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冬のだるさ過眠過食はうつ症状!?冬季うつ病の原因と予防法

men worry in winter

冬は部屋に引きこもって、ついだらだらと過ごしがち。寒いので多少は仕方ないかもしれませんね。

しかし、「冬は憂うつだ」「やたら眠くて仕方ない」「食欲が増す」という症状が強く出ているならば、単に寒いからというよりも「冬季うつ病」にかかっている可能性もあります。

今回は、なぜ冬季うつ病にかかってしまうのか、そのメカニズムと予防法について説明していきます。

通常のうつ病とは違う、冬限定の「冬季うつ病」

冬季うつ病は、冬の日照時間が短くなることで起こる気分障害の一種です。「季節性感情障害(SAD)」とも呼ばれます。特に女性にみられやすい現象です。

冬季うつ病が起こりやすいのは11月~3月。春が来ると自然に治ってしまいます。冬限定でうつ病にかかるのは、冬は夜より昼のほうが短い上に、地域によっては雨や雪の日が増え、日照時間が減ってしまうためです。

通常のうつ病とも似ていますが、原因と症状は異なります。

症名 原因 体の症状 心の症状
冬季うつ病 日照不足
  • 過食
  • 炭水化物を求める
  • 過眠
  • 倦怠感
  • 肥満
  • 抑うつ
  • 意欲低下
うつ病 神経伝達物質の機能低下
  • 食欲減退
  • 体重減少
  • 倦怠感
  • 自律神経症状
  • 不眠または過眠
  • 抑うつ
  • 意欲低下
  • 思考低下

冬季うつ病は、特に珍しい現象ではありません。動物が冬眠するのと似たメカニズムで起こっていて、寒い冬を乗り越えるために冬が近づいて日照時間が短くなってくると、体が自然に活動を制限しようとはたらくのです。

しかし暖房が発達したことで、現代人は冬でも寒さを感じずに生きていくことができるようになり、このような体の冬支度をする必要はなくなってしまいました。

ヒトは冬眠せずに一年中活動しなければならないのに、冬になると体が勝手に冬眠モードに入ってしまい、太ってしまったり睡眠リズムが狂ったりして困ってしまうわけです。

ちなみに、うつ病・季節性感情障害用性格検査(SPAQ)による調査結果では、日本人の冬季うつ病は全国平均で1%、北国で3~4%の人にみられることが分かっています。

緯度が高い地域ほど日照時間が短くなるので有病率が高くなります。例えば、北欧・アラスカ・カナダ・ロシアなどの地域では、10%の人が冬季うつ病を経験しているといわれます。

冬に食べ過ぎてしまったり、動くのが面倒くさくなったりするのは、日照不足が原因だったんですね。

クマさんのようにお腹いっぱい食べて眠る毎日をすごしたい…そんなあなたは既に冬季うつ病なのかも!

あなたは大丈夫?冬季うつ病かどうかのチェックシート

国立精神・神経センター、精神保健研究所が発表している自己診断表があります。これをもとにチェックしてみましょう。

パート1~4まで、順にすべてやってみてください。

パート1.うつに関する質問

少なくとも2週間以上の間、以下の症状を毎日のように感じられたという期間が一度でもありましたか?

  • 寝付きにくい、途中覚醒、睡眠過多など
  • 疲労感、何もやる気が起きない
  • 食欲がないのに食べ過ぎてしまう、または意識をしていないのに体重の顕著な増減
  • 自分の行動に喜びが見いだせない
  • 気分が落ち込む
  • 自己嫌悪に陥る
  • 文字を読んだりテレビを見たりといったことに集中できない
  • 落ち着けない、じっとしていられない、または逆に会話や行動が遅くなったと人に言われた
  • 死について、または死んでしまった方が良いと考えたり自傷行為があった

YESが5個以上なら、あなたは「大うつ病性障害(major depressive disorder)」の可能性があります。

1~2個であっても、あなたが悩んでいるのならば精神科医や臨床心理士などに相談し力を借りるのがいいでしょう。

2.季節によって様々な変動がありますか?

これから並べる行動や感情がどのくらい季節によって変動しますか?選んだ数値の総計を出してください。

行動や感情 変動なし わずかな変動 中等度の変動 著しい変動 極端な変動
昼寝を含む睡眠時間 0 1 2 3 4
家族、友人、同僚を含む社交活動量 0 1 2 3 4
気分、健康や幸福感 0 1 2 3 4
体重 0 1 2 3 4
食欲 0 1 2 3 4
やる気、活力 0 1 2 3 4

12点以上だったあなたは臨床上、重度の季節性感情障害にかかっている可能性があります。

7~11点だったあなたは軽度の季節性感情障害である可能性があります。

合計が6点未満だったあなたは「非季節性」です。それでもパート1の得点が高い場合は、精神家などの専門家の助言が必要であるかもしれません。

パート3.行動や感情が極端になるのは何月?

