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傷跡を残したくない!擦り傷、切り傷などの治し方と手当てのポイント

子供の頃に作ってしまった傷跡が、大人になっても消えなくて困っている人は意外と多いもの。大人になってから、自分のビザやひじのあたりを見てみると、1つや2つは傷跡があるのに気づくこともありますね。

とくに女性の場合はからだに傷跡が残ってしまうと、それがコンプレックスとなり、”体の傷”のために”心の傷”となってしまうこともあります。

子供の傷跡を残さない方法や、大人になってからでもできる傷跡を目立たなくする方法について、正しい対処法をご紹介します。

どうして傷跡が残ってしまうのか?キズが治る仕組み

そもそも、どうして傷跡が残ってしまうのでしょう? 傷跡を残さないためには、傷が治る仕組みを理解することから始めましょう。

傷ができてから治るまでの3つの段階

何らかの原因で皮膚に傷ができてしまったとき、傷が治るまでには3つの段階があります。

1.炎症期 (受傷直後~数日間)
皮膚の細胞が破壊され、血管が破れ、出血や腫れ、痛みなどの症状が起こる。
2.増殖期 (数日~1・2週間)
皮膚の内部から浸出液(傷を治す成分が入った体液)が出てきて、かさぶたを作るとともに、壊れた細胞、肉芽、血管を修復する。

このとき、表皮(皮膚の表面)を修復するために、周りの表皮細胞が拡張して傷の表面を覆います。さらに皮膚の真皮層では、欠損した組織の代わりとなる「瘢痕組織(はんこんそしき)」という新しい組織が形成されます。
3.成熟期 (数週間から数年の間)
壊れた細胞や血管、肉芽を修復し、皮膚の強度を高めるため、瘢痕組織が分裂と再生を繰り返し皮膚を元通りに戻す。

どのような傷であっても、基本的にはこの3つの段階によって皮膚が再生されていきます。

どうして傷跡が残ってしまうのか?

傷跡が残るのは、傷が治る3つの段階の2番目の増殖期で出現する「瘢痕組織」(はんこんそしき)に大きな原因があります。

瘢痕組織は欠損した皮膚の細胞を埋め合わせたり、裂けた傷口をくっつけたりする役割をします。

しかし、瘢痕組織はあくまでも、傷口をできるだけ早く塞ぐための応急的な組織なので、本来の皮膚の組織に比べて少し雑な作りになっています。

例えば、災害などで家の中の壁に穴が空いてしまった時、とりあえずは穴を塞がなければならなりません。本来の壁の素材とは多少異なる素材であっても、少々見栄えが悪くても、取り急ぎ穴を塞ぐことを優先すると思います。

人の皮膚も同じことで、とにかく傷口をふさぎ、欠損した皮膚の機能や血流を回復することが何より優先されます。皮膚の表面を見た目としてきれいに修復にすることは、応急処置としては二の次になります。

瘢痕組織は、あくまでも欠損した部分を補う仮の皮膚組織なので、受傷してから数ヶ月~数年間は傷跡として残ってしまうのです。傷や傷跡の状態によっては、瘢痕組織が新陳代謝を繰り返すことで、徐々に傷跡が目立たなくなっていきます。

子供の頃につけた傷跡が、いつの間にか消えてなくなっていることがあるのは、瘢痕組織が少しずつ新しい皮膚組織と入れ替わるからです。

傷跡を残さないようにするポイントは、

  1. 仮の皮膚組織となる瘢痕組織をできるだけ良い常態にすること
  2. 受傷後、数ヶ月~数年間での瘢痕組織の新陳代謝を促進すること

の2つです。

傷ができる原因と傷跡の種類

傷の種類 主な原因 起こりやすい部位
すり傷(切創) 転んで皮膚が擦れる ヒジ、ヒザ、手の甲など
切り傷(切創) 包丁やナイフ、ガラスの破片で切る 手や指先
裂け傷(裂創) 家具の淵や段差につまづく 足や足の指、ヒザ
打撲傷(挫滅創) 頭をぶつける、頭上からの落下物 頭や肩

 
どのような傷跡が残るかは、傷口の種類や傷の深さなどによって異なりますが、一般的には次のような状態になることが多いといえます。

  • 傷の部分が赤みを帯びて盛り上がる
  • 白くテカテカ(ツルツル)とした痕になる
  • 白や赤、茶色の筋のような線が走る
  • 周りの皮膚とは異なる色味になる
  • 皮膚の表面が凸凹、ザラザラとした感じになる

