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インプラントとは?費用の話や失敗例、安全な歯科医を選ぶチェック法

2016年7月に厚生労働省が発表した「平均寿命」を見てみると、男性で80.79歳、女性で87.05歳になっています。

もとも日本は世界一の長寿国として君臨してきましたが、2016年の調査では男性は4位、女性は2位となっています。しかしながら相変わらず日本の高齢者は元気だと言うことが解りますよね。

高齢者がいつまでも元気でいるためには何が大切だと思いますか?それは「食事」です。やはり食べ物をどれくらい食べるかが、人間の寿命にとって重要で、何らかの原因で食事ができなくなると体力も低下してしまいます。

いつまでも美味しく食事を続けることが長生きの秘訣なのですが、そのために最も重要なのが「歯」ではないでしょうか。しかし入れ歯では上手に物を咬むこともできずに、食事がおろそかになってしまうこともあります。

そこで近年注目されているのが「インプラント」と呼ばれる義歯技術です。

インプラントは神の御業ではない…実際の失敗例

最近私も歯石を除去してもらうために歯科へ行ってきました。私はあまり歯医者に行くことがない人間なので、何となく興味心から待合室をキョロキョロ見ていたのです。

ん、一番目立つところに「インプラントについて」と書かれた冊子が置かれています。「こんな町医者でもインプラントをやるのかぁ」感心した私は、その冊子を開き読むにつけ思ったのです。「大丈夫なのかぁ?」

今回はインプラントの紹介をしたいと思っていますが、それを行う前にちょっとインプラントの怖い話をさせて頂きます。

インプラントには失敗があることを理解しよう

私には仕事柄インプラントの知識を少しくらいは持っています。また近年の歯科医療においてインプラントが増加しており、それにつけて様々なトラブルも起きている現実も知っています。

しかし昔であれば口腔外科や一部の専門医でしか行われていなかったインプラントが、小さな町の歯科でも行えるようになっていたのは気が付いていませんでした。

しかし忘れないで貰いたいのは「やる」ことは、歯科医の自由ですが、「上手にできる」ことはその医師の技量によって違いが出てきます。

インプラントは技術的には確立されていますが、実際に治療するのは神ではなく、人間である歯科医です。そこには技術とは関係のないミスがつきまとっています。

インプラントにまつわる失敗についてまず紹介しましょう。

歯医者で人が死ぬなんて…過去にあった恐ろしい現実

今から10年以上前の2007年にその事故は発生しました。東京都八重洲にある歯科医院でインプラント治療による死亡者が出たことは、当時大きな話題になったのです。

歯医者と言うと「虫歯」「入れ歯」「クリーニング」「歯周病」などが主な業務であり、人間が死亡するなんて考えられないことから私も驚いたことを覚えています。この事故の簡単な経緯を紹介しましょう。

  1. 患者は70歳の女性
  2. 入れ歯を作ろうと思ったが医師の勧めでインプラントを選択
  3. 4日後にインプラントの手術を受ける
  4. インプラントを埋め込む穴をドリルで空ける途中で大量出血する
  5. 医師が手で穴を押さえることで出血が止まったように見えた
  6. 止血されたと思いインプラント本体を装着
  7. 患者が唸り声を上げて意識不明に陥る
  8. 酸素飽和度が減少してくる
  9. 救命措置を取る
  10. 救急車を要請
  11. 死亡を確認

このケースではインプラント本体を埋めるために開けた穴が深くなりすぎて、「右オトガイ下動脈」が断裂したとの診断が司法解剖の結果出されています。つまりドリルで穴を空ける際に、動脈の一部に穴を開けていたのです。

