TOP > > 二日目のカレーは煮込んでもダメ!?食中毒を起こすウェルシュ菌対策

二日目のカレーは煮込んでもダメ!?食中毒を起こすウェルシュ菌対策

0901015

カレーなどの煮込み料理は、作った日よりも次の日の方が旨味が増し、味もしみて美味しいものです。また明日は忙しいからと前日に作り置きしておいたり、帰りが遅いからと朝に作り置きしておく、なんてこともありますね。

でも、実はそこには落とし穴があったんです!

煮込んでいるから菌も死滅しているだろう、と思いがちですね。ちょっとくらい常温で置いておいても大丈夫という安心感があり、油断している方は多いのではないでしょうか?

ところが、煮込むことによってかえって生息しやすくなる菌がいることをご存知だったでしょうか。悪さをするウェルシュ菌について、菌の性質を知って正しい対策をしておきましょう!

カレーの食中毒の原因は?意外と身近なウェルシュ菌に注意

食中毒を起こす原因はほとんどが細菌とウィルスによります。冬にはノロウィルスなどウィルス性のものがよく見られますが、春や夏は細菌性のものが多く見られます。

細菌性の食中毒としてよく耳にするのは、カンピロバクター、O157(腸管出血性大腸菌)、サルモネラ菌、黄色ブドウ球菌といったものがあります。

食中毒を起こす細菌のうち、煮込み料理でよく食中毒を起こすものはウェルシュ菌です。少しでは食中毒は起こしませんが、増殖すると食中毒を起こします。

ウェルシュ菌による食中毒は、

  • カレー
  • 野菜の煮物
  • 魚の煮付け
  • 麺の漬け汁

などに見られます。

この菌は土壌、ヒトなど生物の腸内、河川、下水などに幅広く分布しています。菌が付着した食品を食べることで人体内に感染し、6~18時間の潜伏期間の後に食中毒を発症します。

ウェルシュ菌という名前はあまり聞いたことがない、と思われる方も多いかもしれません。でも、意外と食中毒は多いんです。

ウェルシュ菌による食中毒は、厚生労働省の発表によると2014年の食中毒の発生件数はカンピロバクター、サルモネラ属菌、ぶどう球菌、に続いてO157と並んで4位でしたが、患者数は1位でした。患者数が多いのは、大量の煮込み料理で発生し、一件の発生での患者の人数が多いためと思われます。

症状がそこまで重篤ではないため病院にかからなかったりして統計に入らず、実際にはもっといるかもしれません。

ウェルシュ菌による食中毒の症状ってどんなもの?

主な症状は腹痛と下痢です。まれに嘔吐や発熱(微熱程度)といった症状が見られます。

ウェルシュ菌の付いた食べ物をたべて腸管に行くと、ウェルシュ菌がエンテロトキシンという毒素を産生し、このような症状を起こします。

潜伏期間は6時間から18時間ほどで、昼に食べたものが夜に下痢を起こしたり、翌朝に症状が出ることもあります。平均潜伏期間は10時間くらいです。

幸い症状が悪化してHUS(溶血性尿毒症症候群)に至るということもなく、1日2日もすれば良くなります。治療は対症療法になりますが、専門的な治療を行わなくても治ることもあります。

0-157等の強烈な食中毒と比較すれば、ウェルシュ菌の症状は軽度のケースがほとんどです。
下痢や腹痛だけなら大したことないや、と思われるかもしれませんが、ただでさえ体力の落ちやすい夏場に、さらに体力を落としてしまうことは避けたいですね。

下痢を起こすと脱水症、また熱中症のリスクも高くなります。特にお年寄りや子供は注意が必要です。

なぜ気付かないか?食中毒を起こすウェルシュ菌は無味無臭!

傷んだ食べ物は見た目や臭い、味で分かりますね。気付いてすぐに食べるのを止めることができます。でも”傷んだもの”と、”食中毒菌に汚染されたもの”はまったく別なんです。

食中毒を起こすウェルシュ菌も無味無臭なため、増殖して危険な食べ物になっていても分からない、というリスクがあります。

ウェルシュ菌による食中毒はなんで煮込み料理で多いの?

