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合併症の原因は空腹時より食後高血糖!自己測定で予防しよう

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糖尿病で病院に通っていると、血液検査で空腹時血糖値HbA1cの二つの値を測りますね。空腹時血糖値はその人の血糖値のベースライン、HbA1cは過去1~2か月の血糖値の変化を反映する数値です。

とても大事な指標で、これをもとに糖尿病であるかどうかを判断していますし、糖尿病であった場合、合併症を防ぐ目的でも使われる数値です。

しかし、ここにきて合併症予防に最も重要なのは食後2時間に測定した血糖値だと言うことがわかってきました。

初期・予備軍の人ほど要注意

糖尿病と診断され治療を受けている人の場合、ある程度HbA1cの数値が改善されていても、空腹時血糖値について多少は悪い数字が出てしまうことが多いですし、逆もまたあり得ます。

このように、どちらの数値も両方正常範囲に持ってくるのが大変なだけに、かえってある程度のレベルまではコントロールができている場合が少なくないんですね。

糖尿病かもしれない、あるいは糖尿病だと診断されたけれどまだ日が経っていない人などには、空腹時血糖値が糖尿病ではない人の範囲、109mg/dL以下の測定値が出ることも珍しくありません。

そうした場合、どうしても「自分は糖尿病なんかじゃなかったんだ」と思いたい心理が働いて治療がおろそかになり、悪化を招いてしまうのです。

特に空腹時血糖値が正常範囲なら、HbA1cが少々悪くても大丈夫と思いこむ人が多いようですね。実はこれ、全く逆だったのです。

略語に騙されないように

「なんだか訳のわからない略語のHbA1c」と、「明らかに血液中の糖分を測っているとわかる空腹時血糖値」、後者を優先して見てしまうのは性ってもんですよね。

HbA1cとは「糖化ヘモグロビン」のことです。ヘモグロビンは赤血球の中にあって酸素を運ぶ重要なたんぱく質であることは良く知られています。

それが糖化された状態なんですから、単なる血液中の糖分より重要になりそうなのは想像が付きますよね。ですからHbA1cのことは糖化ヘモグロビンや糖化蛋白質と呼んで、自分の意識の中で重要な位置に据えるようにしましょう。

食後高血糖の危険性

糖尿病の診断を行う際に、空腹時血糖値を測定することから、どうしてもそれが最も重要な指標の一つだと考えてしまいがちですが、実は最高血糖値の方が合併症に悪影響を及ぼします。

糖分が多くて体が壊れるなら、高い時の値の方が問題になりそうな気がするのは普通じゃないでしょうか。なぜか病院での検査方法に勘違いさせられているような気もします。

動脈硬化のメカニズム

ここで大きくかかわって来るのは、血液中のいわゆる悪玉コレステロール、LDL-cです。最近では悪玉コレステロールの中にも特に悪い奴がいるとかいう話も聞かれますね。

この悪玉コレステロールの粒子を金属イオンが含まれる溶液の中で培養すると、高濃度のブドウ糖が悪玉コレステロールを酸化させ、酸化LDLが出来上がります。

血液中には金属イオンは豊富にありますから、ブドウ糖が多い=高血糖状態であると、酸化LDLが増えてしまいます。この反応は血液の中より活性酸素が多い血管の壁の中で起こりやすいんです。

すると身体の防衛機構は、この酸化LDLを危険な異物と判断し、一番大きな白血球である単球が血管の壁の中へ移動、マクロファージと言うものに姿を変えて酸化LDLを食べて始末するんです。

マクロファージは別名大食細胞とも言う異物の掃除屋ですが、マクロファージの大食にも限界があり、食べ過ぎたマクロファージは泡沫細胞と呼ばれるものに姿を変え、血管の壁の中にたまり始めます。

こうして血管の壁が押し上げられ血管が狭くなるのが動脈硬化です。

老化の原因にもなります

酸化LDLが作られる反応と同時に、AGEs(糖化最終産物)もたくさん生成されます。

AGEsは特定の物質ではなくてたんぱく質がブドウ糖と結びついて変化する化学反応でできる、さまざまな化学物質の総称です。

しかしながら、いずれもが老化の促進に大きくかかわっていることから注目を集めています。

糖化最終産物のAGEsと言う略称(複数形)ですが、Advanced Glycation End-productsの頭文字で、老化に大きくかかわるこれが、たまたま年齢を表すAGEと同じスペルであることから良く使われるようになりました。

