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腹式呼吸は2:1の配分で!丹田呼吸法のやり方と健康効果

深呼吸をしてリラックスする女性

腹式呼吸が健康にいいと言った「呼吸の行い方と健康」についての話題はたびたび持ち上がります。浅い呼吸は健康を害するとか、腹式呼吸で健康になれるとか言う話題に医学的な根拠はあるのでしょうか。

実際に呼吸をコントロールすることで健康に資することができるのかは非常に気になるところですが、意外に呼吸と身体の働きに関する研究と言うものは数多く行われているのです。呼吸が身体に及ぼす影響について見てゆきましょう。

呼吸と健康について数々の有効性を示唆する報告がある

呼吸法に関係する健康に対する有効性と言うのは、その性質上大規模な研究対象になりにくいため、比較的小規模な介入研究であったり、症例報告としての事例であったりすることがほとんどです。

しかし、内容を見てみると様々な方面から有効性を示唆される報告が上がっていますので、やはり注目すべきジャンルであることが良く判ります。

高齢者を対象にした研究では好ましい影響だけが見られた

14名と言う少人数ですが、高齢者に対して腹式呼吸の導入を行ったところ、自律神経の反応としてリラックスを誘導する副交感神経の亢進が見られ、血圧の低下に役立ったという報告があります。

安静状態を継続すると、心拍数や心筋酸素消費量の指標となるPRPに関して影響が認められたが、意識的腹式呼吸は、それらの変化に加えて、血圧を下げる傾向が認められた。

安静状態を継続することで、循環動態には負担がかからない状態を維持できるが、呼吸を意識的に行っている状態でも、通常の安静状態よりも血圧を抑制することができ、通常の安静状態より負担を軽減できる呼吸法であると言えた。

(PRP:Pressure Rate Product・心拍数×収縮期血圧で表される指数)

詳しいことについては後ほどお話ししますが、この時に用いられた呼吸法は1分間に6回、呼気の時間2に対して吸気の時間1と言う「ゆっくり吸って、倍の時間をかけて吐く」と言う腹式呼吸法です。

この呼吸法は、かなり一般的な物のようですが、高齢者の方々でも身体に負担をかけることなく、リラックスして血圧を下げられるという可能性が示唆された実験結果と言えるでしょう。

ストレスを受けやすい人に腹式呼吸が効く

ここでも呼気の時間2に対して吸気の時間1と言う腹式呼吸法です。呼吸の早さは各人のリズムで行ったようです。対象は健康な中年女性20人です。

実験に際して、普段の呼吸によって現れているデータから、ストレスの影響を受けやすいという傾向の見られた人と、そうでない人を分けて観察できたようですね。

意識的腹式呼吸(呼気と吸気の時間の比が2:1)は、呼吸循環機能を経時的に坐位より緩徐にさせ、副交感神経活動を亢進状態に導き、その状態を持続させる事は可能であり、その効果が交感神経緊張傾向の人に大きく現われたことは特筆すべき事である。

従って、意識的腹式呼吸は日常生活で生じるストレスを、自分自身で処理して行くストレス・マネジメントの一方法として活用できる事を確認した。

このように、ストレスに弱い人でも腹式呼吸をうまく取り入れることで、ストレスを軽減したり、かわしたりできる可能性が論じられています。呼吸法だけでストレスコントロールができるというのはありがたい話ですよね。

他にも事例はたくさんありますが、呼吸法について、様々な研究が行われていて、そのいずれもが有効性を示唆していることの例として紹介しました。

落ち着くために深呼吸と言うのは誰でもやっていると思いますが、その深呼吸の方法をもっと効率よくできたら便利ですね。

呼吸法は古くからの体術の中に数多く含まれている

呼吸法と聞いて一番に思い浮かぶのは座禅やヨガですね。特にヨガについては女性の方もたくさん実践されているようですので、呼吸法に詳しい方も多いでしょう。ヨガ自体は宗教的なものに始まっていますね。

