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エコノミー症候群の予防法!血栓ができやすい人の特徴とは

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長時間同じ姿勢を続けることで起こるエコノミークラス症候群(ECS)。ご存知の通り最悪の場合死にいたるためにとても危険です。

エコノミークラス症候群を起こしてしまうリスクが高い人の特徴やその原因と症状、そして飛行機内や車内のような狭い場所でも行える、効果的な予防法と注意点をご紹介します。

エコノミークラス症候群の原因は?血栓症との関係

狭いところでじっとしているとなるんでしょ?くらいの認識はあれど、実際身体の中でどういったことが起こっているかは詳しく知らない…そういった方が多いのがこのエコノミークラス症候群。

中途半端な知識で終わらせておいて自分がECSになってしまわないためにも、詳しく原因と症状を見てみましょう。

なぜエコノミークラス症候群は起こる?

皆さんは「血栓(けっせん)」と呼ばれるものをご存知でしょうか?

血栓とは「血でできた栓」であり、栓とは管やビンを塞ぐ蓋を意味しています。つまり血栓とは”血でできた蓋”であり、管にあたる部分は”血が流れる血管”なのです。

私達の身体は血液が循環しており、通常の生活では血液が固まることはなく、血栓ができることもありません。

しかし、ある条件の下では血液の循環が悪くなります。それが長時間に渡る姿勢の固定なのです。

ご存知の通り、飛行機のエコノミークラスは本当に狭いです。足も伸ばせないし、腕を広げることもできません。これが2時間程度であれば我慢もできますが、8時間以上にもなるともはや拷問に近い環境と言えます。

トイレに行くにも気が引けてしまい、こうなると固定された姿勢のまま我慢するしかありませんね。このような状況が血流を阻害する原因になります。

人間の身体の中で心臓はポンプとしての機能を持ち、血液を身体全体に循環させています。これは常識なのですが、実はポンプは心臓だけではありません。

心臓以外にポンプとして有名なのが「ふくらはぎ」。ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれており、筋肉を伸縮することで足に溜まった血液を心臓に戻します。

地球には重力があり、足先に溜まった血液をスムーズに循環させるためには心臓の力だけでは不十分です。それを補うためにはふくらはぎの伸縮が重要だったのです。

飛行機のエコノミークラスの環境では歩くこともできずに、ふくらはぎの筋肉が固まったままにあります。これが血流を阻害して血栓ができやすくなる原因だったのです。

飛行機だけでない血栓症

このような血栓症は「旅行者血栓症」と呼ばれていますが、飛行機のエコノミークラスだけで発症するものではありません。

身体を動かしにくい環境であれば、「ビジネスクラス」でも起きるでしょうし、

  • 新幹線
  • 舞台鑑賞などの席
  • デスクワーク

でも起こる可能性があります。実際にタクシーやトラックの運転手が発症した例も報告されています。

そして震災により避難所での生活を余儀なくされた場合、とくにこの危険は増すでしょう。避難所では朝にラジオ体操を実施してこのエコノミークラス症候群を予防しようとしている場所も多くあります。

また動けない人のためにボランティアで血流を促すマッサージを施すなど、様々な対策がされています。

旅行などで使われる夜行バス、長距離バスなども大変危険です。夜行バスや長距離バスの場合、休憩としてサービスエリア等に止まることがありますよね。これはトイレ休憩や運転手の休憩の他にも、立って歩くことで血栓を予防する目的も含まれているのです。

身体を長時間にわたり固定させなくてはならない環境では、誰に起きても不思議はない症状と言えます。しかし、血管内に血栓ができただけでは重大な病気と言えません。

近年、飛行機に乗ると定期手にストレッチをやらされるように思います。特に国際線などの長距離便では、乗務員総出でストレッチを促されるようになりました。

これにはこういった”筋肉をほぐす”という目的が隠されていたのです。

エコノミークラス症候群の正体「急性肺血栓塞栓症」の症状

実は血管内に血栓ができても、通常であれば自然に溶けてなくなります。しかし問題は、この血栓が溶ける前に剥がれて肺の血管を塞いでしまうことにあるのです。

これが「急性肺血栓塞栓症」(静脈血栓塞栓症)であり、エコノミークラス症候群の本当の正体です。

血栓ができるのは9割以上下半身であり、この血栓は「深部静脈血栓症」と呼ばれています。これが血液の流れで肺動脈まできたときに、詰まって「肺塞栓症」を起こします。

この「深部静脈血栓症」と「肺塞栓症」が起こる流れが非常に関係深いため、や二つを合わせて「急性肺血栓塞栓症」(静脈血栓塞栓症)とされています。

静脈血栓塞栓症と深部静脈血栓症

急性肺血栓塞栓症では剥がれた血栓が肺動脈を塞いでしまうことで、血液中に酸素を供給できなくなります。口では呼吸をしているのに血液中の酸素量が減少してしまうので、呼吸困難と同じ状態に陥るのです。

