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人工甘味料で糖尿病を改善!天然甘味料のリスクも見逃せない

年配の人でないとご存じないかもしれませんが、ズルチン・チクロ・サッカリンという人工甘味料があります…ありました。現在の「人工甘味料には健康に対するリスクがある」というイメージは、この三つの甘味料に関する研究などから生まれたものだろうと考えられます。あるいは自然食品信奉も、そのあたりに根を持っていると言えるでしょう。

禁止された人工甘味料

現在も様々な人工甘味料が使われていますが、昔から使われているのはサッカリン・サッカリン酸ナトリウムだけで、ズルチンとチクロは食品としての使用が禁じられています。ズルチンは発がん性があるという理由で、1960年代の終わりに禁止されましたが、むしろそれまでに起こった急性毒性による死亡事故のほうが問題だったのかもしれません。

世界的に禁止食品ですが、いまだに倫理観の薄い外国からの輸入食品で発見されることがまれにあるようで、現在でも輸入検疫の対象になっています。一方、チクロ(サイクラミン酸ナトリウム)ですが、ズルチンと時を同じくして発がん性の疑いから、食品添加物としての使用を禁止されました。

しかし、食品メーカーからの圧力や、別の研究によって発がん性を否定されたこともあって、ヨーロッパや中国では使用が許可されています。中国や台湾、香港などに旅行に行かれた際、現地の食品の原材料一覧に「甜蜜素」というのがあったら、このチクロという甘味料ですので参考まで。

砂糖が安全とされた根拠

一方、砂糖は安全というイメージもこの頃に生まれたのでしょう。だいたい1960年代後半頃ですね。当時は人工甘味料を使っていない製品という意味で、「全糖」という表示が誇らしげにつけられていました。フルーツ缶詰などが多かったでしょうか。

その時代というと、2型糖尿病は極めてまれな病気で、ごく一部の飽食できるほどの大金持ちの人だけが罹れる、ある種のステータス病とも言えるぐらいだったのです。

ちょうど日本の人口が1億人を超えた頃ですが、糖尿病患者は1型・2型を合わせても3万人あまり、1万人に3~4人程度しかいなかったんですね。それが現在では10人に1人以上とか言われています。ですから古来の甘味料である砂糖は、自然で健康的なものという認識だったのも無理ないことでした。

食品衛生意識の変遷

その頃は終戦直後の代用食品トラブル、例えばメチルアルコールを飲んで死亡するなどの急性毒性時代から、長期連用によるがんの発生、すなわち発がん性が最も恐れらるように変わった時代でした。大戦前に遡ると、フグやキノコなどの自然毒に対する怖れや、腐敗や寄生虫に起因する食中毒などが食べ物の危険度だったわけです。

しかし、終戦直後を含めて食べ物に関する恐怖というのは飢餓に対する恐怖、すなわち食べられないことで命を落とす危険が最大だったと言えるでしょう。従って、食べ物に関する警戒心が「危険な食べ物」に向いたのは、この70年に満たない期間だろうと考えられます。

砂糖という危険物

さて、その安全な甘味料である砂糖ですが、結構いろんな種類がありますね。上白糖やグラニュー糖のほか、三温糖や高級和菓子で使われる三盆糖、黒砂糖にザラメ、氷砂糖なんてものもあります。これらはそれぞれ製法や精製度によって味も使われ方も異なりますが、こと糖尿病を考える時にはひとくくりに「血糖値を上げる化学物質」と考えて差し支えありません。

原料から工業的に高度に精製された白ザラ糖から、原料糖液を煮詰めただけの黒砂糖まで、含まれるミネラルなどの微量要素に違いはあれど、主成分である蔗糖が血糖値を押し上げることに大差はありません。ですから白砂糖であれ黒砂糖であれハチミツであれ、基本的に砂糖はすべからく糖尿病患者にとってリスキーな化学物質なのです。

代替品にならない自然糖

世界にはヤシの木や楓の樹液から作った糖もあります。これらも結局は糖質であることに変わりなく、糖尿病患者が遠ざけるべきものなのですよ。また、リュウゼツランの樹液から採れる物も、血糖値が上がりにくいなどとして健康食品的に使われていますが、他の健康被害の恐れがあるので、ほどほどにしておきましょう。

血糖値が上がるメカニズム

さて、ここで血糖値が上がることについて、簡単におさらいしておきましょう。血糖値の上昇は主に二つの原因で起こります。血糖値は食べ物を摂った時に上がりますが、それがたんぱく質や油脂だけだと全く上がりません。

例えば豚バラ肉を300g、これを塩コショウで焼いて食べたとしましょう。カロリーはおよそ1200kcal。しかし糖質は0.3グラムほどなので、血糖値にはほとんど影響しません。例え糖尿病患者であっても、1mg/dlほど血糖値が上がるか上がらないかで、健康な人なら完全に無視できる数値です。

