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氷を食べる病気、氷食症!異食症の原因と引き起こされる危険な病気

冷たい飲み物に入っている氷を、ついついガリガリと食べてしまうということは、特に夏場では珍しくありません。むしろ、そうしたガリガリ感を楽しむ氷菓も売られているぐらいですから、暑さストレスの解消にはもってこいです。

一方で、冬場であっても無性に氷をかじりたいというのは少し異常です。1日に製氷皿1枚以上も氷を食べるという場合は、氷食症と言う病気だと考えられるのです。

「~症」とつくように、このケースはれっきとした病気で、「異食症」の一種になります。氷食症、異食症とはどのような病気なのでしょうか。

鉄欠乏性貧血になりやすい女性は特に注意が必要で、さらに特徴があるのでしっかり改善法を知っておきましょうね。

氷食症は異食症!ダイエットをする女性は特に注意

異食症とは

  • 食べられないもの
  • 普通食べないもの
  • 栄養のないもの

などを無性に食べたくなるという病気です。病気と言う言葉は、判りやすく説明するために使いましたが、実際には症候と言うことになります。

症候とは体内の組織に病的な変化が起こってしまったことで、身体や精神に異常が現れた状態のことです。では、夏でもないのに氷をたくさんガリガリやるのは、体内の組織に病的な変化が発生しているということなのでしょうか。

そして、身体だけではなく精神にまで病的な変化が現れているということなのでしょうか。

鉄欠乏性貧血が原因で氷食症が発生!BMIを見てダイエットはほどほどに

他の原因が完全に否定されたわけではありませんが、氷食症の多くが鉄欠乏性貧血によって引き起こされているという報告があります。鉄欠乏性貧血と言えば、生理のある期間の女性に最も多く見られる病気ですね。

この鉄欠乏性貧血がある程度重症化してくると氷食症が見られる場合があるということです。あるいは鉄欠乏性貧血の半分以上に氷食症が見られるというデータもあります。

ですので、普段から栄養に注意して鉄分が不足しないようにして下さい。日本の女性では誤ったダイエットによる貧血が無視できないレベルになっています。

まず論外なのが、BMIが18.5kg/m2以下になっているのに、まだ体重を減らそうとしてしまうことです。そのエリアの体重は、肥満と同じくらい健康に良くない状態です。

念のため、体脂肪率を測定してみて下さい。個人差があるので一概には言えませんが、目安として、だいたいBMIが20kg/m2を下回っているのに、男性で20%以上、女性で25%以上の体脂肪率があれば、それは「だらしなく痩せた身体」です。

体重を減らすことより、しっかり栄養を摂った上でトレーニングを行って、筋肉量を増やすことを考える必要性があります。筋肉は体脂肪より比重が高いので、筋肉が増えると体重が増えます。しかし、見た目には引き締まった美しい身体になれるという訳です。

女性は鉄欠乏性貧血になりやすいから筋肉をつけよう

生理があるため、女性は男性に比べて鉄欠乏性貧血になりやすい体質だと言えるでしょう。ですので、本来ならば男性よりも鉄分を多く摂らなければいけません。

最近ではヘム鉄と非ヘム鉄の区別などについて、テレビなどでよく特集されているおかげでずいぶん一般的になってきたと思います。

鉄は複数のイオン価を持つ元素ですが、実際にヘモグロビンで使われているのは2価の鉄ですし、吸収率が高いのも2価の鉄です。これがいわゆる「ヘム鉄」と呼ばれるもので、動物の筋肉や内臓などに含まれているものです。

一方、鉄には3価のものもあります。野菜などに含まれる「非ヘム鉄」です。これは胃酸などの強い酸によって溶かされて、さらにビタミンCなどによって2価に還元されれてやっと吸収されます。

胃の中は食べ物が入っていないときはpH1.5くらいの強酸性ですから非ヘム鉄も溶かせますが、お腹がいっぱいの時になるとpHが4.0くらいまで酸度が下がりますので鉄分が溶かせなくなります。

