TOP > > ロコモは他人事じゃない!老若男女間に合うロコモ予防対策術

ロコモは他人事じゃない!老若男女間に合うロコモ予防対策術

仲の良い家族3世代

「使わない部分は衰えていく」…これは私たちの身体を支配している法則です。

エレベーター、エスカレーターに動く歩道。電車、飛行機、自家用車。移動する手段が普及し便利になっていく一方で、私たちが自力で移動する機会はだんだん少なくなっています。

日々動かない生活を続けていくとどのようになってしまうのでしょうか。お買い物に行ったり、お風呂に入ったり、おトイレに行くのも人の助けが必要になってしまうかもしれません。ひどい場合は寝たきりになってしまうことあるのです。

「そんな、大袈裟な」とお思いの方もいらっしゃるかもしれません。でも日常生活の上で他人の助けが必要となった原因の第1位が「動く機能が衰えたこと」という厚生労働省の報告があるのです。

そんな衰え、ロコモティブシンドロームを予防するにはどのようなことを心がけるべきか?この記事では運動と食事の面からご紹介いたします。

寝たきり予防は「メタボ対策」だけでは不十分!?

今では「メタボ」の認知度は80%を超えていると言われています。でも「メタボ」とは何かを正確に答えられる人は意外と少ないのではないでしょうか。

「メタボ」の正式名称は「メタボリックシンドローム」と言い、日本語にすると「代謝症候群」となります。

言葉の意味を正確にとらえると「脂質代謝」、「糖代謝」に異常のある状態を意味することになりますが、一般的に「メタボ」というと内臓肥満に高血圧、高脂血症、糖尿病の3つのうち2つを合併している状態を指しています。

「メタボ」は脳卒中、心疾患の強力な危険因子です。ですが「メタボ」の状態ではまだ痛くも痒くもありません。

ポッコリお腹で、年に1回健康診断に行くと生活習慣病を指摘される。みっともないと言えばみっともないですが、「鈍感力」が高ければさして問題にはなりません。

しかし今や日本の社会保障制度は崩壊の危機にさらされています。脳卒中、心疾患は莫大な医療費を費やしていて、生活習慣の乱れから引き起こされる「メタボ」を放置できない状況になってきたのです。

個人の観点からも「メタボ」の改善はとても重要なことです。

「メタボ」から引き起こされる脳卒中は寝たきりの原因になります。医学の進歩で平均寿命はとても長くなりました。

でも、自分自身で動くことが出来ず誰かのお世話になりながらベッドの上でただその時を待っている状態が何年も続く、そんなことが私たちの望む将来でしょうか。

健康な状態で長生きをすることは多くの人にとっての理想ではないでしょうか。そのためのメタボ解消、メタボ予防が必要なのです。でもメタボを防ぐだけでは健康な状態で長生きするのには十分でないことも確かなのです。

健康寿命を延ばそう

「健康寿命」とは医療・介護に頼らないで自立して生きていられる期間のことを言います。2000年にWHOが提案した比較的新しい考えです。

厚生労働省の調査によると平成25年の日本人の平均寿命は男性80.21歳、女性86.61歳であるのに対し、健康寿命は男性 71.19歳、女性 74.21歳でした。

男性で9年間、女性は13年間自立度が低下した状態あるいは寝たきりの状態にあります。

自立度の低下、寝たきりは介護保険制度の「要支援・要介護」の状態を指します。この「要支援・要介護」の主な原因の一つが脳卒中です。ですので「メタボ」の予防・改善はとても重要です。

そして平成17年に始まった「メタボ」撲滅運動の効果でしょうか。「要支援・要介護」の原因に占める脳卒中の割合は平成23年の22%から25年の19%へと減少傾向が見られています。

そして脳卒中は平成23年、25年ともに「要支援・要介護」の原因の1位ではありませんでした。「要支援・要介護」の原因の第1位は「動く機能が衰えたこと」、いわゆる「ロコモ」なのです。

