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アルコールで赤くなる人は要注意!?飲酒と食道がんの関係と予防法

アルコールで乾杯

毎晩お酒を飲むのが楽しみな人、付き合いで飲まざるを得ない人、時々飲む人、とお酒の飲み方は様々ですが、体質によっては食道がんになるリスクが高くなるかもしれない、聞いたらドキッとする人は多いのではないでしょうか。

もしかすると、お酒を飲んで赤くなる人はアルコールによって食道がんになるリスクが高まる、という話を聞いたことがあるかもしれません。研究によると、それは事実のようです。

でも実は、単純にお酒を飲むと赤くなるかならないか、という区分けで、食道がんのリスクが高いと言える訳ではありません。

どういう理由で、食道がんになると言われているのでしょうか。また、食道がんになるリスクを減らすために、どんな点に注意をすれば良いのでしょうか。では、そのことについてもう少し詳しく調べてみましょう!

顔が赤くならない人も油断は禁物。でも、顔が赤くなる人でも、お酒との付き合い方を知っておけば、怖くありませんよ!

体内でアルコールが分解され無毒化される過程には2段階ある

私たちの身体は、アルコールを取り入れると、吸収し分解し排出する過程があります。実はその過程で、発がん性物質が生まれます。

段階1:アルコールをアセトアルデヒドに

アルコール(エタノール)の約9割は肝臓で、アルコール脱水素酵素(ADH)の作用によって、アセトアルデヒドに変わります。

アセトアルデヒドは、血管の拡張を促して顔を赤くしたり、頭痛、吐き気、嘔吐といった不快な症状の原因となります。アルコール自体が持つ血流を良くする作用も手伝って、顔の赤さが助長されるのです

このような反応をフラッシング反応(またはフラッシュ反応)と言います。

また、アセトアルデヒドは交感神経への刺激作用が強力なため、脈拍が上がり、血圧が上がり、冷や汗や筋肉の緊張などの症状が引き起こされます。毒性が強く、発がん性がある厄介な物質です。

段階2:アセトアルデヒドを無毒な酢酸(アセテート)に

アルデヒド脱水素酵素(ALDH:アルデヒドデヒドロゲナーゼ)によって、アセトアルデヒドは酢酸に代えられます。酢酸は無害な物質です。最終的に酢酸は、筋肉や脂肪組織などで二酸化炭素と水に分解されます。

ALDH1とALDH3は個人差があまりありません。ですがALDH2の活性は遺伝によって個人差が非常に大きく、お酒に強いか弱いかのカギを握っています。

飲酒によって顔が赤くなるのは、このALDH2の活性が低く(不活性型と失活型とあります)、アセトアルデヒドを無毒な酢酸にする処理が遅いため、アセトアルデヒドが体内に蓄積するからです。

アセトアルデヒドを分解するALDH2の活性がどの程度かは、遺伝的に見て大まかに3つに分けられます。

  • 活性型(NN型)
  • 不活性型(ND型)
  • 失活型(DD型)

活性型(NN型)は両親から、分解能力が高いN型を受け継いだ人。お酒に強く、顔が赤くなりません。

不活性型(ND型)は、分解能力が高いN型と、分解能力が低いD型を受け継いだ人。全くお酒を飲めない訳ではないが、基本的にお酒に弱い。顔が赤くなりやすい。

失活型(DD型)は両親から、分解能力が低いD型受け継いだ人。全くお酒を飲めない場合が多い。少し飲んだだけでも顔が赤くなり、頭痛、めまい、嘔吐などのつらい症状が出ます。

遺伝子によるアルコール分解4タイプ

アルコールを分解する酵素が2段階(アルコール→アセトアルデヒド→酢酸)、2種類(ADHとALDH)ありましたが、遺伝によってそれぞれの段階においての働きの強さが異なり、それによって大まかに4タイプに分けることが出来ます。

タイプ1、アルコール分解もアセトアルデヒド分解も早い

いわゆる、真に”お酒に強い”タイプです。お酒を飲んでも顔が赤くならず、全く酔いません。日本人の50%がこのタイプです。北海道、東北、南九州に多いとされています。

実はこのタイプは白人には10%しかいません。白人の方がお酒が強い人が多いと思われがちですが、実は割合でいけば、日本人の方がお酒に強い人種なのです。

タイプ2、アルコール分解は早いがアセトアルデヒド分解は遅い

このタイプはお酒を飲むとすぐに顔が赤くなる、または赤くなっていた人です。飲み過ぎると気分が悪くなったり、二日酔いになったりする、”お酒に弱い”タイプです。

遺伝的にALDH2(2型アルデヒド脱水素酵素)の働きが弱いため、アセトアルデヒドの分解が遅く、体内に長く留まるからです。そのため、大量の飲酒によって食道がんのリスクが高まります。

