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高齢者の寝たきり予防!環境に潜むリスクと予防のための具体的な運動

楽しそうに運動する高齢者たち

立って、歩いて、移動をするという動作。いつも当たり前のようにおこなっている動作ですが、生活をするためには、自分で歩けるということはとても重要です。

特に高齢者にとっては、自分の足で立って歩けるということは自立した生活をする上で重要な意味を持ちます。

「身近な家族がもしも歩けなくなったらどうなるか」を考えてみましょう。現実に起こりうる事態を思い浮かべ、そうならないためにどうしたらよいか、今からでも着実に行動することが大切です。

高齢者が歩けなくなりやすい理由と、実際に発生する困りごと

若い方でも、病気や事故などで思いがけない障害を負い、歩けなくなることはあるでしょう。ですが、歩けなくなる原因も、歩けなくなったときにおこる問題も、高齢者と若年者は違います。

高齢者は、歩けなくなりやすい原因を持っている

下にあるのは、平成20年度におこなわれた高齢者実態調査の結果です。現在すでに何かの疾患で治療を受けている高齢者が、全体の約7割を占めていることが分かります。

高齢者の通院状況円グラフ

また、治療状況を見てみると、さまざまな疾患を理由として治療を受けていることが分かります。

通院している理由としては、高血圧や高脂血症、糖尿病などの生活習慣病が多く見られます。その他、腰痛や関節症、心疾患、脳血管障害など多岐にわたり、一人で複数の疾患をお持ちの場合も多いです。

高齢者は、加齢により、心身の機能が弱っています。全身の筋力や柔軟性が低下していて、ささいなことでも大きなダメージを負いやすくなっているのです。

若い方であれば簡単に回復できることでも、高齢者ではなかなか回復ができず、重篤な状態になることも珍しくありません。

肺炎やインフルエンザなどで熱を出して衰弱したり、長期間寝込んだりすることも、歩けなくなる理由としては十分です。一度衰弱してしまうと、落ちた体力を取り戻すために、食べたり運動したりするのが難しくなることも、珍しくありません。

骨折したときに、骨折自体は治った後も、リハビリにうまく移行できずに歩けない体になってしまうこともあります。治療中に筋力が落ちてしまったり、痛みがあったりして、本人の意欲が落ちてしまうこともあるかもしれません。加療中に他の病気を併発する可能性もあるでしょう。

高齢者にとって、一度悪くなった体を元の状態に回復させることは、本人にも周囲にも大変な努力を要することなのです。

高齢者が歩けなくなったときに、実際に困ること

少子高齢化が進んでいる昨今、一人暮らしの高齢者や、高齢の夫婦のみで暮らす世帯が少なくありません。

高齢者の介護をできる若い親族が、高齢者と同居していないケースが増えています。日常的なことを適切な時に世話をできる家族が、そばにいないのです。

「今はまだ歩けるから、自分で身の回りのことくらいはできる」という方も多いでしょう。自分のことくらいは自分でできる状態であるからこそ、一人暮らしや老夫婦での生活でもなんとか成立させることができているかもしれません。

ですが、歩けなくなった場合のことを考えてみましょう。

  • トイレで排せつをする
  • 食事をとるために、食べ物が置いてある場所に行く
  • 適切な時間に起きて、着替えをする
  • 洗面所で歯磨きや整髪をする
  • お風呂に入って、身体をきれいにする
  • 掃除や洗濯、買い物をする
  • 来客を迎え入れたり、郵便物を受け取りに玄関に行く

生活をするためには、これらの動作をおこなう必要があります。これらのことを自分で行うことができなくなったとき、同居できる若い家族がいない場合や、家族が仕事を持っていて付きっきりになれない場合は、どこまで支援することができるでしょうか。

日本では現在、高齢者や障害者を支援する制度や道具がさまざまに用意されています。

ですが、高齢者には新しいものを受け入れたりなじんだりすることが難しく、制度や道具がうまく使えない方も多くいます。

高齢者は腕の力なども落ちていて、腕で車イスを漕いだり、這いずって移動したりできない場合もあります。また、電動車イスやリフトなど、道具の扱い方が理解できなければ、介護できる方がついて操作してあげる必要があります。

自分で歩ける方でも、生活に不便を感じている方は多いものです。それが歩けなくなったとき、どのような不自由を抱えることになるのか。家族の支援を要することになるのか。想像に難くはないでしょう。

