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専門家が教える!前後左右、内外重心からみた姿勢矯正ストレッチ法

姿勢が悪い女性

「姿勢を正す」という場合、悪い姿勢を取らないように気を付ける、体が傾かないように、背中が丸くならないように意識をするという次元で語られることが多いですね。

これは果たして本当でしょうか?猫背になっているのも、肩が下がっているのも、足を組みたくなるのも体が歪んだ結果です。姿勢だけ気を付けても、一時だけで意味がありません。

姿勢が悪くなっているのは、骨格を形成する筋肉のアンバランスにより、重心が偏ることで起きているのです。

姿勢と歪みに30年向き合ってきた治療家が、重心の掛かり方による姿勢矯正法を解説します。

「悪い姿勢をとる」と「姿勢が悪くなる」との違い

長い時間背中を丸めてゲームをしている、うつ伏せでスマホをしている、寝たまま枕を積んでテレビを見ていると「姿勢が悪い」といわれます。

長く座っていると背中が丸くなる、電車の長椅子に浅く腰かけて脚を投げ出している、歩くとどちらかに傾いているというのも、「姿勢が悪い」と一括りにされます。

しかし、前者は「悪い姿勢をとっている」のであって、後者は「姿勢が悪くなっている」のです。意識しているか無意識のうちに行っているかの違いにあります。

無意識のうちに悪い姿勢になっている場合、筋肉や骨格のアンバランスがひどくなり、その姿勢が一番楽になる、または、その姿勢しか取れなくなっているのです。

姿勢を正そうと努力すると痛みが発生してしまう

「猫背矯正ベルトをつけてから腰が痛くなった」「下がっている肩を上げるようにして、肩が上がる側に荷物を持つようにしたら、よけいに肩がこるようになった」などと訴えられる方が多いです。

また、「いつも左を下に寝ているので右を下に寝るように努力したら、腰が痛くて動けなくなった」など、寝る姿勢を気にして直そうとして、痛みに悩まされるようになったという話もよく聞きます。

不思議に思われるかもしれませんが、体を矯正しようとしてやりにくい体勢をとったり、正しい姿勢を気を付けて過ごすより、楽な方向にだけ動かし、楽な体勢をしている方が体は壊れません。

姿勢を治そうとすればするほど体は歪むのです。

ただ仕事をし生活をする以上は、楽な体勢だけを取り、楽な方向にだけ動かしているわけにはいけないですね。

取りづらい体勢が自然にとれるように筋肉バランスを調整し、動きにくい側への関節の可動をつけることで、痛みや動けなくなることのリスクを減らすことができます。

悪い姿勢のタイプは体の重心のタイプによって決まる

人の体の重心は真ん中にはありません。どんなに健康な人でも前後左右対称な人はいません。

前後のバランス、左右のバランス、内外のバランスのそれぞれの重心において、人によりどちらかに偏って体を支え動かしています。

そのため、その人により取りやすい姿勢や動きの癖が出てきます。

前後の重心バランスが崩れると、姿勢や動きの癖が大きくなる

人にはバランスが前に崩れる人と、後ろに崩れる人があります。わかりやすく言うと、

  • 杖を 前に突く前重心の人
  • 杖を 横・斜め後ろに突く後ろ重心の人

の違いです。

前重心の人と後ろ重心の人のシルエットイラスト

前重心の人
立った時につま先に体重が掛かり出っ尻になる。椅子に座ると椅子の前のほうに座り、背もたれを使わずつま先を床に着けるタイプ。

立ち座りの時、おしりを下げてからしゃがむ。立位体前屈がしやすい。

後ろ重心の人
立った時下腹を突き出し踵に体重がかかる。椅子に座ると背もたれにしっかりともたれ、脚を投げ出して踵を床に着けるタイプ。

立ち座りの時、膝を曲げてしゃがむ。前屈よりも後ろに曲げるほうが得意。

前重心か後ろ重心かは、腸骨という骨盤の骨が前に傾くか後ろに傾くかで決まります。人それぞれ、疲れたり負荷ががかかったりしたとき、前に曲がる人と後ろに曲がる人があります。

本来、腸骨が後傾している人は無理をして疲れると、後ろへの傾きがひどくなります。腸骨が前傾している人は前への傾きがひどくなり、それぞれ症状の現れ方も違ってきます。

左右の重心バランスが崩れると、骨格の左右差が大きくなる

左右対称の人はいません。利き手・利き足があるように、左右でその役割に応じた筋肉・骨格バランスになっています。

したがって、重心も真ん中にあるのではなく、人により、左重心・右重心タイプに分けられます。

重心側の手足は、体を支えやすいような構造になっています。手足のアーチも左の手足の指の間隔が開き、手足の甲が薄くなる形でアーチがつぶれています。

左重心タイプの手

左重心タイプの人の手

これは左重心タイプの人の手です。右手のアーチが大きくなって手がすぼみ、ものを握りやすい利き手構造になっています。

左手はアーチがつぶれて横に広がり、手をついて体を支えやすい支え手構造になっています。

左重心タイプの足

左重心タイプの人の足

これは左重心タイプの人の足です。右足のアーチが大きくなって足がすぼみ、足の甲が分厚く見えます。右足の指の間が狭くなり、かつ、指が曲がり、歩行時に地面をとらえやすい利き足構造になっています。

