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ゲームがてんかんの原因?やめても脳波異常の半数は治らない

children playing in the TV game

もう20年近く前になりますが、人気テレビアニメを見ていた子供たちが光過敏性発作を起こしたと言うトラブルがありました。

このトラブル以来、子供向けのテレビアニメには「テレビを見るときは部屋を明るくして離れて見てください」と言うテロップが流れるようになりました。

この現象はゲームでも発生することが知られていますが、実際に発生している件数が過小評価されているのではないかと言う問題提起が、学会において専門医から行われました。

光の刺激で脳波に異常が出る!画面にのめり込む子供は注意が必要

古い用語で「光過敏性癲癇(ひかりかびんせいてんかん)」と言う現象は、1946年にはすでに提唱されています。その後1952年にはアメリカでテレビが原因とされるトラブルも起こっていたようです。日本ではNHKがテレビ放送を始める前の年です。

こうしたトラブルやその原因はある程度「新しい技術に対する疑問や恐怖」によって過大評価されがちですが、当時はモノクロテレビだったにもかかわらずこうした現象が観測された事実は注目に値しますね。

一方、1971年に封切られた”The Andromeda Strain”、邦題「アンドロメダ…」と言うSF映画の中では、すでに登場人物が赤色点滅灯によっててんかん発作を起こしている描写があります。それぐらい前から一般化していた情報なんです。

実際に発生したトラブルの原因周波数では8割近くが発作を起こす

こうした光の刺激によって脳波の異常をきたしたり発作を起こす人と言うのは、光の周波数が高くなるとより起こしやすくなる傾向があります。しかし、充分に周波数が高くなると連続点灯にしか見えないため、一定以上の周波数になれば安全なのかもしれません。

例えば、自動車のLEDストップランプなどの製品は、明るさのキープや消費電力の低減、製品寿命の延長のために、目には認識できない早さで点滅しているのです。

ちょっと眩しすぎる感じはしますけれど、現在のところ自動車のLEDストップランプによるてんかん発作で事故になったと言うのは報告されていないようですから、あれぐらいの細かい周期で点滅していれば大丈夫なのかもしれませんね。

先のトラブルの時には12Hz(画面が真っ赤になって次に暗くなるのを1回として、1秒間に12回行う)の点滅画面だったそうで、このレベルでは脳波に異常をきたすような因子を持っている人の78%に異常が出ると言うことです。

一方、これが1秒間に3~4回レベルであれば数%程度、1秒間に1回ならほとんど悪影響はありません。

ゲームやテレビは刺激が強いから子供を魅了する

children playing in the TV game illustration

でも、ゲームをやっていて敵をやっつけたり、逆に敵の攻撃を受けた時に、大げさに画面が明滅するのは子供にとってはとても面白く、ゲームの魅力をうんとアップさせると言っても過言じゃないです。

テレビ番組でも同じことが言えるでしょう。いちばん良いシーンで画面が大きく変化すると言う演出は、子供たちにとってたまらなく面白いはずですね。

ですので、ついつい画面にのめり込んで見てしまい、こうしたトラブルが起こることに繋がったのでしょう。

ゲームやアニメだけに注意しておけば良いと言うわけではない

やっぱりゲームやアニメは良くないんだなと思われた方もおいででしょうけれど、それは間違いです。最初にお話しした通り、最初の光過敏性癲癇は1952年のモノクロテレビ放送で起こっているのです。

もちろんディズニーアニメーションや「トムとジェリー」は戦前からアニメとして存在していましたが、それは映画の話で、テレビアニメになったのは1960年代以降です。ですから、実写のテレビ番組でも充分トラブルの原因になり得ます。

問題は目に入ってくる映像の占める割合

詳しい情報はありませんが、映画でこの現象が起こった際は通称シネスコサイズ(ハイビジョンの物より横長の画面)だったと言われています。このサイズの映画を前の方の席で見ると画面が視野からはみ出します。

と言うことは、視野における画面の情報が100%になってしまうんですね。そこに悪影響を及ぼすものが映し出されれば、100%の効果を持って脳に影響を与えてしまうと言うわけです。

一方、テレビの画面はそれほど大きくありません。しかし、子供たちは夢中になると、無意識に「かぶり付き」の場所にまで寄って見てしまいます。

また、テレビを見る部屋が暗いと、コントラストの関係で目に入ってくる刺激がより強化されてしまいます。なので「テレビを見るときは部屋を明るくして離れて見てください」と言うことになるわけです。

