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職場のメンタルヘルス対策!ストレスチェックで原因の分析・改善を

職場でストレスを感じる女性

社会で生きていくのに人付き合いは避けて通れませんよね。それは昔も今も変わらないはずですが、現代社会の場合はスマートフォンなどの便利なツールが浸透して、仕事の場面でも効率至上主義のようなものが流行っているように見受けられます。

慢性的にストレスにさらされる仕組みを自分たちで作り出してしまったようなものともいえます。

健康被害は、それらの弊害です。プレッシャーや人間関係のトラブルなどでストレスフルな状況は常に私たちを取り巻いており、加えて”効率”という「こうあるべき」というような理想が私たちを追い込んでいるのです。

その結果、精神的な健康に不安を感じ、実際にうつ病などの精神的な健康のトラブル (メンタルヘルス不調といいます)を抱える人は増えて続けています。

働く人の健康などが原因のトラブルが社会問題となって大きく注目されています。特に働きすぎ、人間関係などが絡む精神的な不調は、うつ病などの精神疾患、ひいては自殺につながりかねず、見過ごすことができません。

今回は、仕事が原因の精神的健康のトラブルについて説明をしながら、実際に自分が当事者になった時にどうしたら良いか、何ができるかをお話しします。

ストレッサーにより苛立ち、不安、焦り…ストレス社会の現状

先ほども述べましたが、高度な性能を持つスマートフォンやタブレット端末、日々進化をし続ける、これも便利なパソコンのソフトなどの普及により、仕事をする上で結果はもちろんのこと、スピードを求められる場面が増えました。

「時短」ということばも頻繁に耳にする昨今です。時短や効率ということばを聞いただけで、プレッシャーやストレスを感じるという人も中にはいらっしゃるのではないでしょうか。

例えば、パソコンなどの動作が遅い時、何かが壊れてしまった時などは必要以上にイライラしてしまいがち…そんな経験は誰でもお持ちではないでしょうか。その状態こそ、ストレスを受けている状態ということができます。

また、対人関係も複雑になりました。SNSやメールは非常に便利ですが、文字では相手の表情は受け取れません。思いもよらないトラブルに発展することさえあるのです。

このように私たちはこれまでになく沢山のストレスの”もと”(ストレッサーと言います)に囲まれて生活しています。

ストレスの”もと”は、私たちの心や体に苛立ち、不安、焦り、緊張、動悸などの歪みを生じさせます。先ほどのパソコン、スマホの場合には例として「イライラ」と気持ちを表現しましたが、同時に色々な現象が起こっているのです。

職場でのストレスの影響は?余裕のない心の行く末

このように例を挙げていくと、現代社会は「ストレス社会」と表現してもオーバーではないかもしれません。先ほどは触れていない、人間関係上のトラブルも昔から変わらずストレスの”もと”です。

いつの時代にもあったと言えそうですが、最近はとりわけ「○○ハラスメント」ということばが新聞などのメディアを賑わせています。確かに、地位や立場を利用して、特定の人を困らせるということはよくないことです。

その背景には、自分が被害者になりかねない恐怖のような感情があり、対人関係に過敏になりすぎているということも言えるかもしれません。

犯罪とまでいかなくてもいざこざに巻き込まれるのは誰でも避けたいことですよね。○○ハラスメントと強調して加害者を作り上げてしまうのは、強引なようですが、「熊よけの鈴」と同じく、一つの護衛術なのかもしれません。

次の図からは職場でのストレスが原因で心のトラブル(メンタルヘルス不調と言います)を抱えてしまった人がどういった経過をたどるのか見て取れるのではないでしょうか。

自殺者数の年次推移

グラフを見ますと、自殺者は年々少しずつ減少傾向と言えます。しかし自殺の原因として仕事上の問題もここに載せられており、無視することは決してできません。

過重労働により、精神的に不調を抱えてしまった人、果ては自殺という形で人生の終わりを迎えざるをえなかった人がいるということです。

ストレスと自律神経のバランスに注意して

普段受ける、その時々のストレスが些細なものと最初は思っていても、それらはじわじわと私たちに影響を及ぼします。例えば体の働きを司る自律神経のバランスを崩します。

自律神経は興奮系の自律神経とリラックス系の副交感神経から成り立っており、両者がバランスを取ることで私たちの身体を正常に動かしています。このことは既にご存じの方も多いでしょう。

慢性的にストレスにさらされていると、十分に眠れない、不安感が強くなった、気力が湧いてこないなどの症状が出てきます。それは、いわば心が受けたダメージを、身体が代わりに「気付いて!勘弁して!」と悲鳴を上げている状態ともいえます。