酸素量の減少により胸が痛んだり、全身に倦怠感が出たりしますが、重症化すると意識不明やショック状態が症状として出ることもあります。

急性肺血栓塞栓症の症状をまとめてみましょう。

  • 息苦しさ、呼吸困難
  • 胸や背中の痛み
  • 動悸、心臓の鼓動が早くなる
  • めまい、失神
  • 冷や汗
  • パニックなどの精神不安
  • 身体のだるさ、倦怠感

発症タイミングは解放された時

飛行機の中で急性肺血栓塞栓症が発症することは少なく、大抵は飛行機から下りた時点で症状が表れます。これは、固定されていた身体が解放されることで、血流が回復し血栓が剥がれてしまうことが原因です。

それまで滞留していた血液が一気に動き出すことで、血栓までをも肺に送っていたのです。車でのドライブも同じです。長時間のドライブにおいて、休憩をとって車から下りた時点が一番発症しやすいのです。

固定された環境から解放されたからと言って、急激に動く行為は急性肺血栓塞栓症の原因になるのです。これには特に注意したいものですね。

エコノミークラス症候群にかかるリスクが高い人の特徴

実はエコノミークラス症候群の原因である血栓が、できやすい人とそうでない人がいることが解明されています。

  • 肥満である
  • 静脈瘤を起こしたことがある、起こしている
  • 生活習慣病を持っている
  • 喫煙者である
  • 40歳以上の女性である
  • 身長150センチ以下である
  • 足を組む癖がある

簡単に分類してしまうと、上記にあてはまる方はECSにかかるリスクが高くなります。

身長150センチ以下、というのは、単純にふくらはぎの容量が少ないことや、座席に座った場合にふくらはぎの圧迫される箇所が血栓を起こしやすい位置にきてしまうことが多いこと、などがあげられています。

特に注意していただきたいのは生活習慣病を患っている方です。

生活習慣病の症状と言えば「高血圧」「高血糖」「高コレステロール」が有名ですが、これらは全て血液が関係しています。要は「血液がドロドロ」の状態になっているのです。

血液中の糖や脂質(コレステロール)が高いと、血液が固まりやすく血栓ができる原因になります。高脂血症はコレステロールが高いと発症しやすい病気ですが、その原因は血栓にあるのです。

つまり、通常の生活においても血栓ができやすい生活習慣病患者は、動きが固定された環境下ではより危険な状況にあるのです。

その他、以下のような特徴の方は要注意です。

カテーテル治療の経験者

近年、治療法の進歩により「カテーテル治療」が増加しています。カテーテルとはストローのような中空の管で、主に体内に挿入することで「薬剤の注入」や「体液の排出」などの医療行為に使用されています。

カテーテル治療とはカテーテルを血管内に挿入し直接患部へ移動することで、異物を除去したり薬剤を直接注入したりする方法です。

カテーテル治療は直接患部に到達できることから効果も高く、手術の必要もないので患者の負担も少なくて済みます。循環器疾患の分野ではカテーテル治療が主流になりつつあり、他の分野においても研究が進められているのです。

しかし、カテーテル治療にも問題があります。それは血管内を移動させるために、血管内に傷をつけてしまう可能性があるのです。

血管内に傷ができるとその修復のために血栓ができやすくなります。これは細胞修復作用と関係していますが、カテーテルでできた傷を修復するために「かさぶた」が血管内にできると考えて下さい。