ウェルシュ菌は自分のいる所の環境に危険を感じると、芽胞という状態になります。これはカプセルのようなバリアを作って、眠っているような状態です。

芽胞を作ると、100℃で1時間から4時間、また6時間もの間の加熱でも死なないものもあります。ですから加熱によって周りの菌が死んでも、芽胞を作ったウェルシュ菌は生き残ってしまいます。

意外な盲点!煮込むとかえってウェルシュ菌の環境が良くなる?

ウェルシュ菌は嫌気性菌といって酸素を嫌い、酸素に触れると死んでしまいます。そのため酸素のない所で増える、という点がポイントです。

なぜ酸素がポイントなのでしょうか?煮込み料理はグツグツと煮込む時に酸素を逃しているからです。ブクブクと泡立って酸素が逃げていく様子が思い浮かびますね。

そしてその状態で調理が終わり、今度は温度が下がってきます。温度が45℃位になると、ウェルシュ菌は芽胞ではなくなり、目覚めます。

15℃から50℃ほど(20℃から55℃とも言われる)がウェルシュ菌にとって繁殖しやすい温度です。

そうすると鍋の中は、温度といい、酸素の少ない環境といい、ウェルシュ菌にとってとっても快適な場所になっていることになります。

つまり、長時間煮込んだとしても、芽胞を作ったウェルシュ菌は死なず、酸素が少ない状態で温度が下がると、目覚めて大繁殖を始めてしまうのです!

ですから作った物を常温で置いておくと、ウェルシュ菌が繁殖しやすい温度が長時間保たれて、増殖し、食中毒を起こすレベルにまでなってしまいます。ウェルシュ菌による食中毒が煮込み料理で多いのは、このような理由があります。

カレーでウェルシュ菌の喜ぶ環境を作ってしまう理由とは?

特にカレーやシチューなどのドロッとした状態の物は、熱を逃がしにくいものです。内部の熱が逃げにくく、温かい状態、ウェルシュ菌が増殖しやすい環境が長く保たれてしまいます。

ですから、カレーの常温保存は、気温が20℃以上の梅雨時から夏にかけては特に危険なんです!

でも夏が危険とは言っても、冬だって室内は温かい場合が多いですから、冬ももちろん油断はできません。

また細菌ではないですがジャガイモは傷みやすい食材です。夏のカレーにはジャガイモを入れない、または入れたら早めに食べる、ということも注意として出来ます。

ウェルシュ菌を増殖させないための正しい保存方法

ウェルシュ菌が増殖しないためには、食品を10℃以下、または55℃以上に保つ必要があります。ですからなるべく調理したら早めに食べることが食中毒を防ぐ方法です。

でも先に述べたように、カレーは忙しい日のための作り置きとして重宝しますし、2日目の旨味の増したカレーを食べたい、とも思いますよね。そのような場合は保存方法を工夫しましょう。

そのためにウェルシュ菌が増殖する温度ができるだけ長くならないようにします。

  • 小分けにする
  • 早めに冷蔵庫へ

小分けにすることによって早く冷めることができますし、空気にも触れる面積が多くなります。よくかき混ぜて空気に触れさせながら容器に入れましょう。出来れば深い容器よりも平たいものの方が良いですね。

粗熱を取ったら早めに冷蔵庫に入れ、なるべく急速に冷やしましょう。調理してから2時間以内には20℃以下になり、ウェルシュ菌が増殖しにくい環境になるようにします。

ウェルシュ菌を死滅させるための再加熱方法

  • しっかり中心部まで温める
  • よくかき混ぜる

よく煮込んで調理したから、温め直しは軽くていいや、と思うかもしれませんが、それはNGです。

芽胞を作っていない状態のウェルシュ菌は熱に弱いので、食べる前にしっかり温め直しましょう。目安は中心部まで75℃以上に1分以上なることです。そしてこのときによくかき混ぜようにしましょう。

