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例えば偏頭痛に抗うつ薬を使うこともあり!薬の適応外処方とは?

病院では偏頭痛の薬を出すと言われたのに、家に帰って薬の説明書を見ると「気分の落ち込みを楽にする薬」と書かれていたりしたら、薬を間違えられたのではとびっくりしますよね。でもこれは薬の間違いではありません。

偏頭痛の治療に、気分の落ち込みを楽にする抗うつ薬を使うことはよくあるのです。では、なぜ薬の説明書には書かれていなかったのでしょうか。それはこの処方が適応外処方と言われるものだからです。

適応外処方とは?

薬にはそれぞれ「添付文書」という、どの薬が何に効くかなどについて詳しく書かれた説明書があります。そこに書かれている使い方は全て、厚生労働省の承認を受けているものになります。

そして、添付文書に書かれた使い方をして治療をした分に対しては、健康保険を利用することができます。処方箋を持って薬局に行くと、通常は健康保険を利用して薬をもらうことができるでしょう。

一部、例外的に健康保険が利用できない場合もあります。ピルや薄毛治療の薬のような、病気の治療に必要とは言えない薬の場合です。他にも、添付文書に書かれている以外の病気や症状の治療に使った場合には、健康保険が利用できません。これが「適応外処方」と言われるものです。

「添付文書に書かれた以外の使い方なんてすることがあるの?」と思われるかもしれません。実は厚生労働省の承認はまだ受けられていないけれど、とある病気や症状に対して効果があることが分かっている薬、というのはたくさんあるのです。

その場合には、医師の判断でそれらの薬が使われることもよくあります。本当ならばこの使い方には健康保険が利用できないのですが、実際には安全性が確かなことなどが認められていれば、健康保険を利用できることになっています。

ただし薬局で渡される薬の説明書には、その使い方についての説明は書かれていないかもしれません。添付文書にはない使い方のため、薬の説明書に反映できていないこともあるのです。そのために、「病院で聞いたのと全然違うことが、薬の説明書に書いてある!」ということが起きてしまうこともあります。(もちろん薬剤師は、そのようなことがないように気をつけています。)

具体的にはどんな適応外処方があるの?

適応外処方される薬の例はとてもたくさんあります。中には、適応外ではあるけれど非常によく使われているという薬もあります。逆に学会などで発表されたばかりで、まだあまり知られていない使われ方というものもあります。

適応外処方としてよく使われてきたものが、厚生労働省の承認を受けて添付文書に新しく載るということもあります。最近では、偏頭痛に適応外として長く使われてきたバルプロ酸ナトリウム(デパケンR、セレニカRなど)が承認を受けました。

血液をサラサラにするための、バファリンという薬を飲まれている方もいるかもしれません。実はこの薬、以前は適応外処方で「小児用バファリン」という全く同じ薬が使われていました。

少量のアスピリンを続けると血液がサラサラになるということが分かり、大人に対して子供用のバファリンを適応外として使っていたのです。適応外ながらよく使われていて、その後承認を受けて現在は「バファリン配合錠A81」という名称になっています。適応外処方の例としては以下のようなものがあります。

偏頭痛に使われる薬

偏頭痛に効果があるとして、適応外処方という形でよく使われる薬はいろいろあります。適応外ですが健康保険が利用できることなっているものもあります。

・トリプタノール
抗うつ薬です。ただし痛みに効くとして、偏頭痛以外の痛みの治療にもよく使われます。
・ワソラン
カルシウム拮抗薬で、通常は不整脈などに使われます。
・ブロプレス、オルメテック
アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬(ARB)に分類される血圧の薬です。日本ではまだ健康保険が利用できませんが、国際的には偏頭痛に効果があるとして認められています。

こむら返りに使われる薬

足がつる、こむら返りがよく起こるという場合には、漢方薬が使われることも多くなります。その他、てんかんの薬や、ウラリットという痛風や高尿酸血症の薬が使われることもあります。