また動脈に穴を開けたにも関わらず、ガーゼによる圧迫で止血できたと勘違いして、インプラント本体を装着することでさらに症状を悪化させていたのです。

この医療事故では民事、刑事と両面での裁判が行われていますが、その中で特に注目したいのが、「危険意識を持っていたか?」です。

つまり治療を行った歯科医師は、「下顎をドリルで穴を空けるとオトガイ下動脈を傷つける可能性がある」ことを認識していたかが問題です。

この話は口腔外科やインプラントの専門家に聞くと当たり前の話です。しかし裁判ではどうも事故を起こした医師は知らなかったとも供述していたそうです。

歯科治療において死者が出るなんて、私たちには考えられないことかもしれませんが、インプラントの世界では実際にあった現実だと理解しなくてはいけません。

ちなみのこの亡くなった患者の死亡原因は「窒息死」だったそうです。つまり動脈から流れた血液によって呼吸ができなくなった(溺れてしまった)のです。適正な救急措置が迅速に取られていたらと思います。

インプラントの失敗例については、こちらの記事でも紹介しています。
失敗リスクもあるインプラント!4つの代表的な失敗例

インプラント本体が上顎洞へ落ち込んでしまう

虫歯の治療で歯科に訪れたAさんは、歯科医の熱心な勧めでインプラントを装着することにしました。説明によると麻酔を使用するので、痛みは全くないはずでしたが、実際には治療中は痛みが酷く途中で中止してもらったそうです。

翌日も痛みが酷いことから大学病院の口腔外科で、レントゲンを撮って検査したところ、インプラントを装着する骨を越えて、「上顎洞(じょうがいどう)」と呼ばれる骨の空間にインプラント本体が落ち込んでいたのです。

これはインプラント用の穴が大きかったのが原因か、インプラント本体を締めすぎたのが原因か不明ですが、大学病院で取り除く手術を行わなくてはなりませんでした。

また神経に障害が出る可能性もあることから、これからも副作用にも十分な注意が必要になっています。

インプラント後に口周辺に麻痺が出る

Bさんは1ヶ月前に下の歯に対するインプラント手術を行ったのですが、その翌日から水を飲んでも上手く飲み込むことができなくなりました。沢山含むと口の横から「ピューと」水が溢れる感じで、唇が麻痺しているように感じています。

手術から暫くは仕方がないと思っていたBさんですが、流石に1ヶ月も経過したので不安に思って歯科医に相談にいったそうです。

歯科医からは「下歯槽神経」の損傷が原因で、唇やその周辺組織の「知覚異常」「麻痺」が起きていると説明されました。

しかし治療はビタミン剤などを服用することで、神経を活性化させるしかないと言われ、「1年程度は様子を見て下さい」と言われたのです。

症状は少しずつ改善されたBさんでしたが、1年経った今でも麻痺を感じることは多く、「こんなことならインプラントやらなかった方が良かったなぁ」と思うこともあるそうです。

いやー皆さん、怖かったでしょ?ここまでインプラントの怖い話をしてきましたが、これは極端な例で実際には稀にしか見ない状況です。それでも歯科治療でのインプラントを簡単に考えていた人にとっては驚愕の真実だったかもしれません。

自分がこのような状況に陥らないためには、どうすればよいのでしょう…それはインプラントを理解すればよいのです。

早速インプラントについて勉強してみましょう。

単なる入れ歯で人が死ぬなんて…。インプラントとはどのような技術なのか勉強しましょう。

今までの歯科治療には限界があった?入れ歯、差し歯のお話

「キーン」「ギュルギュル」あー聞いただけでも嫌になりますよね。どうして歯科で聞く音ってこんなにも不快な感情を呼び起こすのでしょうか?

歯科が大好きと言う人を私は見たことがありませんが、皆さんもきっと私と同じ感情を持っていると思います。

歯科医が行なう治療は主に「虫歯治療」や「歯槽膿漏」の治療です。中でも一般的な虫歯治療において「差し歯」や「入れ歯」を作った人も多いと思います。

昔から一般的だった差し歯や入れ歯とは

虫歯の治療と言えば「入れ歯」や「差し歯」が一般的に行われていますが、インプラントとの違いはどこにあるのでしょうか?まずは差し歯と入れ歯について説明します。

【差し歯とは】

差し歯は治療する歯に「歯根」と呼ばれる歯の根っこが残っていることが条件になる治療法です。歯根に土台を金属やプラスチックで作り、そこに義歯をかぶせて固定させます。

差し歯はあくまで歯根が残っていないと作れないので、完全に抜歯したり、歯根がボロボロに弱ってしまったりしている状態では行うことはできません。

また歯茎に問題がある場合にでも、歯根が弱くなっている可能性が高いことから適用外になることがあります。

【入れ歯とは】

入れ歯とは「取り外しのできる義歯を使用して欠損した歯を補う治療」で、歯が全く無い人用の「総入れ歯」と、一部だけを補う「部分入れ歯」があります。

総入れ歯は口全体をマウスピースのようなもので覆う方法で、簡単なのですが食べ物の感触が伝わらなくなる難点があります。またサイズによって外れやすいことも珍しくありません。

