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謎のしこりで手術に?顔や背中にできるできもの、粉瘤の特徴

woman in front of the mirror

「なんだかこの吹き出物治らないし、だんだん大きくなっているみたい…これは何?」もしかしたらそれは粉瘤(ふんりゅう)かもしれません。

粉瘤は誰にでも起こりやすいのにその正体があまり良く知られておらず、ニキビやおできと間違えられやすいできものです。

粉瘤ができたらどうすればよいのか、粉瘤の特徴と知っておきたい対処法について説明していきます。

誰にでもできる!黒いへそと悪臭が特徴の粉瘤は良性の腫瘍

顔にポコッと膨らんだできものが出ると、多くの人はまずニキビかおできが出たのだと思って自分で薬を塗ったりするでしょう。

薬を塗ったのに治らない場合は、にきびやおできではなく「粉瘤(ふんりゅう)」という良性のできものである可能性が高いです。

粉瘤とは皮膚の下に生じる袋状の嚢腫の総称で、アテローム(アテローマ)とも呼ばれています。わりと多くの人にみられる腫瘍です。腫瘍といっても良性で、心配するようなできものではありません。

粉瘤にはいくつかの種類がありますが、そのほとんどが毛穴の出口付近の皮膚が変化して生じる「表皮嚢腫」なので、ここでは表皮嚢腫をテーマに粉瘤の特徴や治療法を説明していきたいと思います。

粉瘤はほかのできものとよく似ているのですが、よく観察すれば粉瘤だと判断できるものが多くなっています。粉瘤にはどのような特徴があるのでしょうか。

粉瘤の見た目

atheroma

粉瘤の形状は、丸くなだらかに盛り上がったドーム状が一般的です。あめ玉が入っているかのように、皮膚の下に丸いしこりが感じられるものもあります。色は周辺の皮膚と同じで、ただれや出血などはありません。

一般に発見される粉瘤の大きさは、直径数mm~2cmくらいです。もっと大きくなることも珍しくなく、直径10㎝を超えるまで巨大化することもあります。

粉瘤の特徴ともいえるのが中央にある黒い点状の穴です。これは粉瘤の開口部で「粉瘤のへそ」と呼ばれることもあります。開口部は細い通り道で嚢腫壁の内容物と通じていますが、普段は表皮でふさがれているため内容物が外に出てくることはありません。

発生しやすい場所

粉瘤は全身の皮膚ならどこにでも発生する可能性がある腫瘍で、特に発生しやすいのは

  • 頭部
  • 背中
  • 脇の下
  • お尻

などに好発します。

粉瘤の数は1個~数個までさまざまです。感染性の病気ではないので、体に粉瘤が増えたり他人にうつしたりすることはありません。

表皮嚢腫は毛穴がある場所に発生する粉瘤ですが、毛穴がない手のひらや足の裏に発生することもあります。これは、皮膚に傷がついたことがきっかけで発症する「外傷外傷性表皮嚢腫」で、イボウイルスの感染が原因だとされています。

痛み・かゆみ

粉瘤を触ると皮膚の下に硬いしこりを感じますが、痛みやかゆみはありません。自覚症状がないため、目立たない場所にある粉瘤は気づかずに大きくなってしまうこともあります。

開口部に細菌が感染すると「炎症性粉瘤」引き起こし、粉瘤が赤く腫れたり触れると疼痛を伴うようになったりしてしまいます。

中身はとても臭い!

粉瘤の内容物はドロドロした粥状で強烈な悪臭がします。垢(角質)や皮脂などの老廃物が溜まって時間の経過したものなので臭いのは無理もありません。知る人ぞ知るという感じですが、そのにおいは古いチーズのような鼻をつく発酵臭とも言われます。

強く圧迫したり粉瘤の表面が破れたりすると開口部から内容物が出て、におうようになります。表皮を切開すれば内容物をしぼり出すこともできますが、嚢腫壁を摘出しない限りはまた角質や皮脂が溜まって大きくなってしまいます。

粉瘤ができる原因

気付くとポコッとできている粉瘤。なぜできるのか、その原因ははっきり分かっておらず、老若男女を問わず誰にでも自然に生じています。

粉瘤はこのような過程で作られていきます。

  1. 毛穴の出口にある「毛漏斗」周辺の皮膚(角質)がはがれ落ちる
  2. はがれ落ちた角質が何らかのはずみで表皮の下に閉じ込められてしまう
  3. その角質が変化して表皮の下に袋のようなものを形成していく
  4. 袋(=嚢腫壁)の中に角質や皮脂が溜まっていく
  5. 出口ふさがっているため中身が溜まるにつれ嚢腫壁が膨らんでいく

