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喉頭がんの症状は?原因・治療法をチェック

私たちが健康的な日々を送ることができるのは、ひとことで言うなら、「身体が丈夫だから」で片付いてしまうかもしれません。ただ、身体が健康であるということは、身体のあらゆるパーツが健康でなければならないことを意味します。

たとえばどこか具合が悪くなって、その具合が悪い部位(患部)を一生懸命治療してもなかなか快方に向かわないこともあります。それは、その部位に本質的な原因があるのではなく、問題の原因が別の場所にあるからです。

このように、私たちの身体はいろいろなパーツが互いにサポートしあい、影響しあって成り立っています。ですから、心臓や肝臓、腎臓、胃が健康だから私は健康なのだ、という理屈は、残念ながら成り立たないのです。

今回お話するのは「のど」というパーツの病気です。中でも最も怖い疾患のひとつである「喉頭がん」についてお話します。喉頭がどういう働きをするパーツで、他の器官にどんな影響をもたらすのかという基本と合わせて考えていきます。

まずは喉頭という部位を知ろう

喉頭がんについてお話する前に、まずは喉頭(こうとう)という部位の位置的情報や、その役割、重要性などについて知識を共有しておきたいと思います。基本的なイメージを得てから、喉頭がんのお話をしていきます。

喉頭って、どこにあるどんなパーツなの?

喉頭の位置をことばで説明するのはなかなか難しいです。そこで、まずは以下の画像をご覧ください。

咽頭の各名称

喉頭の「喉」の文字は「のど」と読みます。ちなみに「咽頭(いんとう)」の「咽」の文字も「のど」と読みます。同じ「のど」でも、漢字が異なるということは、部位や役割が異なると考えるのが自然です。

風邪をひいたときなどに「のどが痛い」という症状が現れますが、あの痛みはほとんどが「咽頭炎(いんとうえん)」と呼ばれる炎症による痛みです。のどの上側というか、鼻の奥のほうが痛むことが多いでしょう。

これに対して喉頭というのは、まさに口の奥、舌の下、のどの下側といったイメージになります。声を出し過ぎたときにのどが痛むと、喉頭炎(こうとうえん)という症状が起こります。喉頭は、「声」とも重要なかかわりがある器官です。

このあたりのこともまとめておきます。

喉頭って、どんな役割を担うの?

喉頭には、大きく分けて3つの働きがあります。以下の表にまとめますので、上に掲載したイメージ図を参照しながらご覧ください。

喉頭の役割 使用されるパーツ 役割の概要
発声 声帯(せいたい) 喉頭に付随する左右一対の声帯が肺からの呼気によって振動することで、声が発せられる
嚥下(えんげ・えんか) 喉頭蓋(こうとうがい) 食べ物を飲みこむ(嚥下)際に、喉頭蓋によって喉頭や声帯を閉じることで、嚥下を助ける(誤嚥※を防ぐ)
気道の確保 呼吸の際の気道を確保する役割がある

※誤嚥(ごえん)・・・誤って食べ物が気管に入ってしまうこと。

私たちが日常の中で当たり前にしている動作の中でも、喉頭は特に重要な生命維持活動(食事や呼吸および、危険回避や意思疎通のための発声)をサポートするという重要な役割を担っていることがわかります。

そんな重要なパーツである喉頭に「がん」ができてしまうこともあります。ミュージシャンのつんくさんが喉頭がんを発症したことは、大きな衝撃を伴うニュースとして多くの人に喉頭がんの怖さを再認識させました。

つんくさんのケースでは、喉頭に付随する声帯を摘出する必要がある喉頭がんだったため、残念ながら「声を失う」という選択を迫られました。しかしその決断の勇気を讃える声は今なお大きいです。

つんくさんのがんは「咽頭がん」であったとする説もあるようですが、声帯を除去する手術を行ったということは、やはり喉頭がんの可能性がはるかに高いです。咽頭がんという疾患も実際にあり、外科療法も当然行われます。

ただ、咽頭がんの場合、声帯を除去するという話は正直あまり聞きません。喉頭がんの場合、声帯除去手術をはじめとする外科療法を採用するケースは非常に多いです。ですからつんくさんの場合、喉頭がんだったと考えられます。

ちょっと余談になってしまいましたが、それではここからは、いよいよ喉頭がんについてお話していくことにしましょう。

喉頭がんとはどんな病気なのか?現れる症状

厳密にいうと、実は「喉頭がん」という疾患は、上で挙げたような喉頭やその周辺に付随するパーツががんになった場合の総称としてそう呼ばれます。そこでまずは、喉頭周辺のがんの系統をまとめてみることにしましょう。

