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病院に行かなくて大丈夫?手の震えはあがり症だけじゃない!

たかが手の震え…といっても、人によっては日常生活が困難なほどひどくなる場合もあります。また人前で震える恥ずかしさから、精神的に悩む人もいます。また病気の初期症状の可能性も。たかが手の震えと思わず、あらためて原因を探ってみましょう。

大丈夫な震えと危険な震え

手の震えは大きく分けて、生理的なものと病気からくるものとに分かれます。一般的に生理的からくる震えは、治療をしなくても大丈夫ですが、病気が原因の場合は、早めに治療をしなければ深刻な状態になってしまうことがあり、危険な震えといえます。

しかし生理的な方も身体的には大丈夫とはいえ、症状がひどくなり日常生活や精神面に影響が出れば、なんらかの対処、または病院での治療が必要となります。ですから自分の手の震えの原因を知ることは、とても重要なのです。

生理的振戦と本態性振戦

手の震える原因で一番多いのが、生理的振戦と本態性振戦です。振戦(しんせん)とは医学の言葉で「震え」を意味します。ではこの生理的振戦と本態性振戦とは、どんな震えなのでしょうか?

身体の正常な反応である生理的振戦

私たちの身体は、もともと一定のリズムでいつも細かく震えています。そのいつもの微細な震えが、寒さや、興奮、恐怖、緊張をした時に増大するのが生理的振戦です。この生理的振戦は誰にでも起こることであり、身体的にまったく問題のない正常な反応です。

生理的振戦が激しくなる本態性振戦

身体的に正常な震えである生理的振戦も、度を越して激しくなることがあります。それが本態性振戦です。ですがその違いの境界線はあやふやであり、どこからが本態性振戦と呼べる症状なのかは明確ではありません。

長らく手の震えというのは、あがり症など、ただ単に緊張が増した時に出る精神的なものとして放置されてきました。しかし現在では手の震えの症状を訴える人が増えてきました。それにあわせて、症状の重い手の震えを生理的振戦とは違う、本態性振戦という病気としてのカテゴリーに加えられるようになりました。

やっかないな震え「本態性振戦」

本態性振戦の「本態性」とは医学用語で原因不明という意味です。ですから本態性振戦の手の震えは、かなりやっかいな震えといえます。生理的振戦でしたら、寒さや恐怖、緊張などの状況が過ぎ去れば、一時的なものなのでしだいに震えは止まります。

また誰にでもあることですし、さほど気になりません。ですが本態性振戦の場合は生理的振戦が増幅したものとはいえ、自力で震えをおさめるのは困難です。しかし改善法は必ずあります。ではその本態性振戦をさらに詳しくみていきましょう。

あがり症による震え

あがり症による手の震えも、日常生活や、本人の精神的圧迫が強ければ本態性振戦に入ります。あがり症による手の震えに悩んでいる人は意外なほど多く、仕事上でさしつかえるほどになると、もはや「たかがあがり症」とは言えない問題となります。

誰でも人前で話す時は、ある程度あがるものです。そしてそれによる身体の震えも実際に起きています。あがり症による手の震えは「失敗したらどうしよう」といった不安や緊張感が過度に増幅しすぎてしまい、自律神経に作用してしまうことで起こります。

さらに「失敗してしまった」という経験をしてしまうと、それがトラウマとなってしまい、さらに悪循環となってしまいます。普段なら正常な範囲である生理的振戦が枠を超え、増大した緊張感により手が大きく震えてしまい、第三者にも分かるほどになってしまいます。あがり症の手の震えで一番多いのが、文字を書く時に起こるケースです。

高齢による震え

生理的振戦により、私たちの身体はいつも微妙に震えているのですが、普段はその運動神経系の震えるという基本動作はきちんとコントロールされています。しかし高齢になるにしたがい、筋肉の衰えと神経細胞の減少などで、そのコントロールを若い頃のように制御していくのが困難となってしまうのです。

このように、老人性振戦は老化による身体の機能の衰えが原因なのですが、特徴として安静にしている時でも震えが出てしまうことです。これは安静時振戦といって、筋肉がリラックスしている時に震えだし、身体を動かすと止まります。

まったく原因不明の震え

極度なあがり症というわけでもなく、また高齢でもないのに手の震えが止まらない原因不明の震えも、本態性振戦の大きな特徴のひとつです。震えのみの症状のため、生命維持などの身体的な影響はまったくありません。

ですから基本、生理的振戦と同じように特別な治療はせず、放っておいてもかまいません。この場合の本態性振戦は、分かりやすくいえば「体質」です。たとえば原因が分からず、体質で高血圧になる症状も本態性高血圧といいます。

ですから原因不明の本態性振戦は、震えが起こる体質といってよいでしょう。遺伝する傾向もあり、本態性振戦の患者の約40%に、家族内に同じ症状があるという結果が出ています。ですからある意味ではあきらめて、上手に付き合っていかなければならない病気ということになります。