かき混ぜるのは、酸素をよく含ませるためです。ウェルシュ菌は酸素に触れると死にます。ですからまんべんなくかき混ぜながら熱を加え、カレーなどの煮込み料理全体に、熱を当て酸素を含ませるよう意識しましょう。

ウェルシュ菌をつけないために調理時に出来ること

  • 食材をよく洗う
  • 調理器具をよく洗う
  • よく手を洗う

ウェルシュ菌は人や動物の腸の中や、土壌や河川、下水などにいる、自然界によくいる菌です。ただ、増殖すると悪さをします。

まず調理の段階で、なるべくウェルシュ菌を食品に付けないようにしましょう。ジャガイモや人参などの根菜類はよく洗い、土を落としましょう。

基本的なことですが、手や調理器具もよく洗い、清潔にしましょう。肉を調理するときはまな板は専用のものを用い、肉を扱う前後にもよく手を洗います。

肉専用のまな板がない場合は、使用した後は洗剤でよく洗い、まな板もスポンジも熱湯をかけてから次の用途に使いましょう。お湯は75℃以上であれば殺菌のために使えます。

手を洗うときは石けんをつけてまんべんなくこすり洗いをし、シワや爪も洗います。石けんをつけて流水で流すまでを30秒ほどで行ないましょう。特に調理の前、トイレの後、病人の世話をした後などはしっかり洗いましょう。

ウェルシュ菌以外の様々な食中毒菌にも対策をしておこう

ウェルシュ菌以外にも食中毒の危険はあります。全般的に有効な対策をまとめてみました!

食中毒を起こさないために!買い物するときの注意点

  • 生物を買ったらすぐに帰る
  • 肉や魚はそれぞれビニールに包む

生物などを購入したら、なるべく早く家に帰りましょう。肉や魚はそれぞれ包むようにしましょう。

買い物袋が分けられない場合、野菜などの下になるようにし、上に置かないようにします。(汁がかかるのを防ぐため)

食中毒菌を増やさないために!買ったものを早めに冷やそう

  • なるべく早く冷蔵庫へ
  • 冷蔵庫をいっぱいにし過ぎない

帰ったらすぐに冷蔵庫に入れ、冷やしましょう。冷蔵庫の温度は10℃以下、冷凍庫は”15℃以下になるようにします。そのためにも、冷蔵庫はあまり詰め過ぎないようにしましょう。

ほとんどの細菌は10℃になると増殖スピードがゆっくりになります。”15℃では増殖は停止した状態になります。でも細菌が死んでいるわけではありませんので、冷蔵庫を過信し過ぎないようにしましょう。早めに使い切ります。

肉や魚は汁が漏れないようにしましょう。冷蔵庫の殺菌は、アルコール消毒が有効です。

食中毒菌を付けないために!料理前の注意点

  • 手をよく洗う
  • 解凍は冷蔵庫で
  • 生肉や魚は加熱しない食材から離す
  • まな板は野菜用と肉、魚用に分ける
  • 無理なら洗って消毒
  • タオル、布巾は清潔なものを
  • 調理器具も清潔に
  • 野菜はよく洗う

食中毒菌を死滅させる!料理するときの注意点

  • 十分に加熱する
  • 調理が途中になったら冷蔵庫へ

食中毒を増やさない!残った料理を扱うときの注意点

  • 室温に長時間置いておかない
  • 清潔な容器で保存
  • 小分けにして冷蔵庫へ
  • 少しでも怪しいと思ったら捨てる
  • 十分に再加熱する

食中毒は夏だけじゃない!1年中注意したい代表的な食中毒菌の特性

夏場は他にも細菌性の食中毒の危険がありますが、もちろん食中毒は夏だけでなく1年を通して注意する必要があります。食中毒の原因となることの多い他の細菌の特性も知っておきましょう。