これが剥がれることで急性肺血栓塞栓症が発症してしまいます。カテーテル治療の経験者は一般の人と比較して血栓ができやすいので、十分に注意が必要です。

水分をとらない人

水分不足は血栓ができる原因になります。

特に飛行機、列車、車などの中は、快適に過ごせるように室内にはエアコンが稼動しています。エアコンは気温を調節するには良いのですが、乾燥してしまう特徴があります。

空気が乾燥してしまうことで身体も乾燥してしまい、水分を十分に補給しないと血液もドロドロになってしまい、滞留することで血栓ができやすくなります。

飲みたくなくても定期的な水分補給が重要です。

血栓ができやすい体質がある

実は血栓ができやすい体質があります。これには「先天性(生まれつき)」と「後天性(後からの原因)」があります。先天性は生まれつき血液が固まりやすい因子を持っており、人口の0.7%程度が該当すると想定されています。

後天性は何らかの病気が原因であることが多く、特に身体の中に腫瘍が隠れている場合などに見られる症状です。

これらの体質は血液検査で見つけることが可能なので、心配な人は検査することをオススメします。

退院後には特に注意

肺血栓塞栓症は身体を動かさない環境で発症しやすいのですから、病気や事故での入院時での発症が多く見られます。特に安静期を過ぎた時点で急に身体を動かすことで発症するケースが多く、十分な注意が必要とされています。

また、退院直後に飛行機などに乗って移動することもありますが、その場合も身体を極力固定せずに水分を取るなどの対策が重要になります。退院後には血栓に十分注意しましょう。

年齢によって危険度が違う

急性肺血栓塞栓症は年代によって発症数に違いがあります。若い世代(20代~30代)は少なく、40代~50代は微増と言った所です。しかし60代になると急激に増加し、また症状も重症化してしまう特徴もあります。

原因は

  • 運動機能低下
  • 他の病気の弊害
  • 治療の副作用

など様々なものが考えられますが、60歳を超えると急性肺血栓塞栓症のリスクが上がることを理解して対策を行うことが重要です。

エコノミークラス症候群を予防するマッサージと運動

狭い空間でもできる、エコノミークラス症候群を予防する簡単な運動とマッサージをご紹介します。

足首を動かす

  • 足首を伸ばしたり曲げたりする
  • 足首をゆっくり大きな円をえがくように回す

エコノミークラス症候群を予防する足首の運動

つま先や指を動かす

  • つま先立ちをして上下に動かす(座ったままでOK)
  • 足の指で「ぐー、ちょき、ぱー」とジャンケンする

エコノミークラス症候群を予防するつま先の運動

ふくらはぎのマッサージ

  • ふくらはぎ全体をトントンと軽くたたく
  • 足首から膝下までゆするように優しくさする

エコノミークラス症候群を予防するふくらはぎのマッサージ

肩を動かすストレッチ

  • 両手を肩において、前後ろ10回ほど肩を回す
  • 片手を肩の上から背中に、もう片方の手を下から背中にもってきてタッチ

エコノミークラス症候群を予防する肩を動かすストレッチ

肩回しは左右に十分なスペースがない場合、手をおろした状態でもOKです。肩をしっかり動かすイメージでゆっくり行いましょう。

寝転がる場所があれば実践してほしいストレッチ

  • 仰向けに寝て、片方の膝を抱える(左右20秒くらい)
  • 膝を重ねて腰をひねって倒す(左右20秒くらい)

エコノミークラス症候群を予防する下半身のストレッチ

寝転がるスペースがあれば、このように下半身もストレッチすると予防効果がさらに期待できます。どの動きも身体の伸びを感じて、ゆっくり行いましょう。

エコノミークラス症候群の予防の5つのコツ

簡単にできることですので、しっかり覚えて備えてくださいね。

1.こまめな水分補給

血液をドロドロにしない方法として最も大切なのが、水分をこまめに補給する事です。被災時など水の不足した状況では、避難のため車に乗りながらECSを発症し亡くなった方も少なくありません。

水分補給にはなるべく水を選び、できるだけ1時間に最低1回、小さめの紙コップ一杯程度の量を飲むようにしましょう。コーヒーや酒類には利尿効果があるため、多量に飲むと逆効果です。

一度にたくさんの水分をとるのは内臓に負担がかかるため、鉄則は「こまめに」。できれば常温で、炭酸が入っていないものを選ぶと良いでしょう。

水を飲むだけでも十分に効果的ですが、大塚製薬が行った研究でイオン水がより一層高いエコノミー症候群予防効果がある事がわかりました。

実験では40名に航空機に搭乗させアメリカまで9時間移動させた際、「イオン飲料摂取群」と「ミネラルウォーター摂取群」に20名ずつ振り分けました。搭乗中に飲む回数や量、タイミングはすべて同じです。

実験結果では、血液粘度の観点から、航空機搭乗時のような状況下での水分補給には、ミネラルウォーターよりもイオン飲料の方が適していることがわかりました。

水よりもイオン水が効果的とわかったら、これから飛行機に乗る際や長時間のドライブのお供には断然イオン水を選びますよね?