部分入れ歯は左右にある健康な歯に金具を装着して義歯を装着するため、左右の歯に負担をかけることになります。そのために健康な歯がグラグラしたりして痛めてしまうこともあります。

差し歯も入れ歯も健康保険の適用であり、短期の治療で行えることもメリットです。

部分入れ歯が健康な歯をダメにする

差し歯と入れ歯を理解するとそこには歯科治療におけるある流れが見えて来るように思います。

  1. 虫歯(中程度)
  2. 抜歯するまでもなく歯根が残る
  3. 差し歯治療を行う
  4. 再度虫歯にかかる
  5. 歯根がボロボロになり抜歯する
  6. 左右の歯を足がかりに部分入れ歯
  7. 左右の歯が負担によりグラグラになる
  8. 総入れ歯を行う

差し歯で様子を見て、部分入れ歯を装着、さらに左右の歯が悪くなることで総入れ歯を選択します。特に注目したいのは、部分入れ歯が左右の健康な歯に与える悪影響です。

部分入れ歯を固定する金具は左右の健康な歯に装着されることが多いのですが、これはその負荷までが左右の歯にかかってくることを意味してします。

そうなると通常の2倍程度の負荷が健康な歯にかかってくるのですから、長期化することで健康な歯までがグラグラしたり、歯茎に痛みがでたりしてしまいます。そうして少しずつ健康な歯が少なくなってしまうのです。

部分入れ歯は使い方によって左右の健康な歯を痛めてしまう時限爆弾なのかもしれませんね。

一度入れ歯を作ると最終的に全ての歯が悪くなると言われてきました。その理由が正常な歯に与える負担だったのです。

健康な歯を痛めないためのインプラント!金属アレルギーにも配慮されている

最初にインプラントの失敗例を紹介しましたが、実はインプラントが開発された裏にはそれまでの歯科治療に限界があったことも理由の一つです。つまり入れ歯を使用した治療では、少しずつ健康な歯も悪くなってしまいます。

また歯根が残っていないと差し歯はできません。そのため高齢者は最終的に総入れ歯となってしまい、食事の質が格段に低下してしまうことになったのです。インプラントとはどのような技術なのでしょうか?

インプラントは歯だけじゃないの知っていましたか?

実はインプラントは歯科用語ではないことを知っていますか?インプラントとは「人工的に体内に埋め込んだもの」の総称であって、「人工関節」「ペースメーカー」などもインプラントです。

さらに最近では美容整形で使用されている「シリコンバック」もインプラントに該当します。

その意味で「歯科用インプラント」が正式な名称なのですが、大きな注目を集めた結果インプラントと言えば歯科用となってしまったのです。この記事ではその習慣にならって歯科用インプラントをインプラントとして表記します。

インプラントは人工の歯根を作り出す治療

人間の歯がしっかりと固定されている理由は、歯根が顎骨(顎の骨)の一部である「歯槽骨(しそうこつ)」にしっかりと固定されているからです。しかし歯根が虫歯などで、弱くなると歯根ごと抜歯しなくてはならなくなるのです。

また歯槽膿漏などで歯槽骨が弱くなって歯根を支えられなくなることもあります。

昔であればこのような症状では、入れ歯が適用されており、場合によっては総入れ歯を選択していたかもしれません。しかし現在では人工歯根を顎骨に埋め込むインプラントが選択肢に入ってきます。