歩けなくならないために、普段から気をつけるべき具体的なこと

高齢者が歩けなくなったとき、本人も家族も大きな負担を負うことになります。まずは、今歩けている状態から、歩けなくならないようにすることが大切です。

高齢者が介護を要する状態となる理由は、脳血管障害や認知症、高齢による衰弱、関節疾患、骨折など、さまざまです。この中で、歩けなくなる理由にも直結しやすい、転倒による骨折について考えてみましょう。

転ばないように環境を整えよう

高齢者は一般的に、歩くときに足を上げにくかったり、歩幅がせまくなったりしがちです。足の筋力が低下したり、関節が固くなったり、平衡感覚が鈍くなってバランスが悪くなったりするからです。

目が見えにくく危ない箇所が判別しにくいというのも、転倒の理由となりえます。

屋外での転倒はもとより、慣れた自宅内での転倒も少なくありません。「慣れた場所だから」「いつもやっていることだから」と思ってしまい、動作に油断があることも、自宅で転倒する理由となるでしょう。

自宅内でも屋外でも、本人の歩行状態に合わせた危険予測が必要です。自宅内の環境や、普段屋外を歩くときの補助具について、見直してみましょう。

  • カーペットやラグなどは、足がひっかかる小さな段差になっていないか
  • 階段や敷居などの段差が見えやすいか、明るさは十分か
  • 階段やろうかなどの床材は、滑りやすくないか
  • 脱げやすいスリッパやサンダルは履いていないか
  • 上がり框や階段など、必要な場所に、つかまれる手すりなどはあるか
  • 必要に応じて、杖や歩行器などの補助具を使用しているか
  • 目が見えにくくなる夕暮れ時に、付き添いなく出かけたりしていないか
  • 雨天時や雨上がりなど、危険があるときにあえて出かけていないか
  • とっさのときに、手が使えるようにしているか

つまづかないためのバリアフリーイラスト

自宅内の場合、延長コードなども足がひっかかりやすいポイントになります。

白内障などを患っている高齢者はちいさな段差や影を見分けにくく、意識して避けることが難しい場合が多いからです。

普段から障害や危険となるものはないか、気を付けて見ておくことが大切です。ぐるっと見回してみて、気になるところはありませんか?

生活していて気付くことがあれば、できるだけすぐに改善したいですね。

動くことを面倒がらず、ひとつひとつの動作をしっかりやろう

高齢者のなかには、慎重に動作をすることを面倒がる方もいます。体が固くて動きにくく疲れやすいので、いちいち立ったりしゃがんだりすることが億劫になるのです。

イスに座ったままで手が届くか届かないかのギリギリの場所にあるものを、無理にでも手を伸ばして取ろうとする。もう少し近づけば楽に手すりにつかまれるのに、無理やり手を伸ばしてつかまろうとする…。

こんな動作は、転倒しやすいばかりか、腰や肩を痛める原因にもなりかねません。

よく使うものは手の届くところに置いておくというのもひとつの手ですが、それでは運動量が減り、足の筋力を低下させる原因にもなってしまいます。しっかり立って、歩いて、目的の場所まで移動し、目的の行動をする癖をつけましょう。

歩行に不安があれば、家具やてすりを配置してつかまれる場所を作るのが得策です。

階段の危険を除外するバリアフリーイラスト

介護保険制度などを利用すれば、自宅に手すりをつけるのに助成が受けられる場合もあります。必要を感じるのであれば、市役所の福祉関係窓口に相談をしてみましょう。

転ばない体を作るため適度な運動をしよう!具体的な方法とは

体というものは使わなければ弱っていきます。日常生活の中でそれなりに動いているように感じていても、それほどの運動量を確保できていない場合が多いです。

「運動はあまり好きじゃないし、座ってばかりいるなあ」と自覚がある方は、特に意識的な運動を心がけましょう。

ただし、目標をもって楽しく適度に安全にできることが重要です。

続けられなければ望ましい効果は得られませんし、運動をしすぎて体を壊しては元も子もないからです。

体のことで不安があるときは、自分にとって適切な運動量とはどの程度なのかを医師に相談しましょう。

厚生労働省も推奨している歩行運動!適度な散歩のコツとは

散歩やウォーキングなど、歩くことは、最も手軽にできる運動のひとつです。

高齢者の日常生活動作能力のなかで、比較的早期から低下するのは歩行や起居などの移動動作にかかわる能力である。従って、高齢者が日常生活において歩行運動を積極的に行なうことは、日常生活動作障害に対する初期予防活動として有効である。