ですので、これがテレビドラマやバラエティ、場合によってはニュースやCMであっても光の明滅が激しいと同じ現象が起こる恐れは充分にあるのです。

テレビ局などは、意図せずそのような現象が起こる可能性がある、ライブ中継のニュースなどには気を遣っているようですね。

報道陣が集まって、一斉にフラッシュを焚くようなシーンを生中継してしまうと何が起こるか判りません。そうした可能性がある中継では、予め画面の輝度を下げるなどの工夫をしているそうです。

ゲーム機は小さくても距離が近く意識が集中するから危険性がある

リアルタイムのアクションゲームやシューティングになると、一瞬たりとも目が離せません。そうなってくると意識の全部がゲーム画面に集中してしまうわけですから、そこに悪影響のある光が表現されると危ないでしょう。

また、RPGのように、ターンの切り替えなどで間があるものであっても、最も画像が良く動くシーンでは目はそこにくぎ付けになります。

最近人気のオンラインゲームなどでは、パソコンを使う場合画面も大きいし、対象が大人になっている場合が多いので、そうした動画表現に規制がかかっていると言う保証もありません。

子供を対象と考えていない深夜アニメでは「部屋を明るくして~」のテロップが流れないのと同じで、大人を対象としたオンラインゲームは、内容の如何を問わず子供の健康に対して好ましくないことも充分あり得ます。

ですからオンラインゲームは未成年者にやらせるべきではないと言う、もう一つの理由になるかもしれませんね。

ゲームやネット依存の子供の半数に脳波の異常があった

there is an abnormality in the brain

医学関係の報道によると、日本てんかん学会学術集会で報告された発達障害などを専門に診ているクリニックの院長から、ゲームとてんかんに関してショッキングな報告があったようです。

それによると、ゲーム・ネット依存/中毒と診断された子供(平均年齢11.6歳)の半数以上に、脳波の異常、つまり「ケームてんかん」が見られたのだそうです。

安全な環境を確保するのは意外に難しい

学会での報告でも、症例の一つとしてゲームの禁断症状に「不機嫌発作」があるとありました。その時の脳波計の記録を見ると、波形が用紙からはみ出して記録しきれていないくらいです。見ればちょっと怖くなりますね。

ゲームを禁止したり短時間にさせると不機嫌になるお子さん、単なるわがままならまだ良いのですが、脳波に異常が出てたりしたら怖いですよね。

日本てんかん学会では、てんかんを持っている患者さんに対してのゲームなどの光刺激に関して情報を出しています。

テレビゲームやアニメをみている最中にけいれん発作をおこしやすい患者さんがいますが、ほとんどの場合、点滅する光に対して強い過敏性素質(光過敏性)がありますので脳波検査でチェックすることが可能です。

光過敏性のない患者さんではテレビゲームやアニメの視聴に神経質になることはありませんが、睡眠不足や疲れは発作を悪化させることがありますのでほどほどにさせましょう。

光過敏性が存在してもテレビは注意(部屋を明るくする、TV画面より3m以上離れる、短時間にする)して視聴すれば禁止する必要はありません。また抗てんかん薬により光過敏性自身も抑制可能です。

このように、時間の規制や、見る環境についてアドバイスを行っています。しかし、部屋の明るさはともかく、実際3m以上離れてテレビを見ている人って意外と少ないんじゃないでしょうか。

3mと言うと、四畳半の部屋の対角線上にテレビと人を置いてテレビを視る時の、実際の距離くらいに相当します。六畳間の長辺、八畳間の各辺の両端でも同じくらいになります。

examples of distance to watch TV

恥ずかしながら、うちでテレビまでの距離を測ったら、我が家は狭いので2mちょっとしかありませんでした。落第ですね。

ゲームによるてんかんの中には薬を使わなくても治った例がある

この学会報告では、従来のてんかん診断のあり方に一石を投じることを主目的として「脳波計でてんかん波が見られても,抗てんかん薬未使用で改善する例がある」と言うことを指摘されています。