【インプラントの概要】

インプラントとはチタン製の人工歯根を顎の骨に埋め込むことで、人工の歯を取り付ける技術のことです。

人工の歯は他の健康な歯に影響することなく、正常な機能を取り戻すことができるようになります。つまり、「噛む力」を取り戻すことができるのがインプラントです。

歯科で使用されているインプラントとは、人工歯の土台である人工歯根であり、これを顎骨に固定する手術をインプラント手術と言うのです。

歯科インプラントは3つの部品で出来ている

インプラントの構造と名称

インプラントの構造は3つの部品でできています。

人工歯根(フィクスチャー) 顎骨に埋め込む土台である部品
アバットメント 人工歯根と歯を連結する部品
人工歯 義歯部分

実際にインプラント本体と呼ばれているのが人工歯根であり、最初にこれを顎骨に埋め込み定着してからアバットメントや人工歯を取り付ける手順が一般的です。

インプラントは金属アレルギーに配慮されていた

近年増加しているアレルギー症ですが、中でも金属アレルギーは発症すると症状も重く、様々な障害で悩まされている人も少なくありません。

人間の咬合力(噛む力)は私達が想像しているよりも強く、インプラントに使用される材料には高い強度が求められます。そのため使用されるのは金属であり、金属アレルギーの原因になることが考えられるのです。

そこで主に使用される金属が「チタン」です。チタンは金属の中でもアレルギーが出にくい物質であり、強度も申し分ありません。また人工関節などでも実績のある金属なので、安心して使用することができます。

しかし中にはチタンに対しても金属アレルギーを発症する人もいますので、アレルギー症状がある人は事前に検査を受けるようにしましょう。

金属アレルギーだけど大丈夫?など、インプラントの5つの疑問

インプラントは周りの歯に影響を与えません。噛む力も正常な歯となんら変わらなくなるのです。

インプラント治療はどのような手順で行うのか?

インプラント治療には一定の時間がかかると言われていますが、実際にはどのような手順で行われているのでしょうか?

【インプラント治療1.】適応検査が大切

インプラントで最も重要なのは事前検査と言われています。まずインプラントの術式を理解して、自分の求めている治療に合致するのかを考えて下さい。

医師の説明をよく聞いて、実際に使用されているインプラント本体を確認することも重要です。納得できたら検査を受けます。

インプラント治療で最も重要なのが顎骨の状態であり、骨密度が少ない「骨粗しょう症」が発症しているケースでは治療ができないことがあります。また極端に骨が小さかったり、薄かったりした場合も同様です。

また抜歯した直後で顎骨にダメージが残っているケースでは、治療を遅らせる判断もあり得るのです。

インプラント治療は顎骨に穴を開けて人工物を埋め込む治療で、ある意味人工関節と変わらない慎重さが必要だと思います。しっかりと説明を聞いて、検査を十分に行ってから決断するようにしましょう。

【インプラント治療2.】2種類の手術法

インプラント治療には2種類の手術が一般的に行われています。「1回法」と「2回法」ですが、標準的な手術法として普及しているのは2回法になります。

2回法の手術手順は以下の通りです。

  1. 局所麻酔を行う
  2. 歯肉(歯茎)を切除する
  3. 顎骨から歯肉を剥離させて骨を露出させる
  4. ドリルで顎骨に穴を空ける
  5. 人工歯根(フィクスチャー)を埋め込む
  6. 人工歯根に蓋を被せる
  7. 歯肉を人工歯根に被せて縫合する
  8. <顎骨の状態に合わせて1.5ヶ月~3ヶ月程度休ませる>
  9. 人工歯根と顎骨の結合を確認する
  10. 歯肉を切開して人工歯根を露出させる
  11. アバットメントを人工歯根に装着させる
  12. アバットメントに人工歯を装着させる

2回法では人工歯根を顎骨に取り付ける時と、アバットメントを装着する時と2回に分けて手術を行う必要があります。これは人工歯根と顎骨の結合に時間がかかるためで、一度歯肉で完全に塞いだ方が衛生的にも良いと判断されているからです。

人工歯根と顎骨の結合は位置や人によって違いがあり、早い人で1ヶ月程度、遅い人で半年以上かかる場合もあります。

また2回目の手術でアバットメントを装着しても、直ぐに人口歯を取り付けずに歯肉の回復を待ってから、取り付ける治療法もあります。あくまで歯科医の判断で選択されています。