日本人の約40%がこのタイプなので、約半数の人は遺伝的に”お酒に弱い”ということになります。日本人はお酒に弱いと思われている理由ですね。近畿、中部、北九州に多いとされています。

現在、お酒を飲んでも赤くならなくても、飲酒を始めた最初の1〜2年は顔が赤くなっていた、という人は、90%の確率で遺伝的にALDH2の働きが弱いタイプと考えられます。

タイプ3、アルコール分解もアセトアルデヒド分解も遅い

このタイプはアルコール分解が遅いため、体内にアルコールが蓄積しますが、アセトアルデヒドの発生も遅く、顔が赤くなりにくくなります。そのためずっと陽気で、翌日も酒臭い人が多いです。

長時間、多量に飲酒すると次第に顔が赤くなります。日本人の約3%はこのタイプです。

このタイプはアルコール依存症になりやすいと言われています。また、食道がんのリスクは、4つのタイプの中で最も高いとも言われています。顔が赤くならないから安心、という訳ではないということですね。

タイプ4、アルコール分解は遅いがアセトアルデヒド分解は早い

このタイプは白人の90%、日本人の4%と言われています。白人のほとんどがこのタイプなんですね。

アルコール分解が遅いので、タイプ3のようにアルコールが長く蓄積し、ずっと陽気で、翌日も酒臭かったりします。でもアセトアルデヒドの分解は早いので、体内にアセトアルデヒドが蓄積しません。

このタイプもタイプ3と同様にアルコールが体に残りやすいため、アルコール依存症になりやすいと言われています。アルコールによる食道がんのリスクは、アセトアルデヒドの分解が早いため、タイプ2やタイプ3よりは低くなります。

顔が赤くなる人は飲酒によって食道がんになりやすくなると言われる理由

摂取したアルコールは、胃や腸で吸収され、血液を通して全身を巡り、約90%は肝臓で分解されます。約2%から10%は、呼気、尿、汗としてそのまま排出されます。

ALDH2活性が低い場合は、アルコールからアセトアルデヒドに分解された後、アセトアルデヒドを分解できずに血液を通して体内を巡ることになります。

そして体内に巡ったアセトアルデヒドは肺で気化し、呼気として出てきます。アセトアルデヒドは気化しやすいが粘着性が高い、という性質があるため、口腔内の唾液に取り込まれ、再び体内に入り、口腔内、食道、肺に付着します。

このように肺や食道、口腔内といった付着しやすいところで蓄積するため、その部分でがんが発生するリスクが高まると言われています。

ALDH2活性の弱い人が、日本酒にして毎日1合以上(ビールなら500ml)週5日以上の飲酒をし続けると、飲まない場合と比べて食道がんになるリスクが約5倍になるという研究結果があります。

また、大量の飲酒(日本酒にして毎日2合以上)を続けると、食道がんになるリスクがさらに約4倍高まり、肺がんになるリスクも約4倍になるとされています。

発がん性のあるアセトアルデヒドが分解されずに体内を巡った結果、体内に付着しやすい所が食道、という訳なのです。

飲酒で顔が赤くなる人は食道がん以外のがんになるリスクも高い

肝臓で処理されて発生したアセトアルデヒドは胆汁に排出されて、胆管、胆嚢、十二指腸、小腸、大腸と進み排泄されます。この経路となるため、肝臓がん、胆道系がん、大腸がんのリスク因子ともなります。

特にアセトアルデヒドが体内に蓄積しやすい、タイプ2とタイプ3の人で大量に飲酒する人は、これらのがんにも注意する必要があります。

しかし先ほど4タイプがあることを見ましたが、タイプ3のように顔が赤くならなくても、アセトアルデヒドの分解能力が低い場合がありますので、必ずしも顔が赤くならないから大丈夫、とは言えません。

お酒は鍛えれば強くなる?本当だとも嘘だとも言える

昔はお酒を飲むと赤くなっていたが、今は赤くならない。だから鍛えられてお酒に強くなったんだ、という人がいます。これは多少真実です。

ALDH2低活性型で、お酒に強くはないが、ほどほどにお酒が飲める、という人は、アルコールを飲み続けることでALDH2の活性が徐々に高くなり、アルコール耐性がアップする場合があります。

アルコールは基本的にはALDHによって分解されますが、大量の飲酒をすると「酵素誘導」という仕組みによって、MEOS(ミクロゾームエタノール酸化酵素)という薬物代謝酵素も誘導され、アルコール代謝に関わります。

恒常的に飲酒を続けるとこの「酵素誘導」によって分解能力が高くなり、始めは顔が赤くなっていた人も、顔が赤くなりにくくなるのです。

でも、このような人はもともとALDH2活性が低いため、活性型の人と比べるとアセトアルデヒドの毒性に長くさらされることになります。そのため、がんについて一番注意すべき人といえます。

