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高い値を示す悪玉コレステロールや中性脂肪をシンプルに改善

健康診断や他の病気の検査の際に、血液検査を受け「コレステロールや中性脂肪が多いですね」と指摘された人は少なくないでしょう。そして栄養指導などで「油ものを控え、運動し、体重を減らしなさい」と言われることも。

けれど、もともとそれほど油ものは食べないし、結構歩いてるし、標準体重なのに?っていう人も、意外におられます。また、指導通りに生活を改善した割にはイマイチ数値が良くならない。実は三種類ある血中脂質の指標を改善するには、それぞれの指標に適した対応策があるのです。

そもそも血中脂質とは

俗にコレステロール値が高いと、十把一絡げで表現される血中脂質ですが、三種類の指標があります。敵を知り己を知るという意味も含めて、対応策を見る前に、それぞれについて簡単にまとめておきましょう。

LDL-c(低比重リポ蛋白-コレステロール複合体)

世に言う悪玉コレステロールです。実はコレステロールに善玉も悪玉もなく、善悪を決めているのはコレステロールを運ぶリポ蛋白という物質なのです。で、この低比重リポ蛋白というのは肝臓からコレステロールを持ち出して全身に運ぶ役目を担っているんですね。

コレステロールは動物の細胞膜の材料になる大変重要なものです。ですからこのLDL-cは肝臓からコレステロールを細胞の修復や再生に必要な場所に、どんどん運んでいるというわけです。ではなぜ悪玉なのか。

例えて言うなら、ビルの建設現場に建設資材を運んできてくれるトラックのようなLDL-cですが、余った材料は放り出したままにします。また、もう十分工事ができたから材料が必要ないところにも、余剰の資材が肝臓にあればどんどん運んできます。

だから悪玉コレステロールと呼ばれるんですね。ですのでこの数値が低すぎると、細胞の修復や再生が行えなくなるので具合が悪いですし、多すぎれば血管の中に余ったコレステロールがべったりとくっついた状態になるというわけです。

HDL-c(高比重リポ蛋白-コレステロール複合体)

こちらは世間で善玉コレステロールと呼ばれている方です。悪玉の説明から想像がつくでしょうが、これは余ったコレステロールを肝臓へ回収してくれるリサイクル回収車なんですよ。

めったにないことですが、この数値が高すぎると、細胞の修復に使うコレステロールまで肝臓に持って帰っちゃうので具合が悪いです。いわばこれから使う資材をゴミ扱いするってことですね。ただ、ほとんどの場合、この数値が低すぎることが問題になります。

世界中で時々見られるゴミ収集車のストで、ゴミが回収されなくなった街のような現象が体内で起こるわけです。2010年ごろにイタリアのパレルモやナポリで起きた、あんな恐ろしい光景が体内で起こっているのかと思うと、数値を改善したくなりますよね。

中性脂肪(トリグリセリド)

これはコレステロールではなく、いわゆる「アブラ」です。脂肪のほとんどがこの中性脂肪なので、単純に脂肪でも良いのでしょうが…まぁ話が難しくなるので、専門家の都合という事にしておきましょう。

これはエネルギーを蓄えるために体の中に存在しています。皮下脂肪しかり、内臓脂肪しかりですね。同時に保温や衝撃からの保護も兼ねているわけですが、これが血液の中にもあるのが血中脂質としての中性脂肪です。

これが足りないと、単にエネルギー不足になるだけでなく、動脈硬化の原因になることも知られていますので、低ければいいというのではなく、適正な範囲にあるようにするべきです。多すぎた場合の弊害は三種類。

一つは先に紹介した二種類のコレステロール複合体の数値を悪化させ、動脈硬化やそれに起因する病気の遠因になるというものです。そして直接的な悪影響は、中性脂肪が多すぎて肝臓に蓄積することで起こる脂肪肝。

これは時を経て肝硬変、肝臓がんへと進行するものですので、要注意です。さらに、指標上限値の6~7倍という高値を示すような場合、急性膵炎のリスクが高まります。急性膵炎は重症だと3割以上の致死率を持つ怖い病気なんですよ。

指標ごとのシンプルな対策

このような三つの指標ですが、先に説明したように、互いの相互作用もあって、病院での指導通りにはなかなか行えなかったり、行ったのに今一つ改善できなかったりすることは珍しくありません。

そこで、まずそれぞれの指標を改善するために、各々ひとつずつの対応策とその解説をしますが、体重が適正体重であることが前提になります。もし外れていたらそこは修正してくださいね。

そんなに厳しいものではありません。BMI18.5~25.0の間でOKです。身長160cmの人なら体重が47.4kg~64.0kgと、かなり大きな幅がありますので安心して下さい。

悪玉コレステロールが高すぎる場合

ここからは馴染みやすいように、一般的なあだ名で呼びますね。この悪玉コレステロールの値を下げるにはどうしたら良いのでしょうか。答えから先に言いましょう。食事から動物性の食べ物を減らして、植物性の食べ物を増やして下さい。