被災地への物資支援でも、できればイオン水を選んでほしいです。

2.運動、解放、マッサージをこまめに行う

血栓の発生は長い間同じ体勢でいることが原因なので、脚を動かして血流を促してやることで、そのリスクを大幅に減らすことが可能です。

ずっと動かし続ける必要はなく、30分に1回、膝の曲げ伸ばしをするというレベルで全く問題ありません。機内や車内なら座席を倒したり、靴を脱いで楽な姿勢になるのも予防のコツです。

動かしたくても動かせない車の運転時などでは、長時間走ったら車を止めて必ず休憩を取り、その間に軽く歩く、ジャンプするといった小運動をはさむと効果的です。

この記事で紹介したマッサージも頻繁に行ってくださいね。

3.締め付けの強い衣服は避ける

洋服には締め付けの強いものがありますので、長時間のフライトや運転時にはそういった衣類はなるべく避けるようにしましょう。また、ベルトをきつく締めすぎていないか注意しましょう。

下着もゴムがきついものでないか、きちんと自分の身体にあっているか等、普段からチェックしておくことも大切ですね。

靴も同様で、皮のブーツなどでは血流が滞りがちになってしまいますので、できるだけ避けてください。

体を締め付けるとそれだけ血行が悪くなりますので、些細なことと思われるかもしれませんが小さいことから実践してください。

4.着圧ストッキングやハイソックスを履く

弾性のあるストッキングやハイソックスなどは、着用すると脚の血流を促す事が確認されています。ふくらはぎに適度な圧迫を与えることで、脚のもつポンプ機能を強める効果が期待できます。

手術を受けた経験のある方の多くは、その際に医療用の弾性ストッキングを着用されたのではないでしょうか。これは、麻酔で動くことが無くなった身体の血栓予防に使用されているのです。

また最近ではフライトソックスといって、海外の航空会社で推奨されている商品もあるようです。

水分がこまめにとれない、動きにくいといった状況であれば、ストッキング等の衣類を利用して血栓の発生を予防するのもひとつの手ですね。

ただし過信は禁物。重ね履きはきつく締め付けてしまい逆効果ですのでやめましょう。

5.足を組まないようにする

足を組む癖がある方は注意!長時間同じ姿勢でいると、どうしてもしんどくなり足を組んでしまいがちですよね。

でも、足を組むことはエコノミー症候群のリスクをアップさせることとなります。足を組むと血行が悪くなり、エコノミー症候群のリスクが上がってしまうのです。

ただ、全く足を動かしてはいけないという事ではもちろんありません。

足を前後にぶらぶら動かしたり、かかとを上下に動かすなどの運動はエコノミー症候群予防に効果的です。何となく足がだるくて足を組みたくなった時には、足を動かして気を紛らわせてください。

最後に予防法をまとめてみましょう。

  • 固定された環境では定期的に身体を動かす
  • 足先を動かしてふくらはぎの筋肉を伸縮させる
  • 事前に水分をしっかり摂取し、定期的に補給する
  • 解放されても急激に行動しない
  • 退院後直ぐに飛行機などの狭い環境に乗らない
  • 手術後には血栓リスクがあることを理解して行動する
  • 生活習慣病がある人が長時間飛行機に乗る場合は医師と相談する
  • 60歳を過ぎるとリスクが飛躍的に向上することを理解して行動する

急性肺血栓塞栓症は前触れもなく突然発症し、命の危険もある病気です。しかし、予防を行うことで発症を抑えることも可能で、まずは病気を理解することが重要なのではないでしょうか?

そのためには、血栓ができる仕組みを理解して、自分ができやすいと思ったらしっかりとした対策を取るようにしましょう。

エコノミークラスとはつまり、飛行機の座席の種類のこと。狭い座席に長時間同じ体勢で座っていることで発症しやすいため、そう名付けられました。

最近ではその名称から「飛行機に乗る時にだけ気をつければいい病気」と思われる可能性があるため、ロングフライト血栓症と名称を変える動きもあります。

予防意識があるだけでずいぶん発症リスクをおさえられますから、原因や予防について広く認知されてほしいところです。

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