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蓄膿症で失明する?目に起こる合併症を見極めるために注意すべき症状

鼻水をかむ女性

最近ではあまり蓄膿症と言う言葉を使わなくなりましたが、病気そのものが減ったわけではありません。昔から言われる蓄膿症とは、慢性鼻副鼻腔炎のことを指しています。この蓄膿症が、時として失明につながるという情報はあちこちで見られます。

しかし、実際に失明につながりやすいのは蓄膿症と呼ばれる慢性鼻副鼻腔炎ではなく、その前段階である急性鼻副鼻腔炎のことが多いのです。なので「蓄膿はないから」と油断していると、気づいたときには手遅れと言うことにもなりかねません。

風邪をひいて視力を失ったのでは大変だから副鼻腔炎に注意

急性鼻副鼻腔炎の最も大きな原因は風邪です。最近ではアレルギーによるものも増えているそうですが、風邪をひいた後の細菌感染によって、副鼻腔に炎症が起こるものが最も多くなっています。

もちろん副鼻腔に炎症が起こったからと言って、必ず眼に影響が出るということはありません。むしろそれは少数派なのですが、だからと言って「たかが風邪」と鼻副鼻腔炎の症状を放置するのはよくありません。

急性副鼻腔炎は風邪のウイルス感染に始まる

風邪がウイルス感染症であることはよく知られていると思います。その風邪は、症状が進むと二次感染として細菌感染が起こります。鼻水に色がついた状態と言うのは、この細菌感染によって発生しています。

では鼻副鼻腔炎は風邪なのでしょうか。これはちょっと微妙なのですが、厳密には異なるものです。しかし、私たちにとっては全く同じものに見えます。一般人にも判る見分けポイントはたった一つです。

それは、症状が2週間を超えて続いているかどうか、と言うことなのです。

風邪と呼ばれる「かぜ症候群」も、急性鼻副鼻腔炎も同じタイプのウイルス感染に始まります。そして、かぜ症候群の鼻の症状は急性鼻副鼻腔炎と共通するものです。

かつて副鼻腔炎と呼ばれたこの病気が、鼻副鼻腔炎と呼ばれるようになったのは、鼻水鼻詰まりと言った、鼻腔の症状を伴うからです。

かぜ症候群と鼻副鼻腔炎は、鼻の症状や発熱、頭痛が共通しています。一方、咳については、かぜ症候群ではほとんどの場合のどの痛みを伴って咳が見られますが、鼻副鼻腔炎では必ずしも咳が出るとは限りませんし、のどの痛みを伴うこともそれほど多くありません。

また、かぜ症候群は多くの場合発症から3日~7日程度で軽快します。多少長引いても2週間程度で治ります。一方、鼻副鼻腔炎では2週間を超えて症状が持続します。ですので2週間を超えて治らない風邪は鼻副鼻腔炎を疑うことになります。

さらに、鼻の症状が短期間で治まったあと、5日~7日後くらいに頭痛や顔の痛み、咳などで症状がぶり返した場合は、鼻副鼻腔炎である可能性が出てきます。

ただし、鼻の症状は治まったけれど、咳が2週間以上止まらないという場合は鼻副鼻腔炎ではなく、慢性咳嗽が診断の対象になるでしょう。

最初に「風邪かな?」と思って市販薬を飲み、数日で症状が治まったあと、こうした症状が出た場合は必ず受診して下さい。そして、直前に風邪をひいて市販薬で治療したことを医者さんに伝えることが非常に重要です。

その情報があれば、お医者さんは当初から鼻副鼻腔炎の可能性を考慮に入れて診断してくださいます。その情報がないと、お医者さんはまずかぜ症候群の疑いからスタートされますので、正しい診断が遅れることになりかねません。

鼻副鼻腔炎の原因はほとんどが細菌なので抗生物質が効く

かぜ症候群では、当初さまざまなウイルス感染によって病気がスタートします。

  • インフルエンザウイルス
  • パラインフルエンザウイルス
  • RSウイルス
  • ライノウイルス
  • アデノウイルス
  • コロナウイルス

などが有名ですね。インフルエンザウイルスは言うまでもなく有名ですね。パラインフルエンザウイルスやRSウイルスは子供の気管支炎・肺炎の原因になるウイルスです。RSウイルスは呼吸器合胞体ウイルスと言う意味の略語ですが、略語で定着しています。

