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潮干狩りのアサリで食中毒に!貝毒の症状は想像以上に危険です

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楽しい潮干狩りに行って、獲ってきたアサリを調理して夕食のおかずに。ところがその後、身体に不調が…。

もうご想像がつくと思いますが、この原因はアサリにあります。とれたてで新鮮なアサリを加熱調理しても、貝毒があれば中毒症状がでてしまうのです。

貝がもつ貝毒

良く話題になるのは牡蠣が貝毒を持ってしまったというもので、年に数回はニュースなどで流れますよね。

牡蠣が養殖されている海に毒性を持つプランクトンが発生し、牡蠣がそれを食べることで毒を持ってしまった、というものです。

牡蠣とアサリはどちらも二枚貝なので、ほぼ共通の貝毒を持つことが知られています。

貝毒の種類

ひとくちに貝毒と言っても種類があります。まず、巻貝と二枚貝では全く異なった貝毒を持っています。

巻貝は貝の性質として毒を持っていることが多いのに対して、二枚貝は毒性プランクトンを食べたことで貝に毒性物質が蓄積してしまう、という違いがあります。。

潮干狩りで巻貝を獲ることはないでしょうから、巻貝については最後の方で少し紹介するにとどめて、まずは二枚貝の貝毒について紹介します。

アサリなどの二枚貝に含まれる可能性がある貝毒は以下の5種類です。

  • 下痢性貝毒(オカダ酸・ジノフィシストキシンなど)
  • 麻痺性貝毒(サキシトキシン・ネオサキシトキシン・ゴニオトキシンなど)
  • 記憶喪失性貝毒(ドウモイ酸 )
  • 神経性貝毒(ブレベトキシンなど)
  • 下痢性貝毒類似(アザスピロ酸)

ちょっと怖そうな名前もありますが、日本で中毒が発生したことがあるのは上の二つだけで、下の三つについては国内での中毒事例はありません。

ただ、海外で食べる牡蠣やムール貝では下の三つについても中毒例がありますし、死亡例もあるので貝毒の監視を行っている国以外では食べない方が安全でしょう。

下痢性貝毒による食中毒

下痢性貝毒は二枚貝を食べて30分から4時間くらいで、

  • 下痢
  • 吐き気
  • 嘔吐
  • 腹痛

と言う典型的な食中毒症状を起こします。

比較的軽症の部類で、後遺症が残ったり死亡したりと言う例は見当たりません。3日以内で回復することがほとんどです。

自然毒による食中毒には珍しく集団食中毒を引き起こすことで知られますが、それゆえ先進国ではモニタリングが進んでおり、わが国では20世紀終わりからこちら、この貝毒による食中毒は報告されていません。

ただし、報告されるのは漁業者や生産者によって管理された貝類だけなので、個人が潮干狩りであたった分については報告されませんから要注意です。

これまで日本で報告された中毒例は、

  • ムラサキイガイ(ムール貝)
  • アサリ
  • ホタテ
  • アカザラガイ
  • イガイ
  • イタヤガイ
  • コタマガイ
  • チョウセンハマグリ
  • 牡蠣

などと非常に幅広く分布します。

特にムール貝に良く発生するようですが、養殖海域では毒性プランクトンや貝毒の蓄積状況がしっかり監視されていますので、流通しているものでは貝毒の心配はないでしょう。

余談ですが、誤解のないように付け加えさせて頂きます。上でお話しした貝毒を持つ貝の中にチョウセンハマグリと言うのがありますが、これは純国産種の高級ハマグリです。

一般に出回っているハマグリは、標準和名のハマグリ、侵略的外来種ですがやはり食用のシナハマグリがある関係で、チョウセンハマグリと言うと「朝鮮ハマグリ」だと勘違いされる方が多いんですよ。

実は「汀線ハマグリ(ていせんはまぐり)」が訛ってチョウセンハマグリになったのが本当のところで、日本原産の大型ハマグリです。国産ブランド貝の鹿島灘ハマグリなどはこの汀線ハマグリなんですよ。

麻痺性貝毒による食中毒

麻痺性貝毒は食後30分くらいから軽い麻痺が始まります。

フグ中毒とよく似た症状で、麻痺は全身に広がり、最終的には呼吸麻痺で死亡することもあります。

死亡例もある強い毒なので、貝を食べてしびれを感じたら、救急車を呼んだ方が良いかもしれません。その際、残った貝があったら忘れずに持って行って病院に提出して下さい。

この貝毒も貝毒モニタリングの開始後、市販品での食中毒は起こっていませんが、まれに潮干狩りなどで個人的に食べた人が食中毒を起こしているようです。

下痢性の食中毒とは違って生命に係るようなものですので、個人が獲って食べたものでも報告が上がるのでしょう。

国内では

  • ホタテ
  • アサリ
  • アカザラガイ
  • 牡蠣
  • ムラサキイガイ(ムール貝)