また、例えば座禅のような日本での宗教的なものにも呼吸法はなくてはならない重要な位置を占めていますし、真言宗の阿字観のように、ヨガの流れを汲むものもあります。

お釈迦さまも呼吸コントロールで修行していた

ヨガは仏教よりも歴史が古いジャイナ教(インドの土着宗教)やバラモン教(ヒンズー教の源流)においても修行法の一つとして存在していたと言われています。つまり、お釈迦さまが生まれた時には既に呼吸法による修業が存在していたと言うことになります。

実際、お釈迦さまは「呼吸を止める」と言う苦行に取り組んでいたこともあるそうです。その後、お釈迦さまは入息短・出息長と言う呼吸法を編み出され、悟りを開いたとされています。

呼吸自体が自律神経系に大きな影響を持っていることは様々な研究で明らかになっています。それによると、呼気は副交感神経を刺激し、吸気は交感神経を刺激するということです。

つまり、息を吸う時間と息を吐く時間が同じなら、両方ともバランスよく刺激されていますが、呼吸数が多くなった場合、交感神経に対する強い刺激は心臓などに強い負担をかけることになります。

もちろん副交感神経への刺激も同じだけ加わるわけですから、健康であればトータルで見た場合それほど大きな問題にはなりませんが、高齢であったり身体にトラブルを抱えていたりする場合、その落差が害になる可能性がありますね。

その点、入息短・出息長であれば、交感神経への刺激が少なく、副交感神経への刺激が多いため、瞑想、すなわちリラックス状態に入りやすくなります。同時に煩悩、つまり無駄な興奮状態も抑えられるので、悟りを開くのに役立ったのかも知れません。

つまり、呼吸法による身体のよりよいコントロールは、既にお釈迦さまが実践していたということになります。

呼吸は主に横隔膜と肋骨で行っている

呼吸と言うのは横隔膜を下げ、肋骨で構成される胸郭を開いて肺を膨らませることで息を吸い、その逆の動きで肺を縮めて息を吐くという動作です。

呼吸と言うと一番に思い浮かべるのは、横隔膜の働きですね。横隔膜は筋肉でできた膜で、横隔膜に力を入れると筋肉が収縮して下に下がり、胸腔の容積が増えて息が吸いこめます。

逆に力を抜くと、横隔膜は元の位置に戻るため、胸腔が狭くなって息を吐き出すことができます。この呼吸方式を「腹式呼吸」と呼ぶことがあります。

一方、肋骨の間には肋間筋と言う筋肉が走っています。隣り合う肋骨をつないでいて、外肋間筋が収縮すると肋骨が持ち上がって間隔が広くなるため、息が吸いこめます。逆に内肋間筋が収縮すると肋骨の間が狭くなり、息を吐き出すことになります。

この呼吸方式は「胸式呼吸」と呼ばれることもあります。実際には腹式・胸式のどちらか一方で呼吸しているという訳ではありませんが、どちらが主になっているかを注目することは良くあります。

呼吸と言うのは、空気から酸素を取り入れて身体に供給し、不要になった二酸化炭素を排出するものと学校では習いますが、実はその動きそのものに身体に影響を与える力があるのです。

一朝一夕にならず!無意識に良い呼吸ができるように練習する必要性

浅い呼吸と言うのは、おもに胸式呼吸が中心になっています。それは横隔膜と言う1つだけ存在する大きな筋肉の塊を積極的に動かさなくても、数十本もあるデリケートな肋間筋の微妙な動きで細かく呼吸ができるからなんですね。しかし、

胸式呼吸はあまり良くないと言われることがあります。もとはヨーロッパで音楽を学んでいた人たちに対する教育から始まったらしいと言われています。

管楽器の演奏をするには腹式呼吸でないと充分な肺活量が得られない事や、胸式呼吸では声楽で音が不安定になるから良くないと言うことが、腹式呼吸を推奨するようになった理由とされています。