ライノウイルスとアデノウイルスは大人の風邪の原因になるウイルスで、最もメジャーなものです。コロナウイルスはMERSやSARSの原因ウイルスが属しているグループです。

こうしたウイルスによってかぜ症候群は起こります。そして、同時に鼻副鼻腔炎も起こっていることがありますが、この段階では症状の区別は全くつきません。

そして、ウイルスによって炎症が起こった場所に、細菌が二次感染することが割合多く見られます。そうなると、膿によって色のついた鼻汁が出始めるのです。

この細菌感染は鼻腔だけではなく副鼻腔にも及びます。そうしてそれが自分の免疫力だけで抑え込めなくなった時に、鼻副鼻腔炎として症状を表してくるのです。このため、その見分けには2週間と言う時間がかかることが多いわけです。

言い換えれば、副鼻腔に波及したかぜ症候群の二次感染が自然治癒しない場合に、急性鼻副鼻腔炎だとも言えるでしょう。

急性鼻副鼻腔炎を軽く見るとひどい目に遭うかもしれない

風邪をひいたと思って、風邪薬を飲んでいたけれど一向によくならない。「しつこい風邪だな」と思って放置していたら、知らない間に鼻の症状が定着してしまう場合があります。

この状態が12週間に至った場合に「慢性鼻副鼻腔炎」、すなわち蓄膿症と呼ばれるものになるわけです。一方、急性期の間に危険な症状が起こってくることがあるので、2週間以上続く鼻の症状などが見られたら直ちに受診して下さい。

なお、急性鼻副鼻腔炎は発症から4週間以内と定義づけられています。では5週目から11週目はどうなるのでしょう。はっきりした定義は見当たりませんでしたが、亜急性または遷延性として、急性期に準ずる治療が行われていると思われます。

眼や頭に現れる症状は非常に危険なことがある

たかが鼻の症状で大げさな、などとは思わないで下さい。「大げさすぎたかも」と後で笑える方が幸せなのです。

合併症

急性鼻副鼻腔炎の主な合併症には、眼窩内合併症(眼窩蜂窩織炎、眼窩骨膜下膿瘍)、頭蓋内合併症(硬膜下膿瘍、硬膜外膿瘍、髄膜炎、脳膿瘍、海綿静脈洞血栓症)などがある。

失明や致死的になる症例もあるため、迅速な診断と治療が必要である。症状、所見から合併症が疑われた場合には、CT やMRI などで早期に診断し、認められた場合には、抗菌薬の点滴静注に加え、手術的治療の適応を検討する。

このように、失明どころか、最悪生命に危険が及ぶ場合もあるのです。気になる症状があったら、必ず受診して治療を受けて下さい。

それぞれの合併症の特徴

眼窩蜂窩織炎は眼球を収めている眼窩の脂肪組織に強い炎症が起こるものです。急に眼が赤くなり、まぶたが腫れたり赤くなったり、眼の痛みを伴ったりします。

まぶたに触れるととても痛く、場合によっては眼球が突出したり、物が二重に見える複視を伴ったりすることもあります。頭痛や発熱、吐き気を伴うこともあり、症状が重いと視力低下をきたします。

眼窩骨膜下膿瘍とは、眼窩の骨の外側を覆っている骨膜の下に膿が溜まる病気です。蓄膿がもともとある体組織の空洞に膿が溜まるのに対して、膿瘍は空間がないところに膿が溜まることで空間を作り出してしまう症状です。

これも炎症と強い痛みがもたらされるもので、視神経が圧迫されて視力の低下を伴う場合があります。こうした場合はすぐに手術を行わなくてはいけませんので、できれば手術可能な設備のある耳鼻科または眼科をすぐに受診して下さい。

頭蓋内合併症は、同じように鼻副鼻腔炎の起炎菌が脳に波及して炎症を起こすもので、最悪生命にかかわる可能性もある危険な症状です。鼻の症状に続いて強い頭痛があった場合は内科を直ちに受診して下さい。

副鼻腔嚢胞は蓄膿手術を受けた経験のある人が要注意

嚢胞と言うのは、骨などの硬い組織ではなく、筋肉や脂肪組織の柔らかい組織の中にできる袋状の物体で、中身が液体のものです。この症状は特に原因を持たない原発性のものもありますが、15年~20年と言う比較的長い期間をおいて、鼻副鼻腔炎の手術を受けた後にできることが多いです。

