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食べた直後に運動すると横っ腹が痛くなるのは何故?

腹痛」は何の前触れもなく襲ってくる嫌な痛みです。たとえば社会人の方で、週末にスポーツを楽しんでいるなら、一度は経験があるんじゃないでしょうか?

朝起きて、とりあえず朝食を食べる。そしてスポーツウエアに着替えて、ジョギングやサイクリングをしているうち、左の脇腹あたりが差し込むように痛んでくる。そうなると、ゆっくりと休憩でも取らないとしかたありません。

この腹痛、じつはちゃんとした原因があるのです。その原因をはっきりと理解し、かしこく運動するようにしましょう。そうすれば嫌な痛みも起こることなく、最後まで楽しい1日が過ごせるはずです。

横隔膜がびっくりしている

食後の運動で起こる腹痛の原因。主に以下のふたつが考えられます。ひとつは「横隔膜の痙攣」。胃に食物の重みがかかった上で、準備もせずにいきなり急激な運動をしはじめると、横隔膜がびっくりして痙攣を起こしてしまうのです。

その対処法はシンプル。準備運動をしっかりとやればいいのです。特にランニングの場合は、よく言われるようにきちんとストレッチングを行い、十分に筋肉を伸ばしてから行います。

それにプラスして、軽く「その場ジャンプ」を10回ほど行い、体に「これから運動するよ!」というシグナルを与えてあげます。

無くてもいい臓器?

もうひとつの原因は「脾臓の収縮」です。しかし、脾臓っていったい何なのでしょう? 胃腸や肝臓、膵臓は何となくわかりますが、「ヒゾウ」というのはふだん気にも留めません。

まずは脾臓への認識を新たにしましょう。脾臓にはいくつかの重要な役割があり、それらを羅列すると、①免疫機能 ②造血機能 ③古くなった赤血球の破壊 となります。

こうやって並べると「脾臓ってスゴイ!」と思いがちですが、じつはそれらはすべて他の臓器のいわばピンチヒッター的な役割。何らかの原因でヒトが脾臓を摘出することになっても、命への影響はないそうです。

よく知られている扁桃腺や虫垂、そして脾臓は「無くてもそれほど人体に影響はない」という意味で、進化に取り残された「痕跡器官」という可哀そうなネーミングがついています。

脾臓が急激に収縮する

ではなぜその脾臓が収縮して痛むのでしょうか? それは食後に運動をすると、カラダが大量の血液を必要とするのでピンチヒッターの脾臓君が「がんばらなくっちゃ!」と急激に収縮するからです。

食物の消化活動では胃腸に大量の血液が集まっています。その上、いきなり運動をして全身の血液循環が良くなったら……通常の供給だけでは足りなくなるので、脾臓の中に蓄えてあった血液が急速に送り出されます。この急激な収縮が左横っ腹の痛みとしてあらわれてくるのです。

控え組にも役割がある

「なーんだ。脾臓ってたんなるお荷物じゃないか!」そう思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし最新の研究では、「痕跡器官」たちもそれなりに懸命に働いており、人体に何らかの形で貢献していることがわかってきました。

たとえて言うならば、「サッカー日本代表の先発メンバーではないけれど、ベンチで必死に声援を送っている控え組」ということではないでしょうか?

試合後によく、出場選手がこういうコメントを出していますよね。「控えの奴らがいつも一生懸命僕らを支えてくれるので、勝つことができました!」

そう、人体は大勢の選手たちが集まったひとつのチームなのです。その中で脾臓君というピンチヒッターが急激に収縮して悲鳴を上げているとしたら……あなたに対して「無茶はダメだよ!」と必死で合図を送っているのではないでしょうか?

空腹でも運動はOK

この脾臓の痛みを防ぐ方法は、もちろんひとつだけ。それは「食べてすぐに運動をしない」という鉄則です。少なくとも食後1時間は空けるようにしましょう。この食後の腹痛問題、その根っこには「ハラが減っては戦ができぬ」という発想が根強く残っているからだと思われます。

しかし近年のスポーツ・フィットネス界の研究では、少々の空腹で運動してもパフォーマンスが低下することはなく、かえって良い成績が残せる場合も多くある、ということになっています。

たとえ話になってしまいますが、アフリカのサバンナで腹を空かせたライオンが獲物を追っているとします。その追跡の途中で、ライオンが空腹のあまりノビてしまった……などという話は聞いたことがありません。

むしろ空腹であればあるほど、必死で獲物に喰らいつこうとするでしょう。はっきり言ってライオンであろうがヒトであろうが、「ハングリー」なほうが底力が発揮されるものなのです。

「運動前に食べなくちゃ」と思い込んでいると、思わぬ腹痛の原因になります。あなたのカラダの「控え組」を苦しませないように、くれぐれもお気をつけ下さい。

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