などの他、 ホヤやウモレオウギガニ(スベスベマンジュウガニの仲間、どちらも有毒種です)での中毒例が報告されています。

また、輸入品のセイヨウトコブシから検出されたこともあるようですね。

海外での食中毒

気軽に海外に出かけられる今のことですから、どんなものがあるのかをご紹介しておきましょう。

記憶喪失性貝毒による食中毒

記憶喪失性貝毒は食後数時間で吐き気・嘔吐・腹痛・頭痛・下痢が起こります。重症になると記憶喪失・混乱・平衡感覚の喪失・痙攣が起きます。

さらに悪いと昏睡により死亡する場合もあります。

ムール貝やホタテがこの毒を持つことがあるようですが、1987年にカナダで100名を超える集団食中毒が起こって以降、発生していないようです。

神経性貝毒による食中毒

神経性貝毒は食後1~3時間くらいで、口の中の灼熱感やしびれ・運動失調・温度感覚異常などの神経症状が出ます。腹痛や嘔吐、下痢などを伴う事もあります。

アメリカやニュージーランドで時々発生しているようですが、死亡するようなこともないため、あまり大きく扱われていないようです。

牡蠣やムール貝の近縁種であるミドリイガイなどに発生するようです。

アザスピロ酸による食中毒

症状はほとんど下痢性貝毒と同じです。下痢・吐き気・嘔吐・腹痛という典型的な食中毒症状を起こします。

食中毒症状が発生して3時間から18時間程度と、短い時間の症状で治まるようで、体調の復帰を含めても数日で回復するようです。

1995年に初めてこの食中毒が確認されてから現在までのところ、ヨーロッパでムール貝が持っていた貝毒による食中毒がほとんどのようです。

貝毒による食中毒を防ぐには

貝毒の有無を外見や臭いなどから判断する手立てはありません。

ですが、国産のものは貝毒モニタリングも行われていますので、漁業者や生産者によって流通されている貝類で、貝毒による食中毒の恐れはゼロに近いと言っていいでしょう。

国内での貝毒中毒は潮干狩りが原因

しかしながら、国内でも毎年貝毒による食中毒は発生しています。それは潮干狩りなどで個人的に採った貝を食べたことによるものなのです。

貝毒は専門機関での検査以外にその存在を確認するすべがないだけではなく、病原菌ではありませんから加熱しても毒性は消えません。

毒の種類によっては水溶性でもないため、流水による洗浄でも取り除けないと思って下さい。つまり、貝毒を持っている貝は、どう調理しても食中毒の原因になります。

ならばどのようにして潮干狩りの安全を確保するのが良いのでしょうか。

一番確実なのは、地元漁協などが潮干狩りを行うために管理している有料の海岸を利用することです。貝毒情報はもちろん、東日本では放射能検査を行っているところもあります。

いわば、貝の釣り堀ですが、元々潮干狩りは都道府県が定めたルールの中で行わないと密漁扱いされる違法行為ですので、漁協管理の場所を使うのが確実です。

また、お子さん連れで行かれるケースが多いと思いますが、満潮時刻の情報などを知って行かないと思わぬ事故に見舞われます。そうした情報も漁協管理のところなら提供してくれてますから便利でしょう。

その他、ご自身でもう少し調べたいと言う人は、各都道府県が貝毒情報をネットで公開していますから、【都道府県名】+【貝毒情報】で検索してみて下さい。

外国での貝毒中毒を防ぐ方法

これはかなり困難です。もともと貝毒による食中毒自体がそれほど頻繁でないだけに、日本ほどしっかりしたチェックを行っている国は少ないと思います。

魚介類をよく食べる先進国で、貝毒による食中毒を経験したことのあるカナダ・アメリカ・アイルランド・イギリス・イタリア・フランス・オランダくらいであればある程度は安心できるかもしれません。

しかし、自然毒であって、有毒種のもの以外がたまたま毒を持ってしまう事の多い貝類やカニなどはある種のギャンブルになっちゃうんですよね。

ですので、貝を中心に食べる貝料理と言うのを避けて、例えばパエリアのように貝が具の一部に入っている程度のものにとどめておくのが安全でしょう。

もちろんそれでも貝毒を持っていればある程度の症状は出るでしょうが、軽くて済む可能性は高くなります。

巻貝の貝毒

潮干狩りでは普通巻貝は獲りませんが、巻貝にも貝毒がありますので、参考程度ですが紹介しておきましょう。

ツブガイやバイガイと呼ばれている巻貝の中には神経毒やフグ毒をもつものがあります。市場に出回っているツブガイやバイガイは、実際にはさまざまな貝の総称なので私たちには判断が困難です。

一応、専門家が鑑別して毒のある部位を取り除いて販売されていますから、店頭やお寿司屋さんで食べるものは、まず安全だと思います。

また、アワビには光線過敏症を引き起こす毒があります。これはウロと呼ばれる中腸線と言う部位に集中していますから、そこを避ければOKです。さばいたり調理して売られているものは取り除かれているはずです。

同じ毒はサザエにも含まれますが、微量なので、よほど大量にサザエを食べない限り健康には問題ないでしょう。

キノコと同じです

キノコも自然に生えているものの有毒無毒の鑑別は非常に難しく、素人に手の出せる範囲ではありません。同じように貝類も鑑別には十分な知識と厳しい管理体制が求められます。

自然派志向も結構ですが、貝類については科学的にしっかり管理されたものを食べていただく方が安全だと思いますよ。

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