活性酸素を量産します

血液中の糖分が多いと細胞の中で呼吸やエネルギー供給を担っているミトコンドリアと言う器官の中でスーパーオキシド(超酸化物)が生まれます。活性酸素の素ですね。

これは過酸化水素を産み、これらの産生物が細胞をどんどん壊してゆくと言う活性酸素の害が生じるわけです。

特に高血糖状態では抗酸化物質濃度が下がると言う傾向もあるようですから、高血糖は活性酸素の害を二重に生み出す状態であるようです。

食後高血糖が危険な理由

高血糖状態が危険なのは判りましたが、なぜ空腹時のものより食後の方が危険なのでしょうか。ちょっと見比べてみましょう。

糖尿病を患っていて空腹時血糖値が135mg/dLである人がいたとします。一方で、食後2時間血糖値の安全範囲は140mg/dLです。

つまり、糖尿病の人であっても、空腹時の血糖値には危険がないということになるんですね。もちろん、それをベースに食後の血糖値が上がるわけですから褒められた状態じゃないことに変わりはありません。

しかし、糖尿病であっても、食後2時間血糖値が高い人と低い人がいます。そして食後2時間血糖値が高い人には合併症のリスクが高いことが研究でわかってきました。

どの程度がいいのか

糖尿病の診断基準ですが、ほとんどの場合空腹時血糖値とHbA1cで診断されていることが多いように思います。

血糖値とHbA1cの基準は

  • 空腹時血糖値=126mg/dL以上が2回測定された場合
  • 空腹でない時の血糖値=200mg/dL以上が2回測定された場合
  • HbA1c=6.5%以上が1回でも測定された場合
  • 空腹時血糖値=126mg/dL以上で、口の渇きや網膜症などの症状がある場合

となっています。

ほとんどの人は健康診断などの尿検査で引っかかって血液検査を受けるわけですが、尿糖が出てくるのは血糖値が180mg/dLを超えてからと言われていますので、ほとんどの場合尿糖で引っかかったら糖尿病と言うことになるでしょう。

そしてさらに、空腹時血糖値110mg/dL~125mg/dLと、HbA1c5.5%~6.4%を耐糖能異常として、放置すると糖尿病に進行する恐れが非常に強いという扱いにしています。

また、空腹でない時の血糖値が140mg/dL~199mg/dLの人も耐糖能異常になります。以前は境界型と言われていたグループですね。

食後2時間値

ここにきて、合併症の発生に最も大きく影響しているのは空腹時血糖値や随時血糖値(空腹でない時の血糖値)よりも、食後2時間の血糖値であると言う研究結果が発表されるようになってきました。

健康な人は、食事を取ると血糖値が上昇しますが、インスリンの働きで食後2時間くらいでほぼ元の血糖値に戻ります。しかし、糖尿病や耐糖能異常の人の場合、食後2時間では血糖値が充分下がっていないんです。

食後一定時間が経っても血糖値が下がっていないと、先にお話ししたような血管の中での活性酸素の悪影響が出てきやすくなります。その結果合併症につながると言うわけですね。

そして、どのくらいの値が良いのかと言うと、研究によって値にばらつきがありますが、糖尿病性腎症や網膜症の悪化は180mg/dLを超えると急速に進むと言うデータもあります。

一方、糖尿病全体としての考え方からは食後2時間で140mg/dL以下になるようコントロールするのが理想的だとされているようですね。

自己測定のすすめ

しかしながら、食後2時間の血糖値を毎回病院で測るのは現実的じゃありません。また、食事の内容で大きく変動するデータだけに、良い食事を取っているかどうかの判断に用いる数値でもあります。

ですから、ここはやはり自分で血糖値を測るのが糖尿病の予防やコントロールに最も適した方法だと言えるでしょう。

SMBG器具の購入

SMBGとはSelf-Monitoring of Blood Glucose(血中ブドウ糖の自己測定)の略です。これを行うには専用の血糖測定器が必要になります。

様々なメーカーから様々な器具が出ていますが、だいたい1万円~2万円程度で本体と穿刺器(血液を取るための極細の針)が求められます。

本体や穿刺器は通販でも買えますが、国内では測定用電極だけが改正薬事法の関係で薬局に行って買わなければなりません。

参考までに、私は測定用電極をアメリカから個人輸入で取り寄せています。2009年までは国内の通販でも買えたのですが、薬事法の改正でそれはできなくなりました。

ですので、測定用電極は本体機器のメーカーに連絡、近所にある取扱い薬局を紹介してもらって買いに行くか、多少のリスクは自己責任で被ることを覚悟の上で個人輸入するかの二択になります。

