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ジェネリックの効果に問題はないのか?今さら聞けない薬の話

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身体の体調に異変を感じるのは突然であることが多いですよね。朝起きてみると何となく身体がだるかったり、熱っぽく感じたりするのもその一つでしょう。

このような状況では大きく分けて3つの選択肢があると思います。病院へ行く、市販薬を飲む、何もしないで放置する、ですが、やはり何らかの治療は必要と考えるのが一般的だと思います。

昔と違い現在の治療は経口薬(飲み薬)の投与が大部分で、注射や点滴による薬剤投与は一定の病気に限られています。昔は風邪をひいても注射でしたが、最近では注射をする病院は少なくなっています。

「医療の進歩」は「薬の進歩」と同じで、また「薬が進歩」することで「医療も進歩」しています。薬の進歩はそれくらい重要なのですが、中でも近年注目されているのがジェネリック医薬品なのです。

薬の開発と特許の関係を知っていますか?

日本には世界的に有名は製薬メーカーがいくつもあります。また、世界中の製薬メーカーからも様々な薬が輸入されているのです。

これらのメーカーは日夜新薬を開発していますが、それがそのまま市場に出ることはありません。市販されるためにはきびしい審査、検査が各国で必要になるのです。

新薬の開発には長い期間が必要だった

各製薬メーカーは自社の研究施設で毎日のように新薬の開発を行っています。それは予め狙って作られることもあるでしょうし、偶然発見される場合もあります。

しかし、これらの開発に要する期間は2年~5年近くかかると言われており、また10年かけても完成しないこともあります。

何とか開発に漕ぎ着けたら次に行うのが「非臨床試験」であり、作られた新薬の効果や毒性を確認するために動物を使用して試験を行います。この試験では薬の効果と安全性が特にチェックされます。

効果と安全性が確認されたら次には「臨床試験」に進みます。診療試験は病院や研究施設で実際に人間に投与することで、新薬の効果と安全性を確認します。

また、安全で有効な投与方法や投与分量を確認して、既存薬との比較も行います。

この「非臨床試験」と「臨床試験」で10年程度は必要とされており、上手く進んだ開発においても開発から臨床試験までで15年以上は必要となっています。

しかし、実際には非臨床試験や臨床試験に進んだ段階で、開発を断念することも多く、無事に臨床試験を終了できるのは数パーセントしかありません。大部分の新薬の開発は途中で断念、中止されていたのです。

承認申請をして国の審査に合格する必要がある

臨床試験で予定通りの作用が確認されれば、検査データを取りまとめて承認申請を国に対して行わなくてはいけません。要は開発が終了したので、試験データを元に厚生労働省に最終審査を依頼するのです。

この審査は厚生労働省の諮問機関である中央薬事審議会などで行われており、この審査に合格しなくては新薬として製造することは許されません。

審査には1年から2年の期間が必要とされており、無事に合格することで薬価基準(薬の値段)を決められて製造・販売が可能となります。

このように新薬の開発には15年から20年以上もの期間が必要で、それにかかる費用は数百億円に上ります。そして多くの新薬候補が途中で研究を断念せざるを得ないのもまた、非常に大きなコストを生み出してしまうのです。

このように製薬メーカーは非常に大きなリスクをもって、新薬を研究・開発しています。しかし、せっかく完成した新薬が直ぐにコピーされてしまったら、会社は大きな損失を被ってしまうでしょう。

薬は特許で守られているのを知っていますか?

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20年もの期間と五百億円もの資金をかけて完成させた新薬を、発売の翌年に他の製薬メーカーがコピーして発売したとしたらどうなりますか?開発した製薬メーカーと違いコピーした会社は、そもそも研究・開発コストはかかっていません。

市場に出回っている新薬を分析することで、同じ成分の薬を開発すれば良いのです。開発メーカーは新薬の薬価に今までの研究・開発費用を含んだ価格を設定しますが、コピー会社は薬の「原料コスト+α」の価格設定も可能でしょう。

同じ成分の薬で値段が違ってくると、やはり安い薬を使用したがるのが人情です。そうなると新薬を開発した製薬会社は潰れてしまうかも知れません。また割に合わない新薬開発を止めてしまうでしょう。

それでは世界中の医療の進歩が止まってしまう状況に陥るのは間違いなく、そうならないように新薬は特許で守られる仕組みがあるのです。

特許って良く聞くけど理解していますか?