しかしその後、腹式呼吸が健康に役立つ可能性に注目が集まりました。どうやらそれは、腹式呼吸では自律神経に対して交感神経への刺激の低減が可能であるのに対して、胸式呼吸ではそれができないからなのではないかと考えられます。

自律神経の支配を受ける随意筋と言う存在

中学校で習ったことを思い出して下さい。人間の筋肉は自分の意思で動かせる随意筋と、自分の意思では動かせず自律神経の働きに委ねられる不随意筋がありましたね。

随意筋は骨格筋とも呼ばれて、縞模様が見えることから横紋筋と呼ばれることもあります。不随意筋はそうしたものがないので平滑筋と言われています。ただ、心筋だけは横紋筋ですが、自分自身の出す電気信号によって動き、自律神経によって制御される不随意筋です。

では、呼吸筋はどうなんでしょう。種類としては骨格筋と同じ横紋筋ですが、眠っていても気絶していても、自律神経の働きで動くので呼吸が止まってしまうことはありません。

一方で、起きている時には深呼吸したり、歌をうたったり、熱い物を冷ますのにフーフー吹いたりと、随意筋としても働いています。つまり呼吸筋は自律神経からの命令と大脳から出る意思に基づく命令の二重の支配を受けているということなのです。

ですので、自律神経の働きで呼吸が早くなっていることを大脳が感覚神経経由で感じられるのと同じように、大脳の命令で呼吸の早さを変えた場合、自律神経に影響を及ぼす可能性は充分にあります。

特に、横隔膜を制御している横隔神経は大脳からの命令を伝える運動神経、感覚を大脳に伝える感覚神経と一緒に、自律神経の交感神経線維も一緒に持っています。ですので、眠っている時などは交感神経の刺激で息を吸い、それが弱まると息を吐くということになっています。

一方、起きている時に、息を吸う数時間を短く吐く時間を長くすると、交感神経が刺激される時間が相対的に短くなることになりますね。これは大脳からの命令によって、興奮性の神経である交感神経への刺激が減ったということになります。

一朝一夕に呼吸法で体調は改善しないからまずは練習

呼吸法の訓練を全く受けたことのない人に、ゆっくり呼吸するとか、吸う時間の2倍の時間をかけて息を吐くとか言うことを実践してもらったら、期待されていたリラックス効果は全く表れず、むしろ交感神経が刺激された興奮状態になったというデータがあります。

これま無理もないことで、これまでにやったことのない物事にチャレンジする時は、誰でも緊張しますし、興奮状態にもなりますね。少なくとも、そうした呼吸法が自然にできるようにならないと効果は期待できないでしょう。

私たちがジョギングなどである程度の距離を走る時、呼吸は「1・2」で吸い、「1・2」で吐いてますよね。つまり呼気の時間と吸気の時間が1対1になっているということです。

そこで、先にお話しした、入息短・出息長と言うパターンでジョギングを行おうと思うと、「1・2」で吸い、「1.2.3.4」と吐くと言うことになります。吸う量と吐く量は一緒でないといけないので、うまく分散させて長く吐くのがポイントですね。

さらに、安静にしている時の呼吸は、深くゆっくりである方がいいということはよく知られています。そこで、静かに座った姿勢で、1、2、3と数えながら大きく息を吸いこみ、4で息を止め、5、6、7、8、9、10とゆっくり息を吐きましょう。

これで、大まかに1:2の呼吸時間数になり、1分間に6回の呼吸と言うことになります。これを無意識にできるように練習するだけでも、かなり副交感神経優勢のリラックスした状態が作り出せるでしょう。

