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お酒を我慢しないで胃がん予防!適正なアルコールの量と濃さとは

ビールを乾杯する人たち

お酒を飲むと、アルコールの悪影響で胃がんになるんじゃないかと心配されている人も多いでしょう。そんな方々に朗報です。他に病気がないのであれば、胃がんを予防するために「禁酒」する必要はありません。

節度ある飲酒量であれば、日常的にお酒を飲んでも胃がんのリスクを増やすことはないのです。ただし、リスクを上げる可能性のある飲み方と言うものは存在しています。お酒は楽しく安全に飲みましょう。

飲酒と胃がんの関係は確認されていない

お酒を飲むこと自体が発がん性のリスクであることは間違いありません。国際がん研究機関による発がん性リスク一覧でも、アルコール飲料は「ヒトに対する発がん性が認められる」グループ1に分類されています。

グループ1には「放射性ヨウ素による被ばく」「アスベスト」「ベンセン」なども含まれていますから、これらと同じ程度の発がん性リスクを持っているということです。ただ、胃がんについては、まだ充分確認されていません。

国立がん研究センターによる複数の研究の分析結果

国立がん研究センターは、大規模コホート研究であるJPHC Studyの中心的参加機関でもありますが、他の研究機関が行ったコホート研究や病院などの症例対照研究の報告を横断的に研究するということも行っています。

(コホート研究:何らかの要因に曝露された集団と、そうでない集団を一定期間追跡して、病気の発生頻度を比較研究する「要因対照研究」のこと)

日本人の飲酒と胃がんリスクとの関連

日本人の飲酒と胃がんリスクとの関連を調べた研究を調べると、飲酒量の評価を詳細に行った研究や、喫煙習慣・食事要因など胃がんリスクに影響をあたえる他の要因を考慮した研究、あるいは胃がんの発生部位を考慮したものが、これまでほとんどありませんでした。

欧米のいくつかの症例対照研究でも結果が一致していないものの、飲酒による胃噴門部がんのリスク上昇が報告されています。

以上から、これまでにおこなわれてきた疫学研究では方法論的な問題点があるため、日本人において、飲酒によって胃がんのリスクが高くなるというエビデンスは「十分ではない」という結論になりました。

このように、研究方法が不充分であることも影響して、日本人において飲酒と胃がんの間に関係があるということは必ずしも断言できないという結果になっています。

飲酒と関係のあるがんもあるので注意は必要

国際がん研究機関によると、飲酒が発がん性のリスク要因になることが確認されているのは、次のがんです。

  • 口腔がん
  • 咽頭がん
  • 喉頭がん
  • 食道がん
  • 肝臓がん
  • 大腸がん
  • 乳がん
口腔から食道までは、濃い濃度のアルコールが触れる可能性の高い器官だからなのでしょう。胃については食道の次に来るわけですが、食道までとは全く性質の異なる器官ですので、同じようには考えられないのかも知れません。

肝臓はアルコールを代謝する器官ですし、代謝中間生成物のアセトアルデヒドは毒性の強い物質ですから、これも理解できます。

大腸がんと乳がんについて、お酒でがんができるメカニズムは、ある程度推定はされていますが、まだはっきりとした原因は判っていません。

乳がんについては、日本人でははっきりとした傾向が現れておらず、国際的な研究でリスクが高まるということが判っているだけです。

胃粘膜は強力な胃酸でも傷まないような保護機構があるので、その分お酒にも強いのかもしれませんが、アルコールと言うのは有機溶剤としても使える強力な物質ですので、濃いお酒は要注意です。

お酒の発がん性はアルコール濃度とお酒の量の両方から

濃いお酒は身体に悪いからビールにしておこうと言う判断は、半分正解ではありますが、半分は正しくない判断なのです。もちろんウイスキーで「ストレート・ノーチェイサー」などと気取るのは、決して良くありません。

お酒による害はアルコールの濃度が影響すると考えられる場合と、トータルで飲んだアルコールの絶対量が影響すると考えられる場合があるのです。

(「ストレート・ノーチェイサー」で格好をつけると言うことについては、最後の方にあるドクター・ヘルシーのひとことをご覧下さい。)

濃いアルコールはたんぱく質を変性させる

消毒用アルコールと言うものがあるので、高い濃度のアルコールがたんぱく質を変性させて殺菌作用があることは、なんとなくよく知られているのではないかと思います。消毒用のアルコールは、だいたい80%くらいの濃度です。

