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一般人の為の救急救命法!気道確保、心臓マッサージ、AEDの使い方

ファーストエイド

れた人の救命処置は、専門資格を持っている人でなければしてはいけないと思っていませんか。その場に救急救命士や医師がいなくても、一般市民が応急処置を行って倒れた人の命を救うことができます。

もしも倒れた人が命に関わる怪我や病気をしていた場合は、一刻も早く救命処置をしなければなりません。そのためには、誰もが「万が一」に備え、応急処置・応急手当の方法を知っておくことが望ましいです。

人が倒れたら私達は何をすれば良いのか、応急処置のイロハを説明していきます。

人が倒れた!心肺停止が起きたら応急処置が必要な理由は

人が倒れた時には、次のような理由が考えられます。

  • 失神(脳貧血・血管迷走反射・低血糖など)
  • てんかん
  • 脳卒中(脳出血・脳梗塞・くも膜下出血など)
  • 多量出血による出血性ショック

人が倒れる原因のほとんどは、命に別条のない「失神(一過性意識消失発作)」です。一時的に脳の血流が不足したために起こる現象で、しばらくして意識が回復し元気にしていれば問題ありません。

しかし意識が回復しない場合は、脳卒中や出血性ショックなど重篤な病気や怪我が原因で心肺が停止している可能性があり危険です。

心肺停止とは

「心肺停止」とは、心臓の動きが停止し続いて呼吸も停止してしまう状態のことですが、必ずしも「心肺停止=死亡」はいうことでもありません。心肺停止は、救命処置をすれば心肺を蘇生させる可能性が残っている状態です。

しかし、心肺停止が起きた時点から血液の循環は止まってしまいます。すると体中の細胞に酸素が供給されなくなるので、もしも蘇生しなければやがて脳死と臓器不全(臓器が機能できなくなること)に陥り、完全に死に至ります。

また多量出血が起きた時も同様で、酸素を送る血液が極端に不足するため酸欠で脳死と臓器不全が起こり、死に至ります。

心肺停止後の死亡率

万が一の時に人の命を救うため、人が倒れてからどれくらいで死亡してしまうのか時間を知っておきたいものです。

蘇生心臓停止、呼吸停止、大量出血が起こった場合の経過時間と死亡率の関係をあらわした「カーラーの救命曲線」を見ると、救命処置を急がなければならない理由が分かるでしょう。

カーラーの救命曲線グラフ

カーラーの救命曲線とは、1981年にフランスのカーラー教授が作成したグラフです。数値はあくまでも大まかな目安ですが、救急の重要な基礎知識として応急処置の講習で欠かせない存在になっています。

カーラーの救命曲線によると、心臓停止から約3分、または呼吸停止から約10分、または多量出血から約30分経過すると、死亡する確率は50%に上昇するといわれています。

さらに心臓停止から約5分、または呼吸停止から約20分、または多量出血から約1時間経過すると、ほぼ100%の確率で救命することは難しくなってしまいます。

命をつなぐBLSとは

人が倒れた時にできる応急処置として覚えておきたいのは「BLS(一次救命処置)」です。

BLSはBasic Life Supportの略称で、心肺停止になった人がいて救急隊が来るまでの間、現場に居合わせた一般人(バイスタンダー)が命をつなぐために行う応急処置のことです。

大まかに説明すると、BLSは次のような手順となっています。

  1. 倒れた人・周囲を観察する
  2. 救急通報しAEDを依頼する
  3. 呼吸を確認する
  4. AEDを装着する、または心肺蘇生法を行なう
  5. 救急隊に引き継ぐ

とにかく心肺停止・多量出血を起こしている人は最初の数分が重要です。バイスタンダーによるたった数分間の応急処置が倒れた人を死の淵から救います。

しかし助けたい気持ちがあっても、BLSの方法をよく知らない人は自信がないため冷静な対処ができなくなるかもしれません。そこで「万が一」のため、誰もが日頃からBLSの基本を勉強しておくことがのぞましいのです。

一番良い方法は、一般人向けに開催されている救命手当の講習会に参加し、専門家から直にBLSの方法を学ぶことです。全国にある日本赤十字社の支部、最寄りの消防局、各自治体などで講習会を開催しているので、機会があれば参加してみていただきたいと思います。

この記事でもBLSの手順を説明していきます。心肺停止の人に接することは勇気のいる行為ですが、それほど難しい方法ではないので、是非、基本を頭に入れておいてください。

1.倒れた人・周囲を観察する

倒れた人を見つけたら、救急車を呼ぶ前に倒れた人と周囲の状況を観察し、状況判断を行ないます。

周囲を観察する

まず倒れた人の周囲の状況を見て、危険な障害物がないか観察します。これは、倒れた人と周りにいる人の二次災害(危険物によるケガなど)を予防し、安全に応急処置をするために必要です。