それでは次に一回法の手順を紹介しましょう。

  1. 局所麻酔を行う
  2. 歯肉(歯茎)を切除する
  3. 顎骨から歯肉を剥離させて骨を露出させる
  4. ドリルで顎骨に穴を空ける
  5. 人工歯根(フィクスチャー)を埋め込む
  6. 仮のアバットメントを人工歯根に装着させる
  7. <顎骨の状態に合わせて1.5ヶ月~3ヶ月程度休ませる>
  8. 正式なアバットメントを装着する
  9. アバットメントに人工歯を装着させる

1回法では1回の手術で仮のアバットメントまでを装着し、歯肉から露出させた状態で、顎骨との結合を待ちます。人工歯根が露出しているので、再度歯肉を切開する必要もなく、手術は1回で済むのです。

しかし、結合前に歯肉から露出している状態では、気になって舌で触ったり、細菌が侵入したりする可能性もあります。

また1回法の選択は「骨が丈夫」「口腔内の衛生状態が良好」「健康状態が良好」などの条件があります。しかし最近では患者にとって負担の少ない1回法を積極的に採用している歯科医も増加しており、これからの標準となるかもしれません。

インプラント手術の方法は歯科医によって違いがありますので、検査を受ける段階で医師とよく相談するようにしましょう。

【インプラント治療3.】即時荷重は慎重に

「ニコッ」と笑って歯が無かったら、せっかくの美人も台無しになってしまいますよね。できればインプラント治療も1回法で、その日の内に歯を装着して貰いたいものです。

人工歯根を装着した直後に人工歯(仮歯)までを取り付ける治療を「即時荷重」と呼びます。即時荷重であれば歯の無い期間を極力無くすことができるので、折角の美人を台無しにすることもありません。

しかし即時荷重を行った場合には、人工歯根の安定が阻害されるリスクがあることを理解して下さい。

例えば人工歯根が結合していないにも関わらず、義歯に大きな負荷をかけることは、顎骨とチタンの結合を阻害して隙間を作る原因にもなります。またそれが原因で細菌による感染症も起きる可能性が出てきます。

即時荷重は便利な治療法ですが、リスクがあることも十分に理解して歯科医と相談するようにしましょう。

技術の発達で1回法を採用する歯科医が増加しているそうです。しかし1回法にはリスクもあることを理解しましょう。

インプラント治療の手順については、こちらの記事でも紹介していますよ。
インプラントの治療手順!インプラントの治療の流れ

気になるインプラントの費用と健康保険の関係

このようにインプラントは今までの差し歯や入れ歯と違って、直接顎骨に人工歯根を埋め込む治療法です。簡単な治療法とは思えないインプラントですが、気になる費用はどのようになっているのでしょうか?

インプラントの治療は自由診療が基本

普段私達が受けている治療は「保険診療」と言って、公的な健康保険の適用になっている治療です。健康保険には「国民健康保険」や「社会保険」などがありますが、一般的な現役世代で「3割負担」が標準です。

しかし一般的なインプラント治療はこの公的な保険が適用されておらず、自由診療となり全額が「自己負担」となります。

ここで注意したいのが自由診療と言う言葉で、これは「病院が費用をかってに決めても良い」と言う意味で、特にリミットはありません。

例えばインプラント治療に「10万円」を請求しても、「100万円」を請求しても法的には問題はないのです。しかし、あまりに高額な治療費では患者が来なくなり、歯科医も経営に行き詰まってしまうかもしれません。

現在一般的に行われているインプラント治療の費用の目安を紹介します。

  1. 事前検査:15,000円~30,000円程度
  2. インプラント手術費用(1本につき):100,000~350,000円程度
  3. 義歯制作費用(セラミック):100,000~150,000円程度
  4. メンテナンス費用:5,000~10,000円
  5. 合計:220,000~540,000円

インプラント治療は歯科医によって自由に料金が設定できるために、金額に大きな幅があります。また大学病院や総合病院などの口腔外科と開業医においても費用に違いがあり、個人的な意見として大学病院の方が若干良心的と思います。