ですので、むかし蓄膿症の手術を受けたことがある人に、突然眼が見えにくい・眼が痛い・眼が突出してきた・物が二重に見えるなどの症状が起こった場合は、耳鼻科と眼科のある病院を受診して昔の手術の経験と現在の症状を訴えて下さい。

現在は大きな病院に飛び込みで行くと紹介状なしとして別料金を取られますが、この病気による眼の異常の場合、緊急手術が必要になる場合が多いので、あえて大きな病院を選択する方が良い可能性が高くなります。

鼻から眼に回るものというのは、意外と重い症状であることが多いのです。蓄膿手術を受けた経験のある人は、半年に一度くらいは耳鼻科を訪れてチェックしてもらいましょう。

慢性鼻副鼻腔炎になってしまえば安心という訳ではないので注意

ここまでお話ししてきた内容からお分かりいただけたかと思いますが、鼻副鼻腔炎が重い合併症を引き起こすのは急性期に目立っています。ならば、慢性化した、いわゆる蓄膿症になったら、もう大丈夫なのかと言うとそんなことはありません。

慢性の鼻副鼻腔炎と言うのは、炎症を引き起こす細菌が常に副鼻腔にいるということです。その起炎菌がいつ眼の方に合併症を引き起こすかは予測できません。爆弾を抱えた状態にならないよう、早く治療してください。

蓄膿症の人が風邪をひいたらどうなる

慢性鼻副鼻腔炎を患っている人が風邪をひいたらどうなるのでしょう。すでに慢性化した鼻副鼻腔炎があるから症状が変わらないのでしょうか。そんなことはありません。

健康な人が風邪をひいただけでは、鼻副鼻腔炎が起こるかどうかはわかりません。しかし、既に慢性化した鼻副鼻腔炎がある人の場合、すぐにその症状が重くなって表れてきます。これを慢性鼻副鼻腔炎の急性増悪と言います。

急性増悪が見られた場合、重い合併症が現れる可能性は急性鼻副鼻腔炎と同等以上にありますので、慢性鼻副鼻腔炎を持っている人は重い合併症のリスクが高くなっていると言っても良いでしょう。

ですので、慢性鼻副鼻腔炎を持っている人は必ず耳鼻科へ通院して治療を受けて下さい。慢性化した疾患ですので治療に半年以上かかることが普通です。しっかり取り組んでくださいね。

慢性鼻副鼻腔炎の徴候と治療

何となく鼻詰まりがあるけれど、自分が慢性鼻副鼻腔炎(蓄膿症)であるかどうかが判らないという場合は、次のような症状が続いていないかどうかを参考にして下さい。

  • 濁った鼻水が出る
  • 鼻・のどの奥が臭い
  • マウスケアをしているのに口臭を指摘される
  • 鼻詰まりが解消しない
  • においが判らない
  • 慢性の頭痛がある
  • 集中力に欠ける

こうした症状の1つまたは複数に当てはまるような場合は、その症状をみてもらいに一度受診されることをお勧めします。

最近ではよほど重症でない限り、口の中からを含めて外から切るタイプの手術は行われません。ほとんどは内服薬の服用と鼻洗浄、ネブライザーによる薬剤の吸入を中心とした治療になるでしょう。

手術が行われる場合でも、内視鏡を鼻から入れて行われますので、局所麻酔で可能な手術であることが多いです。ただ、治療方針を確定するために、CTやMRIを使った画像診断が行われることが多いです。

慢性鼻副鼻腔炎はなかなか治らないので辛抱強く治療

慢性鼻副鼻腔炎は治りにくい病気です。昔から蓄膿症のお薬と言うものが、市販薬や民間薬を含め様々なものが出回ってきたことからも判るように、なかなか治らなくて皆さん苦労されてきました。

今でも、手術を受けた場合であっても、そのあと継続的に治療を受ける必要もあるくらいですから、なかなかにしつこい病気だといえるでしょう。

お薬を飲む場合は、マクロライド系抗生物質と言うものが使われます。クラリスロマイシン(商品名:クラリス、クラリシッド・ジェネリックあり)を、通常の使用量の半分にして、それを3か月から半年ぐらい飲み続けるという治療になるでしょう。