こうした傷跡は、専門的には皮膚組織の肥厚(盛り上がる)、策条物(筋のようなもの)、色素沈着(色が濃くなる)、色素脱出(色が薄くなる)などといいます。

傷跡が盛り上がるのは瘢痕組織の量が多すぎるためで、傷跡の色が周りの色と異なるのは、瘢痕組織の材料となるコラーゲンの量や配列が雑になるためです。

家の壁を修復する時に、修復する材料を塗りすぎて厚くなったり、同じ色の材料でも微妙に色が違ってしまうようなことと同じようなものです。

また、大きなケガや手術跡のように、傷口が大きい場合や深い場合は、瘢痕組織で修復する部分が大きくなるわけですから、それだけ傷跡が残りやすくなるといえます。

傷跡を残さない7つの方法

傷跡が残るか残らないか、というのはあくまでも美容的な意味であって、本来、皮膚の再生にとって最優先となるのは、傷口を塞ぎ皮膚の機能を回復させることです。

そのため、残念ながら、色の違いや凸凹などの傷跡が残るか残らないか、については、もともと皮膚の再生能力とは別の問題なのです。

だからといって、傷跡を残さない方法が、全くないわけでもありません。

傷跡を残さない方法1.新型絆創膏を利用する

何らかの傷ができた時、従来は消毒薬で消毒し、絆創膏をペタリと貼って自然に治るのを待つ、というのが一般的でした。傷口はできるだけ乾燥させ、早くカサブタを作ったほうが良い、というのが常識でした。

しかし最近では、傷ができても水で洗い流すだけにして消毒薬などは使わず、従来の絆創膏の代わりに「高機能絆創膏」を使うようにすると、傷跡がつきにくくなるといわれています。

消毒をしない理由は、消毒をすれば傷口についた雑菌を死滅させることができるのですが、それと同時に、皮膚を再生するに滲み出してくる「浸出液」という体液に含まれる皮膚の再生を促す有用な成分まで死滅させてしまうからです。

皮膚を再生させる成分を死滅させてしまえば、それだけ傷が治るのも遅くなるので傷跡が残りやすくなるのです。

さらに、従来の絆創膏ではなく高機能絆創膏を利用するところが傷跡を残さないポイントです。

高機能絆創膏とは、ハイドロコロイドという特殊な素材を使い、傷口を乾燥させるのではなく浸出液を皮膚の表面に留めて傷を早く治そうとする新しい絆創膏のことです。

そして、こうした傷の治し方をモイストヒーリング(湿潤療法)といいます。

高機能絆創膏には次のようなものがあります。

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「キズパワーパッド」(ジョンソン・エンド・ジョンソン)

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ケアリーブ治す力(ニチバン)

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ハイドロ救急ばん (日進医療器)

傷口が大きい場合や傷口が汚れている場合、砂つぶやガラスの破片などが残っている場合は、水で洗うだけでは汚れが落ちないため、消毒薬を使ったほうがよい場合もあります。

新型絆創膏は使い方が従来の絆創膏とは異なるため、使用説明書をよく読んで正しく使うようにして下さい。

傷跡を残さない方法2.カッターで切ったような鋭い傷口はテープで補強する

ナイフやカッターのような鋭い刃先で切ったような切り傷は、皮膚がパックリと割れているため、傷口を塞ぐのに時間がかかり傷跡が残りやすくなります。

こうした切り傷は、傷口をくっつけるためにテープなどで傷口を補強すると傷跡が少なく治りも早くなります。ぱっくり割れた傷口を塞ぐには、メンディングテープ(紙テープ)やステリストリップが便利です。

3Mステリストリップ商品イメージ
3Mステリストリップ

傷跡を残さない方法3.傷口はできるだけ日光にあてない

もし傷が塞がって傷跡が残った場合でも、半年~数年かけて傷の修復は続きます。傷跡があったはずなのに、いつのまにか消えている、あるいは目立たなくなっている、というのは数年間の傷の修復作業によるものです。

傷跡が残るのは、瘢痕組織の細胞が不完全な状態なので、長い年月をかけて正常な細胞に戻す作用は働き続けます。

細胞が元に戻る過程で、有害となるのは日光(紫外線)です。紫外線は細胞にダメージを与え、傷の修復に悪影響を及ぼします。

どうしても傷口を残したくない場合は、衣服や包帯などを使い、傷口をできるだけ日光にあてないようにすると傷跡ができにくくなります。また、傷口が塞がってからも半年程度は日光にあてないようにしましょう。

傷跡を残さない方法4.傷跡はできるだけ乾燥させない

紫外線とともに傷跡の修復を妨げるのが乾燥です。皮膚の細胞が乾燥して水分が減ると、肌のがつっぱり細胞に無理な力が加わるので、修復途中のコラーゲンの配列が乱れやすくなるのです。

傷跡にワセリンなどをこまめに塗って、皮膚の乾燥を予防することで傷跡の修復が阻害されず、傷跡が残りにくくなります。

傷跡を残さない方法5.傷跡を残さない治療薬を利用する

医療用のヒルドイド(ヘパリン類似物質)という皮膚の再生を促す治療薬を使うことでも傷跡の再生が促進されると考えられます。以前はヒルダームという薬があったのですが、現在は市販薬では、「アットノン」(小林製薬)が販売されています。