健康寿命を縮める「ロコモ」とは

血液を全身に送る器官は循環器、食べたものを消化する器官は消化器、息をする器官は呼吸器と呼ばれています。そして体を動かす器官を「運動器」と言います。

この運動器に問題がおきて、移動する能力が低下した状態を「運動器症候群」=ロコモティブシンドロームと言います。略して「ロコモ」です。

移動する能力が低下した状態=ロコモのままでいると、将来、要支援・要介護の状態になってしまう危険性がとても高いのです。

厚生労働省国民生活基礎調査によると平成23年、25年ともにロコモは「要支援・要介護」の原因の第1位です。

そして「要支援・要介護」の原因のうちロコモが占める割合は23%から25%へと増加傾向にあります。

認知度急上昇のロコモティブシンドローム

「一般財団法人 運動器の10年・日本協会」の調査によりますと「ロコモ」の認知度はここ数年で急激に増加していることが分かります。

平成24年度 17.3%
平成25年度 26.6%
平成26年度 36.1%
平成27年度 44.4%

ロコモ対策が急務と考えられて、各種団体が普及活動に力を入れてきたことの現れとも解釈できます。

こんな状態はロコモの予兆!?あなたのロコモチェック

移動する能力が低下した状態=ロコモですが、具体的にはどのような状態がみられたら要注意なのでしょうか。

「7つのロコチェック」

  1. 片足立ちで靴下をはけますか?
  2. 家の中でつまずいたりすべったりしませんか?
  3. 手すりにつかまらなくても階段を上がることができますか?
  4. 少し重いものを動かすくらいの家事が厳しくなっていませんか?
  5. 2kgくらいの重さのお買い物をお家まで運ぶのが大変になっていませんか?
  6. 15分間続けて歩けますか?
  7. 青信号の間に横断歩道を渡り切れますか?

1つでも当てはまるところがあれば要注意です。生活習慣を見直し、運動を習慣にするようにしましょう。必要に応じて医療機関を受診することも大切です。

「7つのロコチェック」に該当しない方も今から運動習慣を身につけてみんなで将来のロコモを予防しましょうね。

「ロコトレ」でロコモを防ごう!

日常生活で10分多く動くことを意識するようにしましょう。そして次のたった2つの運動をプラスして毎日続けることでロコモを予防できます。

  • 片脚立ち
  • スクワット

この2つの運動を毎日続けることでいつまでも元気な足腰を維持できます。ポイントは以下の3つです。

  1. 頑張りすぎない
  2. 無理しない
  3. マイペース

それでは「片脚立ち」と「スクワット」について詳しく見ていきましょう。

ロコトレ1.「片脚立ち」

みなさんは片脚で1分間立っていられますか。「ロコトレ」の片足立ちは、ただ単に片脚で立つだけです。

とってもシンプルで地味なトレーニングですよね。「将来寝たきりにならないように運動するぞ!」と意気込んでいるあなたには物足りなく感じるくらい地味なトレーニングかもしれません。

でもこの「片脚立ち」にはとってもすごい効果と効率の良さがあるのです。まず、当たり前のことなのですがバランス感覚を鍛えることが出来ます。

ロコトレ上のバランス感覚を鍛える意義

片脚立ちは一見簡単そうに思えます。でも、バランス感覚は知らず知らずのうちに衰えていきます。一度、是非試しに「片脚立ちを」してみてください。1分間、片脚で立っていられますか。フラフラしませんでしたか。左右同じように出来ましたでしょうか。

普段運動をしていない方たちの中には、若いころに比べてうまく出来ない、と思った方も多かったのではないでしょうか。バランス感覚は年をとるごとに衰えて行きます。そのまま放置しておいたらどうなってしまうでしょうか。

年をとるままに任せてバランス感覚が低下するのを放置しておいたら、お年寄りになったときに転びやすくなってしまいます。ちょっとつまずいたり、何かにぶつかったりしただけでも簡単に転んでしまうかもしれません。

お年寄りになってから転ぶことはとても危険です。年をとると一般的には骨がもろくなっています。骨がもろくなっている状態で転ぶと骨を折ってしまう可能性がとっても高いのです。

転んで骨を折ったところが、脚や腰などの立って移動するために必要な骨だった場合、動くことが出来なくなってしまいます。骨折を直すために、しばらく病院に入院することになるかもしれません。