粉瘤ができる箇所と仕組み

粉瘤は一度発生すると自然に消滅することはなく、皮脂分泌や新陳代謝によってはがれ落ちる角質が溜まっていくため、放置しておくとどんどん大きくなってしまうのです。

皇太子様も腰にピンポン玉くらいの大きさの粉瘤ができ、平成9年に治療を受けておられるそうです。

完治させるには手術が必要!粉瘤の治療法は

粉瘤は、中の嚢腫壁を完全に摘出しない限り自然に治ることのない病気です。粉瘤を治療するには外科的な治療が必要になり、薬を塗って治すことはできません。

粉瘤ができたら病院を受診しましょう。専門は皮膚科(または形成外科)です。粉瘤の治療法に用いられているのは次の3種類です。

  • 切開排膿
  • 単純切除
  • くりぬき法

切開排膿

「切開排膿」は、粉瘤の表面の皮膚を少し切開し嚢腫壁の内容物だけを取り出す治療です。炎症性粉瘤が化膿して痛む時の応急処置に用いられます。

粉瘤の手術切開排膿の方法

切開排膿は、通常のサイズの粉瘤なら20分程度で終了します。部分麻酔をするので痛みを伴う治療でもありません。

術後は化膿止めを塗っておきます。傷が小さいので術後の痛みはそれほど気になりません。

切開排膿をすると盛り上がっていた粉瘤が小さくなって痛みもなくなりますが、あくまでも一時しのぎの処置なので、嚢腫壁が残っている限りは時間が経過により再び大きくなってしまいます。

炎症の強い時は、まず抗生剤を数日間投与して炎症を抑えてから切開排膿をすることもあります。

単純切除

「単純切開」は、粉瘤の根本的な治療法です。嚢腫壁ごと取り除くので、一度取ってしまえば再発することがなくなります。

粉瘤の手術単純切除の方法

単純切開の手順

  1. 患部に部分麻酔をする
  2. 粉瘤の表皮をメスで紡錘型に切開する
  3. 嚢腫壁を引きはがして取り出す
  4. 嚢腫壁のあった場所を洗浄して止血する
  5. 皮膚を直線状に縫合する
  6. 約1週間後に抜糸する

粉瘤の手術単純切除の手順

手術にかかる時間は、粉瘤の大きさによっても異なりますが15~30分程度となっており、すぐ帰宅することができます。

部分麻酔をしているので手術中の痛みはありません。また術後に我慢できないほどの痛みが起こることはなく、必要に応じて鎮痛剤を処方してもらうこともできます。縫合跡が塞がるには2~3週間くらいかかるでしょう。

粉瘤の炎症が強い時に手術をすると嚢腫壁を完全に取り出せない場合があるので、まず切開排膿をして炎症をしずめてから後日に単純切開をすることもあります。

単純切開には線状の縫合跡が残りやすいというデメリットもあります。しかし医師はなるべく縫合跡が目立たないように配慮して切開しています。

くりぬき手術

「くりぬき手術」は、名前の通り粉瘤をくり抜いて嚢腫壁を取り出す治療法です。従来は、嚢腫壁を取り除く時に単純切開が用いられていましたが、最近はくり抜き手術を用いることが多くなってきています。

粉瘤の手術くりぬき手術の方法

くりぬき手術に使うのはパンチメス(ディスポーザブルパンチ)という円筒状のメスです。皮膚に直径約4mmの穴を開けることができます。

くり抜き手術の手順

  1. 患部に部分麻酔をする
  2. 粉瘤にパンチメス(ディスポーザブルパンチ)で穴を開ける
  3. 穴から嚢腫壁とその内容物を揉み出す
  4. 嚢腫壁のあった場所を洗浄して止血する
  5. 皮膚を縫合する(縫合しない場合もある)
  6. 約1週間後に抜糸する

粉瘤の手術くり抜き手術の手順

くり抜き手術は10分~15分くらいで済みます。部分麻酔をするので手術中の痛みはありません。(内容物を揉み出す時に肉をつまむ痛みを伴うことはあります。)術後の痛みは我慢できないほどではありません。