倒れた人を観察する

すぐに倒れた人に呼びかけて意識があるかどうか確認します。命に別条のない失神ならば、この時点で応答があったり、呼びかけたことで意識を取り戻すこともあるでしょう。

意識を確認する方法
  • 耳の近くで「大丈夫ですか?」「分かりますか?」などと声をかける
  • 頬を軽くつねる
  • 肩や手の甲を左右交互に軽く叩く

肩や手の甲を叩く時には、どちらか片側だけでなく左右を交互に叩きます。倒れた原因が脳血管出血の場合は片側麻痺を伴っている可能性があり、麻痺があれば刺激に気付くことができないためです。

意識がない場合は次のステップへ

倒れた人が意識を回復した場合は、そのまま安静にしてしばらく様子を見てから受診させます。次に挙げる症状がみられる場合は速やかに次のステップへ進みます。

  • 意識がない
  • 目が開いていても応答がない
  • 多量出血がある

してはいけないこと

倒れた人を見つけても、絶対に倒れた人の体をゆすったり体を起こしたりしてはいけません。もしも外傷や血管破裂による出血があった場合、動かすと出血が広がって危険だからです。

てんかん発作でけいれんを伴って倒れた場合は「呼吸が止まって苦しいのではないか」と慌て、思わずゆすったり体を抱き起こしたりしがちですが、本人が暴れて介抱する人が怪我をすることがあるので、少し距離を置くのが正解です。

てんかん発作は数分で自然におさまり心肺停止は起こらないので、これから説明する救急処置の必要はありません。けいれんが30分以上続く場合を除き、けいれんがおさまるまで冷静に様子を見守って問題ありません。

2.救急通報しAEDを手配する

次に大声で助けを呼んで、BLSの協力者をできるだけ多く集めます。協力者が多いほど、処置を分担し並行することができよりスムーズに倒れた人を助けることができます。

その場にいる人は、速やかに救急通報とAED(自動体外式除細動器)の手配を行ないます。

発見者はその場にとどまり、BLSの協力者に「あなたは119番を呼んでください。」「あなたはAEDを探してきてください。」と、的確に指示をします。

※もしも協力者がいない場合は、119番に通報し、通信指令員の指示に従いながら応急処置を行ってください。

救急通報する

消防署に電話をかけ、救急車を呼びます。消防署の電話番号は局番なしの「119」です。携帯からでも固定電話からでも全国共通で119にかけることができます。電話では、慌てずにゆっくりと話してください。

通信指令員が出て「家事ですか?救急ですか?」と確認するので「救急です。」と答えます。主に、場所、通報した理由、傷病人の年齢、通報者の氏名と連絡先などを聞かれるので、なるべく詳しく状況を伝えましょう。

できれば救急隊に来てほしい場所の分かりやすい目印(建物など)を伝えたり、サイレンが聞こえてきた時に道路で待機し倒れた人のもとへ救急隊を誘導したりすると、よりスムーズです。

救急隊が到着するまでの応急処置法が指示される場合は、その通りに従います。

いざとなると、電話口で動揺してスムーズに話せない場合があります。冷静に対応するためにも、救急車を呼ぶ方法をシミュレーションしておくとよいでしょう。

AEDを手配する

AEDは、血液が送り出せなくなっている心臓に電気ショックを送ることで心臓の動きを復活させるための装置です。

AEDは公共施設、商業施設、運動施設などに設置されています。バイスタンダーは手分けして近くのAEDを探しに行きます。

すぐに止血を!多量出血がある場合の応急処置は

怪我や事故で多量出血を引き起こしている場合は、失血によって「出血性ショック」に陥り、臓器不全を起こす危険性があります。出血が止まらない場合は、この時点で止血を優先して行ってください。

いくつか存在する止血法の中で一般人が覚えておきたいのは「直接圧迫止血法」になります。

直接圧迫止血法
  1. 傷口に清潔な布(ハンカチ・ガーゼなど)を当てる
  2. その上から手を当てたり、タオル・包帯などを巻いたりして強めに圧迫する
  3. 手や足は心臓より上に掲げる
  4. 出血が止まるまで圧迫し続ける
  5. 布や包帯に血液がにじんだらさらに上から布を重ねて圧迫し続ける