転んで骨を折って、病院のベッドの上で骨折が治るまでの間動かないでいたらどうなってしまうでしょうか。そうなのです、立って歩く等の移動するための筋肉が落ちてしまうのです。

若い人でもインフルエンザで1週間布団の中に寝たきりになっていると筋肉の低下を実感すると思います。お年寄りの方が1カ月も動かないで病院のベッドの上でじっとしていると筋肉が落ちて動けなくなってしまう可能性が高いのです。

転んで、入院して、動かないで筋肉が落ちて動けなくなる。これが寝たきりの重大な原因になっているのです。転ばない為にバランス感覚を鍛える、これは寝たきりにならない為の大切なことなのです。

寝たきり予防の為に「片脚立ち」がいかに大切なことであるのかご理解いただけたのではないでしょうか。

そして「片脚立ち」はバランス感覚を鍛えるだけではなく更に素晴らしい効果が期待できるのです。

ロコトレ片脚立ちの素晴らしい効果とは!?

目を開けながら片脚で1分間立ちます。これを3回繰り返します。たった3分です。両足で6分間になります。

たった6分の片脚立ちが1時間弱歩いたのと同じ効果があるのです。約1時間歩いた時同じくらいの負荷が太ももの付け根に加わるのです。

片脚立ちをすることで太ももの付け根に負荷が加わり、骨が強くなることが期待できます。片脚立ちを3-6ヵ月間続けた骨粗鬆症の患者さんの6割に骨密度が増加していることが確認されたという報告もあります。

太ももの付け根の骨を専門用語で大腿骨頚部と言います。ここの骨はお年寄りの方が骨折してしまいやすい場所の1つです。ここの骨が折れてしまうと寝たきりや痴呆になりやすいと言われています。

片脚立ちを行うことで、バランス感覚が良くなって転びにくくなります。また、お年寄りが骨折しやすく、折れてしまったら寝たきりの原因にもなる太ももの付け根の骨を丈夫にする効果もあります。

歯磨きをしているとき、台所仕事をしているとき、信号待ちをしているとき、色々な場面で片脚立ちをしてみてはいかがでしょうか。

ロコトレ2.「スクワット」

ロコモを予防するもう一つのロコトレが「スクワット」です。

ロコトレのスクワットは従来のスクワットとは別のものです。みなさんはスクワットというとどのように行うでしょうか。きっと和式トイレを使う時のようにももの裏側とふくらはぎが重なるまで腰を落とすのではないでしょうか。

この従来のスクワットですとももの筋肉を鍛えることは出来ますが、膝を痛めてしまう可能性があります。それに加齢に伴って衰えてくる背中側の筋肉を鍛えることが出来ません。

従来のスクワットが「和式トイレ」のしゃがみ方に似ているのに対して、ロコトレのスクワットは様式トイレに座るときの動きに似ています。

膝は出来るだけ前後に動かしません。つま先より膝が前に出ないように注意します。脚は肩幅より少し広めに開きます。

そしてお尻を後ろに引いて身体をしずめます。膝は90度以上曲げないようにします。

この動きによって股関節の曲げ伸ばしをすることが出来ます。下半身の中心である股関節を動かすことで、背中、お尻、裏もも、ふくらはぎの活動を高めることが出来ます。

試しに、腰に手を当てながらこのロコトレのスクワットを実践してみてください。背中の筋肉が収縮していることが分かるのではないでしょうか。

この背中の筋肉を広背筋と言います。広背筋は関節を伸ばす筋肉です。歳を取ると腰が曲がってきます。そのことが運動能力を低下させる原因にもなります。広背筋を鍛えることで姿勢をよくすることが出来ます。

ロコトレのスクワットは背骨を反らしてお尻を後ろに引く運動です。あまりカッコイイ運動ではありません。でも普段なかなか鍛えられない後ろ側の筋肉を鍛えられる優れた運動です。是非チャレンジしてみてください。

ロコモを予防するプラス10分

要支援・要介護のリスクを高める「ロコモ」。これを予防するにはどうしらよいのでしょうか。日本整形外科学会が出版している「ロコモパンフレット2015年度版」からその予防方法をご紹介いたします。

たった10分プラスするだけ!
今より10分多く身体を動かすことが、ロコモの予防につながります。たとえばこんな「+10」にトライしてみませんか?