場合によってはエリスロマイシン(商品名:エリスロマイシン・ジェネリックのみ存在)が用いられることもあります。使い方は同じく半量を長期間服用すると言う物です。

この治療法に対しては、一部のお医者さんから有効性に疑問を呈することもあるようですが、多くの病院で採用されていますから取り組んでみる価値はあると考えます。

なお、クラリスロマイシンの場合1日1回の服用で良いので、それほど負担にはならないと思いますが、飲み忘れには注意して下さい。

クラリスロマイシンは副作用や使用禁忌の人も少なく、とても使いやすい抗生物質ですので安心して飲んでもらえます。抗生物質だからと怖がることなく、指示された量をきちんと守って服用してくださいね。

風邪をしっかり治すことが鼻副鼻腔炎から起こる合併症の予防になる

もちろん既に慢性鼻副鼻腔炎を持っている人は、その治療にしっかり取り組んでいただかなくてはなりません。しかし、そうした人であっても治療中に風邪を引く可能性はありますね。

また、そうでない人も、とりあえず熱が下がったらOKと言う治療はやめて、風邪といえども完治させると言う意識を持って臨むことが重要です。

風邪はまず予防から

風邪の予防と言えば「うがい手洗いの習慣」「マスクや眼鏡の装着」「充分な栄養と休養」が基本ですね。インフルエンザの季節になると皆さん思い出されるようですが、夏風邪でも同じことが言えるのです。

また、園児・学齢期のお子さんがおられる場合は、学校から風邪を持って帰ってしまうことも多いですね。それでも、お子さんにこまめな手洗いとうがいを、学校などでも行うように指導しておくだけでかなり違うと言えます。

これは大人にも言えることですが、定期的に濡れティッシュなどで顔を拭くというのも風邪の予防には役立ちます。大人と違って、子供さんはお化粧のことを気にしなくていいので、学校に持って行くことが問題ないようであればそれも一つの方法です。

さらに、しっかり栄養を摂り、充分な睡眠で休養を取ることで免疫力は格段にアップします。夜更かしや無理なダイエットは止めて下さい。もちろんヨーグルトや食物繊維でおなかの中から免疫力をアップするのも悪くありませんよ。

こうして風邪を予防しておけば鼻副鼻腔炎に悩むことはありません。もし風邪をひいたとしても、充分な免疫力があれば細菌感染にまでいたらないかもしれませんし、感染しても炎症を起こす前にやっつけてしまえるかも知れません。

風邪をひいて鼻汁に色がついたらすぐ受診

普通のかぜ症候群であれば、熱が39℃以上になったとか、咳やくしゃみ、鼻づまりが激しくて寝られないとか、関節・筋肉痛があるとかの場合以外は、自宅で水分と栄養を摂っておとなしく寝ておけば大丈夫です。

しかし、鼻水に色がついてきたらお医者さんへ出かけましょう。それは二次的に細菌感染が起こったという目印の症状です。つまり急性の鼻副鼻腔炎も起こっている可能性があります。

そうした場合には、抗生物質を処方してもらって、細菌をやっつけてしまわなくてはいけません。また、出された抗生物質は症状がなくなっても最後まで飲み切って下さい。

そうしないと、体内に潜んだ細菌が再び暴れる可能性があるだけでなく、抗生物質に耐性をつけて、もう一度飲んでも効かなくなっている可能性があるからです。お医者さんはそうした可能性を考えた量を処方してくださいますので、必ず最後まで飲み切ることが重要です。

同時に処方されるお薬で症状が軽くなっても油断してはいけない

慢性鼻副鼻腔炎でも、鼻詰まりのひどいかぜ症候群でも、痰や鼻水を柔らかくして排出しやすくするお薬が処方されます。このお薬を飲むと、鼻をかんだらすっと通るという状態になりやすくなります。

そこで風邪が改善した、鼻副鼻腔炎が治ったなどと思いこんで治療を中断すると症状が戻ってくるだけではなく、最悪重症化する可能性すらあるのです。

ですので、特に慢性の鼻副鼻腔炎の場合、一定期間の治療の後、もう一度最初にやったのと同じような内視鏡やCT・MRIによる検査、血液検査などで、完治したことをお医者さんいから伝えられるまで気長に治療に取り組んでください。

慢性鼻副鼻腔炎を放っておいた期間が長ければ、年単位での治療になると、最初から覚悟を決めて取り組まれるのがいいですね。

副鼻腔に関する病気にはカビの仲間が副鼻腔にはびこって視力を失い、さらには生命まで失ったという症例もあります。今回そうした怖い症例はここでお話しするだけにしますが、くれぐれも軽く考えないで下さいね。
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