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データで見る水素水の糖尿病への効果!予防改善は本当に期待できる?

水を飲む高齢の女性

最近話題の水素水ですが、インターネット上の情報サイトなどを見ていると、どうやら糖尿病に有効なのではないかと言うことが、あれこれ指摘されていて面白そうです。

水素水と言う商品自体も、スーパーやドラッグストアなどで良く見かけるようになりましたし、有名飲料メーカーも参入しているようですね。

さて、この水素水を飲むだけで糖尿病の改善に役立つのでしょうか。効果のほどはどんなものなのかを見てみましょう。

水素水は活性酸素を減らしてインスリン分泌を助けると言う主張

多くの情報サイトでは、活性酸素が膵臓にあるランゲルハンス島のβ細胞を傷つけるので、糖尿病を発生させたり増悪させたりすると言う前提でお話が始まっています。

そして、水素は活性酸素と反応してこれを無害化するので、水素水を飲むと糖尿病を予防改善できるとしています。まずはこの説明に沿って見て行きましょう。

活性酸素は特に内臓の細胞を傷めやすいのは事実

活性酸素種は体内で生成され、細胞を傷めます。これは全ての細胞の一番外側にある細胞膜と関係があります。細胞膜はリン脂質を主成分として作られています。そこに活性酸素が存在すると、細胞膜の脂質が過酸化脂質に変化してしまうのです。

過酸化脂質になった細胞膜の成分は、もとのリン脂質のような性能を発揮できません。つまり、活性酸素があると細胞が損傷してしまうと言うことですね。ですので、水素によって活性酸素が減らせるのであれば、β細胞の損傷が抑えられる可能性は存在します。

ではこの活性酸素はどこからやってくるのでしょう。多くの活性酸素は、食べ物として取り込んだ栄養素をエネルギーに変える時に発生します。エネルギーを作り出すのは細胞の中にあるミトコンドリアと言う細胞内小器官です。

つまり、活性酸素は細胞の中で作られてやってきていると言うことになります。また、紫外線を浴びた皮膚でも活性酸素が生まれることが知られています。

私が見て回った水素水推奨サイトでは、すべて「β細胞は特に活性酸素に弱い」と言う表現をされていましたが、その根拠が示されていた物はありませんでした。

また、私自身非常に気になったので、あちこち探して回ったのですが、残念ながらβ細胞が他の細胞に比べて活性酸素に弱いと言うことを示したデータは見当たりませんでした。

もちろん過剰になった活性酸素が体細胞全体に与える影響は良いものではありませんので、特にβ細胞に特定することはできなくても、活性酸素が過剰にならないように気を使うことは悪くありません。

活性酸素はインスリン抵抗性を生み出している

また、インスリンを生み出す側だけではなく、インスリンを受け取る側の細胞でも活性酸素は悪影響を及ぼします。活性酸素による酸化ストレスを受けた細胞では、インスリンを受け取って糖質を細胞内に取り込む機能が上手く働かなくなります。

これがいわゆるインスリン抵抗性と言う物です。一般的な2型糖尿病は、このインスリン抵抗性によって、充分な量のインスリンが分泌されているにもかかわらず、血糖値が下がらないと言うことで発症することが非常に多くなっています。

ネット上に無数に存在する水素水の効果効能を案内してくれているサイトを見ると、多くがβ細胞の保護が中心になった紹介をしています。一方、数は少ないですが、お医者さんが紹介に関係されているところでは、むしろインスリン抵抗性に着目しているようです。

ですので、活性酸素の害による糖尿病の発症については、むしろこのインスリン抵抗性を生み出してしまうと言う部分に比重を置いて見た方が良いかもしれませんね。

水素が活性酸素を除去する可能性は高い

水素自体は安定した分子で反応性の低い物質です。例えば酸素と混ぜて放置しても、反応して水になることはありません。反応させるには小さなスパークでも良いので、「火をつける」と言う、反応が始まるきっかけになる動作が必要です。

ですので、例えば水素ガスを吸い込んだとしても、体内で反応して爆発するようなことはありませんから安全な物質です。さらに、現在のところ特に毒性は認められていないようです。