傷口は単純切開より小さいので縫合跡が小さく、縫わなくて済むこともあります。そのため傷口は1~2週間ほどできれいにふさがり、傷跡もあまり目立ちません。

くり抜き手術のメリットは炎症が起きている時に排膿と嚢腫壁の切除が同時に行なえ、傷跡が単純切除より小さい点ですが、完全に嚢腫壁を取り出せるとは限らないので再発する可能性があるというデメリットもあります。

メスで切開するので大がかりな治療のように感じられるかもしれませんが、どの治療も比較的簡単な処置です。

当日から通常の生活を送ることができ、シャワーは当日または翌日から浴びることが可能ですよ。

受診の目安

粉瘤は炎症を起こさない限りは悪さをしないので、粉瘤が小さいうちは特に急いで治療をしなくても問題ありません。また、医師の判断によっては受診しても経過観察することになり、治療されない場合もあります。

ただし炎症の起きている場合はすぐに受診して治療を受けましょう。早急に適切な手当てをしておかないと、炎症が悪化して強く痛むようになる場合があります。

また粉瘤は大きくなるほど傷跡が残りやすくなるので、顔など傷跡が目立つと困る場所に粉瘤ができた場合は、小さくても早めに医師に相談することをおすすめします。

自分で治すことは可能?

基本的には自分で治療することのできない病気です。

開口部が破れる時に自分で内容物をしぼり出すことは可能ですが、中からどろどろの内容物が出てくるのを見たり悪臭が漏れたりしてくるので不快な思いをするでしょう。

内容物は取り出せても嚢腫壁は簡単に取り出せないので、完治させるには最終的には手術を受けるしかありません。

小さな粉瘤の場合は、指で患部をしぼっていたら開口部から内容物と一緒に嚢腫壁が偶然出てくる場合もありますが、自分で嚢腫壁を取り出そうとするのはやめましょう。不適切な取り出し方をすると、嚢腫壁の一部が中に残り再発する可能性もあります。

粉瘤に気付いたら受診するのが確実です。

粉瘤を自分で取り出す様子をネットで公開している人もいますが、症状の悪化や再発を引き起こす可能性があるので真似をしてはいけません。

ちなみに粉瘤を取り出す様子はインパクトが強く、画像は“閲覧注意”です。

もし放置すると…

粉瘤は、炎症が起きたり大きくなったりしなければ放置しておいても問題ありません。中には、同じ粉瘤を何十年も放置したまま問題なく過ごしている人もいるほどです。

ただし粉瘤は炎症を起こしたり大きくなったりしやすいので、できれば一度受診しておくに越したことはありません。

「粉瘤かと思って経過を見守っていたら実は別の病気だった」という見過ごしもあり得ますし、粉瘤はごくまれに悪性腫瘍へ変化する可能性を持っているからです。

これは粉瘤?まぎらわしい皮膚の病気

粉瘤と似ており、間違えやすい皮膚の病気もいくつか存在しています。それぞれ対処法が異なるので、病気の特徴と見分け方を知っておきましょう。

ニキビ

ニキビは顔、背中、お尻にできやすく、初期の小さいものは粉瘤に似ていて間違えそうになることも少なくありません。粉瘤をニキビだと思って、つぶそうとしたりニキビ用の薬を塗ったりしてしまいがちです。

ニキビは毛穴に詰まった皮脂にアクネ菌が増殖して炎症を起こす皮膚炎です。

顔に出るニキビはホルモンの影響で思春期に出やすく、大人になると自然におさまります。また大人でも毛穴に皮脂が詰まると顔、背中、お尻にニキビが出やすくなります。

ニキビは次の順序で症状が進行していきます。

角栓発生
毛穴に角栓(皮脂や老廃物のかたまり)が詰まる
白ニキビ
ポツッとした白くてポツッとした吹き出物が出る
黒ニキビ
毛穴の皮脂が酸化して黒ずむ
赤ニキビ
アクネ菌が繁殖して毛穴に炎症を起こし、赤く腫れるようになる
化膿ニキビ
赤ニキビが悪化して化膿や痛みを起こすようになる
粉瘤と間違えやすいのは少し盛り上がった赤ニキビです。

しかし粉瘤は中央に開口部(黒い穴)があるので、注意すれば容易にニキビと粉瘤を見分けることができます。また外用薬を塗って症状が緩和すればニキビで、改善がみられなければ粉瘤と考えられます。