しかし、私たちにとっては「ゲームを止めさせるだけでてんかんを予防・改善できる」と言う内容だと捉えて、子供のしつけに向き合うための情報としましょう。

ゲームもネットやテレビも「子供のしつけ」と言う事を再確認しよう

この報告では、いわゆるゲームなどの依存症状態にあった子供の56%に脳波の異常が認められたと言うことです。一方、改善した子供たちも少なくないことから、もともと脳に異常があるから依存症になると言う考え方は否定されます。

そして、治療としてゲームやネットの使用を中止させたり、時間を短縮させたりすると言う方法で治療行った結果、半数の脳波は改善しました。しかし、言い換えれば半数は改善しなかったと言うことでもあるんです。

そうなると、今後は本格的な薬物治療などを行って、治癒・寛解を目指さなくてはならないと言うことですね。

この調査の対象になった患者さんたちの平均年齢が12歳に満たないことから見ても、かなり幼いころからテレビやゲーム、場合によってはネットにも長時間触れる機会が多かったと言うことでしょう。

従って、こうした病気に罹らせないためには、幼児期からテレビやゲームは時間を決めて視聴・遊戯させると言った、基本的なしつけが非常に重要になるのです。

具体的に子供とテレビやゲームの関係はどうすればいいのか

では、具体的にどういったしつけが必要なのか、何時間ぐらいを限度にすればいいのか、こうしたことについて参考になるデータが欲しいですよね。

2つご紹介しましょう。要旨はここに抜き書きしますが、全文は長いため引用しきれませんから、下にリンクでご紹介します。どうか、そちらをよく読んで理解して下さい。

①2歳になるまではテレビやビデオなどを見せないようにしましょう。
 どんなものであっても、テレビやビデオを長時間見せると、言語の発達が遅れてしまうことに繋がります。

②授乳中や食事中にテレビなどをつけないようにして下さい。

③2歳になってからも、幼児にテレビやビデオなどを一人で見せることはいけません。
 見せるときは必ず親子で一緒に見て、その内容について、必ず親子でコミュニケーションを取るようにして下さい。

④幼児に限らず小児全般に、全メディアに接する時間を制限することが必須です。
 子ども部屋には全てのメディアに接することのできる機器を置かないようにしましょう。

⑤テレビなどに関する家庭内のルールを、親子でよく話し合いましょう。

⑥テレビやビデオをつけっぱなしにしてはいけません。見る番組や内容を決めたら、それ以外はスイッチを切りましょう。

⑦連続してビデオを何本も、あるいは繰り返し見てはいけません。

全メディアとはテレビ・ビデオ・パソコンやスマホ・タブレット・携帯電話などの携帯端末、手持ち型・据え置き型に関わらずゲーム機全般、その他画面表示型の情報端末のすべてです。

それらに接する時間は、すべてのメディアの合計で1日2時間までが目安です。そのうちゲームは1日30分までにしましょう。途中で打ち切るのが困難なゲームは最初から禁止する方が良いでしょう。

この内容の骨子を教えてくれている日本小児科医会と日本小児科学会からの提言は、次のリンクから全文が見られます。なお、文面には出てきていませんが、詳細を読むと、ここで言う「テレビなど」にはインターネット画面を含んでいます。

「子どもとメディア」の問題に対する提言 日本小児科医会「子どもとメディア」対策委員会
乳幼児のテレビ・ビデオ長時間視聴は危険です 日本小児科学会・こどもの生活環境改善委員会

小児科のお医者さまからの提言ですから、年齢や乳幼児であることを明記している上の3つを除くと、義務教育の間はこれに従うのが良いと言うことですね。

親も子もメディア漬けになっていると言う危険を見つめよう

家族でテレビ

小児科のお医者様が示された提言を見ると、親も我慢しなければいけないことが結構ありますね。子供をしつけると言うのは、親自身が自分をしつけると言うことでもあると言えるのでしょう。

また、小学校高学年から中学生ぐらいになると、全メディアへの接触時間が2時間以下と言うのは、今のご時世結構厳しく感じられるかもしれません。

もちろん、中学生にもなればクラブ活動などで平日はそんなに時間を取れないと思います。しかし、休日にスマホやゲーム、テレビの視聴やBDやDVDを借りてきて視聴するなどの時間の合計で2時間となると、子供からもブーイングが出るでしょう。

でも、学校の成績云々ではなく、飽くまで脳の病気にならないための予防なのですから「休日はOK」と言った条件の緩和はお勧めできません。

この記事が親子で話し合うきっかけになってくれれば嬉しいです。

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