  • 自転車や徒歩で通勤する。
  • エレベーターやエスカレーターではなく階段を使う。
  • 掃除や洗濯はキビキビと。家事の合間にストレッチ。
  • テレビを見ながら、ロコトレやストレッチ。
  • 仕事の休憩時間に散歩する。
  • いつもより遠くのスーパーまで歩いて買い物に行く。
  • 近所の公園や運動施設を利用する。
  • 地域のスポーツイベントに参加する。
  • 休日には家族や友人と外出を楽しむ。
  • 歩幅を広くして、速く歩く。

そのほか、ラジオ体操、ご当地体操など、いろいろな運動がロコモ対策になります。

要支援・要介護の原因となる運動器症候群、略称「ロコモ」を予防するために「片脚立ち」と「スクワット」は大変な効果が期待できます。

出来る方は是非実践し継続してください。ただ多くの方にとってはたとえ数分であっても改めて運動のために時間をとってそれを生涯にわたって継続し続けるということはとても難しいのではないでしょうか。

そう言う方は、「使わないところは衰えていく」という言葉を意識して、日々の生活の中で出来るだけ多く身体を動かすことを意識されてはいかがでしょうか。

ロコモを食事で予防しよう!大切なのは筋肉と骨のための栄養

ロコモを予防するためにはバランスの良い食事を摂り、太りすぎず、痩せすぎないことも大切です。

なぜなら私たちの身体は私たちが食べたもので出来ているからです。ロコモの予防で重要となる運動器を構成する「筋肉」「骨」「関節」も私たちが食べたもので出来ています。

ロコモを予防するために運動をすることは重要ですが、そもそも運動をするための「道具」である筋肉、骨、関節がしっかりしていないと運動することもままなりません。筋肉、骨をしっかりした状態に維持し向上させるためにも食事はとても大切です。

ロコモを予防する食事の取り方のポイントは以下の3つです。

  • 低栄養に注意すること
  • 主菜、副菜は毎食、牛乳、乳製品、果物は毎日欠かさずに摂ること
  • 骨や筋肉を強くする食事を摂ること

ロコモ予防のための食事は筋肉を維持することを意識して

骨や関節は筋肉で支えられています。筋肉が衰えればそれだけ骨や関節に掛かる負担が増えます。骨や関節の障害はロコモの原因になりかねません。運動をするためにも筋肉は重要です。

筋肉は20代をピークにそれ以降減少していくと言われています。20代を100とした場合、毎年1%ずつ減少していきます。

10年で10%減ですので、40代の方は20代の頃の80%の筋肉量と平均的に考えられます。60代の方ですと20代の頃の60%、80代の方ですと20代の頃の40%しか筋肉量がないと考えられます。

75歳前後から筋肉量の低下は加速するとも言われています。筋肉量が極端に落ちた状態を「サイコぺニア」と呼びます。

高齢者の場合、筋肉量が極端に低下して転倒、骨折した場合、それが寝たきりの原因になってしまうリスクが高くなります。

体組成計で測定した筋肉の割合が男性で27.3%未満、女性で22.0%未満の場合がサイコペニアであるとされています。

加齢に伴って筋肉量は減少していきます。でも筋肉には希望があります。なんと筋肉は加齢に逆らうことが出来る細胞なのです。

視力が落ちる、白髪が増える、皺が増える、歳をとることによって人間の身体は変化をして行きます。加齢に伴う多くの変化は一般的に嬉しくない変化が多く、そして多くは不可逆的な変化です。

秦の始皇帝は国力の限りを尽くして不老不死の薬を求めました。現代においてもアンチエイジングは多くの人の関心を集めます。しかし時間は止められませんし、時計の針を元に戻すことは出来ません。

でもなんと筋肉は加齢にあらがうことが出来る組織であると言われています。筋肉も他の組織、細胞に違わず加齢に伴い減少、縮小していきます。しかし、筋肉は鍛えれば70歳でも80歳でも増強することが出来るのです。筋肉量を増やすことが出来るのです。

このため筋肉は加齢に抗うことの出来る組織であると言われています。筋肉を維持、増強するためには運動が必要です。でも筋肉量を増やすには運動だけでは足りません。筋肉を増やす材料を私たちは手に入れなくてはなりません。

筋肉を増やす材料をどのように自分のものにするのでしょうか。そうなのです。食事なのです。では筋肉を増やすためには何をどのように食べればよいのでしょうか。

筋肉を強くする食事とは?