一方、活性酸素の中でラジカル化した物は電子が揃っていないことから非常に反応性が高くなっているため「活性」酸素と呼ばれています。それに出会えば、反応性の低い水素分子であっても結合する可能性が出てきます。

この抗酸化作用によって、活性酸素を無害化しインスリンを分泌する細胞を保護することで糖尿病を予防改善すると言うのが、一般的な水素水が糖尿病に効くと言う主張の内容です。

水素ガスは塩素ガスと混ぜても、そのままでは反応しません。塩素爆鳴気と呼ばれるこの混合物に紫外線を当てると、爆発的に反応して塩化水素ガスになります。塩化水素ガスは水に溶かすと塩酸になるんですよ。

水素水が糖尿病を予防改善する可能性がないわけではない

上でお話ししたように、水素は活性酸素を除去する可能性があります。そしてインスリンの分泌を行うβ細胞を保護する意味でも、インスリン抵抗性を減らすと言う意味でも、過剰になっている活性酸素を除去することに意味があります。

では、水素水による活性酸素除去によって、糖尿病の予防改善に役立つことがあるのでしょうか。一部の研究機関ではその研究機関で生成した水素水などを使って有効性を研究されている例はあります。

国立健康・栄養研究所の見解

水素水は一般食品です。特定保健用食品(トクホ)でも、機能性表示食品でもありません。これは水素水がこうした制度の指定している条件をクリアできない物だからと言うことがあります。

しかし、何からの機能を持っている健康食品で、制度が指定している条件をクリアできない物は少なくないので、水素水がトクホなどではないから効果がないとは言い切れません。

そこで、健康食品に関して広くデータを収集し公表してくれている国の機関、国立健康・栄養研究所のデータを見てみましょう。

これによると、水素水について研究は行われているが、販売されている個々の差用品の有効性を示す根拠にはならない。糖尿病については有効性を示すデータは見当たらなかった。安全性については信頼できる十分なデータがなかった。

と言ったような内容で書かれています。このデータベースは様々な研究データをそのまま集めて集計し紹介してくれているので、良し悪しを判定しないだけに信頼性は高いと言えるでしょう。

※今回の話題に関係する要旨だけを抜き出しましたが、詳細が気になる方は次のリンク先をご覧ください。
国立健康・栄養研究所【「健康食品」の素材情報データベース】水素水

医療用の水素水による研究では糖尿病改善の可能性が示されている

論文で “hydrogen-rich water” (水素の豊富な水)と表現されているのは、恐らくなら飽和水素水を使った介入実験だと思いますが、糖尿病に効果があったと言う報告も、日本国内から出されています。

酸化ストレスは、糖尿病、高血圧、およびアテローム性動脈硬化症などの種々の障害に関係するものとして広く認識されています。 また、水素が充分な還元作用を有することは広く知られています。

そこで私たちは、2型糖尿病、あるいは耐糖能異常のいずれかを有する患者に対して脂質およびグルコース代謝に対する水素水摂取の効果を調査しました。

現在食事療法と運動療法で治療中の糖尿病患者30人と耐糖能異常の患者6人に対して、毎日900mLの水素水または純水を8週間飲んでもらって試験を行いました。

得られたこれらの結果は、水素水を飲用することがインスリン抵抗性を減らし糖尿病を改善する可能性を示唆しています。

(要旨を抜粋して翻訳)

人数的な問題や期間から予備的報告の域を出ませんが、こういうデータが存在するのは注目に値します。ただ、こうした論文を使って、ただの清涼飲料水に「医療的効果」を連想させるような宣伝を行っている水素水には注意が必要です。

論文にもある通り、糖尿病の治療を行いながら、専門の先生の指導によって水素水を飲んだら効果が見られたと言うことです。ですので、市販の水素水や、水素水発生器を買ってきて飲んだら糖尿が治るとは一言も書いてありません。

