人に対して 1.48倍
過体重で中心性肥満のない人に対して 1.40倍
肥満で中心性肥満のない人に対して 1.32倍
ただ、これは中心性肥満と言うデータを基準に採っているために発生した統計の偏りであるとも考えられます。

だから肥満OKってことではありませんよ。注意して下さいね!

中心性肥満の考え方の国際的な差

冒頭でお話ししたように、日本ではおへその位置での内臓脂肪の面積を基準に中心性肥満(内臓肥満)を定義していて、その目安として

  • 男性 腹囲85cm以上
  • 女性 腹囲90cm以上

と言う数値を設けています。これに対してアメリカでは

  • 男性 40インチ(約102cm)
  • 女性 35インチ(約89cm)以上

と言う基準でした。今回の研究はこの数値ではなく、もう少し新しい基準で測られたものです。

ウエストとヒップの関係が基準になるアメリカ式

先に書いた、男性の方が女性より大きなウエストサイズになっている基準は、ヨーロッパ・アフリカ系アメリカ人がBMI30を超える時の一つの基準であったそうで、中心性肥満を良く表していませんでした。

それに人種のるつぼとも言われるアメリカにおいては、他の人種にも適合する基準が必要です。英語版Wikipediaを見ると、ネイティブアメリカンでは基準値を

  • 男性 35インチ(約89センチ)
  • 女性 31インチ(約79センチ)

にする必要があると書かれています。

振り返って日本の基準を見ると、女性の方が男性より太い胴回りが許容されていますね。身長は女性の方が低いのになぜでしょうか?これは、女性の方が皮下脂肪の率がうんと高いため、その分内臓脂肪が少なくなるからなのです。

男性の腹囲85cmと女性の腹囲90cmは、どちらも内臓脂肪面積が約100cm2になると言うデータがあるからこうなっています。特定の位置で断面積を測定するので、身長にはそれほど大きく影響されないそうですね。

日本人の場合人種的差異を計算に入れる必要性が少ないのでこれで間に合いますが、一方、最近のアメリカではウエストとヒップで基準を決めるようになっています。

WHR(Waist-Hip Ratio:ウエスト-ヒップ比)と言う数値ですが、ウエストサイズをヒップサイズで割った数値が男性で0.9以上、女性で0.85以上であった場合中心性肥満としています。

また、男女共通の参考数値として、WHiR(Waist-Height Ratio:ウエスト-身長比)と呼ばれる、ウエストが身長の半分を超えたら中心性肥満と言う考え方もあります。

日本人でも特に身長が高いとか低いとか、自分の体形は標準的じゃないなどとお考えの人では、こうしたものも参考にできるでしょう。

普通体重の人の方に中心性肥満が多かったのかもしれない

アメリカでの研究では、普通体重で中心性肥満がない人の方が、肥満体で中心性肥満のない人より成績が悪く見えています。

これはヒップサイズから指数を割り出している関係で、中心性肥満がないと言っても普通体重の人の方に内臓脂肪が多めであった可能性も考えられます。

この辺りについての分析は特にされていませんので想像の域を出ませんが、いずれにせよ中心性肥満が死亡リスクを大きく高めてしまうと言うことを意識しておくことが重要でしょう。

ともに白色脂肪細胞である皮下脂肪と内臓脂肪はどこに違いがあるのか

ダイエットの話題などで有名になった白色と褐色の脂肪細胞ですが、皮下脂肪も内臓脂肪もいわゆる白色脂肪細胞でできており、中性脂肪を蓄えるのが目的の脂肪細胞です。

褐色脂肪細胞は赤ちゃんに多く、大人になると胸から鎖骨周りに少し存在する程度になりますが、脂肪細胞でありながら熱を作り出し、中性脂肪を消費する働きを持っています。これは内臓脂肪や手足や腹部の皮下脂肪には含まれていません。

最近では褐色と同じようにエネルギー産生機能を持ちながら白色と同じように全身に分布するブライト細胞と言うのも見つかっていますが、このお話はまた別の機会に。

では、皮下脂肪と内臓脂肪、いったいどこが違うのでしょうか。キーワードは「慢性炎症」でした。

皮下脂肪と内臓脂肪は炎症の起こしやすさが違う

なぜ炎症を起こす頻度が変わるのかはまだ明確ではありません。おそらく、周囲にあるほかの器官との関係によって変わるのでしょう。皮下脂肪はあまり炎症を起こさないのに対して、内臓脂肪は慢性炎症を起こしやすいのです。

ではなぜ慢性炎症を起こすのかを掘り下げてみましょう。身体の中に結核菌などが入ってくると、免疫システムは「ミンクル」と言う病原体センサー分子を用いて白血球やマクロファージなどに動員をかけ、侵入者をやっつけます。

肥満状態になった場合、脂肪細胞からもこのミンクルが出てくることがわかっていますが、掘り下げた研究によると、皮下脂肪に比べて内臓脂肪ではたくさんミンクルが発現することがわかったのです。

肥満した脂肪細胞では、ミンクルに引き寄せられてやってくるのは「炎症促進性M1マクロファージ」と言う免疫細胞です。これのせいで肥満した脂肪細胞、特に内臓脂肪は常に炎症を起こしている、慢性炎症状態になっているというわけなのです。