筋肉は骨格筋と内臓筋に大別されます。ロコモで大切なのは骨格筋です。骨格筋は移動や姿勢を維持する筋肉です。

筋肉(骨格筋)を増やすのに必要な栄養素は何でしょうか。

栄養素には5大栄養素と呼ばれるものがあります。

  • 炭水化物
  • 脂質
  • タンパク質
  • ビタミン
  • ミネラル

炭水化物は平たく言えば糖質です。厳密に言えば、炭水化物から食物繊維を引いたものが糖質になります。糖質の中でも単糖類と二糖類を糖類と言います。

細かく考えると微妙に違う糖関連の言葉ですが、5大栄養素の炭水化物と言えば、ごはん、パン、スパゲッティ、うどん、そうめん、スイーツなどとお考えいただければと思います。

脂質は読んで字のごとく脂の部分です。ステーキの脂身、マグロにあっては大トロ、中トロに沢山含まれていて赤身のマグロにはあまりない部分のことです。タンパク質は肉ですね。

これら炭水化物、脂質、タンパク質は5大栄養素の中でも3大栄養素と呼ばれています。筋肉量を増やすには、タンパク質をきちんととることが大切になります。

ボディビルダーや筋トレが大好きな人が一生懸命摂っているのは「プロテイン」です。プロテインを日本語にすると「タンパク質」なのです。

ロコモ予防の食事:良いものばかりでもダメ!食事はバランスよくが第一

タンパク質を効果的に摂取するにはアミノ酸について知っておくと面白くなります。

アミノ酸が沢山集まるとタンパク質になります。食事で食べたタンパク質はプロテアーゼと呼ばれる酵素でアミノ酸に分解されます。タンパク質はプロテイン、酵素はアーゼ、タンパク質を分解する酵素はプロテアーゼです。

プロテアーゼで分解されたタンパク質はアミノ酸になって体内に吸収されます。そして体内で再合成されてタンパク質になります。

そしてこのアミノ酸の吸収のされかたに特徴があるのです。その特徴のために色々な種類の食材をバランスよく偏りなく食べる必要があるのです。

アミノ酸には私たち自身が体内で作り出せるアミノ酸と、私たちの身体では作ることの出来ないアミノ酸があります。

私たちの体内で作り出すことの出来ないアミノ酸を必須アミノ酸と言います。自分たちが体内で作ることが出来ないため、必須アミノ酸は食事で摂らなくてはならないのです。

そしてその必須アミノ酸は9種類あります。トリプトファン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、トレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、ヒスチジンの9つです。

私はこの9種類の必須アミノ酸を20代の前半に覚えさせられたことがありました。その後約20年生きてまいりましたがその知識を活用する機会はありませんでした。普通に生活する上では9つの必須必須アミノ酸の名前を覚える必要はないと思います。

ただ覚えておいていただきたいことがあります。それは「アミノ酸の桶」理論です。

必須アミノ酸は9種類バランスよく摂取する必要があります。仮にですが、バリンを集中的に一生懸命摂取して100単位摂ったとします。(この「単位」というのは理解を助けるためにここだけで用いている言葉です)。

トリプトファンは苦手なので5単位、その他の7つのアミノ酸は普通に50単位だったとします。

そうしますと、なんと9つすべてのアミノ酸が最も摂取量の少なかったトリプトファンの摂取量に合わせて5単位しか摂取されないのです。

高さの異なる桶板で組み合わされた桶を想像してください。どんなに沢山水を入れようとしても一番高さの低い桶板の量よりも高く水はたまりません。一番低い桶板の高さまでしか水は貯まらないのです。

このイメージと同じことが「アミノ酸の桶」理論なのです。他のアミノ酸を一生懸命沢山とっても最も摂取量の低いアミノ酸の量に合わせてしか摂取されないのです。

そして食べ物によって含まれている必須アミノ酸の種類はそれぞれ異なっているのです。

ですから色々な種類の食べ物を偏りなく食べる必要があるのです。「好き嫌いしないでなんでも食べなさい」と昔の人は良く言ったもので、これにはきちんと訳があったのですね。