左足は、アーチがつぶれて足が横に広がり、足の甲が薄く見えます。左足の指の間が広く指が伸びて扇型に広がり、立った時に体を支えやすい軸足構造となっています。

重心側の骨盤は、立った時に体重を支えやすいように後ろに傾き、バランスをとるために肩甲骨は前に傾きます。

非荷重の手足は、ものをつかんだり地面をとらえやすい構造になっています。そのために骨盤は前に傾き、バランスをとるために肩甲骨は後ろに傾きます。

内外の重心が崩れるとガニ股や内股になる

人には、内側に重心が掛かる人と外側に重心が掛かる人がいます。立つときに脚を閉じたほうが立ちやすい人は内側重心、足を開いたほうが立ちやすい人がいます。

内側重心の人 太ももを外に捻じる筋肉である大腰筋が緊張することで、太ももを内にねじる力が働きます。背中を反らす大腰筋が緊張することで、内またで反り腰になります。
外側重心の人 太ももを内に捻じる筋肉である小殿筋が緊張することで、太ももを外に捻じる力が働きます。ガニ股で腰が丸く曲がります。

内外の重心は、仙骨の前傾・後傾により決まります。大腰筋が緊張すると仙骨が前傾し、内重心になります。

重心を整えるストレッチ方法

よく、背中が丸い人は伸ばすようにる、股関節が開きにくい人は開かせるようにストレッチするという考えが根強いですが、これは体を壊します。その原因を考えないで行っているからですね。

動かしやすい側に動かしながら緊張している筋肉をストレッチすれば、無理なく体を矯正できるのです。

重心側と非荷重側で緊張する筋肉は異なる

99パーセントの人は左脚に重心が掛かるタイプです。軸足、支え手となることの多い左側は、体を支えやすいように関節を曲げる筋肉(屈筋)が緊張することで、関節や体を伸ばす筋肉(伸筋)が働きやすい構造になっています。

伸ばす筋肉が緊張していると大きく伸ばす働きが発揮しにくくなり、屈筋が緊張し伸筋が緩むと、関節を伸ばす力が発揮されるのです。

一方、利き手・利き足となることの多い右側は、ものを握ったり地面をとらえたりしやすくなるように、屈筋の力が働きやすい構造となっています。屈筋が弛緩して伸筋が緊張しているのです。

左右の重心を簡単に調整できる壁ドンストレッチ

調整目的で関節を動かす時、動きやすい側に動かします。右側はすべての関節を曲げ、左側はすべての関節を伸ばします。

関節を伸ばす筋肉(伸筋)曲げる筋肉と曲げる筋肉(屈筋)は、関節の裏表(反対側)についています。

右側は伸筋が緊張しているため、関節を大きく曲げることで伸筋がストレッチされて緩みます。一方左側は屈筋が緊張しているため、関節を伸ばすことで伸筋がストレッチされて緩みます。

壁ドンストレッチの方法

左右の重心を調節する壁ドンストレッチの方法

  1. 壁に向かってた立ち、左肘を伸ばし、手首をそらせて壁に手をつきます。
  2. 左膝を伸ばし足首を反らせて、ふくらはぎを伸ばします。
  3. 右足の甲を右手で受けて、右膝と足首を曲げます。 
  4. 右の膝は後ろに引かず骨盤より前に出したままにしてください
  5. 左に行う動作は息を吐きながら、右に行う動作は吸いながら行ってください。

前重心・後ろ重心のタイプにより、ストレッチをする時伸ばす筋肉を変える

前重心タイプ

前重心の人の膝立ちした時の様子

立つとつま先に重心がかかる前重心タイプは、伸筋が緊張し屈筋が緩んでいます。膝立ちしてみると、伸筋の緊張のため背筋が伸びて安定します。

後ろ重心タイプ

後ろ重心の人の膝立ちした時の様子

立つと踵に重心のかかる後ろ重心タイプは屈筋が緊張し伸筋が緩んでいます。膝立ちしてみると、屈筋の緊張のために前に倒れる形になり、安定性を欠きます。

前重心の人のストレッチ

手を順手に組んで背中を丸めることで、伸筋をストレッチします。

前重心の人の伸筋ストレッチ

  1. 両腕を前に出して両手を順手で組みます。
  2. 頭を下げながら背中を丸めて、息を吸いながら肘を前に出すように伸ばします。
  3. 自然に骨盤が引けるのを感じながら、背中の筋肉を引き伸ばします。
  4. 3つ呼吸をしてから、手を放し体勢を戻します。

後ろ重心の人のストレッチ

手を組んでから返して、背中を伸ばすことで、屈筋を伸ばします。

後ろ重心の人の屈筋ストレッチ

  1. 手を順手に組んでから頭の上にあげます
  2. 頭上で手を返して手のひらを上に向けます。
  3. 自然に骨盤が前に行くのをを感じながら、前側の筋肉を引き伸ばします。
  4. 3つ呼吸をしてから、手を放し体勢を戻します。

内外の重心が整うストレッチ

あぐらと正座やペタンコすわりでは、手足の内側に重心がある人と、外側に重心がある人で座りやすい形があります。

座りにくいのを我慢して行うより、座りやすい形でストレッチすると内外の重心が整います。

内重心タイプ

  1. 正座からお尻を落として、ペタンコすわりをする
  2. 太ももをうちに捻じることで、外にねじる筋肉(外旋筋)をストレッチする

内外の重心が整うストレッチ
内外の重心が整うストレッチ2

外重心タイプ

  1. あぐらの形から、両方の足の裏をつけて、ひざを曲げたまま股関節を開く(外旋する)
  2. 外に倒れやすい側の脚をさらに外に倒す
  3. 外に倒すことで、外にねじる筋肉(外旋筋)をストレッチする

                                                                      

姿勢矯正法は、自分の重心タイプに合ったものを行うことが大切

姿勢の改善法は書物やネット上にあふれています。しかし、どれもが万人に合うわけではありません。

たいていは考案者の体に合わせた方法ですので、自分の重心タイプに合わない場合も多いのです。その場合、かえって体を歪ませたり、痛みが発生することもあります。

この記事を読んで、自分の重心タイプを知って、正しい姿勢矯正法を行ってください。

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