しかし人前では症状がひどくなる傾向があるので、精神的に大きく悩んでしまったり、震えのために日常生活のあらゆる動作が困難となる場合もあります。いくら震えのみの症状とはいえ、ここまでひどくなれば病院での治療が必要となってきます。

原因不明の本態性振戦治療

原因不明の本態性振戦の治療には、交感神経遮断薬がとても有効的だとされています。しかし、この薬は高齢者や低血圧、ぜんそく、心臓が弱い方には副作用の恐れがあるので、これらの持病を持っている方には使用することができません。

ただ、病院で手の震えが本態性振戦だと分かることにより、理由がまったく分からなかった頃よりは安心することができるでしょう。また病院に行くことで、この本態性振戦と上手につきあっていく術を医師と相談できるメリットもあります。

本態性振戦を自力で少しでも改善するには

本態性振戦は確かに原因不明の病気ですが、遺伝でない限り、全体的に広い視野でみれば日常生活を見直すことで、症状を軽くすることは可能です。それはあがり症や、高齢による老人性振戦も同じです。では、病院の薬に頼らず、自力で本態性振戦の症状を少しでも軽くする対策方法をみていきましょう。

  • 早寝早起きの規則正しい生活、睡眠をしっかりととる。
  • できるだけリラックスできる時間を作る。
  • お酒とタバコをやめる。
  • 塩分を控える。
  • 脂っこい食事を控える、できるだけ和食にする。
  • 便秘にならないように気をつけて便通を良くする。
  • 適度な運動をする。
  • 腕や手の筋肉を酷使しないようマッサージをする。

これらのことを日常生活の中で気をつけていけば、身体の基本的な機能を高めることができます。このように身体と心が元気になることは、本態性振戦の改善にとても大切なことです。

治療が必要な手の震え

「たかが手の震え」とあなどれない理由は、震えること以外は身体的に問題のない本態性振戦が、大きな病気の初期症状にそっくりだという点です。ですから自分勝手な判断で、手の震えの原因を決めてしまうのはよくありません。では手の震えが症状として出る病気で、治療もしくは検査が必要なものをみていきましょう。

脳梗塞

脳梗塞は血管が詰まったり狭くなってしまうことで、脳へ酸素や栄養分が届かなくなり、脳の組織が部分的に機能しなくなる病気です。突然襲ってくる怖い病気のイメージがありますが、何かしらの前兆はあります。そのひとつが手の震えです。

【48才 Sさんの事例】
脳梗塞で倒れる約一週間前から、ひどい肩こりがあり、身体全体がだるく、歩いていると躓いて転びそうになった。シャツを着ようとした時に手が震えて、ボタンがなかなかかけられなかった。
【55才 Kさんの事例】
脳梗塞で倒れる約一ヶ月前ぐらいから手が震えて、文字が書きづらいと感じるようになった。ある日、カラオケでビールを注いでもらおうとコップを差し出した時に、手がブルブルと震えだした。

脳梗塞による手や足の震えの特徴は、これらの事例のような震えが起こると数分から1時間程度で治まり、再び場面を変えて幾度となく繰り返して起こるようになるという点です。脳梗塞は生命の危険に関わる重大な病気です。

たとえ一時的なもので、すぐに手足の震えが治まったとしても、このようにあきらかにおかしいと思える、手の震える症状が出た時には、必ず早めに病院に行ってください。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病、橋本病)

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺から出るホルモンが過剰に分泌されてしまう病気です。甲状腺ホルモンとは簡単にいうと、身体の新陳代謝を調節するホルモンです。体温や脈拍の調節、自律神経の働きやエネルギーの消費を安定させる大切なホルモンです。

この甲状腺ホルモンは、少なくなりすぎても多すぎても、身体にさまざまな不調を起こしてしまいます。甲状腺機能亢進症は、甲状腺ホルモンが多く出すぎてしまうために、手の震えが症状として現れます。

甲状腺機能亢進症の手の震えの見極め方は「脈が速くなる」「汗かきになる」「食欲があるわりに痩せていく」「月経が少なくなる」「髪の毛が抜ける」などがあります。しかしこれらの症状は他の病気でもみられます。

しかし、甲状腺機能亢進症の最大の見極めポイントとして、首の真ん中のノド仏のすぐ下にある甲状腺が腫れてきます。甲状腺は男性よりも女性の方が大きく、腫れてくると首が太くなったように見えます。手の震えと同時にこのような症状がみられた場合は、すみやかに病院に行って詳しく検査をしてもらいましょう。

パーキンソン病

パーキンソン病とは、脳が出す命令がうまく伝わらず、身体がスムーズに動かせなくなってしまう病気です。日本では約1,000人に1人の割合で発症しており、決して珍しい病気ではありません。このパーキンソン病は、脳内の神経細胞が減ってしまうことが原因ですが、なぜ減ってしまうのかは今だにハッキリとは解明されていません。

