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ムセや誤嚥を防いで安全に食べるための嚥下運動・ステージ別注意

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私達が食べたり飲んだりするとき、口唇、舌、ノドはどんな動きをしているのでしょう。気管の奥まで食物や水分が入ってしまう誤嚥を予防するために、飲み込むときの運動をステージごとに分けて、どんなことに気をつければよいか説明します。

食べ物を認識するステージ「先行期」

想像してみましょう。テーブルに食事が出てきましたよ。私達は、まず目の前に置かれたご飯やおかずを目で見ます。ジュ―ジュー、焼きたての音がします。ほかほかの湯気が顔にあたって、いい匂いもします。

おいしそう!口の中に唾液がわいてきました。これはお箸で食べようかな。こぼれそうだからスプーンにしようか。熱そうだから、少しずつ口に入れなきゃ。

こんなふうに、食べる前に目、耳、皮膚の感覚等を使って、どんな用具を使うか、どういう食べ方をしようかと考えます。食べることを想像すると唾液が分泌されて、身体は食べる準備を始めます。このように、食べ物を認識するステージを「先行期」といいます。

たとえば認知症の方や、注意集中ができない注意障害の方は、食べ物と認識できなかったり、認識はしても、そわそわと他のことに気をとられて食事を始められなかったりします。

こんなときは環境を調整しましょう。周囲に気が散らないようにカーテンで仕切り、テレビやラジオも消します。食べ物だとわからないようなら、空のスプーンで口唇に触れてみます。スプーンを手に持ってもらうことで食べ始めることもあります。

飲み込みやすい形態にする「準備期」

口の中に食物が入ると、歯や顎、頬の内側等を使って噛んだりつぶしたりしながら、舌で唾液と混ぜ合わせて、飲み込みやすい形態にします。このステージが「準備期」です。

舌や顎、頬の内側などの筋力が弱かったり、上手に使えないと、飲み込みやすい形態にできません。こんなときは、舌と顎でつぶしやすい形態にしましょう。少し粒々のある物なら、市販のトロミ剤をつかって薄いトロミをつけると、口の中でまとまりやすくなります。

義歯を使用している方は、合っているか確認ししてください。ゆるいけれど調整も難しいときは、合わない義歯を使うより外して食べたほうが飲み込みやすいのです。その場合はもちろん、つぶしやすいソフトな形態にします。

ノドに送り込む「口腔期」

飲み込みやすい形態になった食物は、舌で上顎に押しつけられて徐々にノドのほうに送られます。送り込みのステージが「口腔期」です。

押しつける力が弱かったり、上手に送り込めないと、食物は口の中に残ったり、ゴックン(嚥下反射)とうまくタイミングが合わずにノドに流れ込んだりします。口腔期に問題がある方も、準備期と同じように、食形態の調整をしましょう。

ゴックンと飲み込む「咽頭期」

口の中で食物が送られて舌の奥に近づくと、ノドの喉頭というところが上がってきます。喉頭が最大限上がると、喉頭蓋という部分が後ろに倒れて、気管をふさぎます。

そして呼吸が一瞬止まり、ゴックンという嚥下反射が起こります。すると、普段は閉まっている食道の入り口がこのときだけ開いて、食物は飲み込まれます。こう書くと長い時間がかかるようですが、咽頭期はわずか0.5秒です。

このステージの問題としては、まず嚥下反射と食物の送り込みのタイミングのズレが上げられます。ゴックンの前にノドに食物が流れ込んだり、逆に、ゴックンが終わってから流れ込んだりします。

また、ノドに入ってから食道に到達するまでの通路の運動機能が悪かったり、嚥下反射が弱いときは、この通路に食物や水分が残ります。この場合、ゼロゼロと痰がからんだような声になることがあります。

気管の入り口がしっかり閉まらない状態で飲み込むと、食物や水分が気管の奥深く入りやすくなります。今上げたことはいずれも、誤嚥の原因になるので、注意が必要です。

むせる方は、嚥下反射の前に、気管に食物や水分が入った徴候です。ムセがしばしばある方は、市販のトロミ剤で水分に薄いトロミをつけましょう。

機能の低下や病気のために嚥下反射が起こるのが遅くなることがありますが、トロミをつけることでノドに流れていく速度もゆっくりになるので、嚥下反射とちょうどタイミングを合わせられるのです。

飲み込む際には意識を集中しましょう。飲み込む瞬間は、しっかり息をこらえてください。息をこらえることで、気管の入り口が閉まります。声がゼロゼロしたら、まず咳払いをしてください。痰を出せるようなら出してください。また、唾液を飲み込むとノドについていた物も食道に飲み込まれます。

ここで注意を一つ。むせたとき、周囲の人が背中を叩くことがありますが、叩くのはやめてください。ムセと窒息では、対処法が違います。

ムセは、気管に入りかけた異物を咳で出そうとしている反応です。せっかく出そうとしているのに、背中を叩くことで呼吸のペースが狂い、逆に異物を吸い込んでしまうことにもなりかねません。また、高齢な方では、骨密度が低下しているため骨折することもあります。むせたときは落ち着くまで待ちましょう。

食物が食道を通過する「食道期」

嚥下反射が起こり、食道の入り口が一瞬だけ開くと、食物は食道に送り込まれます。食道に入ってから胃に到達するまでのステージが、食道期です。

食道期の問題としては、食道の蠕動運動が弱くて上手に胃に送り込めなかったり、食道の中を逆流してノドや口のほうに戻ってくることなどが上げられます。

逆流を予防するために、食後はすぐに運動せず、30分以上は休憩しましょう。ベッド上で頭部を上げたリクライニング位で食事をしている方は、食後すぐにベッドを下げず、1時間程度は30度以上に上げた状態を保ってください。

胃食道逆流があると診断された方は香辛料や酸味の強い物を避けるなど、献立の注意をしましょう。その他の医師の指示も守ってください。

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