ロコモを予防するためには筋肉量を維持、増強する必要があります。そのためには筋肉を作る材料であるタンパク質を取らなくてはなりません。タンパク質の原料となるアミノ酸はバランスよく摂取されないと効率的に体内に入りません。

動物性タンパク質も植物性タンパク質もバランスよく取りましょう。動物性タンパク質にはお肉、お魚、貝類、乳製品があります。

お肉も牛肉、豚肉、鶏肉などがあります。お魚も赤身の魚、白身の魚、青魚など色々あります。

植物性タンパク質は豆類、イモ類に多く含まれています。小麦粉や白米にもタンパク質は含まれています。

これらの食品をバランスよく食べることが健康を維持するうえで大切なのです。

炭水化物と脂質もバランスよく摂りましょう

このバランスよく食べるというのはタンパク質だけに限りません。タンパク質以外の3大栄養素である炭水化物と脂質もバランスよく食べる必要があります。なぜでしょうか。

なぜなら炭水化物と脂質をキチンととっていないと筋肉が減ってしまうからです。人間は主に炭水化物をエネルギーにして活動しています。炭水化物がエネルギー源としてなくなると脂質をエネルギーにします。

エネルギー源としての炭水化物と脂質が無くなると人間は生命維持のために体内のタンパク質を分解してエネルギーに換えます。つまり筋肉を消費してしまうのです。

若い女性の方で無理な食事制限をしてダイエットを行った方の中には筋肉量が大幅に減少してしまっている人もいます。一人暮らしのお年寄りの方で食事が粗末になりがちな方の中にもそのことが原因で筋肉量が減ってしまっている方もいます。

健康寿命を延ばすためにも食事は大切です。キチンとしっかりと食べましょうね。

でも、やっぱり食べ過ぎはよくありません。食べ過ぎると体重が重くなって骨や関節に負担が掛かります。体が重くなると動くことも億劫になって運動習慣が付きにくくなります。

若い頃と見た目があまり変わっていなくても筋肉が脂肪に置き換わっている場合もあります。

さらにそれが進行して筋肉量が極端に落ちているのに脂肪が沢山ついて肥満の状態は「サイコペニア肥満」と言って、いわばメタボとロコモの複合体のような存在であり将来寝たきりになってしまう可能性が大きいと心得ていただく必要があるかと思われます。

痩せすぎず太りすぎないようにバランスよくなんでも好き嫌いしないで食べるようにしましょう。

ロコモ予防の食事:骨を強くする3つの栄養素を知っておこう

ロコモ予防の食事を考える上で対象となる部位は筋肉の他に骨があります。骨を丈夫に保つためにも食事はとても重要です。

骨を丈夫に保つためになぜ食事が大切なのでしょうか。なぜなら骨も常に新しく作られているからです。古い骨は破壊されて、新しい骨が作られ続けているのです。これを骨のリモデリングと言います。

骨を破壊する細胞を「破骨細胞」と言います。そして骨を作る細胞は「骨芽細胞」です。古い骨が破壊されている一方で、新しい骨を作る素材が不足していたら、骨はどんどんスカスカになって行ってしまいます。

これが病的なまでに進行した状態が骨粗鬆症です。コツソショウショウです。英語ではオステオポローシスと言います。どちらにしても発音しにくいため日本語を短くして「コツソ」と呼ばれることがあります。

骨がもろくなってしまった結果、運動器を構成する骨が折れてしまった場合は、動くことが出来なくなってしまいます。動かなければ筋肉は衰えて行ってしまいます。その結果、より一層動くことが出来なくなってしまい寝たきりになるケースがあります。

そのようなプロセスに至らないためにも骨を丈夫に保っておくことはとても大切です。

では骨を作るために必要な材料とは何なんでしょうか。それはカルシウムとビタミンDとビタミンKです。

骨を強くする栄養素1.カルシウム

ご存知のように骨はカルシウムで出来ています。そして日々骨からカルシウムは放出されています。カルシウムを骨に補充していかなければ骨密度は徐々に低下して行ってしまいます。