次に挙げる症状がみられる場合は出血性ショックを引き起こしている可能性があります。すみやかに救急車を呼ばなければなりません。

  • 顔面蒼白
  • 冷や汗をかいている
  • 手足が冷たい
  • ぼんやりしている、目がうつろになっている
  • 脈が速くなる
  • 意識が混乱、錯乱する
血液に接触するとウイルス等に感染するリスクが発生して危険なので、素手で止血を行なわずゴム手袋などを使用するのがのぞましいです。

3.呼吸を確認する

倒れた人の意識がない場合は、呼吸をしているかどうか確認します。もし呼吸をしていなければ、心肺蘇生法を行なうかAEDを装着しながら救急隊が到着するのを待つ必要があります。

次の方法を組み合わせ、倒れた人が正常な呼吸をしているかどうか確認します。じっくり調べる必要はありません。10秒以内に判断し終え、次の処置に進んでください。

  • お腹や胸が動いているかどうか
  • 呼吸音が聞こえているかどうか
  • 鼻や口から呼吸が感じられるかどうか

呼吸をしているかどうか分からない、呼吸が正常ではない(死線期呼吸など)という場合は、「呼吸ができていない」とみなしてください。

呼吸をしている場合は

正常な呼吸が確認できれば「回復体位」という姿勢を取らせます。回復体位とは、自力で呼吸できる傷病人の気道を確保しながら休ませるための体位のことです。

回復体位

回復体位
  1. 倒れている人の体をそっと横向きにする
  2. 呼吸が楽になるよう下あごを前に出す
  3. 上側の腕を曲げて手を枕のように頬の下に差し入れ、顔を固定させる
  4. 上側の膝を曲げ、体を安定させる

回復体位にさせたまま観察を続け、救急隊が到着するのを待ちます。 呼吸をしていない場合は速やかに次のステップに進みます。

4.AEDを装着する、または心肺蘇生法を行なう

呼吸をしていない場合は「気道確保」の姿勢を取らせ、速やかに心肺蘇生法を行ないます。AEDが到着したらAEDを装着します。

気道確保の姿勢を取らせる

意識がなくなると、舌根沈下(舌の付け根が落ち込む)が起こって気道が塞がれ呼吸ができなくなるので、舌根沈下を回避するために「気道確保」の姿勢を取らせ、気道を開放します。

気道確保のひとつ「頭部後屈顎先挙上法」を覚えておくと良いでしょう。

頭部後屈顎先挙上法

頭部後屈顎先挙上法
  1. 片方の手を額から前頭部にかけて当てる
  2. もう片方の手の指を下顎の先にあて、顎先を持ち上げて頭を後ろに反らす

心肺蘇生法を行なう

気道を確保したら、速やかに 心肺蘇生法(CPR)を行ないます。心肺蘇生法とは、胸骨圧迫(心臓マッサージ)を30回と人工呼吸2回を行なう応急処置法です。

ただし、子ども以外には人工呼吸を行わなくてもかまいません。大人の場合は呼吸をしていないことがわかり次第、気道確保と胸骨圧迫を始めてください。(子どもの場合は、蘇生する確率が高まるので人工呼吸も必要です。)

多量出血が続いている場合は、必ず先に止血を行ってから心肺蘇生法を行ってください。

胸骨圧迫(8歳以上の場合)
胸部を手のひらでリズミカルに圧迫して心臓をマッサージします。

圧迫する位置は、乳頭と乳頭の真ん中あたりです。衣服を脱がせて確認する必要はありません。

  1. 両方の手のひらを重ねて両腕をまっすぐ伸ばす(指は組んでも良い)
  2. 圧迫したい部分の上に手のひらの付け根を当て、下側の手の指は胸から離す
  3. 両腕を体に対して垂直に当て、体重をかけて胸が5㎝くらい沈むまで強く押す
  4. 3の圧迫を1分間に100~120回のペースで30回、絶え間なく行う

1~8歳の人に行う場合は、1分間に100回くらいのペースで、胸が1/3~1/2へこむくらいの強さで30回圧迫します。1歳以下に行なう場合は、乳頭と乳頭の真ん中より下を指先で、同じように30回圧迫します。

    胸骨圧迫のポイント

  • 中断する時間は最小限に、10秒以内にとどめる
  • 童謡「うさぎとかめ」を歌うと1分間に100回のリズムが取りやすい
  • 2分おきにほかの人と交替することが望ましい
  • 乳頭の高さより下は押さない(内臓を傷つける恐れがあるため)

心肺蘇生法の熟練者がいて、倒れた人の口元に乗せるための布(ハンカチやガーゼなど)がある場合は、人工呼吸も行ないます。

熟練者がいない場合、嘔吐や吐血がありウイルス感染が心配な場合は人工呼吸をせず、胸骨圧迫のみを続けてください。

人工呼吸
  1. 倒れた人の鼻と口元に広げた布を乗せる
  2. (あれば人工呼吸用マウスピースを使用)