そのような事情から、ヘム鉄は最大で25%くらいは吸収されるのに対して、非ヘム鉄は最大でも5%くらいまでしか吸収できないのです。しかもビタミンCなどの還元剤が足りないと、さらに吸収率が下がるのです。

ですので、しっかりお肉を食べましょう。そして余分になったカロリーは、トレーニングによって身体を引き締めることで消費して下さい。筋肉がつくと、それ自体が基礎代謝としてカロリーを消費しますから、寝ている間にも痩せますよ。
貧血と氷食症、意外な組み合わせですが、隠れた患者さんの数は無視できないレベルになっていると言いますから気をつけましょうね。

意外と知らない?鉄欠乏性貧血によって発生する症状

鉄欠乏性貧血と言うと、めまいやだるさなどが代表的な症状ですが、決してそれだけではすみません。まずはそのだるさに代表されるエネルギー不足は、かなり深刻なものとなります。

私たちの体の中ではブドウ糖をエネルギー物質のアデノシン三リン酸(ATP)に代謝する「解糖系」と言う化学反応の経路があります。この経路には、酸素を使った好気性解糖系と、酸素を使わない嫌気性解糖系の2つがあります。

好気性解糖系では1mol(モル:単位物質量)のブドウ糖から36molものATPが生み出されますが、嫌気性解糖系ではたった2molしか生み出せません。つまり、酸素なしでは酸素を使う場合のほんの6%弱のエネルギーしか産みだせないんですね。

鉄欠乏性貧血で酸素が不足すると嫌気性解糖が増えてしまいます。これでは元気がなくなるのも無理ありませんよね。

鉄欠乏性貧血は慣れるので自分で気づかないことがある

鉄欠乏性貧血では。めまいやだるさだけではなく、動悸・息切れが発生することもあります。頭痛や集中力低下が貧血によって引き起こされることも珍しくありません。

これらは、鉄分の不足によって、血液中に充分な赤血球・ヘモグロビンがない状態で、全身に酸素を運ばなければならないために起こってくる症状なのです。

とはいえ、大量出血などで起こった場合ではなく、徐々に貧血が進行してきた場合には、身体がそれに慣れてしまって自覚症状が充分に表れてこない場合があるのです。

人によっては、たまたま受けた検査で貧血を指摘され、鉄分をお薬で補充して初めて、お薬を飲む前には体調不良があったことに気づくという場合すらあるのです。

鉄分が不足することで起こる様々な症状

鉄欠乏性貧血は意外に自分では気づきにくく、他の人から指摘されて受診したりすることが多いようですね。代表的なのは「顔色の悪さ」です。その他、瞼の裏に血の気がないということもよく見られる症状です。

また皮膚や粘膜が傷みやすいと言うことも挙げられます。特に粘膜を健康に維持するには鉄分は不可欠だからです。このことから、鉄欠乏性貧血では、やはり粘膜で覆われている喉の炎症によって、物が飲み込みにくくなることがあります。

歯科の病気として知られるプラマー・ビンソン症候群も、舌炎・口角炎・嚥下障害が特徴の症候群で、鉄分不足によって引き起こされます。

さらに爪が脆くなったり、爪が変形したりと言う女性にとっての悩みの種も、鉄欠乏性貧血が原因になっていることが少なくありません。こうした兆候が見られたら食生活を振り返ってみましょう。

鉄欠乏性貧血は大人も子供も異食症が現れる

鉄欠乏性貧血は、こうしたエネルギー不足だけではなく、神経伝達物質の不足から神経症状も発生させます。

鉄の不足は神経伝達物質の合成に必要なモノアミン酸化酵素の低下,海馬,前頭葉などにおけるチトクローム酸化酵素の低下も引き起こし,

小児では発達,発育障害,易刺激性の亢進,注意力の低下,情緒障害,学習障害,異食症など,

成人でも易疲労感,いらいら感,活力低下,運動能の低下,異食症,むずむず足症候群などの神経精神症状が起こる。

(リンク先「ファイル」よりPDFダウンロード可)

