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糖質制限のしすぎにご注意!脳が委縮して摂食障害を起こすことも!

糖質制限ダイエットって…懐かしい

私はいま40代前半ですが、10代から20代のころにも、糖質制限ダイエットが流行った覚えがあります。1990年前後でした。痩せる理屈そのものは今の糖質制限ダイエットと同じだったとおもいます。

そのころ私は大学生で、このダイエットを行ったのは近所に住んでいた友達でした。米・小麦だけじゃなくて、芋やトウモロコシなんかも一切食べない。キャベツなんかの葉物も炭水化物が多いからと食べない。糖衣錠の薬も飲まない。

厳密だなあ、と思いながら見ていました。食べ方にも特徴があって、まずは特定の野菜と果物を食べ、それで足りなかったら魚や肉を摂ります。摂取カロリーが減っているのは傍目にもあきらか。だからか、初めのうちは運動をしてはいけない。そうこうしているうちに、彼女はどんどん痩せはじめました。

書き忘れましたが、その友達は女性です。ほんの一・二カ月のうちに二重あごが取れ、お腹まわりが減り、腕も足も細くなり、はじめのうちは筋肉が落ちて皮膚がたるみましたが、糖質制限をはじめて二カ月か三ヶ月目あたりから運動も取り入れたので、彼女はどんどん締まっていきました。

明るくなったし、積極的にもなりました。今になって思えば、あれは俗にいうダイエットハイだったのだとおもいます。

ダイエットハイってなに?

糖質制限ダイエットの要はもちろん糖質を減らすことです。糖質の摂取をぎりぎりまで減らすと、人の体はたちまち体内のグルコースという糖を使いきってしまいます。それはグルコースがもっとも使い勝手のいいエネルギー源だからです。

次に筋肉に蓄えたグリコゲンを消費します。これもすぐに使いきって、さあ困った、血糖値が下がり始めた、となったとき、体は血糖値を上げるホルモンを生産して代謝系に発破をかけます。このホルモンが、アミノ酸や脂肪酸の分解から糖をつくる、糖新生という代謝系を活性化させ、血中に不足したグルコースを補います。

脳は通常、このグルコースをエネルギー源として働いています。だからこれが長期にわたって欠乏すると、こりゃいかんとグルコースを使う以外の回路を動かし始めるんですが、その回路が動き始めるまでは個人差があります。それまではさっきの糖新生でグルコースをつくって必死で脳を生かそうとするのです。

問題は、この血糖値を上げる働きのあるホルモンのひとつ、アドレナリンです。アドレナリンは命の危機にあって、戦うか逃げるかの選択を迫られるような場面で多量に分泌されます。そのため大量のアドレナリンの分泌を伴うような経験は、命の危機の記憶として脳に深く刻み込まれてしまうのです。

強烈な飢餓、これも死の危険を伴った記憶になります。この恐怖を緩和しようと、エンドルフィンというホルモンが脳内に放出されます。これは恐怖を抑え、浮き立つような気分をもたらします。ダイエットハイの正体です。

ダイエットハイの陰で脳がずたずたに

アドレナリンが大量に働くような記憶は、脳に深く傷をつけます。心の傷になるといってもいいでしょう。糖質制限をしているあいだ、その制限が極端であればあるほど、生存を脅かされたと感じた脳には心の傷となった記憶が蓄積します。

脳がずたずたになるというのは、けして大げさな表現ではありません。虐待されている子供は、常に強い緊張と隣り合わせです。これもアドレナリンが大量に働きっぱなしの状態で、こういった子供は脳の一部が委縮している場合が多いといわれます。

先に触れた私の友人は、糖質制限ダイエットが半年を過ぎたあたりから、摂食行動に問題が出始めました。過食嘔吐です。もちろんこれは糖質制限ダイエットを行ったときにだけ起こる問題ではありません。

どんなダイエットも食事制限で摂取カロリーを抑えようとするかぎり、脳はグルコースの欠乏に見舞われないわけにはいかないからです。

あれから20年、いまも時々、彼女は吐くそうです。彼女は糖質制限を緩やかな形で続けています。でないと大きくリバウンドしてしまうから。それでもときどきごはんやパンを多めに食べてしまい、そういう自分を責める自分自身の声に耐えきれずに吐いてしまいます。

いまは適切な栄養を摂っているので、ケトン臭はしないはずなのに、たまに数日、吐くようなことが連続するときには、体がにおって堪らないといっていました。

糖質制限ダイエットは効きます。たしかに劇的に体重が落ちますし、糖尿の患者さんには大きな効果があるというのもわかります。ただ、お医者さんの指示に従って、正しく行ってほしいのです。

もし万が一、摂食障害やうつの症状が出たとき、正しいかじ取りを行う専門家がそばにいる状態で行うか否か。これが、そこから二十年以上も苦しみが続くことになるかどうかの、大きな分かれ目になるのだとおもいます。

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