しかし、実際には中くらいの濃度のアルコールでもたんぱく質を変性させる力があります。その結果、中濃度のアルコールは血管などの組織を縮める収れん作用を持っています。

収れん作用は、例えば止血・鎮痛作用として役に立つ場合もありますが、恒常的にそれが作用していると、組織に充分な血液が届かなくなるなどの良くない効果も表れてきます。

こうしたことによる発がん性と言うのが、先に紹介した、口腔・咽頭・口腔・食道などにできるがんをもたらしている可能性があります。

アルコールの一次代謝物であるアセトアルデヒドは毒性物質

お酒を飲むと、アルコールは小腸で大半が吸収されて血流にのり、肝臓で分解されます。その第一段階ではアルコール脱水素酵素によって、アルコールが酸化されアセトアルデヒドと言う毒性の強い物質に代謝されます。

その後、アルデヒド脱水素酵素によってさらに酸化され、無害な酢酸になります。しかし、日本人には、このアルデヒド脱水素酵素の働きが非常に弱い場合やまったく不活性である人が半数を占めています。

こうした場合、アセトアルデヒドが体内に長く残り、それが肝臓がんの原因になっていると考えられます。

アセトアルデヒドが発生する量は、お酒の濃さとは関係なく、アルコールとしての絶対量だけが問題になります。例えば、40%濃度のウイスキーをストレート・シングルで飲んだ場合、強いお酒を飲んでいるという実感は口の中に残ります。

しかし、シングルは30mLですから、純粋なアルコールの絶対量は12mLです。一方、ビール生中1杯は、夏場にのどが乾いていたら、美味しく一気飲みできるかもしれません。

しかし、ビールはだいたい5%くらいの濃度なので、生中1杯500mLとしたら純粋なアルコールの量は25mLになり、40%濃度のウイスキーの、シングルの2倍以上のアルコールを飲んだことになるのです。

アセトアルデヒドはアルコールから作られますので、濃い薄いは関係なく、飲んだ絶対量がすべてになるのです。これが肝臓がんをもたらしていると考えられます。

栄養の面からもアルコールはトラブルを起こす

大腸がんや乳がんについては飲酒によってリスクが高まるということは、疫学的研究で明らかになっていますが、まだそのメカニズムは100%確定したわけではありません。

それでも、現在有力視されている説があります。それによると、アルコール自体も、その代謝物であるアセトアルデヒドも、ビタミンB群の1つである葉酸の働きを阻害します。

葉酸の働きが阻害されると、遺伝子の異常メチル化(低メチル化)が起こり、初期のがんを発生させると言う説が有力になっているのです。

このメカニズムに従うと、アルコールやアセトアルデヒドの影響を受けやすい臓器では、どこにでもがんができる可能性がありますね。

考えてみれば、アルコールは生き物であるバイキンを殺せるのですから、量が過ぎれば人間だって傷めつけることができるのは、極めて自然なことですよね。

蒸留酒は必ず何かで割って飲むことでたんぱく質の変性は防げる

一般的な醸造酒は濃度が高くても20%以下のアルコールしか含まれていません。それに対して、私たちが普段接する機会の多い蒸留酒では45%くらいの濃度のものは珍しくありません。

ですので、蒸留酒については必ず何かで割って、アルコール濃度を20%未満に下げて飲むようにすれば、アルコールが身体の組織を直接害するというリスクは回避できるでしょう。

醸造酒は量に気を付けておけば問題ない

厚生労働省が示している「節度ある飲酒」と言うのが、アセトアルデヒドの代謝に問題のない健康な中年以前の男性で、純アルコール量として1日に20gとされています。

醸造酒の場合、高濃度のアルコールが含まれていることは少ないので、そのまま飲んでも問題ありません。量に気を付ければOKです。

アルコール濃度5%のビールであれば、500mLで25mLのアルコールが含まれています。5℃に冷やしてあった場合、アルコールの比重はおよそ0.8なので、グラム数にすると約20gです。

日本酒(15%濃度)でも同様に計算すると、冷や酒で170mL弱、熱燗で180mL弱くらいがアルコール20gの摂取量になる計算になります。つまり、一日に飲んでいいお酒の量は、ビールで中ビン1本、日本酒で1合くらいと言うことです。

他の醸造酒で言うと、ワイン(濃度12%)で200~210mL(ワイングラス約2杯)、韓国濁酒(マッコリなど:濃度7%)で2合、中国黄酒(紹興酒や老酒:濃度15%)は1合くらいが上限です。

