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風邪かと思ったら実は急性肝炎!間違いやすいその症状の特徴とは?

肝炎は、国内でも年々患者数が増えている病気のひとつです。その多くは肝炎ウイルスの感染が原因で起こるウイルス性の急性肝炎です。

早期に適切な治療を行なえば予後の経過は良好ですが、こじれてしまうと最悪の場合は肝臓がんに進行してしまうこともあり油断はできません。

急性肝炎を早期に発見するには、どのような症状に注意すれば良いのでしょうか?急性肝炎の特徴についてまとめました。

肝臓は沈黙の臓器!急性肝炎はどんな症状で発見できる?

肝炎は肝臓の細胞に炎症が起こる病気です。肝臓の細胞(肝細胞)が破壊されて肝機能が低下することで、さまざまな症状が引き起こされます。

発症後に急性の症状が一時的にみられる肝炎を急性肝炎、炎症が6か月以上持続する肝炎を慢性肝炎といいます。

肝臓は炎症が起きても、痛みなどの症状がなかなか表に出てこないので「沈黙の臓器」とも呼ばれています。症状が出にくいのは、肝臓に神経が通っていないことと、修復機能が高く少々のダメージは自ら修復することができているためです。

肝炎はアルコールの摂取や肥満、薬害などでも起こりますが、ほとんどは肝炎ウイルスの感染によるものです。肝炎がこじれると肝臓が硬くなって機能が元に戻らなくなる「肝硬変」や「肝臓がん」に進行してしまうので、早期発見と適切な治療が必要なのです。

肝臓の病気は、ほかの臓器の病気と異なり進行するまで痛みが出ないので、急性肝炎を発症してもすぐに肝臓の病気だと自覚することができません。

急性肝炎の初期の症状は風邪や胃の不調にそっくりなため、肝臓の病気とは知らずに市販薬を飲んだり安静にしたりしてやり過ごすことが多くなってしまいます。

このように紛らわしい症状を持つ急性肝炎は、どうすれば気付くことができるのでしょうか。急性肝炎は、次のような症状が順に出現することを覚えておいてください。

急性肝炎の症状1.倦怠感

急性肝炎を発症すると、まず倦怠感、ひどいだるさ、疲労感が突然に始まります。

特に理由がないのに常に疲労感があったり、ゆっくり休養を取ってみても倦怠感が改善されなかったりする場合は、単なる疲れではなく肝障害による倦怠感の可能性を疑いましょう。

これは肝機能が低下することで、肝臓の役割である解毒やエネルギー代謝がスムーズに行なわれなくなってしまうために起こる現象です。

肝臓で有害物質のアンモニアが解毒できなくなると、体に蓄積されたアンモニアがエネルギーの産生を阻害するようになって体がエネルギー不足に陥り、倦怠感や疲労感が起こりやすくなります。

急性肝炎の倦怠感や疲労感は、1~2週間ほどで自然におさまっていくことが多いです。

急性肝炎の症状2.発熱・のどの痛み・頭痛

肝機能が低下することで、発熱、喉・頭・関節などの痛みといった風邪にそっくりな症状があらわれます。

初熱は微熱のこともあれば、38℃以上になることもあります。

急性肝炎の症状3.黄疸

倦怠感、風邪のような症状が治まった頃に、黄疸が出現するようになります。

黄疸は肝機能が低下し、肝臓で処理されるはずだったビリルビンという黄色い色素が血液中に増えて起こる現象で、皮膚や白目が黄色く見えたり皮膚がかゆくなったりする症状が特徴です。

黄疸は肝障害の決め手となる症状ですが、肝障害の初期には起こりません。自覚症状のないまま病期を経て、黄疸が出た時に初めて肝臓の病気だと気付くケースも多いのです。

肝炎の黄疸は2~4週間で自然におさまることが多いです。

私達黄色人種は黄疸が目立たない皮膚色をしているので、白目(眼球結膜)の色を見て判断します。

急性肝炎の症状4.尿の色が褐色になる

黄疸があらわれる少し前から褐色の尿が出始めます。ビリルビンが尿中に増えるために起こる現象で、症状が進行するとウーロン茶やコーラのような濃い褐色に変わります。

尿の色が濃くなったら白目の色を見て黄疸が出ていないか確認することをおすすめします。

急性肝炎の症状5.吐き気・食欲不振

黄疸が出る頃に、吐き気や食欲不振がみられるようになります。

肝炎による吐き気や食欲不振は胃の不調と少し異なり「食べ物のにおいを嗅いだだけで強い吐き気がする」「胃がムカついて油ものを受け付けない」といった症状が特徴的です。

これは、肝機能が低下して脂肪の消化に必要な胆汁が作られなくなり、体が油ものなど食物の消化を受付けなくなるために起こります。

急性肝炎が発症しても初期に気付くことは難しく、黄疸が出てやっと肝臓の病気かもしれないと気がつくことが多くなっています。

「風邪がなかなか良くならない」「尿の色がいつもより濃くなっている」といった症状が気になれば、白目を見て黄疸が出ていないか確認してみてください。

肝炎かどうか確認するには病院の血液検査が必要です。肝機能の指標となる

  • ALT(GPT)
  • AST(GOT)
  • ビリルビン値

などを調べることで、これらの症状が風邪などではなく肝障害によるものだと特定することができます。

日本人に多いのはBとC!5種類の急性肝炎の症状と治療法、予防法

急性肝炎のほとんどは、肝炎ウイルスの感染が原因で起こる「ウイルス性肝炎」です。そのほかに薬を飲んでいる人に起こる薬物性肝炎などもありますが、健康な人に症状が出現した場合は、まずウイルス性肝炎を疑って間違いないでしょう。