喉頭周辺のがんを系統に分ける

のどの不調のときに、いわゆる「耳鼻科」に行く人も少なくないと思います。耳鼻科を正しくいうと、「耳鼻咽喉科(じびいんこうか)」となりますが、この耳鼻咽喉科のテリトリーに属するがん全般を、「頭頚部(とうけいぶ)がん」と呼びます。

喉頭がんも当然この頭頚部がんに含まれます。そして喉頭がんと呼ばれるがんもさらに3つのがん疾患に分類されます。ひとつが「声門がん」、もうひとつが「声門上がん」、そして「声門下がん」の3つです。

声門(せいもん)というのは、声帯がある部分のことを指します。声帯は喉頭に付随するパーツですから、声門は喉頭の一部になります。ですから声門がんも喉頭がんの一種になるのです。

喉頭を声門よりも上か下かで分けるとき、声門より上の喉頭を「声門上(せいもんじょう)」、声門よりも下の喉頭を「声門下(せいもんか)」と呼びます。声門上、声門下にできるがんをそれぞれ「声門上がん」、「声門下がん」と呼びます。

上のほうで示した図の「喉頭」の部分をさらに拡大した図を以下に示します。声門上、声門下がそれぞれ声門上部、声門下部と記載されていますが、同じパーツを指します。

咽頭の亜分類

喉頭がんをはじめとする頭頚部がんの系統をまとめますと、以下のようになります。

頭頚部がん→口腔がん、喉頭がん、咽頭がん、頸部食道がん、・・・

口腔がん→舌がん、歯肉がん、頬粘膜がん、・・・
喉頭がん→声門上がん、声門がん、声門下がん
咽頭がん→上咽頭がん、中咽頭がん、・・・
頸部食道がん・・・
・・・

喉頭がんの中では声門がんにかかる確率が最も高いです。喉頭がん全体に対する声門がんの罹患率は60~65%ですから、喉頭がんの半数以上が声門がんです。以下、声門上がんは30~35%、声門下がんは極めてまれです。

喉頭がんはどんな症状を伴う?

喉頭がんができる部位によって、現れる症状が異なります。声門がん、声門上がん、声門下がんそれぞれについて症状をご紹介します。

声門がん

声門がんの症状として最も顕著なのが、「声がかれる(嗄声・させい)」という症状です。嗄声の症状は、声門がんにかかったほぼすべての患者さんが経験します。声門がんの患者さんは、雑音が混じった音を発声します。

もちろん風邪や大声を張り上げるなどの原因により、声がかれることはあります。問題は、そうした原因に思い当たらず、しかもかなり長期にわたって(たとえば1か月以上)声がれが治らないときです。このケースでは、声門がんを真っ先に疑うべきです。

また、良性のポリープができた場合にも、声門がんのときと同様の声がれは起こります。ここまでは、声門がんの初期症状として比較的起こりやすい症状です。しかしがんの進行により、声がれの症状はさらに重度化します。

声門がんの進行・病期(ステージ)によっては、声がれの悪化が顕著になり、また、呼吸困難を伴うこともあります。さらに、痰に血が混じる(血痰・けったん)症状もみられるようになります。

声門上がん

声門上がんの症状として顕著なのが、「違和感」や「異物感」です。特に初期症状としてこれらの感覚が起こります。違和感というのは、普段にくらべてのどにいがらっぽい感じを覚える機会が増えた、などといったケースがこれにあたります。

また、異物感はのどの奥に何かが付着しているような感覚です。食べ物を嚥下する際に、のどのほうにチクリとした痛み、鈍い痛みを覚えるのも、声門上がんの特徴になります。さらに、リンパ節(首のあたり)の腫れや痛みを伴うことも多いです。

声門上がんが進行して声帯にまで病変がおよぶと、今度は声がれが起こります。さらに進行すると、声門がんと同じように、呼吸困難の症状が現れることが多くなります。

声門下がん

声門下がんの場合、初期症状がほとんど現れないために、自覚が難しいがんです。症例自体が多くありませんが、声門下がんがかなり進行することで、違和感を覚えることがあります。

喉頭がんのうち最も多い声門がんと、次いで多い声門上がんは比較的症状を自覚しやすいがんであるといえます。そのため、喉頭がんは早期発見のチャンスは他のがんよりも多いと考えられます。

声がれをはじめとする違和感を継続的に自覚しているなら、できるだけ早く病院で診てもらうことをおすすめします。

▼関連記事
長引く声枯れと喉の違和感に要注意!風邪と喉頭がんの症状の違い

万一喉頭がんになってしまったら・・・その治療法は?

万一喉頭がんが発見された場合、すぐにでも治療にかかる必要があります。ただ、どのくらいがんが広がっているのか、あるいはリンパ節への転移の有無によっても治療方法が異なります。

治療の方向性を決定するためにも、まずは検査をしっかりと行い、喉頭がんの病期(ステージ)を明確にして、そのステージごとに行われる一般的な方法をベースに治療を進めることになります。

そこで、まずは喉頭がんの検査方法とステージについて触れておくことにします。

治療の方針を決める検査!喉頭がんの検査方法は?