女性や高齢者、お酒に弱い人は、この7割ぐらいを上限にされるのが良いでしょう。

蒸留酒は消毒用アルコール以上のお酒もある

蒸留酒は醸造酒を蒸留してアルコール濃度を高めてから熟成したものなので、ベースになる醸造酒よりはずっとアルコール濃度が高くなります。

ですので、そのまま飲むとアルコールで体組織が傷ついてしまう危険性があります。ウォッカの最高峰、スピリタスはアルコール濃度95%と、消毒用アルコールよりも15%も濃度が高いです。

スピリタスを飲む人はめったにいないでしょうから、こう言う例もあると言う程度に見ておいて下さい。

これであっても、シングルの2/3であれば節度ある飲酒の範囲になりますが、ストレートで飲むと身体の粘膜を構成しているたんぱく質が、その場で変性してしまうこと請け合いです。

ウイスキー・ブランデーや焼酎は度数が高いので必ず割って飲む

一方、私たちにとって最も身近な蒸留酒はウイスキー・ブランデー・焼酎と言って良いでしょう。ウイスキーとブランデーは、おおむね40%から45%くらいのアルコール濃度です。

これでも、先に紹介した「中濃度のアルコール」に相当しますので、たとえチェイサー(高度酒のストレートの後に飲むノンアルコール飲料)を飲むことが前提でも、ストレートで飲むことは良くありません。

ストレート・アンド・チェイサーは胃に負担をかけないために、胃の中で薄めるといった前世紀的な発想の飲み方です。

しかし、こうしたお酒のストレートは口・のど・食道にがんを発生させる要因で、チェイサーを飲むときには既に通りすぎていますから、チェイサーにほとんど意味はありません。

お勧めの飲み方は、ウイスキーやブランデー1に対して、水を1.5~2程度加えた水割りです。これなら、高くても濃度は18%くらいに抑えられますので、アルコールの接触による直接的な害は防げるでしょう。

焼酎については、チューハイなどに使われる「連続蒸留焼酎」と、本格焼酎と呼ばれる「単式蒸留焼酎」があります。連続蒸留焼酎は25%または35%のアルコール濃度であることが多いです。

35%だった場合、1:1の割合で割れば17.5%ですからOKです。連続蒸留の物は何かで割ることを前提の造りと言っても良いので、チューハイなどでちょうど良いと思います。

一方、味と香りを楽しむための単式蒸留焼酎は45%のものまで認められていますので、ウイスキーなどと同じです。いわゆる6:4のお湯割りにして、焼酎を4にしておくと粘膜を傷めない良い濃度のお酒になるでしょう。

スピリッツやリキュールに分類されるお酒に注意

スピリッツは蒸留酒と言う意味ですが、ウイスキーやブランデー、焼酎以外でエキス分が少ないものです。ウイスキーなどでもアルコール度数の上限は95%ですから、事実上アルコール濃度の規制はないに等しいです。

リキュールはそれをベースに甘味や香りなどを付けたエキス分の多いもので、カクテルなどに利用されています。

日本には沖縄の焼酎の一つに、与那国島の花酒と言う物がありますが、これはアルコール濃度が60%にもなります。昔ながらの飲み方をすればストレートと言うことになりますが、水やお湯で割っても美味しく頂けます。

むしろ食道がんや喉頭がんになる危険を冒すのは良くありませんので、ストレートで飲むことは避けて下さい。先にお話しした通り、先に焼酎を飲んで後から水を飲んでも手遅れです。

アルコール度数を醸造酒並みに下げるのがベストですので、花酒を2倍以上の水かお湯で割って飲むのが良いですね。一日に飲んでも良い量の目安は40mL程度です。

8オンスタブラーに氷を入れ、花酒を40mL、これに80mLの美味しい水を加えてステアして飲めば健康的で、飲んだ実感もあり、しかも雰囲気のある良いお酒になると思います。花酒は味もしっかりしているので、この程度の薄め方で味が損なわれることもないでしょう。

スピリッツやリキュールはウォッカやジン、ラム、キュラソー、キルシュヴァッサーなど、カクテルベースになるお酒が多いですが、カクテルでは充分にアルコール濃度が下がっていないことが多いので飲む時に注意が必要です。

ウォッカベースの有名なカクテル、スクリュードライバーは、本来の作り方をするとアルコール濃度は34%~38%程度です。ですので、オーダーする時には「ゴールデンスクリューでオレンジをウォッカの2倍」と言っておくと安全です。