しゃっくりが出る時に使われる薬

通常でしたら自然に止まってくれるしゃっくりですが、まれに何日も続いてしまうことがあります。そのような時には以下のような薬を使います。

・フェノバルビタール
てんかんなどの薬です。寝つきをよくさせるためにも使います。
・セレネース
不安感や興奮、緊張といった症状をやわらげる薬として使われます。
・トリプタノール
気持ちを楽にする薬として使われます。
・デパケン
てんかんの薬です。
・テグレトール
てんかんの薬です。神経痛にも使われます。
・プリンペラン
胃腸の働きをよくし、吐き気止めなどとして使われます。
・オメプラール
胃酸を抑える薬です。

しゃっくりに適応外処方として使われる薬は、他にもいろいろとあります。

ロキソニンの適応外処方での使われ方

ロキソニンは痛みや熱に効く薬としてよく使われています。熱や頭痛や関節痛といった場合にも、また歯科医院から歯の痛み止めとしても出ることのある薬です。この薬、実は痛みとは全然違う症状に適応外処方として使われることもあるのです。

・夜、トイレが近くて何度も起きてしまう時

このような症状を夜間頻尿と言います。夜間頻尿がある時に使われる薬はいくつかありますが、適応外処方としてロキソニンが出る場合もあります。なぜトイレが近い時に痛み止めが効くのでしょうか?

ロキソニンは体に「プロスタグランジン」という物質を作らせないようにすることで、痛み止めとしての効果を発揮しています。このプロスタグランジンがなくなると、膀胱の筋肉にもよい影響が出て、また尿の量も減るようなのです。こうして、夜トイレが近くて困るといった症状を改善してくれます。

・認知症の進行を予防する

詳しいことは不明ですが、ロキソニンが認知症の進行を予防してくれるのではないか、ということが分かってきています。ロキソニンは現在市販薬にもなっていますが、自分で勝手に買って試したりはしないでください。痛み止めとして使う時とは飲む量なども違います。また症状によっては合わない、別の薬のほうがもっと効果があるといった場合もあります。

アレルギーの薬のアゼプチンを口内炎に使用

抗アレルギー剤のアゼプチンを、なかなか治らない口内炎、治ったと思ってもまた再発してしまうような口内炎に使うことがあります。他にも、病気や放射線の治療が原因でできてしまう口内炎に使われることもあります。

鼻水止めのペリアクチンを食欲不振に使用

鼻水、くしゃみなどに使われるペリアクチンが、食欲を出させるために使われることもあります。この作用は、以前は厚生労働省の承認を受けたものとして添付文書に載っていましたが、現在は載っていません。

胃薬のザンタックなどをじんましんに使用

H2ブロッカーと呼ばれる胃薬を、じんましん治療に使うこともあります。ザンタックの他、ガスター、タガメットなどもあります。

胃薬のプロマックを味覚障害に使用

胃薬のプロマックを味覚障害の治療に使うこともあります。味覚障害の原因には亜鉛不足が考えられます。プロマックには亜鉛が含まれているため、亜鉛補給のために処方されるのです。同じ亜鉛補給の意味で、慢性肝炎や肝硬変に使われることもあります。

薬局でもらう薬の説明書には「胃の薬」としか書かれていないかもしれませんが、肝臓の症状を改善するための処方ということもあります。これらは適応外処方のほんの一部になります。適応外として使われる薬は実にいろいろあるのです。

ただ処方箋を見ただけでは、その薬が適応外処方なのかどうか分からないこともあります。薬剤師は患者様との会話や他に何が処方されているか、過去にどのような薬が処方されてきたかなどから薬の説明をしますが、場合によっては気づけないこともあります。

病院で聞いた話と違う、本当にこの薬でよいのかなどという疑問があれば、気軽に聞いてみてください。非常にまれにですが、似た名前の全く違う薬が間違えて処方されていることもあります。そのようなことを見逃さないためにも、気になることがあれば薬剤師や病院へ確認するようにしてください。

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