よく「著作権」や「特許権侵害」などのニュースを見ることがありますが、これらは特許と呼ばれる権利で守られています。特許とは「特別な発明や開発を行った場合に、一定期間その発明を開発者が独占して使用できる」権利のことを言います。

苦労して開発しても直ぐにパクられてしまっては、今までの苦労が水に流れてしまいますよね。これでは開発者もやってられないです。そこで国に対して「これは私が研究開発したものなので、私に独占的に製造販売する権利を下さい」と申請するのです。

そこで国が審査して合格すると申請から20年間の特許権が認められます。この特許が新薬にも適用されています。

新薬も特許で独占が可能になる

新薬の研究・開発コストを回収するためには、特許を取ることは必須の条件となっています。薬関係の特許には4つの種類があり、それぞれに特許権が認められています。

  1. 物質特許
  2. 用途特許
  3. 製剤特許
  4. 製法特許

「物質特許」は新薬の原料である物質の権利を保護する特許で、化学構造や化学式によって特定することが可能です。この物質特許は新薬開発において最も重要で、これを取得することで独占した製造販売が可能になります。

「用途特許」はその新薬がどの様な病気や症状に有効なのかを指定する特許です。「製剤特許」はカプセルや錠剤など薬の形状など安定化に関する特許になります。「製法特許」は新薬を製造する際に出た新しい技術やアイデアを特許として保護します。

新薬の特許も通常の特許と同じく申請から20年が基本とされていますが、新薬の場合は国から承認を受けた時点で特許を申請するのではありません。

新薬の特許申請は臨床試験(人に対して行う試験)の前に行うことが大部分であり、それは治験によってデータが盗まれないようにするのが目的です。

しかし、この臨床試験においても5年から10年の期間を有する場合もあり、そうなると実際の特許が5年から10年程度しか残らないこともあるのです。

そこで、新薬に関しては届出を行うことで、5年の延長を認めており、それにより最大で25年の特許権を得られるのです。

特許の切れたコピー薬がジェネリック医薬品だ!

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近年、薬についての大幅な改革が行われています。皆さんもテレビで「ジェネリック医薬品」のコマーシャルを観たことがあると思いますが、国がジェネリック医薬品の使用を促進させると言うものです。

今さら聞けない!ジェネリック医薬品を知っていますか?

最近ではお馴染みになった「ジェネリック医薬品」ですが、皆さんは本当に内容をご存知でしょうか?

  • ジェネリック=安い
  • ジェネリック=同じ薬
  • ジェネリック=勧められる

などが一般的なイメージだと思います。

実はジェネリック医薬品は先に説明した特許と大きく関係しています。つまり、新薬の特許は延長しても申請から最大で25年と定められています。

実際には発売して10年から15年程度は特許権で守られることになります。しかし、この特許権が切れた時点でどの製薬メーカーでも同じ薬を製造できることになるのです。

この特許が切れて別の製薬会社が作った薬こそ「ジェネリック医薬品」なのです。ジェネリックとは「一般的で共通している」などと言う意味で、まさしく誰もが作ることのできる状態の薬です。

反対に本来開発した会社が特許切れ以降も作る薬を「先発薬」と呼びます。一般的に先発薬は発売当時の価格を維持するために薬価は高く、ジェネリック医薬品は開発コストが少ないために薬価も安くなります。

ジェネリック医薬品とは先発薬の特許が切れた時点で、他の製薬メーカーが開発コストを抑えて作るコピー薬だったのです。

海外ではジェネリック医薬品の普及が進んでいる

薬価が安いジェネリック医薬品は患者本人よりも厚生労働省が音頭を取って普及に努めています。その最大の理由は健康保険制度の崩壊を防ぐ目的があります。

日本は「国民皆保険制度」のおかげで基本的に国民全てが健康保険に加入しています。しかし、人口構造の高齢化により健康保険料収入は少なく、負担は増える状況になってきています。

このままでは保険制度が崩壊する可能性もあるために、効果が同じであれば安価なジェネリック医薬品を使用してもらいたいのです。

厚生労働省のホームページには以下のような目標が記載されています。

  • 平成25年9月のジェネリック医薬品の普及率は46.9%である
  • 平成29年中盤に70%を達成させる
  • 平成30年~平成32年度末までの早い時期に80%を達成させる

この目標は閣議決定された内容であり、ジェネリック医薬品の普及をこれからも推進していくことも記載されています。

このような目標を厚生労働省が掲げる理由には、健康保険行政の財政悪化もありますが、海外と比較して日本のジェネリック医薬品の普及率の低さも背景にあります。

特許が切れた薬で見てみると

  • アメリカ:90%程度
  • ドイツ:80%程度
  • イギリス:70%程度

がジェネリックに切り替わっているそうです。それに対して日本では平成25年で46%程度なのですから、まだまだ普及しているとは言えないようです。

それではなぜ日本ではジェネリック医薬品が普及しないのでしょうか?