飽くまで増減であって、動物性をゼロにするという意味ではありませんのでご注意を。実は他の栄養物質と違って、コレステロールを保存蓄積する場所が人間の体にはありません。そのため悪玉コレステロールが、運搬役兼倉庫の役目を担っているのです。

体内のコレステロールの大半は体の中で合成されたもので、食べ物に由来するコレステロールは、本来それほど多くありません。食べ物として入ってきたコレステロールの不足を、体内での合成で補っているのです。

しかし、もし必要な量より多くのコレステロールが入ってきたらどうなるでしょう。初めは悪玉コレステロールが増えて、それを貯蔵しますが、そのうち追いつかなくなって、血管中に放置し始めるんですね。で、血管が詰まり始める。

よく食品売り場で「コレステロールゼロ」と大書した植物性油を売ってたりしますよね。あれは実に当たり前の話を、大げさに宣伝しているだけなのです。コレステロールの「ステロール」とは、ステロイドアルコールという意味ですが、コレとは「胆汁の」という意味に由来します。

植物に胆嚢も胆汁もありませんから、植物性油にコレステロールは含まれないんです。実際には、さまざまな化学反応の結果として、ごく微量のコレステロールが含まれることはありますが、ゼロ表示ができなくなるほどじゃないんですね。

そして、植物の体に必要なステロイドアルコール=ステロールは何種類かありますが、まとめてフィトステロールと呼んでいます。これは植物ステロールという意味で、動物には含まれないと同時に、これを食べるとコレステロールの吸収を抑えるという働きもあるのです。

ですから食べ物、特に脂肪分は動物性を控えて植物性を増やすのが、悪玉コレステロールを減らすポイントなのです。また、脂肪酸組成の問題では優等生の魚ですが、ことコレステロールの問題について言えば微妙な部分があるものの、動物性に含めて考えた方が良いかもしれません。少なくともフィトステロールは魚に含まれませんので。

善玉コレステロールが低すぎる場合

この対策はズバリ運動と禁煙です。タバコを吸われない方は運動だけでOKです。おおむね1週間に2時間以上の運動をするだけで、善玉コレステロールが増えます。タバコを吸っている人はこの効果が得られませんので、同時に禁煙して下さい。

なぜ運動すると善玉コレステロールが増えるのかという事ですが、実は脂肪のエネルギーを使うついでという感じの、副次的効果と言えるかもしれません。肝臓に蓄えられた脂肪は、悪玉コレステロールによって体の各部へ運ばれますが、体の各部では脂肪を分解するリパーゼという酵素が働きます。

その中のリポ蛋白リパーゼという酵素は、悪玉コレステロールの持ってきたコレステロールを、筋肉のをエネルギー源として使えるよう分解します。それと同時に悪玉コレステロールそのものも分解、粒を小さくして、善玉コレステロールに変える働きを持っているんですね。

身体的な活動、運動はこのリポ蛋白リパーゼの活性を高める働きをするのです。そして喫煙は、その活性を抑える働きを持っています。

中性脂肪が多すぎる場合

これを改善しようと思ったら、いわゆる糖質制限を利用するのがお勧めです。実は三大栄養素全部が中性脂肪の原料になるのですが、たんぱく質は身体の組織を修復するのに使われるので、糖質や脂質に比べると中性脂肪の値を押し上げません。

また、脂肪そのものである脂質も、そのまま血中脂質になるわけではなく、複雑な消化吸収や代謝の工程を経て、再度中性脂肪になります。糖質は消化されてブドウ糖に分解され吸収されると、肝臓に存在する遊離脂肪酸とくっついて、中性脂肪に合成されるのです。

糖質と脂質は同じように中性脂肪になりやすいのですが、どちらがたくさん食べられるかというと、もちろん糖質ですよね。ごはんと豚の脂身、どちらがたくさん食べられますか?そしてできればお酒はやめましょう。これも中性脂肪の値を大きく押し上げるファクターです。

糖質制限を行うと言っても、糖尿病の治療ほどストイックに行う必要はありません。お昼ご飯のうどんをやめて、ファミレスでサラダとハンバーグにするとか、甘いお菓子は3日に1回にするとか、晩ご飯から主食を外す程度で十分でしょう。

棚からぼた餅

さて、簡単にもう一度まとめると、次のようになります。

・LDL-c(悪玉コレステロール)を下げるには、動物性脂肪を控えて植物性油脂を。
・HDL-c(善玉コレステロール)を上げるには、禁煙と運動。
・中性脂肪を下げるには、糖質制限食の導入。

それも血液検査で異常を指摘された項目だけで良いのです。例えば善玉コレステロールの数値だけが低くて問題なら、運動と禁煙だけでいいんです。それで善玉コレステロールの値が改善すると、必ずと言っていいほど残りの二つの指標も改善します。

中性脂肪が多いから糖質制限すると、不思議とコレステロール値も改善するんですね。改善は気楽に行う、これが健康の秘訣です。

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