以下に並べる行動や感情について、あてはまる月をすべて挙げてください。あてはまる月が無い場合はなしでOKです。

(他の月と比べてはっきりとした変動があり、それが数年間起こっていることを思い出せる月のみ)

A、Bについてそれぞれの月に何回あてはまったかを見てください。

A B
調子が一番悪いと感じる 調子が一番良いと感じる
食事量が一番多くなる 食事量が一番少なくなる
体重が一番増える 体重が一番減る
睡眠が一番長くなる 睡眠が一番短くなる
やる気が一番おきない やる気が一番おきる
社交活動性が一番なくなる 社交活動性が一番高まる

秋や冬にうつ病を発症してしまう人は、Aの項目で9月~1月のいずれかから始まり、3~5か月間にわたってその月を4回以上挙げ、それ以外の月は0に近い傾向があります。

また、Bの項目では3月~6月から始まり3~5か月間にわたってその月を4回以上挙げるという特徴が見られます。

つまり簡単に言うと秋や冬になるとどんよりしちゃう、ということです。

逆に、夏ごろに調子が悪くなると感じる事が多いひとは「夏型の季節性うつ病」である可能性が高くなり、冬季うつ病の治療とは違った治療が必要です。

パート4.冬に特に起こる症状は?

1年の中で、冬に特に感じる症状はありますか?より詳しい内容になりますので、あればYESとしてください。

  • 昼寝も含み睡眠時間が長くなる
  • 朝なかなか目が覚めない
  • 日中やる気が起きず、いつも疲れを感じている
  • 朝より夜に気分が悪くなる
  • 午後になると顕著に気分ややる気が落ち込むときがある
  • 甘いものや炭水化物が欲しくなる
  • 甘いものや炭水化物をたくさん食べる
  • 午後か夜に甘いものが食べたくなる
  • 夏より体重が増える

どれかひとつでもあてはまったら、そのときに抑うつ状態であったか同課にかかわらず、あなたは冬季型の季節性感情障害である可能性が非常に高いです。また数が増えれば増えるほど、冬季うつ病にかかっていると判断できます。

(「うつ病・季節性感情障害用性格検査 自己評価版」 国立精神・神経センター 精神保健研究所 より)

冬季うつはホルモンの分泌を整えて脱出しよう!

冬季うつ病は、日照不足によって特定のホルモンのはたらきが乱れるために発症します。

冬季うつ病の発症に関係している以下の3つのホルモンについて、それぞれが持つ作用をふまえながら冬季うつ病の予防法をみていきましょう。

Meratoninserotoninrepuchin

メラトニン

メラトニンは別名「睡眠ホルモン」とも呼ばれ、夜になると自然に眠くなる睡眠リズムを作る役割を持っています。

メラトニンには睡眠を促進させる作用があります。明るい日中には分泌されず、朝日を見てから14~16時間後に脳の松果体から分泌されるようになります。

メラトニンのおかげで「日中に起きて、暗くなったら休む」というリズムが作られているわけですね。

たくさん太陽光を浴びるほど夜にメラトニンの分泌量が増え、規則正しい睡眠リズムを作ることができます。

しかし日中に浴びる太陽光の量が少ないと、夜になってもメラトニンがあまり分泌されないため、夜の睡眠の質が浅くなったり体内時計がずれたりして、日中に眠気を催したり、倦怠感を伴いやすくなってしまうのです。

一度睡眠リズムが狂うと、体内時計がずれて日中の調子が出なくなってしまうんですね。

冬季うつ病の人は、長時間寝ているつもりでも睡眠の質が下がっているので、体調もスッキリしないことが多くなります。

冬にメラトニンの分泌を正常に導くには…

  • 早寝早起きをする
  • 毎日の生活リズムを一定にする
  • 天気の良い日は外に出て太陽光を浴びる
  • 夜に強い人工照明を浴びない

といった対策が効果的です。

特に、夜にメラトニンを分泌させるため、寝起きに朝日を見ることが重要です。起きたらカーテンを開けて明るい光を部屋に取り込みましょう。

冬は日照量が限られます。なるべく外出して太陽光を少しでも多く浴びるようにしてください。なお人工照明はメラトニンの分泌を妨げるので、夜ににぎやかな場所へ遊びに出かけたり、テレビやインターネットを見たりするのは控えましょう。