市販の水素水や水素水メーカーでは多くを期待できない

国立健康・栄養研究所によって否定的なデータが示されていることだけではなく、実は一つ大きな事実が、市販の水素水や水素水発生装置がそれほど糖尿病に対して大きな効果を持っていないことを示しています。

それは「水素水が糖尿病治療薬になっていない」と言う事実です。水素水を作ること自体はそれほど難しいものではありません。強いて問題点を挙げるなら水素水を入れておく容器が高くつくと言う程度だと思われます。

しかも、比較的安全性の高いものですから、動物実験・臨床試験で副作用から開発が足踏みしたり、逆戻りしたりする可能性がほとんどないため、開発費が極端に安く済みます。

これを医薬品として販売できれば、製薬メーカーは笑いが止まりませんよね。原料は水と電気だけなのですから。でも、現段階では糖尿病用の医薬品としての水素水は存在していません。

つまり、市販の水素水や家庭用生成機で作った水素水に、糖尿病薬としての効果はあまり期待できないと言うことです。

但し、かつてブームになったアルカリイオン水を作るアルカリイオン整水器は胃腸に効果のある機械として認められています。

このアルカリイオン整水器によって作られるアルカリイオン水は、水を電気分解したマイナス極側に水酸化物イオン(アルカリイオン)と水素が発生すると言う動作原理です。

つまり、水素ガスを溶解させる方法ではなくて、水を電気分解する方法で作られる水素水は、アルカリイオン水とほとんど、場合によってはまったく同じであると言っても良いでしょう。

もしご家庭でお持ちなら、水素水メーカーや水素水そのものを買わなくても、アルカリイオン水を上手く利用されるだけで同じ程度の効果は得られるかも知れませんよ。

とは言え、アルカリ性と言う部分で胃腸には効果が認められていますからそれは間違いないですが、水素濃度については不明ですから、あまり期待しないで下さいね。

アルカリイオン整水器がキッチンで眠っているお家なら、手入れするだけで話題の水素水が飲めると言うわけです、ぜひ復活させてあげて下さい。現役ならなお良いですね。ただし糖尿病に関する効果のほどは判りません。

糖尿病に水素が効果的なら食物繊維を摂ろう

食物繊維は胃や小腸で消化吸収できない炭水化物です。これが大腸に届くと腸内細菌によって発酵分解され、短鎖脂肪酸が作りだされて大腸のエネルギーとして消費されます。

この際、乳酸桿菌やビフィズス菌など一部の細菌を除いて多くの腸内細菌は、食物繊維の発酵で水素を発生します。発生した水素はすぐに吸収され、血流に乗って全身を巡り、使われなかった分は肺から呼気となって排出されます。

自家製水素はロスがないのでお得

水素水のメーカーを悩ませているのは水素が非常に小さい分子であると言うことです。長期間あれば炭酸ガスでも抜けてしまうペットボトルなどでは、あっという間に水素は逃げて行ってしまいます。

それどころか、金属製の缶ですら通過して抜け出てしまうんですね。薄いアルミ缶だけではなく、鋼鉄製のドラム缶であっても、水素はわずかずつ通過できるのです。

ですから、金属缶やアルミパウチに入った市販の水素水でも、賞味期限ごろになると製造時の半分くらいに水素が減ってしまっています。

その点、体内で発生した水素なら体外に抜け出て行く途中で活性酸素の除去を行ってくれるのでロスがありません。おならになってお尻から出て行く分ではあまりそうした効果がないかもしれませんが、それは水素水のものでも同じです。

食物繊維の摂取は本来糖尿病治療に有効である

食物繊維を多く含む食べ物を摂ることで、総カロリーを抑えつつ満腹感が得られると言うことで、糖尿病の食事療法に食物繊維は欠かせません。その食物繊維が水素の原料になって活性酸素を押えてくれるのであれば一挙両得と言うことになりますね。