しかし肝炎ウイルスは誰もが日常的に感染する性質のものでもありません。症状が出ている人は、過去に何か肝炎ウイルスに感染するような機会がなかったか思い出してみる必要もあります。

ウイルス性の急性肝炎はA、B、C、D、E型の5種類があり、それぞれ感染経路や特徴が異なります。日本人に多いのはB型とC型です。

A型急性肝炎

A型急性肝炎は、A型肝炎ウイルス(HAV)に感染することで発症する病気です。ウイルスに感染した水や食べ物を口から体内に取り込むことで、肝臓にウイルスが増殖して炎症が起こります。

主に衛生環境の整っていない地域で感染しやすいウイルスで、現在は国内で感染することはありません。海外に渡航して、衛生状態の悪い地域で生水や生ものを飲食した人が発症しています。

【症状】

ウイルス感染から2~6週間の潜伏期間を経て、急に肝炎の症状が出現します。他のウイルス性肝炎に比べ、風邪のような症状や倦怠感が強く出やすいのが特徴です。腹痛や下痢を伴うこともあります。

【治療と予後の経過について】

A型急性肝炎は適切に治療をすれば自然治癒しやすく、予後も良好な病気です。また慢性化する可能性も高くありません。

基本の治療は安静です。血液検査の数値が高く症状が強い時は、入院が必要になります。

一度発症すると免疫ができ、二度と発症することはない病気です。

【予防策】

渡航前にA型肝炎ワクチンを接種することをおすすめします。A型肝炎が流行している地域では、サラダや生の果物、氷や真水を口にすることは控えます。

HAVは85℃で2分間加熱することで死滅させることができるので、しっかり火の通った食事をすると安心です。

B型急性肝炎

B型急性肝炎は、B型肝炎ウイルス(HBV)に感染することで発症する病気で、感染は一過性の場合と持続性の場合があります。

血液を介して感染し、かつては輸血、注射針や鍼から感染することもありました。しかし現在は、医療機関が衛生管理を徹底することで医療器具からの血液感染はなくなっています。

血液のほか、唾液・体液からも感染し、20~50代の感染者には性交渉や出産時の母子感染が多くなっています。

一過性感染の場合は、症状の出ない場合(不顕性感染)と、肝炎の症状が出る場合があります。

持続性感染とは、感染から6ヶ月経過しても体内にウイルスが残り続けることです。急性肝炎から慢性肝炎に移行しやすいのが特徴です。

【症状】

約8割の人は不顕性感染のまま自然治癒しますが、感染から1~6ヶ月の潜伏期間後に肝炎の症状が発症する場合があります。症状は比較的軽症で済みますが、約3%の人は「劇症肝炎」に進行し、39度以上の高熱や強い黄疸を伴います。

【治療と予後の経過について】

B型急性肝炎は、安静と肝庇護療法によって回復させることができ、予後も良好です。

ただし、劇症肝炎に進行すると非常に危険です。肝不全や意識障害などの重篤な症状を伴い、大半の人が肝性脳症に陥って死亡します。

【予防策】

性交渉のほか、ピアスの穴あけ、刺青の際に不衛生な器具を介してキャリア(ウイルス感染者)から感染してしまうことが多くなっています。無謀な性交渉や不衛生な器具での治療行為を避けるだけでも、ウイルス感染を回避する確率が高くなります。

家庭や集団生活で通常の生活をしている限り、ウイルス感染が起こることはほぼありません。

またワクチンや免疫グロブリンを接種することでキャリアからの感染を予防することもできます。東南アジア、中国、アフリカで流行している病気なので、渡航する予定のある人はワクチン接種をすると安心です。

HBVキャリアの女性から生まれた赤ちゃんには、母子感染を防ぐため誕生後にワクチンと免疫グロブリンを投与します。高い確率で母子感染を予防する効果があります。

C型急性肝炎

C型急性肝炎は、C型肝炎ウイルス(HCV)に感染することで発症する病気です。

B型肝炎と同様に血液を介して感染し、かつては輸血などの医療行為で感染事故が起こっていましたが、現在はなくなっています。体液からの感染力は弱いですが、性交渉で感染することもあります。