ですから鍛えられて食道がんになるリスクが減るというよりも、鍛えるほどにお酒を飲むことの方がリスクを高めて危険です。

また、酵素誘導によってミクロゾームエタノール酸化酵素が過剰に生成されると、肝臓に大きな負担をかけるとも言われています。ですから、鍛えようと大量にお酒を飲むことは、お勧めできません。

顔が赤くならない人は強いと判断するのは危険

アセトアルデヒドの毛細血管への反応は個人差があるので、遺伝的にはアセトアルデヒドの分解能力は低くても、顔が赤くならない場合もあります。

まれにALDH2失活型でも、顔が赤くならない人もいます。顔が赤くならないからとお酒を無理に飲ませると急性アルコール中毒などの重篤な症状に陥ることがあります。

顔が赤くなるかならないかだけでお酒の強さを判断することは、危険なので控えましょう。

アルコール分解とアセトアルデヒド分解のタイプを知る簡単なパッチテストの方法

このようにお酒に強くなったように見える人もいるため、自己判断によって自分がALDH2活性型(お酒に強い)タイプだと思っている人も多くいそうです。

お酒に強いタイプだと思ってお酒を飲み過ぎて、がんのリスクを高めてしまう事は避けたいですね。

がんのリスクを回避するためにも、不安な方は専門機関で遺伝子検査をして、遺伝子的な自分のタイプを知っておくことも無駄ではないかと思います。

でも遺伝子検査が予算的にも時間的にも厳しい場合は、簡単に自分で「アルコールパッチテスト」をすることが出来ます。

パッチテストの方法:

  1. 脱脂綿に消毒用アルコールを含ませる
  2. 脱脂綿を7分間、上腕の内側にテープで固定する
  3. はがした直後の肌の色を見る
  4. はがして10分後の、脱脂綿が当たっていた部分の肌の色を見る

診断:

  • 肌の色が変化しないー活性型
  • 10分後に赤くなるー不活性型
  • 直後に赤くなるー失活型

ただし、先に述べたように、失活型でも赤くならない方がまれにいるので、より正確な検査を望まれる人は遺伝子検査をした方が良いかもしれません。

食道がんのリスクを減らすには禁酒というより節酒と禁煙

IARC(国際がん研究機関)によると、食道がんを発症させる危険因子は、高度喫煙と高度飲酒です。喫煙や大量の飲酒は、食道がんだけでなく、どんな人でも肝臓がんや肺がんなどのリスクも高めてしまいます。

顔が赤くなる人が食道がんになるリスクは、喫煙によってさらに高まる

喫煙だけで見ても、1日20本のタバコを30年間続けた場合、非喫煙者と比べて食道がんのリスクが30倍になります。加えて飲酒もするとさらにリスクは高まります。

毎日2合以上の飲酒で、タイプ2の人は食道がんのリスクが高くなるとされています。

国立がん研究センターによると、飲酒によって顔が赤くなる体質の人のヘビースモーカーは、飲酒によって食道がんになるリスクがさらに高くなるという研究結果が出ています。

唾液中のアルコールは、酵素だけでなく口腔内の常在菌によってもアセトアルデヒドに処理され、蓄積します。さらに喫煙によって唾液中のアセトアルデヒド産生が増加することが明らかになっています。

顔が赤くなる人は禁酒すれば良いというわけではない

飲酒によって食道がんのリスクが高まると言っても、全くお酒を飲まない、というのはなかなか難しいかと思います。お酒によるリラックス効果は、生活に彩りを添えてくれますよね。

アルコール消費量1日20g未満まではむしろ死亡率が低下するという研究結果もあります。(もちろん成人未満はこれに当てはまりません)

”酒は百薬の長”とも言いますが、全くお酒を飲めない体質の人は別として、ほどほどにお酒をたしなむことは身体に良い面もあるようです。

ですから、食道がんのリスクを回避するために大切なのは、禁煙と、節酒であると言えます。

1日のアルコール摂取量の基準:お酒1単位ー純アルコールに換算して20g
(個人差があるので、あくまでも目安です)

計算式:
お酒の量(ml)×[アルコール度数(%)÷100]×0.8(アルコールの比重%)=純アルコール量(g)