肉に注意!カンピロバクター

少ない菌量でも症状を起こします。潜伏期間は1日から7日と長く、原因が分からないこともあります。発熱、吐き気、頭痛、腹痛、下痢、血便、といった症状が見られます。

カンピロバクターは家畜の腸管内にいます。加熱調理で死にますし、乾燥にも弱いので、調理器具の熱湯消毒、乾燥させること、などが有効です。肉の加熱は65℃以上、数分間、を目安にします。

生肉で感染!腸管出血性大腸菌

代表的なものはO157です。他にもO26やO111などがあります。下痢など消化器官系の症状を起こしたり、合併症を起こすこともあります。死亡に至ることもある食中毒です。季節としては、初夏から秋にかけて多く見られます。

肉、野菜、菓子、井戸水など様々な食品が原因となっています。動物との接触で感染することもあります。

この菌は食品の加熱、消毒薬によって死にますので、肉などはなるべく生で食べないようにした方が安全です。また、食材はよく洗浄し、清潔に取り扱うことも大切です。

鶏肉なのにサル、サルモネラ属菌

激しい腹痛や下痢、嘔吐や発熱といった症状が見られます。

潜伏期間は6時間から72時間と幅があります。肉類が原因として挙げられますが、中でも鶏肉や卵が原因になることが多いようです。以下の2点に気をつけてください。

  • 食材を十分に加熱する(75℃以上、1分以上)
  • 生卵を食べるときは新鮮なものにする

手を洗おう!黄色ブドウ球菌の食中毒を防ぐには

人や動物に常在する菌ですが、増えると食中毒を起こします。エンテロトキシンという毒素を生成しますが、100℃で30分の加熱でも無毒化しません。潜伏期間は1時間から3時間です。

嘔吐や腹痛、下痢といった症状が起こります。

手や調理器具をよく洗いましょう。手が荒れていたり、傷がある場合、直接食品に触れないようにしましょう。

かかると苦しい!魚介で感染する腸炎ビブリオ

海に生息している菌で、魚介類が原因となることが多いです。発熱や嘔吐、腹痛や水様下痢などの症状が見られます。潜伏期間は8時間から24時間です。

  • 真水や酸に弱いので、魚介類は真水でよく洗いましょう。
  • 室温で直ぐに増殖するので、なるべく早く冷蔵庫へ入れ、調理中もあまり室温で放置しないようにしましょう。

60℃、10分の加熱で死滅させられます。

ポイントを押さえて安心してカレーを食べよう!

家庭で作ったカレーは、作り立ても美味しいのですが一晩寝かすともっと美味しくなりますよね。なぜ美味しくなるのかご存知でしょうか。

カレーシチューのおいしさは、カレールー自体の味に加え、煮込むことで具材から出たうまみ成分にあります。このうまみ成分はカレーシチューに溶け込んでいますが、時間の経過と共に再び具材に戻っていきます。

そのために作ってから時間の経過したカレーシチューは具材に味がしっかりしみこんでおり、食べた時にうまみを強く感じやすいのです。また、じゃがいものでんぷんが糖に変わることもうまみを増やす理由と考えられています。

そういったメカニズムを知ると、やっぱり食べるなら二日目以降のカレーのほうが良いような気もしてきますね。

カレーは煮込んでいるし、スパイスに殺菌作用がありそうだし…と油断しがちですが、常温で置いたカレーには食中毒の危険があることが分かりました。

とは言っても、きちんと対策をしておけば食中毒を防ぐことが出来ることも分かりましたね。

食中毒予防のポイントは3つです。

  • 付けない
  • 増やさない
  • 殺菌する

煮込み料理に多いウェルシュ菌の性質を知っておき、効果的な対処をしましょう。

面倒に感じるかもしれませんが、食中毒になってから後悔しても残念です。ちょっとしたポイントをしっかり押さえて、安心して美味しくカレーを頂きたいですね。

キャラクター紹介
ページ上部に戻る