脂肪細胞は内分泌器官でもあるため炎症を起こすと具合が悪い

脂肪細胞は余剰になった栄養を飢餓に備えて蓄えておくための「代謝器官」としての働きが良く知られています。しかし、一方ではアディポサイトカインと言うホルモンを分泌する「内分泌器官」としての働きも持っているのです。

アディポサイトカインには、エネルギーを作ったり炎症を抑えたりするアディポネクチンやレプチンがあります。また、本来はがんをやっつけるTNF-αや成長因子であるアンジオポエチンのようなものなどは、場合によっては体に悪影響が出ます。

その他にも、内臓脂肪からはアディポサイトカインとして遊離脂肪酸が分泌されることも知られています。

こうした重要なホルモンを分泌しているのですから、ここに炎症が起こると様々なトラブルが起こるであろうことは充分想像できますよね。

実は、その結果が動脈硬化であり、インスリン抵抗性であるわけです。このような流れで高血圧や糖尿病、脂質異常症をもたらし、心臓や脳血管の疾患で生命を脅かすという流れになってしまうのです。

同じ白色脂肪細胞でも、慢性炎症を起こすか起こさないかの違いがあるのです。

その炎症が動脈硬化などのトラブルを起こしてしまいますので、最終的に命にかかわってくるのも頷けます。

内臓脂肪を減らすのに運動とカロリー制限だけで良いのか

ヘルシーな食事と運動

結論から言うと良いのです。できればあまり激しすぎない運動を継続することと、たんぱく質と野菜を中心にした食生活で、少しカロリーを控えるようにしてみましょう。

激しい運動やストイックなダイエットでももちろん脂肪は減らせます。いえ、むしろこっちの方が早く減るでしょう。しかし、弊害も多いのであまりお勧めはできないのです。

脂肪細胞の性質のせいで内臓脂肪は早く減る

脂肪は通常中性脂肪の形で脂肪細胞の中に蓄えられています。中性脂肪とは、グリセロール(グリセリン)と言う土台の上に、多くの場合3本の脂肪酸が結合した状態のものです。

一方、脂肪をエネルギーとして使う場合には、この脂肪酸を土台から取り外して、脂肪酸だけ、グリセロールだけの状態にしてやる必要があるのです。これで初めて一連の代謝の流れに乗ってゆけるようになるというわけです。

脂肪とエネルギー2

先ほど少しお話しした通り、特に太った人では内臓脂肪においてこの遊離した脂肪酸が多く作られやすいのです。と言うことは、皮下脂肪に比べて脂肪酸を土台から取り外す作業の分、素早くエネルギーにできるというわけです。

ですから、同じように摂取カロリーを減らしたり運動で消費カロリーを増やした場合、内臓脂肪の方が早く使われやすいということになるんですね。ですから、通常の減量方法で充分だということになるんです。

強い負荷は遊離脂肪酸が増えすぎて健康に悪影響を及ぼす

気の短い人は、特に男性の場合「遊離脂肪酸を増やして一気に痩せてやれ」なんて考える人がいてもおかしくないですね。でもちょっと待って下さい。

(抜粋)

脂肪細胞は中性脂肪を蓄えていますが、FFA:(遊離脂肪酸)はこの中性脂肪が酵素の働きで分解され、グリセロールとともに血液中に放出されたものです。

FFAは水と脂肪をなじませる両親媒性という性質をもち、多量に存在すると界面活性作用によって細胞膜を溶かし、細胞を破壊します。

FFAは心臓の筋肉を動かすエネルギー源でもありますが、心臓の状態が良くない時に血液中のFFAが増えすぎると心不全を引き起こすことがあります。

肥満改善のためにすすめられることが多い有酸素運動ですが、激しい運動を長時間続けると、血液中のFFAが増加します。また、アルコールの摂取は脂肪細胞からのFFAの放出を促す作用があります。

このように、激しすぎる運動は血液中の遊離脂肪酸を増やしすぎて健康に害を及ぼす恐れがあります。もともと中心性肥満の人は心臓にも隠れたトラブルを抱えている可能性も低くありませんから、無茶はやめましょう。

遊離脂肪酸を代謝するのに役立つ食べ物

どうせカロリー制限するなら、食べ物から遊離脂肪酸を減らせる要素が取り込めないかと言う方向で見てみましょう。

遊離脂肪酸の代謝に役立つ物質はホルモンのインスリンとナイアシンです。インスリンは自分の体から分泌されるホルモンですし、肥満しているとインスリンの効きが悪くなるインスリン抵抗性が現れます。

ですので、減量によってインスリン抵抗性が消滅すると、より減量しやすくなるという好循環に入っていけるということになりますね。

一方、ナイアシン、別名ビタミンB3は食べ物から摂れます。普通は腸内細菌の働きでも産生されるため不足することはありませんが、食べ物から少し多めに摂るのはいいことでしょう。

多く含んでいる食べ物は魚と魚卵です。この健康生活の中でも
脂質異常症にたらこが良い!常識をくつがえすたらこの効能
で、食べ物に含まれるナイアシンの量を紹介しました。そちらも参考になさって、内臓脂肪を落とし死のリスクを減らして下さいね。

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