喉頭がんの発見によってがん治療を行う前に、その治療の方向性を決定するための検査は、主に6種類あります。すべての検査を行う必要はない場合が多いですが、複数の検査を組み合わせることがあります。

優先される順を追って検査の種類を紹介しておきましょう。ただし、検査の種類や方法、優先順に関しては、病院によって異なる場合もありますので、ここではあくまでも一般的な例をご紹介します。

視診 医師が実際に喉頭を目視で確認するための検査
喉頭ファイバースコープ 胃カメラの要領で、喉頭をカメラによりチェックする検査
生検 内視鏡などでがんが疑われる組織を採取して行う精密検査
採血 血中の腫瘍マーカーの数値を見てがんの有無を判断する検査。ただし、初期症状では数値に異常が現れず、進行がんでも数値に異常がない場合もある
超音波(エコー) 喉頭ファイバースコープと同じ要領で行うが、超音波をがんが疑われる部位に当てることでその反応からがんの有無を判断する検査
CT・MRI がんの広がり具合や転移の有無を調べるための検査。CTはX線撮影、MRIは磁気による断層撮影検査

(参考:一般的な喉頭がんの検査-赤坂腫瘍内科クリニックより)

病期ごとに治療方法が決まる・・・喉頭がんのステージについて

がんのステージ(病期)は、がんの進行、広がりのエリア、転移の有無など、いくつかのファクターにどのくらい該当するかによって決められます。喉頭がんの場合、声門がん、声門上がん、声門下がんのそれぞれに病期が定められます。

ステージによって治療方法が異なりますので、特にお医者さんにとっては、ステージを知ることが、患者さんのがん克服を助けるための非常に重要な要素になります。それでは、それぞれのステージを説明します。

なお、ここでは「T分類」と呼ばれるステージ分類方法にしたがってステージの説明を行います。T分類とは、「原発腫瘍(転移によるがんではないもの)の広がり、浸潤」の度合いを示す、ステージ分類の最も基本となる分類方法です。

▼声門がん

ステージの分類 がんの進行状況
T1a 一対の声帯のうち、がんが左右どちらか一方にとどまる
T1b 左右両側の声帯にがんがある
T2 がんの広がりが声門の上部もしくは下部まで及ぶ、またはがんによって声帯の動きが制限される
T3 がんにより声帯が動かない、なおかつ・もしくは、声門の周囲組織にがんが広がる
T4a 喉頭の外部組織にがんが広がる
T4b がんが喉頭の外部組織を越え、背骨や縦隔(※)、頸動脈全周などに及ぶ(リンパ節転移)

▼声門上がん

ステージの分類 がんの進行状況
T1 片側の声門上部の一部にがんがとどまる
T2 声門および声門上部の外側までがんが広がる、または声門上部の広い範囲に及ぶ
T3 がんにより声帯の動きが完全に失われる、または声門上部の周辺または声門の周囲にがんが広がる
T4a 喉頭の外部組織にがんが広がる
T4b がんが喉頭の外部組織を越え、背骨や縦隔、頸動脈全周などに及ぶ(リンパ節転移)

▼声門下がん

ステージの分類 がんの進行状況
T1 片側の声門下部の一部にがんがとどまる
T2 がんが声帯にまで広がり、なおかつがんによって声帯の動きが制限される
T3 がんが声帯にまで広がり、なおかつがんによって声帯の動きが完全に失われる
T4a 喉頭の外部組織にがんが広がる
T4b がんが喉頭の外部組織を越え、背骨や縦隔、頸動脈全周などに及ぶ(リンパ節転移)

(参考:喉頭がんのステージ-赤坂腫瘍内科クリニックより)
※縦隔(じゅうかく)・・・左右の肺と胸椎、胸骨とに囲まれたエリア

喉頭がん、ステージごとの治療方法は?

