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【注意!】ジェリーミートの原因になるクドアによる新型食中毒

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「ジェリーミート」と言う現象をお聞きになったことがあるでしょうか。

カレイのフライや竜田揚げなどの半製品として売られているものを買ってきて、油で揚げたらバラバラになったり、油から引き揚げたら自重を支えきれずにぐずぐずに崩れてしまったりと言う現象です。

これは従来からあるメーカー泣かせの現象なのですが、人間には無害な寄生虫が出す酵素が原因でした。

ところがここに来て、原因不明とされた食中毒の本当の原因はこの寄生虫ではないかと言うことが判ってきたのです。

食中毒について気になるその情報、自衛のためにも知っておいて損はありませんよ?

粘液胞子虫が犯人

粘液胞子虫…もう名前だけでも気持ち悪い寄生虫ですよね。この粘液胞子虫の中のクドア属が今回の話題ですので、ここから後はクドアと呼びます。

アメリカに帰化した原虫類の研究者、リチャード・工藤博士に因む名前です。

魚の寄生虫、クドア属

クドア属は魚に寄生する、大きさ10ミクロンぐらいと目に見えないサイズの小さな虫です。最初にお話ししたように、これまでは魚肉をダメにしてしまうような商業的な害だけで、人の健康には無害だと思われてきました。

世界的には最初にお話ししたような、魚肉を融かしてしまうジェリーミートの原因であるクドア・スリシーテスが最もよく知られています。

日本ではアマミスズメダイに寄生して、魚肉の中にシストと言う白いつぶつぶ(中にクドアがいます)を作ることで商品価値を損なうクドア・アマミエンシス(通称:奄美クドア)も大きな問題になっています。

これらは宿主の魚と一種の共生関係になっているため、魚が生きているうちは肉を融かしたりはしません。

肉が融けたり、肉の中に白いつぶつぶが見えたりと生理的嫌悪感を覚えるような現象ですが、このクドアは以前から知られていた通り、たとえその肉を食べても不味いだけで害はありません。

危険物は隠れている

今世紀に入ってから日本国内で時折報告されるようになった原因不明の食中毒について、国や地方の機関が協力して2008年ごろからその解明に取り組んできました。

そして2011年に、その原因がヒラメに寄生しているクドア・セプテンプンクタータ(和名:ナナホシクドア)であることが解明されたのです。

この食中毒はクドア属による世界初の食中毒だったので、クドア食中毒と呼ばれるようになりました。でも、こんな世界初はイヤですよね。

現在のところ、病原性を持つクドアはこれしか見つかっていないようです。

商品価値は下がっていません

このクドアの性質が悪いところは、他のクドア属とは異なり、ジェリーミートの原因になったり、シストを形成したりすることがない事なんです。

つまり、普通に肉眼で見ただけではナナホシクドアに感染した魚かどうかは判別できないんですね。

しかも活きているヒラメをその場で捌いて刺身にしても、ナナホシクドアがいれば食中毒に繋がります。

クドア食中毒

クドア食中毒自体は、感染したヒラメを食べてから1時間~22時間(最も多かったケースは5時間)くらいで下痢や嘔吐を引き起こします。

ほとんどの場合、発症から24時間以内に症状は治まり、死亡や後遺症につながった例はないと言う事です。

ヒラメだけ?気になるほかの食中毒例

現在までのことろ、患者の嘔吐物や便から検出されたのはヒラメだけですが、原因不明の食中毒でクドアの関与が疑われているものは他にもあります。

  • マグロ
  • タイ
  • カツオ

そのうちヘダイ(平鯛)からはクドア・イワタイが検出されたそうです。これはシストを形成していて肉眼でも確認が取れたそうですが…そんなのを刺身で食べる方が問題かも。

ただ、クドア・イワタイは良く知られたクドアで、見た目が悪いものの、これまで病原性はないとされていただけに少し不安ですね。

また、マグロやカツオで見つかったクドアは、近縁種こそ推定できたものの、まだ同定できていないそうなので、もしかするとクドア属に含まれる未知の病原種かもしれませんね。

食中毒予防法

-15℃~-20℃で4時間以上冷凍するか、中心温度75℃以上で5分以上加熱すると失活(病原性が消えること)します。

ですので、ヒラメのフライの冷凍食品なんて言うのは、万が一病原性クドアがいても二重の意味で安全ですね。

一方、ヒラメの刺身は冷凍すると商品価値が落ちるので、刺身で食べる場合には失活させる方法がありません。生産者によるモニタリングに頼るばかりです。

生産段階での対策

養殖ヒラメについては、一つの群から無作為に30尾以上のサンプルを抜き出して、肉の中にクドアがいないことを確認する検査が指導されています。

同じように輸入生食用生鮮ヒラメについても厳しい検査が義務付けられたおかげで、クドアによる食中毒は2013年以降ずいぶん減りました。

しかしそれでも、毎年3桁の患者数の食中毒は報告されています。これはおそらく、高級魚である天然ヒラメなどに原因があるのだろうと推定されています。

養殖ヒラメと違って、住んでいた場所が大まかにしか特定できない天然ヒラメはサンプル抜き取りによる検査に意味がありませんので、おそらく現在の患者数で推移するのではないかと言われているようです。

不思議な傾向

ヒラメは年末年始に最も多く消費されます。にもかかわらず、最もクドア食中毒が多いのは9月・10月なのです。

もちろん、一年を通じて発生していますから、その時期を外せば安心と言うわけではありませんが、その時期には特に注意していただきたいです。

クドア食中毒にかかったら

先にもお話しした通り、比較的短時間で快方に向かいますが、一応病院に行った方が良いでしょう。

もし食べた魚の残りがあれば一緒に提出して保健所に届けてもらいましょう。残っていなくても外食だった場合はお店の名前を届ければ、お店が保管している場合もあります。

寄生されることはありません

元が寄生虫だけに、食べてしまったら人間にも寄生するのだろうかと言う不安は出てきますね。でも大丈夫です。

食中毒の原因になるクドアも、魚の肉を溶かすクドアも、肉の中に白いつぶつぶを作るクドアも、全て人間に寄生することはありません。

下痢の原因になろうとなるまいと、一過性で排泄されてしまいますから虫下しのお世話になる必要もないんですよ。

ただ、一過性で排泄されてしまうだけに、逆に食中毒の原因として捕まえるのに時間がかかったと言う経緯はあります。

子供やお年寄りは要注意

普通は重症化しないものであっても、体力のない子供やお年寄り、また病み上がりの人などはそうとも言い切れません。

万が一がないように、ちゃんと病院で手当てを受けて下さいね。

現在では養殖物のヒラメの安全性は高くなっていますから良いとして、子供やお年寄り、病み上がりの人は天然もののヒラメをお刺身で食べるのはやめましょう。

昔は子供にお刺身を食べさせること自体が非常識とされたものですが、養殖ものについては安全性の確保がずいぶん進んでいますので、昔のようなことを言う必要はありません。

しかし、このクドアに限らず、自然毒については天然ものを加熱しないで食べることが最もハイリスクです。

自然毒による健康被害を避けるためには管理栽培されたものを加熱して食べる、それが一番安心なのです。

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