モノアミン神経伝達物質とは、アドレナリン・ヒスタミン・ドーパミン・セロトニン・ノルアドレナリンなどです。これらの物質の調整に必要な能力が低下するため、神経症状が現れるということです。

その神経症状の中でも、大人でも子供もでも異食症は症状の一つに数えられていますし、実態としては氷食症が異食症の中心であるようです。

子供の発達・学習・情緒障害にまで鉄分不足が絡んでいたと言うのは大変ですね。子供はお肉が好きですから、既製品のハンバーグではなく、お肉を焼いて食卓に乗せるようにしましょうね。

また、「易刺激性の亢進」とは難しい言葉ですが、なじみのある言葉で言うと「キレやすい子供になる」と言うことです。

鉄分は本来それほど大量に必要なものではないけれど…?

鉄分は、月経以外に生理的かつ積極的に排泄される機構がありません。つまり、鉄分の大半は体内でリサイクルされて使い回されているということなのです。例えば髪や爪、皮膚などに含まれる鉄分が自然に脱落していったり、汗とともに微量が失われる程度なのです。

一方、体内にある鉄分のおよそ2/3は血液中のヘモグロビンとして使われていますので、出血と言うのは非常に大きな鉄分損失の機会と言うことになってしまうのです。

鉄分は思春期の子供では大人より大量に必要

男女とも、最もたくさんの鉄分が必要とされるのは、10歳から17歳くらいの間です。これは身体が大きくなるにつれて血液量も増加するため、赤血球に使われるヘモグロビン用の鉄分も純増分が必要とされるからです。

もともと女性では生理の分として男性より30%~40%程度鉄分が多く必要とされています。ですので、初潮を迎えた10歳~17歳の女性では、18歳~29歳の男性の2倍の量の鉄分摂取が求められています。

一方出血を除く原因の、大人の一日の鉄分損失は1~2mg程度だといわれていますので、それを十二指腸で吸収できれば補充としてはこと足ります。

厚生労働省が示している鉄分摂取の一日推奨量は、成人男性で7.0~7.5mgです。と言うことは、吸収効率は13%~35%程度と考えられているようですね。しかしヘム鉄でも吸収効率は25%程度がやっとです。

つまり、出血によらない生理的な鉄分損失は、多くても1.8mg強程度だと見積もられているようです。いずれにせよ、13%の効率ですら非ヘム鉄では供給不可能ですから、普通の量の食品で得るなら動物性の食品からのヘム鉄は不可欠です。

このことは言い換えると、お肉や魚を食べずに鉄分を摂ろうと思うと、最低でも推奨量の2.5~3倍を摂る必要があると言う事ですね。

仮にほうれん草から鉄分を十分摂ろうと思うと、10歳から17歳の生理のある女性の場合、毎日2.1㎏を食べなければいけません。一方、豚レバーであれば、加熱前の重さで100g強も食べれば充分事足りるのです。

精肉の場合含有量は下がりますが、組み合わせで考えましょう。例えばほうれん草と豚肉・卵を炒めたものなどは、お勧めですね。これに、レモン果汁を使ったサラダなどを合わせれば、鉄分の吸収もアップするので、非常にいい献立と言えるでしょう。

成人男性で鉄分不足になるのは病気が原因

もちろん女性でも出血性の病気になると、生理による出血と合わせてさらに貧血傾向が高まりますので注意が必要です。しかし、主な鉄欠乏性貧血の原因は次のような傾向が強く現れます。

年代・性別 鉄欠乏性貧血の原因
若い女性
  • 生理
  • ダイエットによる鉄分不足
若い男性
  • 胃潰瘍
  • 十二指腸潰瘍
  • 痔による出血
中年女性
  • 子宮筋腫による
  • 月経過多
中年以降の男女
  • 胃がん
  • 大腸がん

成人女性の鉄分の摂取推奨量は、一日当たり10.5mgです。男性では7.0~7.5mgですが、男女ともに10.5mg/日くらいは摂っておいた方が良いのでしょう。

赤血球を量産する妊娠時には鉄分の必要量が急激に増加する

なお、妊娠中もHbFと言う胎児の血液の赤血球に使われる専用のヘモグロビンのために鉄分の要求量が増えます。授乳中ももちろん増加しますね。妊娠初期や授乳期では1日当たり9mg程度、妊娠中期以降では21.5mgも必要になります。