傷を残さない方法6.皮膚の再生を促す栄養素を摂る

傷跡を残さないために最も必要な栄養素は、ビタミンCです。ビタミンCが不足すると皮膚が再生するコラーゲンの産生が著しく低下するため、傷跡が残りやすくなります。ビタミンCをしっかり摂るようにしましょう。

やけどの場合の対処法

やけどの場合は跡が残りやすいので、とくに慎重に対処しなければいけません。

やけどをしたら、一分一秒でも早く水で冷やすことがとても重要です。冷やすのが早いほど、やけどの進行を抑え皮膚へのダメージが深くなることを防げます。衣服が脱げないような場合は、服の上から水をかけて冷やして下さい。

冷やす時間は、水温にもよりますが10分~20分程度にしましょう。あまり長く冷やしていると皮膚が感覚を失い、やけどとは別のダメージが起こる場合があります。

やけどの場合は、新型絆創膏(ハイドロコロイド型)は、基本的には使えません。化膿を防ぐために消毒してから、一般的な絆創膏を貼るのが適切と考えられます。

やけどの症状がひどい場合や範囲が広い場合は、自分で処置せず皮膚科か形成外科を受診するようにしましょう。自己判断でステロイドを塗ったり、家庭用のラップを巻いたりすると跡が残りやすくなります。

傷跡を残さないためにやってはいけないこと・注意すること

傷跡を残さずキレイに治すためにやってはいけないNG行為や注意すべきことを知っておきましょう。

モイストヒーリング(湿潤療法)を行う場合

必モイストヒーリング(湿潤療法)を行う場合、必ずハイドロコロイドという特殊な素材が使われた新型絆創膏を使います。これは傷を治す浸出液を吸収しながら傷口覆う特殊な素材で、単に傷口を乾燥させないこととは違います。

決して家庭用のラップで傷口を覆うようなことをしてはいけません。新型絆創膏はあくまで医療器具であって、家庭用雑貨とは異なります。

自己流のやり方で傷口を覆ってしまうと、雑菌が繁殖したり浸出液が出てくるのを邪魔することになるので、傷口の治りが悪くなり傷跡が残りやすくなります。

一般的な絆創膏(バンドエイドやケアリーブなど)を使う場合

貼り替えすぎても長く貼りすぎてもいけません。1日1回程度の頻度で貼り替えます。ただし、血液や膿で汚れた場合は、その都度、張り替えるようにして患部を清潔に保ちましょう。

怪しい民間療法は科学的根拠がないものが多いので注意!

過去に服薬用のビタミンE剤カプセルの中の液状ビタミンEを傷口に塗る、というような奇妙な記事を見たことがありますが、科学的な根拠は何もないので決してして真似してはいけません。

そもそも服薬用のビタミン剤は傷口に塗るようには加工してありません。指の雑菌が傷口に入ったり患部に刺激を与えたりしてまいます。

かさぶたができたら無理にはがさない

すでにかさぶたができてしまった場合は、無理にはがさないようにして下さい。無理にはがそうとすると傷口に雑菌がついたり、治りかけの傷口が再び壊れたりして傷の治りが悪くなります。

ただし、東京医科大学形成外科教授の松村一さんによると、「(カサブタ)の周囲に赤みがあったり痛みがあったりした場合、かさぶたの下で細菌が繁殖し化膿している可能性が高いので、カサブタをとったほうが良い」とアドバイスしています。

(読売新聞「キズの治し方2ガーゼを当てない湿潤療法」より引用)

しかしながら、かさぶたをはがす場合は、自分で無理にはがすのではなく、皮膚科などを受診し衛生的に丁寧に取ってもらったほうが良いと思われます。

ペットなど動物に噛まれた場合

ペットなどの動物に噛まれたような場合、動物の口や歯についている細菌が傷口に入り込んでいる場合があります。感染症を引き起こしやすいので、自分で判断せず皮膚科や形成外科を受診しましょう。

傷口の手当てに限りませんが、病気やケガを治療する時は、自己流の治療法や、”生活の知恵”的なアイデアで処置すると逆効果になることが多いので、信頼できる情報源で科学的根拠のある正しい方法を選んで対処することが大切です。

救急絆創膏を貼ったままお風呂に入って良いの?

ハイドロコロイド絆創膏や防水タイプの絆創膏であれば、お風呂に入って患部を水に浸しても大丈夫です。一般的な絆創膏やガーゼや包帯で傷口を覆っている場合は、市販の「防水フィルム」を上から貼れば、お湯に浸しても大丈夫です。

傷口がきれいに治るかどうかは、受傷後の適切な処置のありかたが重要です。後々、後悔しないよう丁寧に対処しましょう。

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