みなさんは十分カルシウムを摂取されていますでしょうか。

統計的なデータでは日本人はほぼすべての年代にわたってカルシウムの摂取量が不足しています。

性別、年齢によって推奨される一日当たりのカルシウム摂取量はことなりますが、だいたい成人では600mg~800mgのカルシウム摂取が薦められています。

しかし平成19年に厚生労働省が行った国民健康・栄養調査の結果では日本人の平均カルシウム摂取量は531mgと大幅に推奨量を下回っていました。

カルシウムを含む食品は、

乳製品、魚介類、豆類、野菜、海草類、穀類、卵、肉類などです。意識してカルシウムを取るようにしたいものです。

骨を強くする栄養素2.ビタミンD

骨はカルシウムで出来ていますが、骨を丈夫に保つための食事としてはカルシウムだけを意識していては不十分です。

カルシウムは体内にとても吸収されにくいミネラルです。カルシウムを効率的に吸収するためにはビタミンDの助けが必要です。ビタミンDが不足しているとカルシウム不足になってしまいます。

ビタミンDは日光を浴びることで体内でも作ることも出来ます。ただ、体内で産生されるビタミンDだけでは十分な量を確保できません。ビタミンDも食事から摂ることが大切です。

ビタミンDを摂ることのできる食品はあまり多くありません。ビタミンDの摂取に優れた食品群は魚介類とキノコ類です。ビタミンDは魚類全般に多く含まれていますので魚類をしっかりとっていればビタミンDに関しては不足することはありません。

お魚が嫌いだからと言ってお肉ばかり食べないようにしましょうね。

骨を強くする栄養素3.ビタミンK

ビタミンKは骨のリモデリングに関与しています。カルシウムを骨に取り込む際にビタミンKは作用します。また骨からカルシウムが排出されるのを抑える働きもあります。

ビタミンKは腸内細菌によって作られます。このため極端な偏食をしない限り不足することはないと言われています。

ビタミンKを多く含む食品はなんと言っても納豆です。そのほか、ほうれん草、小松菜にも多く含まれます。

ビタミンKは骨を丈夫に保つ働きをするほかに、血液を固まらせる働きもしています。出血した時に血を止めてくれる大切な働きをしてくれます。

ただ、血が固まりやすい状態が好ましくない方もいます。血栓と言って血管のなかで血の塊が出来てしまうことがあります。血栓は心筋梗塞や脳梗塞という重大な病気の原因になります。

心筋梗塞や脳梗塞のリスクの高い人は血栓を作らないようにビタミンKの働きを抑える薬をお医者さんが処方している場合があります。

ワーファリンという薬です。ワーファリンを飲んでいる方の場合は納豆などビタミンKを多く含む食品の摂取を止められている場合があります。

ロコモを予防する上で骨を丈夫に保っていることはとても大切です。骨が病的にもろくなった状態が骨粗鬆症です。

カルシウム、ビタミンD、ビタミンKは骨粗鬆症のお薬としても認可されています。このことからもこれらの栄養素が骨を丈夫にすることは証明されていると言えるのではないでしょうか。

よく動きよく食べる、これが一番のロコモ予防

ロコモを予防する上で骨粗鬆症はとても重要なファクターです。骨粗鬆症は推計で1,280万人いると言われていますが、そのうち実際に骨粗鬆症の治療を受けられている方はたったの200万人しかいません。

昔は骨粗鬆症の薬と言えばカルシウム、ビタミンD、ビタミンKなどしかありませんでした。それが今ではビスフォスフォネイトという非常に優れた医薬品が存在します。このビスフォスフォネイトを服用すると骨量の増加が期待できます。

現状、骨が健康な方はカルシウム、ビタミンD、ビタミンKを含む食品の摂取を心掛けて骨を丈夫に維持したいものです。

しかし、既に病的に骨がもろくなっている方は病院で治療を受けられることをお勧め致します。ただ骨粗鬆症はご本人でも気づかないことが多くあります。ご心配な方はまず検査を受けられてご自身の骨の状態を確認されてはいかがでしょうか。

よく動き、よく食べてみんなで健康な状態で長生きしましょうね。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る