これでだいたい16%から18%くらいになりますので、150mLくらいなら発がん性の心配が少ない飲酒量になります。

中国焼酎を飲むのは危険かも知れない

いわゆる中国焼酎の「白酒」(パイジュォ)も50%~60%程度のアルコール濃度です。有名な茅台(マオタイ)酒で53%ですね。問題は、この中国焼酎の飲み方です。中国での乾杯(干杯)は、ストレートで一気飲みがルールです。

干杯ではなく自分のペースで飲む「随意」(スェイー)と言うのもなくはないのですが、その場合でも何かで割ると言う飲み方はありませんので、濃度が高すぎて危険な飲み方になってしまいます。

また、都市部ではリキュールグラスに注がれることが多いので、1杯が30mL程度ですが、地方によっては4倍くらい入るサワーグラスでの干杯になることもあります。

中国の会席と言うと、丸テーブルが基本です。そして、そのテーブルについた人が全員順番に乾杯の音頭を取ることになりますから、少なくても30mL×8人で240mLを飲みます。アルコールの量にすると100gを超えます。

最近では、特に都市部でお酒をあまり飲めない若い人が増えてきたせいで低度酒(35%~40%)も増えてきましたし、一気飲みも少なくはなっています。しかし、それでも濃度が高すぎます。

中国でお酒を飲むのは控えた方が安全です。幸い中国の人は、全くお酒が飲めない人に無理強いをしません。酒席でもビールすら口にしないと言う姿勢を貫けば、ひどい目には合わないので参考にして下さい。

韓国焼酎だけはストレートでも大丈夫かもしれない

同じ東アジアでも、韓国の焼酎「ソジュ」はアルコール度数が20%程度と、濃度高めの醸造酒レベルです。ですので、一応アルコール度数を確認した上であれば、ストレートで飲んでも大丈夫でしょう。

その場合でも、量としては125mL程度(シャンパングラス1杯くらい)を超えないように飲んでくださいね。

お酒はそれぞれの国の文化ですから、その発祥の国のルールで飲むのが楽しくい美味しいです。一方で、高度酒を飲むことが良しとされた、近世のような習慣を残している場合もありますので、くれぐれも注意して下さいね。

ストレート・ノーチェイサーは有名なジャズの楽曲にもなっています。1960年代の作品ですから、強い酒だけを飲むと言うのは、当時の「格好いい飲み方」だったんでしょうね。

作者のセロニアス・モンク氏はアメリカ人ですからそういう意味になります。しかし、イギリスで同じ言葉を使った場合、「弱い酒だけを飲んで、強い酒を追加しない」と言う意味になります。こちらは現代に通じる表現ですね。

胃がんに限らずがんを防ぐには濃くないお酒を節度ある量で

日本人について、飲酒と胃がんの間には充分な関係性が見出されていません。しかし、胃がんにさえならなければ、肝臓がんや喉頭がんになっても良いと言う人はいないでしょう。

ですので、がんを防ぐ飲み方と言う物をしっかり認識して、楽しく健康的な飲酒生活を送って下さい。もちろん、もともと飲まない人は飲む必要は全くありません。

その中で、お酒を飲む前に習慣づけてほしいのは「アルコール度数を確認すること」です。そしてその上で、たった2つのことを守るだけでいいのです。

  • 強いお酒は割って、アルコール濃度が20%以下になるよう薄めてから飲む
  • 一日に飲むお酒の量は、純アルコールで20g以下にする

これだけです。純アルコール20gに相当するお酒の量を割り出す計算式を書いておきましょう。

(20÷お酒の度数)×125 (mL)

もっとシンプルに「2500÷お酒の度数」でも良いですよ。簡単ですね。5%のビールなら(20÷5)×125なので500mLです。15%の日本酒なら(20÷15)×125なので167mLと言うことになります。

40%のウイスキーなら(20÷40)×125で62.5mLになりますので、20%以下の濃度にするため、これをウイスキーと同量の62.5mL以上の水やソフトドリンクで割ったものが一日の上限量です。

飲んだと言う実感を味わうには、ウイスキー30mLを60mLの水で割ったものを2杯飲むのがお勧めですね。

度数が判らない場合は、ビール5%、ワイン12%、日本酒15%、焼酎35%、ウイスキー・ブランデー40%、本格焼酎45%で計算しておけば、だいたい問題のない範囲に落ち着きます。

女性と高齢者の場合は、濃さは同じ程度で良いですので、量を7割ぐらいに抑えておいて下さいね。

キャラクター紹介
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