一方でコンビニのおにぎり1個。具にもよりますが、シンプルに梅干しあたりだと1個200kcal内外で、糖質は40~45グラムぐらいですね。これを食べると健康な人でも60mg/dlくらい血糖値が上がります。糖尿病患者だと上昇幅は100mg/dlを超えてくるでしょう。

このように、糖質(炭水化物のうち食物繊維を除いた部分)を食べると血糖値が押し上げられるというのが一つです。もう一つは怒った時や興奮した時、空腹で血糖値が下がり過ぎた時には、体が自動的に体脂肪から血糖を作り出して、必要なレベルまで血糖値を上げるのです。

食後血糖値の上昇を防ぐ

油分や食物繊維と一緒に糖質を摂ると、血糖値の上昇が抑えられるのは事実ですが、その効果は限定的です。それよりは、そもそも糖質の量を減らすのが一番なんですね。

そしてその糖質ですが、例えばごはんやパンのでんぷん質に比べると、消化の必要がほとんどあるいは全くない砂糖やブドウ糖が最も危険なものなのです。そこで糖分を人工甘味料に置き換えてみましょうという提案に繋がります。

甘いものは我慢

糖尿病も治療・予防しなくちゃならないけど、甘味料のリスクは嫌だと言う人は、そもそも甘いものを食べなければ良いのです。例えばご飯やパンは食べるのをやめて、野菜や大豆に置き換えることで主食の置き換えは可能ですし、それらにも多少の糖質は含まれていますので、糖質ゼロなんて無茶にはつながりません。

しかし、甘い味を求めて糖類を避けるなら、人工甘味料あるいは血糖値を上げない天然甘味料に置き換えるしかありません。

甘味料の選び方

現在入手できる甘味料について、メジャーなものをご紹介しましょう。まず、大切なことがありますのでそのことをしっかり理解しておいて下さい。甘味料にはカロリーの低減に重きを置いたものと、血糖値の抑制に重きを置いたものがあるという事です。

甘味料の基本

甘味料は、工場などで食品を大量生産する時に使われることが多いですが、最近では家庭での調理用やコーヒーなどに入れて飲む飲料用も数多く出回っています。甘味料には甘さに関して砂糖よりも何十倍、何百倍も甘いものと、砂糖よりも甘くないものがあります。

工場で使う分には何百倍甘くても、使う量の調整でうまくやりくりできるんですよ。例えば砂糖の100倍甘い甘味料があったとして、一回のロットに1トンの砂糖を入れていた代わりに10kgの甘味料を入れればいいので、調整はそれほど難しくありません。

しかし、家庭でコーヒーに1回スプーン2杯の砂糖を入れていた代わりにスプーン0.02杯って…そんなの計れませんよね。そこで登場するのがブレンドなんです。甘さの弱い甘味料をベースに、甘さの強い甘味料を合わせて砂糖と同じとか砂糖の3倍の甘みに調整するんです。

なぜ3倍かというと、これまで大さじで測っていたのを小さじに変えるだけで、そのまま使えるからなんですね。それが薬局などでよく売られているダイエット甘味料なのです。では、ここから先は甘味料の名前と特徴を列挙します。

有名どころは網羅していると思いますし、加工食品に使われている場合も、家庭用甘味料に使われている場合も、必ず表示されていますから参考にしてくださいね。

低甘味度甘味料

砂糖と同等以下か、強くても砂糖の2倍程度までの甘さの甘味料です。

キシリトール

人工甘味料の中では最も有名な甘味料ではないでしょうか。虫歯にならない甘味料としてガムや歯磨き、一部のお菓子などに使われています。糖アルコールの一種で、カロリーも食後の血糖上昇も砂糖の半分程度です。もともと天然で存在する物質ですが、現在は化学的に製造されています。

糖アルコールと言っても食べたら酔っぱらうという事はありません。糖の仲間ですし、学問の分類上アルコールの名前を貰っているだけです。糖アルコールは一つの物質を除いて、だいたいカロリーや血糖上昇効果がこのキシリトールと同じです。

マルチトール(還元麦芽糖)

これも糖アルコールです。砂糖より微妙に甘くない程度ですが、吸収されにくい糖質なので血糖値の上昇効果は低いです。

ラクチトール

糖アルコールの一つで、熱に非常に強いため焼き菓子などに良く使われています。カロリーも血糖上昇効果も砂糖の6割から半分程度です。糖アルコール全般に言えることですが、たくさん食べるとお腹が緩くなります。このラクチトールはその中でもサイリウムハスク(食物繊維食材)と合わせて、便秘の治療薬になることもあります。

エリスリトール

糖アルコールの中で、唯一まったく血糖値を上げずカロリーもゼロで、しかもお腹が緩くなりにくい甘味料です。甘さは砂糖の60~70%くらいで、口に入れて溶ける時に少しひんやりした感じになります。キシリトールと同じく虫歯の原因にもなりません。そうした特徴からゼロカロリー甘味料の基材に使われることが多いですね。