しかし大学病院では若手医師の育成目的もあることを忘れないようにしましょうね。

インプラントで保険が適用されるケースもある

基本的にインプラント治療において公的保険は適用されていません。しかし一定の条件を満たすことで、保険が適用されることがあります。

2014年から開始された制度では「病気や事故などで広範囲に顎の骨を失った場合に、条件を満たすことでインプラント治療が保険の適用」となります。

主な条件を以下に紹介します。

  • 生まれつき顎骨の1/3が失われている状態
  • 上顎が1/3以上連続した状態で失われていて、鼻腔や副鼻腔へ繋がっている
  • 下顎が1/3以上が連続して失われていて、病気などにより切除している
  • 顎骨の形成不全の状態
  • 骨の移植により顎骨を再建している

これらの条件に合うと保険適用となり、3割負担でインプラント治療を受けることが可能になります。また高額療養費制度も使えることで、飛躍的に費用は安くなると言えるでしょう。

しかし条件に合致したとしても注意点があります。インプラント治療に保険を適用するには、治療を行う病院に対しても条件が出てきます。

基本的には入院設備の整っている大学病院か総合病院が条件となっており、開業医では保険は適用できないことを覚えておきましょう。保険の適用はなかなか難しい条件が色々とあったのですね。

費用を抑える秘訣は医療費控除を利用すること

インプラントを保険適用にするにはハードルが高く、一般的には自由診療に頼るしかないようです。しかし少しでも費用を安くするのなら、「医療費控除」を利用するのがオススメです。

【医療費控除とは】

医療費控除とは「自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる」制度で、年間に10万円以上払った場合にその差額を所得から控除できる制度です。

年間所得が200万円以下の場合は所得の5%を超えた部分が、医療費控除となります。また他の医療費との合算も可能で、上限は200万円までとなっています。

医療費控除を使用するためには、サラリーマンであっても確定申告を行う必要がありますので、忘れないようにしましょう。

例えばインプラント費用に40万円かかったケースでは、自分や家族の年間の医療費(風邪など)が5万円かかると合計で45万円の支出となります。つまり「45万円-10万円」で35万円が医療費控除になります。

年間所得(収入ではない)が250万円のサラリーマン世帯では、所得税率が10%なので35万円所得が少なくなることで約3万円還付される計算になりますね。

つまり40万円かかったインプラント費用が約37万円になったことになります。あくまで概算なので正確な数字は、税務署に問い合わせてみると良いでしょう。

自由診療では治療費が曖昧になりやすいことがあります。費用を聞いて「それはやってみてから」など曖昧な病院は止めた方が良さそうです。

インプラント治療の費用については、こちらの記事でも紹介していますよ。
高額イメージのインプラント!実際の費用目安とメンテナンス

インプラントは安全な治療なのか?歯科医選びのチェックポイント

一番最初にインプラントの恐ろしい失敗を紹介しましたが、それはあくまで過去にあった事故の一例であり、インプラントを否定する意図は全くありません。

しかし現在でもトラブルは皆無ではなく、様々な問題が出ているのも事実です。

インプラントで注意するべきトラブル

インプラント治療は確立された治療法であり、条件付きでも保険適用になっているのがその証拠とも言えます。しかし治療後に起きるトラブルの声は、少ないながらもあることから、それらを把握することは大切な行為と言えます。

【歯茎が腫れて痛みが出る】

人工歯根と骨の結合に問題があった場合に出る症状が、歯茎の腫れとそれに伴う痛みです。原因は「骨の強度」「骨密度不足」などが考えられますが、人工歯を早期に装着することで障害となることもあります。

この症状が出ると人工歯根に負荷がかからないようにすることが重要で、人工歯を取り除いて再度結合を待つ方法が取られます。また歯肉のケアや口腔内を清潔に保つことで、症状が治まることも珍しくありません。

【下顎に痺れや麻痺が出る】

下顎にある下歯槽神経を刺激することで、下顎に痺れや麻痺が出ることがあります。特に顎の骨が小さい女性では、少しの狂いで下歯槽神経に人工歯根が接触してしまうことがあります。

