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臨床心理士が教えるうつ病を抱える母親との接し方と禁句講座

母親がうつ病になった。しかし、それに気付いてあげられなかった。後から考えたら、あれはうつ病の症状だったのか。悪いことを言ってしまった…。

そんな声を聞くとやはり胸が痛くなります。母親とは、家庭の要であり、皆が安心出来る大きな包容力を持った存在です。その母親の辛さが溜まってしまったとき、家族はどう接すれば良いのでしょうか?臨床心理士のアドバイスをまとめました。

うつ病のサインは千差万別

実は、うつ病のサインは人それぞれに違います。これが発見を遅らせる原因になるのですが、本人でさえ「なんとなく最近落ち込みがちだが疲れているだけかも」「体調がすぐれないが年のせいかも」などと考えて見逃しがちです。うつ病という言葉を嫌がって受診をせずに悪化してしまうケースもあります。

最初は少しずつの変化ですが、外出したがらなくなったり、掃除や洗濯がおろそかになって家の中や身なりが崩れて来たり、笑顔が減ってきた時などは気持ちの変化が表れ始めている可能性があります。

身体的な症状としては、頭痛や腰痛、肩こりなどが以前よりひどくなったり、食欲が落ちたり、胸や胃のあたりの苦しさや痛みを訴えたりする場合もあります。長く続くのに内科や外科の受診で特に病気が見つからない時は、安易に市販の薬に頼らずに早めに心療内科を受診して医師の判断を仰ぎましょう。

一番不安なのは本人

うつ病になった母親は、家事がそれまでのように出来なくなる場合が多いものです。疲れやすく、体もだるく重く、自分の希望通りに動けなくなるからです。眠りも浅くなるために、普段は眠らないような時間に睡魔に襲われる事もあります。

家族はつい「だらだらして」とか「さぼってるだけだろう」などと考えがちで、不快を態度や言葉に表してしまいがちですが、動きたいのに動けなくて一番不安な思いをしているのは本人なのです。<責めの文句>や<責めの態度>は決してぶつけないように気をつけましょう。

こういう場合には、母親の仕事は母親がするべきだ、という考えを一旦置いて、少しずつ全員で分担してサポートしてあげると良いのです。少しの失敗なら、「大丈夫だからね」と声をかけて安心させてあげましょう。

どんな言葉が禁句なの?

先にあげた<責めの言葉>ですが、何を責めと感じるかも、心が健康な時とは変化しています。「がんばって」「やればできるよ」などといった、<行動を促す言葉>も大きな負担と感じてしまうので、「焦らないでいいよ」といった言葉に変えて伝えましょう。

よくあるのが、「わがまま」や「甘え」という言葉です。これは絶対にタブーです。家事や仕事ができなくなったのも、気持ちが落ち込んでため息ばかりついたり、泣くことが増えたりするのは、コントロールを失った状態であって、わざとではないのです。

そんな行動や気持ちを「わがまま」や「甘え」と責められると、母親としての自分の立場を失ったと感じて、「いなくなりたい」と思ってしまいかねません。家族のイライラは、決して本人にぶつけてはいけないのです。

では、どう接すればいいの?

うつ病の家族と付き合うのは、長い時間をともにするだけに、健康な家族にも大きな負担となるものですが、大事なのは「向き合い過ぎない」「共感し過ぎない」ことです。むしろ一歩下がって冷静な目を保って接する方が、お互いの負担は軽くなります。

共感をしすぎると、ひきずられてしまって看病している家族までもがうつ病を抱えるケースもあるのです。うつ病の時の落ち込みは通常の落ち込みとは違うので「お母さんは病気なんだ」という事実を忘れずに、話を聞いてあげる時でも共感し過ぎない程度に相槌をうつように心がけましょう。

そして、少しずつでかまいませんから、短い距離の散歩に付き合ってみたり、綺麗な花を飾ってみたり、好きな食べ物を買ってきてみたり、良い香りのアロマを焚いてみたり、何か笑える話をしてみたりして、脳への<明るい刺激>を与える時間を作ってみて下さい。

最初は反応もなく、それを繰り返す意味もないと感じることもあるかもしれませんが、小さな積み重ねは必ず未来の笑顔に繋がります。そして、責めてはいけないのは、うつになった母親本人だけでなく、サポートする家族自身に対しても同じです。

家族がギスギスしてしまうと、敏感に察知して「自分のせいだ」と母親は思いがちです。うつ病は責めることでは改善しません。家族が互いに傷つけあう必要もないのです。早く治って欲しい、治りたいと焦ることも逆効果なので、むしろ少しのいい加減さを持って、ゆったりしたペースで生活をして行きましょう。

しかし、もしも死にたいという気持ちを表した時には緊急にケアする必要が出ています。その時にはサインを見逃さず、すぐに病院へ連れて行って下さい。

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