ニキビも赤く腫れるまで進行するとニキビの跡が残りやすくなってしまうので、皮膚科の治療を受けてきれいに治すことをおすすめします。

おでき

「おでき」は、毛穴の中にある毛包に細菌が感染して炎症を起こす皮膚炎です。1本の毛穴に炎症を起こしたものは「せつ」、複数の毛穴に炎症を起こしたものは「よう」といいます。

体のあらゆる場所にできますが、顔、首、耳、お尻、デリケートゾーンに生じやすくなっています。小さな傷から黄色ブドウ球菌など毒素を出す細菌が毛穴に感染するのが原因です。

おできは腫れてドーム状に盛り上がり赤みを帯びます。この様子が炎症性粉瘤とよく似ているのですが、おできは次第にぶよぶよになって破れ中の膿が流れて自然におさまっていくところは、粉瘤の性質と異なります。

おできや粉瘤が小さい場合はあまり心配いりませんが、できものが消えるどころか大きくなっていったり炎症を起こしたりしている場合には、皮膚科で診察する必要が出てきます。

特に炎症が強くなっている場合は早めに皮膚科を受診しましょう。おできの対処法は抗生剤の内服・外用ですが、放置するとますます悪化して化膿し疼痛や発熱を伴うようになり、切開して膿を出す処置が必要になってくることもあるので注意しましょう。

脂肪腫

粉瘤と同じ病気だと誤解されることもあるのが「脂肪腫」です。脂肪腫は皮膚の下に脂肪でできた良性の腫瘍が生じる病気で、粉瘤同様にそれほど珍しいものではありません。

はっきりした原因は分かっておらず、誰にでも生じる可能性がありますが、長年かけて成長する腫瘍なので若い人には少なく中高年に多く見られます。全身のあらゆる場所に生じ、中でも首、背中、肩、お尻などに好発しています。

脂肪腫の大きさは直径数mm~10㎝以上とさまざまで、全身のあらゆる場所に生じます。粉瘤は触ると皮膚の下に硬いしこりを感じますが、脂肪腫はしこりが柔らかいのが特徴です。また粉瘤のような開口部はなく、痛みや炎症も起こりません。

脂肪腫は小さなものなら特に治療をする必要がありませんが、5㎝を超える大きなものや急に成長したものは、まれに悪性の脂肪肉腫の場合があるので念のために皮膚科または形成外科を受診して検査を受けるのがのぞましいです。

脂肪腫を治療する場合は切除手術を行ないます。小さなものなら局部麻酔で日帰りすることもでき、大きなものは全身麻酔が必要になります。

毛巣洞(もうそうとう)

毛巣洞は、毛穴に体毛が入り込んで皮膚の下に瘻孔(トンネル状の穴)を形成してしまう病気です。

毛巣嚢、毛巣瘻とも呼ばれます。あまりよく知られてない病気で、粉瘤と思い込んで受診したら毛巣洞と診断されてびっくりする人も多いようです。

毛巣洞は、若く毛深い男性で車によく乗る人のお尻の割れ目(尾てい骨のあたり)に生じやすいのが特徴です。女性では脇やそけい部のムダ毛処理をしたところに生じることもあります。

瘻孔の中で体毛が長く成長することもあり、表面はしこりができて強く痛むようになります。また瘻孔から繰り返し膿が出ることもあります。

粉瘤に似た丸いドーム状のしこりができ、皮膚の表面に瘻孔とつながる穴があります。男性の肛門の近くにあれば、おおよそ毛巣洞と判断することができ、体毛が多く生えている部分にあるできものも毛巣洞の可能性が考えられるようになります。

毛巣洞は瘻孔を切除しない限り完治することありません。炎症が起きると強く痛んだり膿が出たりして日常生活に支障をきたすようになるので早目に受診する必要があります。

また治療は粉瘤より大がかりとなり、瘻孔を摘出して皮膚を縫合するために全身麻酔で手術をしたり入院が必要になったりするのが一般的です。

粉瘤の手術は怖くない!気になっている人は早めに受診を

粉瘤の手術が怖くて、受診をためらったり自分でどうにか治そうとする人もいるようですが、粉瘤の手術は簡単な手術で負担を伴うものではないので、リラックスして受診することをおすすめします。

局部麻酔なので手術中は意識があり、器具が見えたり音が聞こえたりすることに抵抗のある人もいるかもしれませんが、短時間で済むので「想像していたより楽に済んだ」と感じる人も少なくないようです。

ただし粉瘤は大きくなるほど治療も手間がかかるようになるので、粉瘤が疑われるできものに悩んでいる人は早めに受診し気分的にもスッキリしてしまいましょう。

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