パーキンソン病の初期症状として、片方の手足の震えがあります。パーキンソン病の手足の震えの特徴は、身体が活動している時よりも、椅子などに座ってリラックスしている時に震える安静時振戦であることです。

先にも述べましたように、安静時振戦は老人性振戦の場合にもよく起こる症状です。実際にパーキンソン病の発症は、若い人よりも高齢者が多い傾向があります。パーキンソン病自体は命にかかわる病気ではありませんが、高齢者の場合は手足の震えが誤嚥性肺炎(誤って飲食物が気管に入り起こる肺炎)や転倒、骨折の原因となります。

手足の震え以外に「身体の動作が重くなる」「身体のバランス感覚が悪くなる」「筋肉がこわばる(無表情)」などの症状がみられた場合は、病院で検査をしてもらうことをおすすめします。

薬剤性振戦

薬剤性振戦とは、服用している薬の副作用として手の震えがおきます。これは比較的起こりやすい症状です。見極め方としては、何らかの新しい薬を飲み始めてから震えるようになった場合は、薬剤性振戦を疑わなくてはいけません。

手の震えの度合いによっては、薬の服用を中止、または変更をしなければならない場合もありますので、早めに医師に相談してください。

アルコール依存症からくる震え

その名の通りアルコール、すなわちお酒の依存からくる手の震えのことです。アルコール依存症というと、海外ではよく耳にするものの日本では一般的ではなく、何となく特殊な人がなるイメージがありますが、決してそうではありません。

たとえば、いつも飲んでいるお酒の量を減らそうと思っても、なかなか減らすことができない場合や、またお酒が弱く酔い癖が悪いのになかなかやめられないという場合も、広い意味でアルコール依存症といえるのです。

アルコール依存症は、本人でも気づかないうちに徐々に進行していきます。ですから初期の段階で気づき、早めにお酒の量を減らすなどの対処をすることが重要です。その初期症状の見極めれる症状のひとつとして、手の震えがあります。アルコール依存症の手の震えは、飲んだ翌日に手が震えてうまく字が書けないといった症状が出ます。

このような手の震えに合わせて「飲まないとイライラする」「飲まないと眠れない」「眠りが浅く悪夢を見てすぐ目が覚める」「寝汗をかく」などの症状がみられた場合には、アルコール依存症を疑いましょう。

アルコール依存症は、身体の健康にさまざまな害を及ぼします。「もしかしたらアルコールに依存しているかもしれない」と気づいた段階で食い止めなければ、酒量はドンドン増えていきます。手遅れになると改善が困難となるので注意してください。

その他の手の震え

ここまで紹介してきたもの以外でも、比較的起こりやすい手の震えの症状が書痙(しょけい)です。書痙とは字を書く時に手が震えることで、ご紹介してきたどのタイプにもみられる症状です。しかしこの書痙は原因が違います。

職業病でもある書痙

書痙とは、筋肉が意識していないのに、収縮、緊張をしてしまう病気です。この書痙は指をよく使う作家、教師、設計士、ピアニスト、ギタリストなどの職業に就いている人に、出やすい傾向があります。

これらの職業の方は書痙により、手の震えが重症化してしまえば、仕事を継続させることに影響を与え、死活問題となります。また実は、これらの職業の人以外でも書痙になってしまう場合があります。

【38才 Tさんの事例】
一般企業に勤めるTさんは、ある日いつものように書類に文字を書こうとして、いきなり手が震えるようになった。震えるのは手だけであり、また文字を書く時だけに症状が現れる。

Tさんは特別あがり症というわけではなかったのに、症状が進むにつれ人前で文字を書くことが恥ずかしくなり、さらに手が震えるようになってしまった。思い当たることは仕事でよく文字を書くことと、ペンの持ち方が不自然であることと、筆圧が強いことだった。

このTさんの事例をみると、書痙になったのは、文字をたくさん書く上に、ペンの持ち方、強い筆圧など、毎日毎日、指に大きな負担を蓄積していたことが原因だと分かります。

このように、書痙は一般的な仕事をしている人たちでも、ペンの持ち方や筆圧の強さなどで、症状が起こりうる病気だということです。ペンの持ち方、筆圧の強さ、また続けて文字を書かずに、休憩を入れて指を休めることが大切だといえるでしょう。

まとめ

「手の震え」という症状が、このようにさまざまな原因から起こることが分かっていただけたと思います。特に病気が原因の場合は、初期症状である手の震えの時点で気づき、早めに治療をすることが大切です。手の震えの症状がひどい人や、そんなにひどくなくても精神的に辛く悩んでいる方は、自分の手の震えの原因を探ってみられることを強くおすすめします。

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