再三お話しているとおり、がんの多くは、そのステージによって治療方法が決定します。多くのがんに対して、ステージと治療の体系が確立しており、喉頭がんに関してもそのことは同様にいえます。

ただ、近年は単に生命の危機を回避するだけにとどまらず、特に初期の喉頭がんについては、できるだけ発声の機能を温存する治療が推奨されています。詳細については、ご家族などを交え主治医と相談しながら決定することになります。

喉頭がんの病期ごとの治療方法は、日本頭頸部癌学会編「頭頸部癌診療ガイドライン 2009年版」(金原出版)に定められています。その概要をまとめた概略図を以下に引用します。

喉頭がんの病期と治療

上記の図について、少し説明を加えます。喉頭がんには声門がん、声門上がん、声門下がんという部位ごとに3種類のがんがあるということはすでにご理解いただいていると思います。喉頭がんの場合、厳密には病期と部位で治療方法が異なります。

声門がん、声門上がんの場合、特に初期症状に対する治療は、放射線治療やレーザー治療が採用されるケースが圧倒的に多いです。たとえステージⅠであっても、すでに一定以上進行している場合には、手術療法が採用されます。

発声機能の温存をはかるためには、放射線治療単体、もしくは放射線療法と抗がん剤治療(化学療法)を併用して治療が行われるケースも多くなっています。ただ、一度がんが発生した部位が残っていると、それだけ再発のリスクが高いことにもなります。

万一再発した場合には、よほどの事情がない限り手術治療が採用され、このケースでは、発声機能が失われる事例が残念ながら多くなります。いずれにしても、声よりも生命の優先順位が高いことは、今も昔も同じです。

なぜ喉頭がんにかかるの?考えられる喉頭がんのリスクと原因を知る

喉頭がんは、がん全体の中では比較的早期発見の可能性が高く、したがって生存率も高いと考えられています。

がん研究センターがん対策情報センターによれば、2003〜2005年に喉頭がんと診断された方の5年相対生存率は75.9%でした。

しかだからといって喉頭がんだから大丈夫だなどということは絶対にありえません。どんなことがあっても、喉頭に限らず「がん」はつくらないという決意に近い気持ちがあったとしても悪くはないはずです。

日本人の2人に1人ががんになる時代などといわれていますが、しかしがんは必ずしも予防できない病気と決めつける必要はありません。がんのリスクと原因を知ることによって、がんを予防できる確率は確実に高まります。

これは喉頭がんでも同じ、ここからは喉頭がんの考えられるリスクと原因に迫りたいと思います。

喫煙者は要注意!喉頭がんはとにかくタバコと密接な関係がある!

がんは「生活習慣病」と呼ばれる病気の代表格です。生活習慣とはいっても、食べたり飲んだりというだけではなく、眠らなかったり運動をしなかったり仕事で疲れ果てたりすることも含まれるため、原因の特定は難しいです。

しかし、喉頭がんの場合、他の部位のがんにくらべるとはるかに明確なリスクがデータとしてはじき出されているのです。喉頭がんの発症リスクを高めるのは、ズバリ、「タバコ」と「アルコール(お酒)」です。

特にタバコと喉頭がんの関係は非常に密接です。というのも、喉頭がんの患者さんのうち、実に90%以上が喫煙者であるという事実があるからです。男女比を見ても、喫煙習慣、飲酒習慣の傾向がある男性が、女性の10倍の発症率を示すのが喉頭がんです。

長期的に喫煙されてきた方は、男性だけに限らず、何らかの違和感を覚えた時点で一度病院で喉頭がんの検査をしたほうがよいといえるでしょう。もちろん禁煙や禁酒だって予防にはなりますが、まずは検査することが予防の第一歩です。

デリケートなのどだから、大事にしてあげて

おそらく誰もが風邪をひいた経験があると思います。そしてその際に、のどの痛みを感じたことがある人も多いでしょう。あるいは、お魚の骨がのどに刺さってしまった経験をお持ちの方も少なくないと思います。

風邪によるのどの痛みにしても、骨が刺さった痛みにしても、その違和感や不快感、異物感の大きさは相当なものであったのではないでしょうか?それもそのはずで、実は、のどという部位は、全身の中でも最も敏感な部位のひとつなのです。

中には、特に異常は認められないにもかかわらず、何かがのどに張り付いているような違和感が慢性化してしまったというケースも見られます。そんなデリケートな部位だからこそ、普段からのどを大事にいたわってあげていただきたいものです。

目に見えず、イメージとしても身体の奥のほうにある器官という印象があるのどだけに、正直ケアはなかなか難しいところがあります。だからこそよけいに、「大事にする意識」が必要になるとも考えられます。

デリケートさが予防の意識につながる

デリケートだからこそ、痛み、違和感、不快感、異物感などの「良くない感覚」がのどに発せられる機会も多くなります。それゆえ、のどはなんとも厄介な部位だ・・・とお嘆きの人もいるかもしれませんね。

しかしよく考えてみると、デリケートだからこそ、喉頭がんのような重篤な疾患にも気づきやすいというメリットも見いだせるのではないでしょうか?人間が痛みを感じたり、血液が真っ赤である目的は「危険回避」にあるとも言われます。

であるとすれば、のどのデリケートさもまた、より危険回避の可能性を高めてくれるファクターであるといえるはずです。そういったいろいろな意味を込めて、大事なのどと末永く、上手につきあって行きたいものです。

自戒も込めつつ・・・

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