高甘味度甘味料

砂糖の何十倍、何百倍も甘い甘味料です。そのままでは家庭用として使いにくいので、低甘味度甘味料と合わせて製品化されています。高甘味度甘味料はゼロカロリーであったり、血糖上昇効果がないことが多いですが、それ以前にカロリーや血糖上昇効果についてはあまり問題にされません。

と言うのも、砂糖と同じカロリーと血糖上昇効果を持っていても、仮に100倍の甘さだったとしたら、同じ甘さの時、百分の一しかカロリーも血糖上昇効果もないからなんです。

羅漢果エキス

シレイティアという果実から採られたエキスで、精製度によって砂糖の50倍から300倍程度の甘みを持ちます。天然の甘味料ですが高純度化するための加工は行われています。また、独特の癖がありますので、好みが分かれるかもしれません。

ステビア

ステビアという植物から採られた甘味料です。天然の甘味料ですが、癖があるので各メーカーはいろいろ工夫しています。甘みの成分はステビオサイドという砂糖の300倍くらいの甘さを持つ物質と、レバウディオサイドAという砂糖の750倍くらいの甘さを持つ物質の混合物です。最近では、より癖の少ない高レバウディオサイドA型に加工されたステビアが増えています。

甘草

江戸時代から使われている古典的な甘味料で、変わったところではたばこの風味づけにも使われています。主成分のグリチルリチンは砂糖の50倍の甘さがありますが、大量摂取による毒性もあります。

スクラロース

砂糖を出発原料とする人工甘味料です。砂糖の600倍もの甘みを持っています。また、出発原料が砂糖であるため甘みの質が良く、日本人には特に好まれています。

アスパルテーム

砂糖の150倍くらいの甘さを持つ人工甘味料です。最終的に否定はされたものの、一時発がん性や毒性が疑われたり、味の面でちょっと人気がなかったりして苦戦しているようです。最近では改良版のネオテームというのも出ているようですね。

アセスルファムカリウム

砂糖の200倍くらいの甘さを持つ人工甘味料です。特に毒性などは報告されていませんが、単独で使うと味が悪いので、他の甘味料と合わせることが多いようです。そして逆に他の甘味料と合わせると、甘さの質や風味が良くなるという面白い特質を持っています。

その他

甘味料は新しいものがどんどん開発されていますが、特色も色々です。例えば、まだ日本では甘味料として認可されていない、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンという長ったらしい名前の甘味料は、砂糖の2000倍もの甘みを持っています。

私は一度味見をしたのですが、柑橘系などの甘み付けには最高のうまさでしたが、ミルク系のものに入れると最悪の味でした。ヘスペリジンというのはミカンの皮の成分だからかなと想像したりしました。

このくらい甘みが強いと、例えばコーラなどの甘味料として砂糖10グラム相当使うとすれば、5㎎で間に合うことになります。それが表すのは、もしこの甘味料が青酸カリ並みの毒性を持っていたとしても全然平気ってことなのです。青酸カリの致死量の実に30分の1以下なのですから。

とどのつまり使いよう

私はエリスリトールを基材にスクラロースで甘みを調整したのがベストだと思います。甘さの質があっさりしたお砂糖ってイメージなんですよね。これは個人的な意見ですので、皆さんはご自分で好みの味を見つけて下さい。

上のような情報を活用して上手く甘味料を利用すれば、糖尿病の予防や治療に良い影響を与えることができます。一方で、甘味料を使い慣れてしまうと、より甘い味を求めるようになったり、味に鈍感になる可能性は経験上否定しません。自分の味覚の変化に注意していれば習慣性はないので大丈夫ですが、ついつい度を過ごすことってありがちですよね。

砂糖にしかない利点

まずは焦がして風味や色を付けることは、砂糖の専売特許なんです。甘味料にあの真似はできません。また、甘味料によっては直火で炙ると壊れてしまって甘さがなくなるものもあります。溶かして飴状にするというのも砂糖ならでは、クリームブリュレのパリパリは砂糖でしかできません。

これに使われる砂糖の量なんて知れていますから、その部分だけ砂糖でやっても影響はないでしょう。またよくご存知の通り、砂糖はごくわずかの水に大量に溶け込みます。このことを利用して防腐効果を上げているのがフルーツジャムです。

良く洗って水気を切ったフルーツと同量の砂糖をまぶし、ゆっくり加熱して煮詰めればジャムになります。この時砂糖の分子は水分子を抱き込むように使いますので、雑菌などが入ってきても繁殖するための水分が利用できません。それが強力な防腐効果になるわけですね。

容器を熱湯消毒して瓶詰の後密閉すれば、開封するまで数年間は室温保存が可能なくらいなんです。こうした芸当は他の甘味料ではできません。そういったメリット・デメリットをよく見極めて甘味と付き合っていきましょう。

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