場合によっては産婦人科の方で鉄剤の処方を受けた方が良い場合もあるでしょう。妊娠初期や授乳期では妊娠していないときより減っているように見えますが、これは生理によって失われるはずだった鉄分が、赤ちゃんのために使われるからです。

もちろん、中期以降でも同じですが、赤ちゃんが大きくなってくるとそれだけでは間に合わなくなるということですね。

鉄分が効率よく摂れる食材!加熱はOK、水に晒すのはほどほどに

ここで、ヘム鉄として10.5mgの鉄分が取れる食材をいくつか紹介しておきましょう。

食品 鉄分10.5mgを摂るのに必要な量
あさり水煮缶 36g
煮干し 59g
干しエビ 70g
豚レバー・生 81g
鶏レバー・生 117g
牛・生センマイ 154g
天然アユ・焼 190g
汀線ハマグリ・生 206g
鶏ハツ 206g
シーチキン缶詰 263g

もちろん、単品でこれを摂るのは無理がありますから、野菜類の非ヘム鉄やビタミンCも利用して、うまく組み合わせて下さい。

鉄分はミネラルですから、加熱しても壊れません。肉類はよく焼いて食中毒を避けて下さいね。また、水で洗い流されますから、長時間水に晒すような処理は避けましょう。

こうして並べて見てみると、好みの食材が多いから私は貧血にはなりそうもありません。ヘレンさんたちはどうでしょうか、一度聞いて見ましょう。

冷蔵庫がなかった時代に氷食症はなかった?

私たちの生活の中では、冷蔵庫と言う存在はごく普通のものですからあまり意識しませんが、では例えば電気冷蔵庫が存在しなかった明治時代に氷食症はなかったのでしょうか。

でも、妊娠にともなう鉄分の欠乏などは栄養状態が良くなかった時代には、現在よりも多く存在したんじゃないかと言う気がしますよね。

いにしえより異食症は存在した

昔の文学や、古い映画などを見ていると、妊婦さんがつわりの症状として壁土を食べるという表現を目にすることがあります。典型的な異食症ですね。つまり、氷のなかった時代には、壁土を食べていたということになります。

壁土は食べ物ではありませんから、周囲の人がそれを見とがめてストップをかけると言ったことも珍しくなかったのかもしれません。

氷は栄養にこそならないものの、一応食べて害のあるものではありませんし、見られても違和感は少ないでしょう。ですので、現代では氷食症と言う形を取るのかもしれません。

同じ理由で子供の場合食感を求めておやつを摂りすぎることもある

子供が家で、冷蔵庫から始終氷を取り出してガリガリやってたら、親が心配しますよね。そうした干渉を避けるためか、本人自身が食べ物としての安心感を求めるのか、鉄欠乏性貧血で特定のおやつに偏るという現象があるようです。

例えばおせんべいやあられなどは、噛み砕いたときの感触が氷に近いかもしれません。またラムネ菓子や海苔も、弱いながらそうした感触があります。

思春期の鉄欠乏性貧血では、こうしたものに偏る食習慣が見られることもあって、氷食症のような異食症ではないものの、それの代償行為かもしれないということが言われています。

場合によっては噛み砕く感触がないはずのガムに執着する子もいるようですね。しかし、子供がおやつをよく食べるのはむしろ自然なことですから判断に苦しみます。

全体として常軌を逸していると親御さんが判断されたら、顔色が悪くないか、瞼の裏が真っ白じゃないかを見た上で、小児科を受診して貧血の検査を受けてもらうのがいいでしょう。

特に思春期のお子さんでは男女問わず鉄分の要求量は大人より多いので、充分注意する必要があります。

私は子供時代から今に至るまでおせんべいが大好きですが、幸いなことに貧血であったことはないと思います。こうしたことは個人差が大きいのかもしれませんね。
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