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胸部CT検査の方が胸部X線検査よりも肺癌早期発見に有効?

確かに胸部CT検査の方が胸部X線検査よりも肺癌の発見率が高いです。特に小さな癌を発見することに優れています。しかし、胸部X線検査のように健常者を検診するという点から考えた場合、胸部CT検査についてその有効性はまだ確立されていません。

胸部CT検査を検診に取り入れることのデメリット

例えば、会社の定期検診に胸部CT検査を取り入れて、若年の頃から経年的に施行した場合、放射性被爆による癌罹患などのリスクが高まる可能性があります。放射線を取り扱う職業ではない一般生活環境にいる人たちにとっては不利益が利益を上回ってしまうこともあります。

従って、検診を施行するのであれば、50歳以上とか、喫煙者のみとかに限定すべきという意見が専門家の間で出ています。

その他のデメリットとして、胸部CT検査は、その細密さのため本物の肺癌を見つけるだけでなく、肺癌を疑われてしまう良性の腫瘤まで見つけてしまい、これが人々を不安に陥れてしまうということです。

この場合、肺癌の可能性を考え、胸部CT検査などで経過観察を行いますが、実は肺癌ではなかったという過剰診断であったケースの方が圧倒的に多いという報告もあります。

偽陽性のためにさらに検査を受ける人たちは、辛いその検査に耐えなくてはいけなかったり、結果が出るまでの不安に苛まれたりと、大変な苦痛を味わわなくてはいけない破目になります。

このように胸部CT検査は、実際の癌が発見できるメリットと癌のように見える良性の腫瘤を発見してしまうデメリットもあります。偽陽性と診断された場合、癌かもしれないという不安を抱きながら、定期的に検査を受ける精神的苦痛はとても辛いものがあります。

喫煙者にとっては胸部CT検査の方が有効という報告

これは2011年に米国で報告されました。53000人の喫煙者(55~74歳で一日20本を三十年以上吸った男性)を二つのグループに分け、一つ目のグループには胸部X線検査、二つ目のグループには胸部CT検査で各グループを5年以上、定期検診を施行してきました。

その結果、喫煙者における胸部CT検査の死亡率減少効果があることを発表しました。今まで、胸部CT検査では死亡率減少効果の有無を判断する証拠が不十分であると言われ続けていました。

それを考えますと、喫煙者のみとはいえ、米国のこの報告は胸部CT検査にさらなる有意性を与えたことになります。

胸部CT検査と胸部X線検査の関係

あちこちで行われている胸部X線検査による肺癌検診は厚生労働省のガイドラインでも死亡率を減少させるのに有効としています。そのため、胸部X線検査は検診や人間ドッグで利用することを推奨しています。

一方、胸部CT検査は胸部X線検査では発見されないような小さな癌もみつけることができる性能を持っています。しかしながら、定期検診という主に健常者を対象にした場合においては、肺癌の死亡率を減少させたという根拠は数字においても出てきていませんでした。

こういう状況の中での米国の研究報告でした。但し、今回の報告は「喫煙者」であって、「非喫煙者」においての検診の有効性はまだ曖昧のままです。米国研究班も現在のところは胸部CT検査を肺癌検診の項目に入れるのは勧めないということになっているようです。

以上のことから、胸部X線検査の方が被爆量が少なくてすむこと、費用も安いなどを考慮した上で、胸部CT検査については、検査の有用性をよく理解してから受ける検査です。決して医師まかせにしないことです。

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