特に何分間やるということではなく、安静にしている時はいつも自然にこの呼吸になるよう、クセをつけることが好ましいのです。

仕事が忙しい時などは、知らない間に浅く細かい呼吸をしていることが多いですね。無意識にゆっくりとした入息短・出息長ができるようになるのがベストです。

座禅式の腹式呼吸にも挑戦してみよう

腹式呼吸と言うと、息を吸うときにお腹を膨らませ、息を吐くときにお腹がへこむということを意識します。しかし、こればかりが腹式呼吸ではありません。

実際に座禅を組んでいるお坊さんたちは、これとは異なる腹式呼吸をされていることもあるんです。

座禅では臍下丹田を意識した呼吸を行っている

臍下丹田(せいかたんでん)と言うのは、おへその真下9cmあたりのポイントを指します。座禅だけでなく武道でもよく使われる用語ですね。現代風に言うと、ここにパワーを集めると元気になると言うポイントでもあります。

臍下丹田を意識した呼吸法

座禅では、ここに息を貯める感じで腹式呼吸を行います。ですので、息を吐くときにへこむのは上腹部だけで、下腹部はむしろ充実した感じになります。へそから息を出すような感じとも言われています。

そして、頭の中で数をゆっくり数えます。数字をゆっくりですから「ひとーつ」「ふたーつ」「みーっつ」という感じですね。座禅ではこのリズムを「ひとー」で息を吐き、「つ」で吸います。

この数え方で呼吸を実践すると、自然に呼気2に対して吸気1の時間の割り振りになりますし、お腹の膨らみ方は逆に見えても、ちゃんと腹式呼吸になっています。座禅では1分間に2~3回前後まで呼吸数を減らすこともあるそうです。

脚を組めればそれに越したことはありませんが、無理をする必要はありません。静かに座って、目を閉じずに身体の前方1メートルに視点を置き、背筋を伸ばしてゆっくり呼吸すればOKです。

声楽由来の腹式呼吸とは意識する場所が違うだけ

先にも少し触れましたが、よく言われる「お腹を膨らませて息を吸い、へこませて息を吐く」と言うのは、西洋音楽の声楽に由来している部分が多いようです。声楽のあの素晴らしい歌声を出そうと思うと、胸郭を動かす胸式呼吸では音が不安定になるのです。

ですから、横隔膜をフルに使ってお腹で呼吸し、胸郭の運動に伴う声の不安定さを出さないことが目的になっていますから、お腹をへこませて息を押し出しているわけです。

一方、座禅や武道では身体の中心にエネルギーをみなぎらせて安定度を高めるという風に、胸の安定性ではなくお腹の方に意識が向くため、下腹を膨らませて息を吐くことになります。

いずれにせよ、横隔膜をゆっくり動かして呼吸しているわけですから、横隔神経の交感神経線維の受ける刺激はゆっくりになり、リラックス状態が産みだされやすくなります。

どちらでも気に入った方を習慣にするのが健康のために役立ってくれるでしょう。

声楽の場合も、息を吸うときは短時間で一気に吸い、美しい声として出す時は非常に長く吐いていますね。まさに入息短・出息長の法則にのっとっています。

呼吸でリラックス効果を生むことが免疫力アップにつながる

人間の身体は強いストレスを受けると、交感神経の方が刺激されて、いわば戦闘状態に入ります。その状態では免疫力は低下しますし、疲労も蓄積します。

ここまで見てきたことで、呼気2:吸気1の時間配分による、ゆったりとした腹式呼吸が副交感神経を亢進させリラックスにつながるということが判って頂けたと思います。つまり、ストレスを受けにくくしてくれるということです。

ストレスの影響が少なくなると、免疫力の低下が防げるため、本来持っている免疫力がフルに働けるのです。つまり、正しい呼吸を習慣にしてしまうだけで、病気のリスクが低くなるということです。

ぜひ皆さんも今日から実践してみて下さい。この呼吸法の訓練の最も大きなメリットは、全くお金が掛からないということです。道具も場所も一切必要ありません。普段やっていることを少し変えるだけなのです。

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