そうなると唇が痺れて動きが悪くなり、回復するには数ヶ月かかることもあります。このトラブルは歯科医の技術力や事前の検査内容によって、違いが出てくるので歯科選びは慎重に行いましょう。

【咬み合わせが狂ってしまう】

インプラントを行う理由の一つに、咬み合わせの改善があります。人間にとって咬み合わせは思っているよりも重要で、「頭痛」「吐き気」「肩こり」などが咬み合わせの悪さから出ている可能性もあるのです。

インプラントは本来、咬み合わせを修正する治療なのですが、反対にそれを悪化させてしまうことがあります。この原因はインプラントの設置位置のズレです。

つまり歯科医のミスと言うことです。正しい位置が数ミリ狂うだけで、咬み合わせは最悪になり、正常な歯まで痛めてしまうかもしれません。そうなったら折角入れた人工歯根を取り除いて、時間をあけて骨の再生を待つしかありません。

咬み合わせに重点を置いている歯科医を選ぶようにしましょう。

【人工歯根が歯茎から露出する】

人工歯根を埋め込む際に誤って、歯茎から飛び出してしまうことがあります。「えー冗談でしょう!」と思うかもしれませんが、少ない症例ですが実際にある話です。

これは事前検査不足と歯科医の技術不足によるもので、最悪では神経を切断してしまう危険性もあります。

骨の太さや厚みは事前に検査すれば解ることで、人工歯根の長さも決められています。それが露出してしまうのですから、お粗末としか言えない技術力ですよね。

事前検査で自分の顎骨が十分適合となっているのかを聞いておいた方が良いでしょう。

インプラントを安全に行うためのチェックポイント

手術は「大工仕事」と言いますが、まさしく医師の腕によって様々な結果をもたらします。インプラントも同じで経験豊かな歯科医であれば、そう難しくない治療と言えるでしょう。

そこでインプラントを安全に行うための歯科医選びのチェックポイントをまとめてみました。

  • インプラントだけでなく口腔内全ての治療計画を立ててくれる
  • レントゲンやCTで詳しく骨の状態を分析してくれる
  • 口腔内検査(細菌など)を行ってくれる
  • インプラントの実物を見せて丁寧な説明をしてくれる
  • メリットだけでなくデメリットの説明をしてくれる
  • どんな質問も答えてくれる
  • 費用が明確にされている
  • 費用が大学病院と比較して乖離していない
  • 治療が失敗した場合には無料で再治療してくれる(保証がある)
  • 治療後のメンテナンス計画がしっかりできている

ここにまとめたポイントは歯科医にとって無理難題ではなく、当たり前のことばかりです。しかし中にはこの当たり前のことを嫌がったり、避けたがったりする医師もいます。

そのような場合には治療を止めて、他の病院を探すことも失敗しないためには重要な行為です。

歯科医を見極めるのは患者しかいません。まずは実績が豊富な病院を探してみると良いでしょう。

しっかり見極めて安全なインプラントライフを

皆さんは歯科業界がどのような状況にあるかご存知ですか?実は歯科医は飽和状態で、これからますますビジネスとして歯科業界は苦しくなると言われています。

その理由が「虫歯の減少」と「人口の減少」です。特に虫歯はフッ素が一般的に普及してから減少を辿っており、昔と比較して虫歯の子供は大幅に減少しています。

歯科医は生き残りのために自由診療に力を入れており、その一例がインプラントです。しかし高額な報酬を得ることは、粗悪な技術で安易に行う歯科医も存在しており、冒頭で紹介したような事故も発生しています。

何よりも私達がインプラントに対しての知識を持つことが大切で、それによって安全な治療を得ることができるのです。

ちょっと怖い話もしましたが、きちんとした病院であればインプラントは安全に行うことができる優れた医療です。

さあ、しっかり見極めて楽しいインプラント-ライフを送ろうではないですか?人生は何でも食べられることが幸せなのですから…。

インプラントについて知っておきたいことはありますか?しっかり知識をつけておきましょうね。
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