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本当に大丈夫?トランス脂肪酸のリスクと日本が規制をしない理由

10年ほど前から、「狂った油」として騒がれているトランス脂肪酸のことをご存知でしょうか?摂取することで悪玉コレステロールが増え善玉コレステロールは減っていき、心臓疾患などのリスクが高くなると言われます。

トランス脂肪酸とは

脂肪酸には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。天然の不飽和脂肪酸のほとんどはシス型という炭素の二重構造をはさんで同じ側に水素原子がついている構造です。トランス型とは炭素の二重構造をはさんで反対側に水素原子がついた構造です。この構造を持つ不飽和脂肪酸がトランス脂肪酸です。

トランス脂肪酸はほとんどが加工、精製によってできたものですが、一部天然のものもあります。天然のトランス脂肪酸は牛や羊などの反芻動物の胃内の微生物のによって作られます。そのため、牛肉、羊肉、牛乳、乳製品には天然のトランス脂肪酸が微妙に含まれています。

ほとんどのトランス脂肪酸は、常温で液体の植物油や魚油に水素を添加して固体の油脂に加工する過程で作られます。トランス脂肪酸を多く含む油脂はマーガリンやショートニングです。

そしてこれらを使った食品として、パン、ケーキ、ドーナツ、クッキーなどにも多く含まれます。他にコーヒーフレッシュ、フライドチキン、フライドポテト、ポテトチップス、カレーのルウなどにも多くなっています。

サラダ油などを精製する際には高温するのですが、その過程でもトランス脂肪酸が作られます。高温にすることでシス型はトランス型に変わるため、古い天ぷら油にもトランス脂肪酸が多くなります。古い油は酸化もしているため、非常に体によくありません。

トランス脂肪酸は悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らします、それによって動脈硬化になったり心臓疾患になります。ガンや認知症、不妊、アレルギーになるとも言われます。

海外と日本のトランス脂肪酸に対する姿勢の違い

脂質は三大栄養素のひとつで、ある程度は必要なものです。しかし、トランス脂肪酸の摂取は悪影響があるだけと言えます。2003年、国際機関が総脂肪、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸などの摂取目標を公表しました。トランス脂肪酸については総エネルギー摂取量の1%未満にするよう勧告しました。

海外では脂質の摂り過ぎに注意喚起が行われ、国によっては脂質量の表示義務もできました。総脂肪、飽和脂肪酸、トランス脂肪酸などの量を表示し、また油脂中のトランス脂肪酸の上限量が決められている国もあります。

ただしトランス脂肪酸は種類が多く合計量の測定も難しいため、国によって表示範囲は違います。それに対して、日本では表示義務はありません。数年前にはこのことが社会問題になり、市民団体の運動が起きたり個々の企業がトランス脂肪酸を減らす努力を始めたりしました。

日本もトランス脂肪酸の摂り過ぎは生活習慣病になる可能性が高いので控えるようにと言ってはいるものの、もっと問題視しているのは食塩の摂取量です。日本でのトランス脂肪酸摂取量は総エネルギーの0.44~0.47%とされます(2008年)。国際機関の定めた摂取目標、1%より少なくなっています。

しかし食塩は6~7割の日本人が目標量をオーバーしています。食塩も摂り過ぎると高血圧、ガン、脳卒中のリスクが上がります。脂質も2~3割の日本人が目標量をオーバーしていて、今後もっと増えていくのではないかと警戒されています。

そのため日本では『トランス脂肪酸だけに気をつけるのではなく、全ての脂質、食塩の摂り過ぎに気をつけるように』という考え方なのです。いろいろな食品をバランス良く食べて、脂質や食塩を控えるようにと言っています。

トランス脂肪酸問題のその後

トランス脂肪酸が大きな問題になったおかげで、日本でも各企業が独自にトランス脂肪酸を減らす努力をしました。そのおかげでトランス脂肪酸量は減ってきました。

しかし、ここでまた新たな問題が浮上しました。トランス脂肪酸が減った分、飽和脂肪酸が増えてしまったのです。飽和脂肪酸も悪玉コレステロールを増やすなどのリスクがあります。

トランス脂肪酸を減らそうと原料や製法を変えた結果、今度は飽和脂肪酸が増えてしまったのです。これでは健康へのリスクは変わりません。

やはり一番良いのは、『脂質、食塩を控え、いろいろな食品をバランス良く食べる』ことなのでしょう。あえてトランス脂肪酸だけを減らそうとするよりも、これが一番大事な考え方なのかもしれません。

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