このように、公からも歩行運動の有効性は提示されています。

ですが一口に「歩く」と言っても、過ぎれば体の負担になることです。自身の疾患や体調についてはよく把握しておきましょう。また、歩くときには、姿勢や歩幅などちょっとしたことに気を付けてみましょう。

  • 足元ばかりを見ず、少し先を見るようにする
  • 無理のない範囲で、歩幅を大きくする
  • かかとから着地し、つま先で蹴るように踏み出す
  • 一歩一歩をしっかり踏みしめ、つま先に体重が乗るように意識する
  • 呼吸を止めず、リズムよく「吸って吸って、吐いて吐いて」呼吸をする
  • 肘を軽く曲げ、腕を振りながら歩くようにする

転倒に注意し、安全に気を配りながら歩きましょう。明るく人目の多い時間帯に歩くようにしたり、家族にコースや所要時間を告げておくなどの配慮をしておくと安心です。

自宅でできる体操ではラジオ体操、タオル、ゴム、イス…なんでも使える!

ラジオ体操は、体中まんべんなく運動させることができる運動です。義務教育でもお馴染みの体操なので、抵抗なく取り組める方も多いでしょう。

「ペースについていけない」「立って運動するのが不安」という方は、座ってできるようアレンジされたものもあります。

イスに座って足踏みをするのも立派な運動です。足の裏がしっかり床につく高さのイスに、背筋を伸ばして姿勢よく座りましょう。

足踏みをするときは、上げられる高さまで一歩一歩しっかり膝を上げましょう。座面につかまって運動をすると姿勢が安定します。

安定した歩行のためには、足指でしっかり床を踏みしめることが大切です。足指の運動には、イスに座って床にタオルを敷き、裸足になって足指で手繰り寄せる運動が効果的です。五本の指を大きく動かすことを意識して、タオルをたぐり寄せたり伸ばしたりしてみましょう。

タオルをたぐりよせる足指の運動

足を蹴り上げて踏み出すための運動も自宅でも手軽におこなえます。ズボンのウェストに入れる裁縫用のゴムを、イスと自分の足首に結びましょう。ゴムが負荷となり、蹴り上げの運動ができます。負荷の強さはゴムの太さや本数・長さで調節しましょう。

ボールを使って運動することもできます。イスに座って柔らかく弾力のあるボールを膝の間にはさんでつぶす運動や、ゴルフボールやテニスボールを足の裏で転がす運動が手軽です。ボールが転がって行ってしまわないよう、うまく力を調節しましょう。

そのほか、特別に時間をとらなくても手軽な運動はできます。

イスに座って過ごすとき、膝の間が開かないように太腿に力を入れて閉じていることも手軽な運動のひとつです。座っているときに、猫背にならないよう背筋を伸ばして姿勢よくすることも、腹筋や背筋の運動になります。

行政でおこなっている運動に参加する

住まいの自治体それぞれによりますが、高齢者が取り組める運動についてさまざまな計画やイベントを開催しています。取り組みについては自治体によってさまざまです。

興味を持たれた場合は、市役所の高齢者向けの相談窓口に問い合わせをしてみましょう。

また、公民館のホールなどを利用して、サークル活動をおこなっている個人や団体もあります。地域の掲示板や公民館のちらしなどに気を付けて見てみると情報が見つかる場合もあります。自分の好みの運動を、適度におこなえる場所を探してみましょう。

健康な高齢者に合わせて活動することが難しく感じたり、疾患を持っていて特に運動に注意が必要だったりする場合は、医師に相談したり、介護保険を利用することも考えてみましょう。

介護保険では、資格を持った専門のスタッフが運動指導をおこなうサービスが利用できます。

介護保険の利用には、市役所への申請をして、要介護・要支援の認定を受けることが必要です。認定の申請については、市役所のほか、住まいの地域の地域包括支援センターや居宅介護支援事業所で相談を受け付けています。

歩けなくなる前に、歩けなくならないようにすることが大切

いろいろな機能が低下している高齢者にとって、一度できなくなった機能を回復させることは大きな努力が必要です。本人に意欲が必要なのはもちろん、周囲の多大な協力も欠かせません。

不注意による転倒や、活動しないことで低下していく筋力については、ある程度は予防ができることです。まずは、普段の生活や環境を見直してみましょう。

できることから少しずつおこない、今できることができなくならないように取り組みを続けていくことが大切です。

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