食物繊維は十二指腸に分泌される消化液の胆汁酸を取り込むことで、小腸での再吸収を防ぎ、胆汁酸の原料であるコレステロールを減らす効果もあります。

コレステロールは脂質ですので、体内の脂質が減ることでインスリン抵抗性が減ることに貢献してくれるでしょう。これもまた糖尿病の予防改善には大きな効果を持っています。

食物繊維をもっと摂ると言うことに抵抗のある人は、野菜や果物、海藻やきのこ類が嫌いな人だと思います。しかし、これらの物を食べないと言うことは穀類と肉魚だけで食事をしていると言うことになりますよね。

それではあまりに食卓が寂しいでしょう。豆類でも全粒穀物でも良いですし、肉で味付けした野菜料理でも良いです。

とにかく食物繊維を摂ることが非常に有効なので、一度食事を見直してください。

食物繊維をあまり摂らず、脂質や糖質に偏った食事をしていたのでは、たとえ水素水を浴びるほど飲んでも、多分糖尿病は改善しないと思います。

腸内で発生する水素に効果がないと言う説は特定の病気だけ

水素水を推奨される専門家のご意見として、日本での実験結果から、腸内で発生した水素や水素ガスの吸入では効果がないと言うことが判っていると言う事例を紹介されることがあります。

このことは確かにきちんとした実験で確認されたもので、単回の実験ではなくいくつかの実験を重ねた信頼できるものでもあります。

ただ、この時に水素水だけが効果を見せたのは「パーキンソン病において脳の細胞を保護する効果」です。これは水素水を飲むことで水素が胃に働きかけ、グレリンと言うホルモンが分泌されると言うことによる効果です。

グレリンが胃で分泌されて血流に乗り、脳に運ばれて脳細胞を保護すると言うメカニズムです。ですので、大腸で水素が発生しようが、水素ガスを肺から吸おうが、胃には働きかけないので効果がないと言うわけなのです。

パーキンソン病においての脳細胞保護効果は、まだ動物実験レベルですが、もし人間にも効果が見られたら素晴らしいですね。今後の研究に注目しましょう。

一方、このグレリンと言うホルモンですが、実は「食欲増進ホルモン」で、しかも血糖値を上昇させるホルモンでもあります。まだ充分にメカニズムが判っていませんが、長期投与すると血糖値が下がると言うデータもありますので、善悪どちらになるかは判りません。

ですので、今のところ水素水を飲むことだけでは、糖尿病の予防改善効果はそれほど期待できないと考えておいた方が良いでしょう。

フルーツも海藻も水溶性食物繊維が多いので、ぜひ食卓に並べて下さいね。ご飯が好きな人は雑穀米で炊き込みご飯にして、具に野菜を多く入れると言う手もありますよ。

水素水で糖尿病を改善しようと言う考え方は時期尚早

このように現在のところ、水素水で糖尿病を予防改善できると言う確証は得られていません。メカニズム的に可能性はありますが、逆に悪化させる危険性も含んでいます。

また海外では、マグネシウムスティックを使って作った水素水を8週間、毎日1.5L~2L飲むと言う実験に参加した人の65%に体調不良の副作用が現れました。全体の20%に当たる人の副作用は水素水によるとされています。

推定ですが、残りの45%の人の体調不良は、水分の摂り過ぎによるものである可能性があったのでしょうね。

この水素を発生させるマグネシウムスティックですが、日本でも売られています。水素水は高価ですし、生成機を買うとなるとさらに高価です。その意味ではマグネシウムスティックは比較的安価なので便利かもしれません。

もちろん、水素水ができるのに時間がかかるとか、水素濃度が低いとか言った欠点もあるようです。いずれにせよ、糖尿病の予防改善の用途で使うには、いささかコストパフォーマンスが悪すぎるように思えます。

高濃度を売りにしているアルミ缶入りの水素水は、スーパーで買っても税別180円で400mL前後です。1日にこれを2本飲んだとしたら1か月で税込12,000円弱になりますね。

この金額を毎日の食事に反映させたら、天候不順で野菜が高騰した時でも全く気にならないと思いませんか。しかも美味しいですよね。

糖尿病は食物繊維を積極的に摂って、栄養バランスを改善することで予防改善する方が、おそらく水素水の何十倍、何百倍も効果があると思われます。

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