私が使っているのは、スイスに本社のあるRoche Diagnostics社製Accu-Chek Avivaです。本体は今でも日本の有名通販サイトでも買えますし、日本語対応もありますよ。

使い方

だいたいどこの物でも同じような感じだと思います。

  • 指先を消毒します
  • 本体に測定用電極を差し込みます
  • 穿刺用器具で指先に軽く針を当てます
  • 針を当てたところを絞って血を出します
  • 血を測定用電極に触れさせます
  • 5~6秒待つと血糖値が表示されます
  • 測定用電極を抜いて捨てます

慣れたら30秒もかからずにできますよ。

針を刺すと言うことで、わずかですが痛みはあります。どのくらいかと言うと、縫物中などにうっかり針を指に刺してチクッとすることありますよね。あのチクッの「チ」の半分くらいです。(笑)

ばね仕掛けで出てくる、大変精密に作られた独特の形の針ですので、痛みを感じる暇がないんですよね。

そして指を絞って出てくる血ですが、最小必要量は0.6μL、つまり1万分の6mLです。実際にはぎゅっと指を絞ってやっと出てくる血液が指先で小さな盛り上がりになるわけですが、その直径が2ミリもあればおつりがきます。

むしろ問題はお値段でしょうか。専用針も測定用電極も使い捨てですので、薬局で買うと1回に130~150円くらいかかります。毎食後に測ったとして、毎回食後の缶コーヒーを自販機で買う感覚ですね。

食後2時間血糖値はどのくらい?

測定タイミングですが、食事開始から2時間後です。食べ終わってからじゃなく、食べ始めてからなので間違えないようにしてくださいね。

この時の値が140mg/dLを下回っているのがベストです。

一方、180mg/dLを上回っているようだと、身体の中では合併症が進行し始めていると考えても良いでしょう。

食後血糖値の改善をしよう!

病院でブドウ糖を食べて測る数値と良く似た測定方法ですが、最初に血糖値をドカンと上げて下がり方を見る病院での測定とは異なり、そもそも血糖値の上昇が緩やかになるような食事をするのが目的です。

ですので、食後2時間血糖値が低くなるような食品や、食べ物の組み合わせ、食べる順番などを自分で把握するのが測定の目的になります。

好ましい食べ物と食べ方

もちろん、同じ食べ物でも個人差があって血糖値に反映しやすいものやしにくいものは、個人個人で異なってきます。

自分に向いたものがどう言う食べ物で、どの程度の量がいいのかを見極めるために測定するわけですね。しかし、一般的な線と言うものも存在しますので、まずはそれを紹介しておきましょう。

普段の食事で血糖値を大きく上げるものと言えば主食といも類です。主食はご飯やパンの他、穀類の粉、麺類、中華の包・饅頭類、パスタ、クラッカー、ビスケット、揚げ物の衣などですね。

もちろん玄米や全粒粉などの方が白米や精白小麦より多少は血糖値の上がり方はマシです。しかし、例えば豚バラ肉やウィンナソーセージに比べるとはるかに血糖値は上がります。

食べ方にもポイントがあります。良く言われるように、野菜や汁もの(麺類などが入っていないもの)を最初に頂き、次に肉や魚などのたんぱく質、最後に主食類を食べると血糖値の急上昇は防ぎやすくなります。

過体重の解消を目指して、カロリーオフにするため油脂を避ける人も少なくないでしょうが、毎食ある程度は油脂類を摂るようにしましょう。油脂類は血糖値の急上昇を防いでくれます。

傾向が把握できたら

得られた結果から、自分にとって何が血糖上昇を引き起こすものかを把握すれば、食べて問題ないものや、できるだけ避けた方がいいものが見えてくると思います。

血糖の上昇による合併症ついてはアレルギー反応などのように急激に起こるものではありませんから油断しやすいですが、いつでも心のどこかに置いておきましょうね。

息抜きはOKです

例えば月に1回とか季節に1回程度、たまに甘いものや主食をしっかり食べるのは悪くありません。我慢しているストレスから、バカ食いをしてしまう人って意外と多いんですよ。

特に糖尿を患うような食生活をしていた人にとって、一生食べられないなどという思いは、食べて死んでも良いやと言った自暴自棄な態度の原因になる可能性は否定できません。

ですので、どうしても我慢できなかったら食べても良いと思います。でも、そのあとは必ず血糖値を測って、息抜きの結果が、どの程度血糖値に影響しているかを知っておきましょうね。

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