放置しておくと

  • 自律神経失調症
  • 心身症
  • 不安症
  • 軽症のうつ病

に罹患する恐れがあります。どれも早い段階で対策をすれば軽症で済みます。

異常に気付いたら早めに周囲の人に思っていることを話したり、難しい場合は医療機関に相談することをお勧めします。

また、気分の落ち込みだけが不調のサインではありません。胃がキリキリ痛む、肩や腰がひどくこるようになったなど、体に何らかの症状があり、続く場合もストレスが原因かもしれません。この記事では、次の項で”心身症”について少し詳しくお話しします。

心身症はダメージを負った心の叫び!ストレスのサイン

“心身症”という病名を聞いたことはあるかもしれません。心身症は、不安や葛藤、気分の落ち込みなどによって引き起こされます。症状が胃などの消化器、目や耳などの感覚器に出るため、この名前が付けられています。

下の表に、心身症の症状の例をまとめました。

呼吸器系 呼吸困難(過換気症候群)
循環器系 立ちくらみ(起立性低血圧)
消化器系 腹部膨満(空気嚥下症)
内分泌系・代謝系 多飲(心因性多飲症)
神経・筋肉系 頭痛、めまい
皮膚科領域 蕁麻疹、多汗
整形外科領域 腰痛、肩こり
泌尿・生殖器系 頻尿(神経性頻尿)
眼科領域 眼精疲労・飛蚊症
耳鼻咽喉科領域 耳鳴、めまい、難聴(心因性難聴)
歯科・口腔外科領域 口内乾燥・顎関節症

沢山ありますね。心身症とまで診断されなくとも、ストレスを感じると胃が痛くなったり、頭が痛くなったりする経験をお持ちではいでしょうか。たかがストレスと侮っていてはいけないことが分かりますね。

なぜ身体に影響が出るのかというと、ストレスを感知すると、自律神経を中心とした脳と身体のいわば連絡網が働くからです。免疫系、内分泌系、神経系などですね。もちろんこれらの症状は個人によって異なってきます。

こんなタイプの人は要注意!アレキシサイミア

先ほどご紹介した心身症ですが、身体症状としてストレスが表現されるという言い方もできます。ストレスを溜め込んでしまった結果ともいえます。

実は、ストレスを溜め込んで心身症になりやすい性格傾向があるのです。”アレキシサイミア(失感情症)”といって、気持ちや感情を上手に言葉などで表現するのが苦手な性格を持っている人が、心身症にかかりやすいとされています。

アレキシサイミアの人は、以下のような特徴を持っています。

  • 自らの気持ちに気がつきにくい
  • 気持ちを言葉で表現することを苦手
  • 自らの気持ちに正面から向き合って考えることをあまりしない

などなど

主に心身症が惹き起こされる過程や仕組みを説明する際に用いられる考えとして引き合いに出される考え方です。

特に最近は、物事に対する衝動(ついカッとなってしまうなど)、他人と喜怒哀楽を分かち合う(共感)能力の欠如などの対人関係のトラブルの原因の研究などにも用いられています。

心身症対策にはストレスを外に吐き出す習慣を

さて、心身症はストレスを溜め込んだ結果のものであるというお話でした。ストレスが身体に”サイン”として表現されている状態を避けるには、ストレスを「言語化」する習慣があると良いですね。

ただ、実際に心身症と診断され治療を受けていたり、言葉でうまく気持ちを表現することが苦手な方は「そんなこと、できていればこんなになっていないよ」とおっしゃるでしょう。そうした場合は周囲の人の存在が重要になってきます。

鬱屈した心の中のモヤモヤや、ストレスに感じていることを他人に伝えることは、ストレスで悩んでいる時には大変難しいことのように思ってしまいますが、何らかの形で、信頼できる同僚、上司、家族、友人など「言語化」して伝えてみると効果があることがあります。

言語化とは、つまり気持ちを言葉にして言う、書くなどして外に出すと言うことです。声に出してみることに勇気がいるなら、まずはノート、メモなどの紙に思ったことをそのまま書いてみましょう。

おススメは、自分が気にいっているメモやノートに、太めの線のボールペンあるいはお気に入りのペンで丁寧に、時に乱暴に書きつけた後、そのページをぐしゃぐしゃに丸めてゴミ箱にポイすることです。

それでもやはり抱えきれないなと思ったら、遠慮せずに周りの人を巻き込みましょう。困った時はお互い様なのですから。

話を親身に聞いてくれる人が周りにいない場合は心療内科の受診をお勧めします。心の内部のことを誰にでも打ち明けるということは慎重になった方が賢明です。心療内科などの専門機関でカウンセリングを受けたほうが気楽で良いでしょう。