日本人はコピー品が嫌いなのが普及しない理由

なぜ日本でジェネリック医薬品が普及し辛いのでしょうか?その理由の一つに「日本人気質」がありそうです。日本人は真面目で義理堅い性質を持った民族です。

「一宿一飯の恩義」を思う人が、今までお世話になった薬にコピー品ができたからと言って、浮気するはずはありません。若干値段が高くても今までの薬を選ぶと思います。

また、成分が同じと言われてもなかなか信用できないことも理由かも知れませんね。更にジェネリック医薬品を製造しているメーカーの信頼性も関係してきます。

大抵の場合、新薬を研究・開発するのは大手製薬メーカーです。小さな製薬メーカーでは何百億円もかけて新薬を開発する体力はありません。

その意味では新薬市場は大手メーカーの独断なのですが、ジェネリック医薬品となれば規模の小さな製薬会社でも製造は可能です。ここに日本人気質が関連してきます。

日本人は大きな会社には信頼を持ちやすいのですが、小さな会社を勘ぐってしまうことがあります。「○○製薬なら間違いないわ」「□□製薬なんて聞いたことがない!怪しい薬よ」なんて聞こえてきそうですよね。

実際には「ジェネリック医薬品は国の審査を行っているので品質には全く問題はない。」と政府は告知していますが、「思い込み」や「風評」でなかなか普及しないのが現状のようです。

ジェネリック医薬品の効果は先発薬と同じなのか?

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厚生労働省の「政府広報オンライン」ではジェネリック医薬品を「先発医薬品と効き目や安全性が同等であることが証明されたものだけが厚生労働大臣に承認される」と記載されています。

つまり、ジェネリック医薬品と言えども、開発する製薬メーカーで臨床試験を十分行った上で承認すると言うことです。また、発売後も各都道府県の協力で「後発医薬品品質確保対策事業」による検査も行っています。

厚生労働省としてはこれらの対策により先発薬とジェネリック医薬品の品質差はなくなると考えており、普及を促進しているのです。

しかし、本当に差はないのでしょうか?

ジェネリック医薬品は先発薬と同じでない可能性が

先ほど詳しく薬の特許について説明しました。薬の特許は4つに分類されますが、その中で最も重要なのが「物質特許」です。この物質特許が切れることで、ジェネリック医薬品を作ることができるのです。

物質特許は薬の成分や分量などを守る特許なので、これが切れると同じ薬を作ることが可能になります。しかし、薬とは成分だけが重要ではないのです。

つまり、成分が同じでも「胃で溶ける薬」と「腸で溶ける薬」では有効性に差が出てしまいます。つまり、成分と同じくらいに薬の形状や添加物が重要な要素となっているのです。

このように薬の形状や添加物の権利を守っているのが「製剤特許」です。つまり、物質特許が切れていても製剤特許が切れていないと同じ薬を作ることはできないのです。

実際に医師の中でも成分が同じでも、薬の形状や添加物がちがうジェネリック医薬品を敬遠する傾向があり、その理由として「効果が違う」ことを上げています。

例えば先発薬が錠剤であっても、ジェネルック医薬品がカプセル形状ではやはり効果にも差が出てくることがあると言うことですね。

薬の研究者や医師によると「薬は成分も大事だが、何処でどの位の時間をかけて溶けて吸収されるのか」が重要とされています。先発薬を長期に服用していて、ジェネリック医薬品に変えた途端に効果が無くなった。

と言う話を聞いたことがありますが、このような場合では薬の成分ではなく、形状や添加物に違いがあることが原因かも知れません。

薬のアレルギー症状に気をつけろ!

ジェネリック医薬品には先発薬と違う添加物が使用されていることが多いようです。中にはその添加物が問題となることがあり、多くはアレルギーとなって症状を表します。

先発薬では長年の臨床試験や発売後の副作用の発覚により、それらを改善させて製造しています。しかし、ジェネリック医薬品では添加物が違うのに、そこまで長期の試験を行っていないのです。

有効成分については先発薬で長期の実績があっても、添加物との併用では新薬と同じと言う訳です。

日本の医師がジェネリック医薬品を敬遠したがる理由はここであり、まだまだ効果が未知数と判断しているのです。ジェネリック医薬品に変えて副作用が出たら、それは添加物の副作用かも知れません。

先発薬を超えたジェネリック医薬品もあるぞ

ジェネリック医薬品は先発薬と同じでないことをご理解頂いたと思いますが、実は良い意味で同じでないものもあります。それは先発薬の問題点を改善して、更に効果の高い薬になることがあるのです。

例えば薬の形状を変えて飲みやすくしたり、量を減らしたりするだけでお年寄りの負担は大幅に改善されます。また、添加物の変更により有効性を向上させることも可能です。

また臭いや保存性に優れたものもあり、様々な工夫がされているのです。

海外ではジェネリック医薬品を先発薬の同じ薬とは考えずに、別の新薬と考える風潮があるそうです。「同じ薬が安くなった!」ではなく「この病気に新しい薬が発売された」と考えるのですね。

ジェネリック医薬品を先発薬と同じ薬と思ってしまうと、効果が薄くなっても病状のせいと薬に疑問を持ちません。しかし、違う薬と理解していると薬を変えたのが原因と気が付くでしょう。

そして、もし効果に疑問が生じたら直ぐに元の薬に戻すことが大切だと思います。薬の特許によって制限の多いジェネリック医薬品。十分に理解してから使用しましょうね。

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