  3. 布ごしに鼻を2本の指でしっかりつまむ
  4. 息を大きく吸い込み、自分の口を大きく開けて布ごしに倒れた人の口を覆う
  5. 1秒に1回、倒れた人の胸が軽く膨らむ程度に息を吹き込む
  6. 4を2回繰り返す

AEDが到着するまで、または救急隊に引き継ぐまでは胸骨圧迫(人工呼吸)を繰り返してください。

心肺蘇生法の最中に呼吸を再開したり嫌がるような素振りを見せたら中断して、回復体位の姿勢を取らせて救急隊の到着を待ちます。

AEDを装着する

AEDが到着したら、すぐに心肺蘇生法を中断して倒れた人にAEDを装着します。(1歳以上の人に使用できます。)用意できない場合は、救急車が到着するまで胸骨圧迫を行います。

AEDは音声メッセージで手順がアナウンスされるので、初めて扱う人でも音声メッセージに従って操作すれば、応急処置をすることができます。

AEDの手順は次の通りです。

1.電源を入れる
AEDを倒れた人の横に置き、ケースからAEDを取り出して電源を入れます。

続いて音声メッセージに従って操作を続けます。

2.胸に電極パッドを貼る
電極パッドが2枚あります。倒れている人の服を取り除いて、電気パッドにも描いてあるように、右胸の上部に電極パッドを1枚、もう1枚は左胸の乳頭の下に直接貼ります。

電極パッドを貼る前に、皮膚の汗や水分を拭き取り、湿布なども取り除きます。ペースメーカーをつけている場合は、ペースメーカーを避けて2枚のパッドが心臓を挟むような位置に貼ります。

3.心電図を解析を行なう
AEDが心電図の解析を自動的に行い、電気ショックが必要かどうか判断します。周りの人は倒れている人の体から少し離れ、触れないようにします。

もしも「電気ショックが不要」というメッセージが流れたら、心肺蘇生法を約2分間行います。 (電気ショックが不要とは「心肺機能が回復した」という意味ではありません。蘇生は必ずやめないでください。)

4.ショックボタンを押す
「電気ショックが必要」というメッセージが流れると、AEDの充電が始まります。周りの人は倒れている人の体から少し離れてください。

数秒後に「ショックボタンを押してください」などのメッセージが流れ、ショックボタンが点滅します。操作する人はその場にいる全員が、倒れている人の体に触れていないことを確認し、ショックボタンを押します。

5.心肺蘇生法と電気ショックを繰り返す
電気ショックを与えたらすぐに心肺蘇生法を2分間行ないます。その後は、AEDの心電図の解析とメッセージに従い、必要に応じて電気ショックと心肺蘇生法を2分おきに繰り返し、救急隊の到着を待ちます。倒れている人が動き出したら中断します。

5.救急隊に引き継ぐ

平均して5~6分で救急車が到着します。その場に居合わせた人は、倒れた人の状況を救急隊員に詳しく伝えてください。バイスタンダーが提供した情報は、治療の有益なヒントになります。

  • 容体
  • 施した応急処置の内容
  • 倒れた人の分かる限りの情報(持病、かかりつけ医、飲んでいる薬など)
  • 嘔吐があれば、吐瀉物の一部をにビニール袋に入れて提出する

後の救命処置は救急隊員、搬送先の医療機関に任せます。 可能であれば発見者は救急車に同乗します。

倒れた人を救命するためにはあなたの協力が必要です!

救命率を高めるためには”4つの輪”がバランス良くつながった「救命の連鎖(Chain of Survival)」が重要だと言われます。

    救命の連鎖をつなぐ4つの輪

  1. 発見者による「早い通報」
  2. 救急車が到着するまでの「早い応急手当」
  3. 救急救命士による「早い救急処置」
  4. 医療機関における「早い医療処置」

見て分かる通り、まずは一般人の通報と応急手当が必要です。 倒れた人の心肺停止から3分以内に蘇生をすれば命の助かる確率が高く、蘇生が1分長くなるごとに助からない確率が10%ずつ高くなっていくといわれています。

救急車が到着するまで何もせずに待っているわけにはいきません。まずは、助けを呼ぶことから始め、勇気を出してBLSを実践しましょう。

BLS、バイスタンダー、救命の連鎖…この言葉を覚えていただけましたか?普段聞き慣れない言葉ですが、資格の有無に関係なく全ての人に関係あるテーマです。

BLSに興味を持った方は、是非講習会などにも参加して実践的なコツを取得することをおすすめします。

キャラクター紹介
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