お酒の種類によって標準的なアルコール度数で計算すると、下記の表になります。参考にしてください。

お酒の種類と量 アルコール度数と純アルコールの量
日本酒180ml(1合) (14ー16度)15度としてー21.6g
ワイン180ml (12ー15度)14度としてー20.2g
焼酎110ml (25ー40度)25度としてー21.6g
ビール500ml(中瓶1本) 5度ー20g
缶チューハイ350ml(1缶) 5度ー14g
紹興酒150ml 17度ー20.4g
泡盛60ml (20ー60度)40度としてー19.5g
ウィスキー60ml(ダブル1杯) (40ー50度)40度としてー19.5g
ブランデー60ml 40度ー19.5g
ジン60ml (40ー50度)40度としてー19.5g
ラム酒60ml (40ー75度)40度としてー19.5g
テキーラ60ml 40度ー19.5g
ウォッカ60ml (35ー50度)40度としてー19.5g
顔が赤くなる人が1日にお酒を飲む量は、日本酒なら1合、ビールなら中瓶1本、ウィスキーならダズルで1杯までにしておきましょう!加えて休肝日も忘れずに。

症状が出る前に食道がんを早期発見する

飲酒の機会が多い人、また喫煙者は、食道がん検診を定期的に行なって、がんの早期発見を心掛けましょう。

内視鏡検査は、食道がんを早期発見する最も有効な方法です。食道がんの危険因子は咽頭がんにも当てはまります。内視鏡検査を受ける際には食道、咽頭、共に診てもらってください。

早期発見なら内視鏡治療で治ります。早期発見には技能が必要なので、内視鏡の専門医がいて、ヨード染色やNBI(狭帯域光観察)が出来る装置がある医療機関で診てもらう方が良いでしょう。

食べ物や飲み物が胸につかえる、飲み込む時に引っかかりを感じる、という場合は食道がんの可能性がありますので、早めに検査を受けるようにしてください。

しかし自覚症状が出てからでは、がんが進行してしまっている可能性があります。進行してしまうと治る可能性が半分になってしまいます。自覚症状が出る前から、リスクがあることを知っておき、検診を受けるようにしてください。

お酒の量だけでなく飲むときに注意できること

楽しくお酒を飲むために、お酒を多量に飲まない、というのはもちろんですが、お酒を飲むときにも注意できることがあります。

アルコール血中濃度のためにも二日酔い防止のためにも水分補給を

お酒を飲んだら、水分も十分に摂るようにしましょう。お酒を飲むときに水分も一緒に摂ることで、アルコールの吸収を穏やかにすることができます。

アルコールは利尿作用があるので、脱水症状を起こし、それが二日酔いの原因の1つとなることがあります。これを防ぐためにも、飲み過ぎを防ぐためにも、お酒と一緒に水分も摂るようにしましょう。

アルコール50gに対する利尿作用は、約600mlから1リットルとされています。つまりこれだけの水分が奪われる事になります。

つまり、アルコール度数5%のビール1.2リットル程度に対し、水分1リットル奪われる計算で考えてみましょう。ビールよりもアルコール度数の高いお酒は、摂取する水分以上に失われる水分が多くなるので、水分を補給しないと脱水状態を引き起こしてしまいます。

ではビールは大丈夫かというと、ビールにはカリウムが多く含まれているので、アルコール以外にも利尿作用が働きます。ですからビールを水分補給代わりにすることも避けましょう。

お酒を飲むときに一緒に食べると良いもの

お酒を飲むときに一緒に食べると、代謝を助けてくれたり、二日酔いを防いでくれる食べ物があります。大体はおつまみとして定番のものですね

特にお酒に弱い体質の人は、空き腹で飲むことを避け、こういったおつまみを積極的に食べるようにしましょう。

栄養素と役割 食べ物の代表例
脱水防止ー水分、塩分 水、味噌汁、お鍋
アルコールの吸収を遅くするー脂肪 ナッツ類、レーズンバター
アルコールの代謝を促進ービタミンB15 ごま、玄米、かぼちゃの種
アルコールの代謝を促進ークルクミン ウコン(ターメリック)
肝機能強化ースルフォラファン キャベツ、ブロッコリー、カリフラワー
アセトアルデヒドの分解を促進ータウリン 貝類、タコ、イカ
アセトアルデヒドの分解を促進ーオルニチン 鶏胸肉、ナッツ類、ごま
アセトアルデヒドの分解を促進ーLシステイン、メチオニン 豚肉、卵、ひまわりの種
アセトアルデヒドの分解を促進ーセサミン ごま、ごま豆腐、ごまダレ
アセトアルデヒドの分解を促進ーアラニン、グルタミン しじみ、はまぐり、あさり
お酒は一気に飲むことは避け、おつまみを食べながら、ゆっくり飲みましょう。

食道がんのリスクを減らして楽しくお酒と付き合う

いかがだったでしょうか?嫌いでもない限り、お酒を全く飲まない、なんてことはなかなか難しいと思います。

喫煙は”百害あって一利なし”と言われますが、お酒は上手に用いれば、人間関係の潤滑油になったり、ストレス社会に立ち向かう力になったり、良い事も沢山ありますね。

身体にも優しく、心にも楽しく、お酒と上手く付き合っていきたいですね!

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