セロトニン

セロトニンは神経伝達物質のひとつで、覚醒作用や精神安定作用があります。満足感をもたらすことから「幸せホルモン」とも呼ばれています。

メラトニンとは逆で、太陽光を浴びると分泌されるのが特徴です。朝になると目が覚めて日中に活動することができるのは、セロトニンのはたらきのおかげなのです。

もしセロトニンが不足すると、次のような現象が起こりやすくなります。

  • 抑うつや不安が強くなる
  • 寝起きが悪くなる
  • 意欲が低下する
  • 食欲が増進する
  • 炭水化物を大量摂取する

冬季うつ病の人は、セロトニン不足から気分がふさぎ込んだり動くのが億劫になったりしてしまいます。

また、セロトニンには食欲を抑制する作用があるため、日照時間が少ない冬にはセロトニンの分泌量が不足し、食欲が抑制されにくくなってしまうのです。

さらにセロトニンが不足する時、体がセロトニンを産生しようとして材料の糖質を欲するため、無性に炭水化物が食べたくなってしまう現象も起こります。

冬に出不精になる人が多いのは、寒さだけが原因じゃなかったんですね。食欲は増すのに動くのは面倒くさい…だから、冬季うつの人は太りやすくなってしまうんです。
セロトニンの分泌を促進させるには…

  • なるべく外出して太陽光を浴びるようにする
  • セロトニンを増やす効果のあるリズム運動を毎日行う
  • 食品からセロトニンの材料になるトリプトファンを摂取する

といった対策が効果的です。

セロトニンを分泌させるために、次のような単純な動作の繰り返しを1回につき15分以上行いましょう。音楽をかけながら行うとリズムが刻みやすくなり、より効果的です。

  • ウォーキング
  • スクワット
  • その場で足踏み
  • 階段(踏み台)の昇り降り

そしてセロトニンの材料になるトリプトファンは、たんぱく質に広く含まれています。中でもおすすめしたいのは、トリプトファンが多い次の食材です。

  • レバー
  • 豚肉
  • まぐろ
  • チーズ
  • 納豆
  • 豆腐

冬は意識してトリプトファンを摂取しましょう。

レプチン

レプチンは、食欲や代謝を調節する役割を持つホルモンです。

私達の体は、食後20分くらいたつと全身の脂肪細胞からレプチンが分泌され、レプチンが視床下部の「満腹中枢」を刺激することで満腹だと感じる仕組みになっているのです。

レプチンの生成にはビタミンDが必要です。ビタミンDは私達の肌に紫外線をあてることで生成されるため、太陽光を浴びる時間が少なくなるとビタミンDが不足し、レプチンも生成されにくくなってしまいます。

レプチンが十分に分泌されなくなると、満腹感が得られにくくなるため、過食が起こりやすくなってしまいます。

冬季うつ病の過食は、セロトニンとレプチンの不足が原因で起こっているのです。

レプチンの分泌を正常に導くには…

  • 外で太陽光を浴びる
  • 食品からビタミンDを摂取する

といった対策が必要です。

皮膚でビタミンDを生成するには、屋外で太陽光を皮膚に直接当てる必要があります。冬は、晴れている時を見計らって30分程度の日光浴を取り入れてください。ウォーキングをすればセロトニンの分泌量もアップしますね。

食品では、魚やきのこ類から摂取することができます。中でもビタミンDが多いのは次の食材です。

  • しらす干し
  • さんま
  • きくらげ
メラトニン・セロトニン・レプチンがもたらす作用はとっても大きいのです。

日照時間が少なくても大丈夫。運動や食生活でホルモンの分泌をフォローして冬季うつ病を防ぎましょう!

寒いだけじゃない!冬はお楽しみもいっぱい

冬季うつ病は春が来れば自然とおさまるので、「ずっと続く病気ではないのだ」と割り切って前向きに冬を過ごすのが一番です。クリスマスやお正月などの楽しいイベントもあることですしね。

また、今回説明したように、冬はホルモンの作用で食欲が増進してしまう季節なのですが、実は一年で最も痩せやすい時期でもあるのです。

これは、冬は体温を上げるために多くのカロリーが熱の材料に使われていくためです。食べ過ぎさえしなければ、楽にダイエットすることができ、ラッキーです。

冬の過食・うつのメカニズムと予防法を理解しておけば、いつもの冬が来ても怖くありません。メラトニン・セロトニン・レプチンのはたらきを整え、冬を明るく乗り切りましょう。

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