C型肝炎の怖いところは、高い確率で慢性肝炎に移行し、さらに慢性肝炎から肝硬変や肝臓がんが起こりやすい点です。肝臓がんの約8割はC型肝炎が原因です。

【症状】

ほとんどの人は不顕性感染で自覚症状がありません。一部の人は、感染から2〜14週間の潜伏後に肝炎の症状として風邪のような軽い症状が出現します。

【治療法と予後の経過について】

感染者の約3割は体内からウイルスが消えて治癒しますが、残りの7割はウイルスが残って慢性肝炎に移行してしまいます。

C型急性肝炎は、慢性肝炎や慢性肝炎から移行する肝臓がんを防ぐため「インターフェロン治療」でウイルスを除去する治療を行ないます。

ウイルスが除去できればC型肝炎の予後は良好です。ウイルスが除去しきれずに慢性肝炎に移行した場合は20~30年かけてゆっくり進行し、肝硬変や肝臓がんを引き起こすことがあります。

【予防策】

HCVは血液を介して感染することがほとんどで、ピアスの穴あけ、刺青、カミソリの共有などから感染してしまうことが多くなっています。不衛生な器具での治療行為は避けましょう。

性交渉で感染する確率は低いのですが、無謀な性交渉は避けるに越したことはありません。

B型肝炎同様、家庭や集団生活で通常の生活をしている限り、ウイルス感染が起こることはほぼありません。

D型急性肝炎

D型急性肝炎は、D型肝炎ウイルス(HDV)に感染することで発症する病気です。HDVは単独で感染することがなく、HBVに共存して感染するので、B型肝炎と同時に発症するか、B型肝炎を経験した後に発症します。国内で感染することはありません。

【症状】

感染から1~6ヶ月の潜伏期間後に発症し、肝炎の症状が出現します。B型肝炎と同時に発症した場合は重症化しやすくなります。

【治療法と予後の経過について】

他の肝炎と同様に安静と薬物療法で治療します。D型肝炎は一般に予後が良好ですが、B型肝炎と同時に発症した場合には慢性化することがあります。

【予防策】

B型肝炎の感染を予防することがD型肝炎の予防につながります。HDVは国内で感染する可能性のないウイルスで、海外滞在中の感染に注意する必要があります。

B型肝炎同様に性交渉や医療行為からのウイルス感染に注意してください。なお、HDVのワクチンは開発されていません。

E型急性肝炎

E型急性肝炎は、E型肝炎ウイルス(HEV)に感染することで発症する病気です。A型肝炎同様に食べ物から経口で感染します。

国内ではほとんどみられない病気ですが、北海道を中心に全国各地で、畜肉の生食によるHEV感染がしばしば起こっています。

【症状】

ウイルス感染から2~9週間の潜伏期間後に発症し、A型急性肝炎によく似た症状が出現します。また、不顕性感染で済むことも多くなっています。しかし妊婦が感染すると劇症化し、命にかかわる場合もあります。

【治療法と予後の経過について】

他の肝炎と同様に安静と薬物療法で治療を行ないます。慢性化することはなく、一般に予後は良好です。

【予防策】

国内ではシカ肉や豚レバーなどの生食で感染事故が起こっています。畜肉の生食は避けましょう。生の畜肉には、さまざまなウイルスや病原菌が感染している可能性があります。

HEVは63℃で30分間加熱すると死滅します。動物の肉や内臓はしっかり加熱して食べましょう。

海外では東南アジアなど発展途上国で食べ物や水を介して感染しやすくなっています。E型肝炎の流行地に滞在する際は、生食を控え衛生的な飲料水や氷を接種するようにしてください。承認されているワクチンはありません。

地域の医療機関へ!肝炎かもしれないと思ったらすぐ受診を

肝炎かもしれないと思ったら、かかりつけ医または肝疾患の治療を専門としている医療機関を受診してください。

各都道府県に「肝疾患診療連携拠点病院」が設置されており、地域の専門医療機関が連携して肝疾患の治療にあたっています。最寄りの医療機関に相談し、肝疾患の専門医療機関を紹介してもらいましょう。

肝炎は安静にすることで肝臓の回復を促進させ、薬物療法でウイルスを除去する治療が中心となります。

薬物療法には、インターフェロンなどのでウイルスの増殖を抑える「抗ウイルス療法」と肝細胞が破壊されるのを抑制する「肝庇護療法」があります。

治療でウイルスをしっかり除去することで怖い劇症肝炎や厄介な慢性肝炎を予防します。症状が軽快しても、医師に指示に従ってきちんと治療を続けることが大切ですよ。

40人に1人が肝炎ウイルスに感染!検査と予防対策もしっかりと

国内では40人に1人が肝炎ウイルスに感染しているといわれています。

ウイルスに感染していても無症状の人が多いのですが「感染の可能性がある」と感染の原因に思い当たりのある方は、肝炎のウイルス検査を受けることもおすすめします。肝炎のウイルス検査は、全国の保健所や指定医療機関で、無料で実施しています。

肝臓は臓器の中で最も大きく、生命の維持に欠かせない重要な役割を持っています。肝機能を大きく損失してから後悔するのでは遅いです。風邪によく似た初期症状も見逃さず、大切な肝臓の健康を守ってくださいね。

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