なぜなら周囲に話した結果、自分が期待していない反応が返ってきたり反発されたり感じたりして、かえって不愉快な思いをするなどして症状が悪化することがあるからです。

過度に神経質にならなくても良いのですが、ご自分の今受けているストレスの程度をその都度チェックしモニタリングすると客観的に見ることができます。

まずは現状を知ることから!自分で出来るストレスチェック

次にご紹介するチェックリストは、SCL(ストレス・チェックリスト)というものです。身体症状にまつわる30の質問に答える形式です。誰でもできるものですから是非気軽に試してみるといいでしょう。

1 よくかぜを引くし、かぜが治りにくい
2 手、足が冷たいことが多い(以前はあまりなかった)
3 手のひらや、わきの下に汗をかくことが多い(汗をかきやすくなった)
4 急に息苦しくなる(空気が足りないような感じがする)
5 ときどき動悸をうつことがある(以前はなかった)
6 胸が痛くなることがある(胸がぎゅっと締め付けられるような感じがする)
7 頭がスッキリしない(頭が重い)
8 眼がよく疲れる(以前に比べると眼が疲れることが多い)
9 ときどき鼻づまりがすることがある(以前はまったくなかった)
10 めまいを感じることがある(以前はまったくなかった)
11 ときどき立ちくらみしそうになる(一瞬、クラクラっとすることがある)
12 耳鳴りがすることがある(以前はなかった)
13 のどが痛くなることが多い(のどがヒリヒリすることがある)
14 舌が白くなっていることがある(以前は正常だった)
15 好きなものでも食べる気がしない(食べ物の好みが変わった)
16 いつも食べ物が胃にもたれるような気がする(なんとなく胃の調子がおかしい)
17 腹が張ったり、痛んだりする(下痢や便秘を交互に繰り返したりする)
18 肩がこりやすい(頭も重い)
19 背中や腰が痛くなることがよくある(以前はあまりなかった)
20 なかなか疲れが取れない(以前と比べると疲れがたまりやすくなった)
21 この頃体重が減った
22 なにかするとすぐに疲れる(以前と比べると疲れやすくなった)
23 朝、気持ちよく起きられないことがよくある(前日の疲れが残っているような気がする)
24 仕事をやる気が起こらない(集中力もなくなってきた)
25 寝つきが悪い(なかなか眠れない)
26 夢を見ることが多い(以前はそうでもなかった)
27 夜中の1時2時頃目が覚めてしまう(そのあとなかなか寝つけない)
28 人と付き合うのがおっくうになってきた(以前はそうでもなかった)
29 ちょっとしたことでも腹がたつ
30 しばしば口内炎ができる(以前に比べて口内炎ができやすくなった)

いかがでしたでしょうか。診断結果は、上記の表のチェックの数を数えてみてください。診断結果を以下に提示します。

1~5個の場合・・・問題ありません。
6~10個の場合・・・軽いストレス状態にあります。
11~20個の場合・・・本格的なストレス状態に陥りつつあります。
21個以上・・・日常生活に支障をきたしている状態です。専門医にかかることをお勧めします。

ご紹介したものは、汎用として広く用いられているチェックリストです。こういったものを使って自分のストレスを受けている状況を知ることは非常に大切なことです。こころの”物差し”として使用するにはとても良いツールですね。

職場でのストレスチェックには「職業性ストレスモデル」

以下に挙げている図は、仕事に関連した怪我や病気などの防止を目的とした研究・勧告を行っているアメリカの”NIOSH”という機関の「職業性ストレスモデル」です。

niosh職業性ストレスモデル

ストレッサーが個人的な要因(性格など)や環境要因(騒音など)の影響を受け、何らかのストレス反応を経て、病気などのトラブルを引き起こすという過程がお分かりいただけますでしょうか。

職場には様々な”負”のストレスが存在しますよね。人間関係や仕事の量や質、将来への不安などです。

しかし、後ほどご紹介する表は、そういった”負”のストレスではなく逆にへこんだ状態を修復しようとする力ともいえる「緩衝要因」の良い例です。NIOSHの図でいえば「社会的支援」に該当します。

次にお話しします、職場でのメンタルヘルスチェック制度は、社会的支援そのものです。次項でご紹介するストレスチェック表の活用によって、職場の管理監督する立場にある人が、職場環境の改善に関わることが努力義務とされています。

職場でのメンタルヘルス対策!チェックリストを原因の分析に活用しよう

政府は平成27年12月より、職場に「ストレスチェック」の施行を義務付けました。(ただし、労働者数50人未満の事業場は当分の間努力義務です。)

不調の気づきを促したり、要因の分析につながることが期待されるほか、職場環境の改善にも活用されることを狙いとしています。

実施する人は、産業医などの医師、看護師、保健師、精神保健福祉士とされています。個人のデリケートな事柄を扱うので、本人の同意なしで第三者に結果を伝えることは法律で固く禁止されています。

つまり、働く人がメンタルヘルスのチェックリストでどう答えたか、結果どうであったかは職場の上司や同僚が本人の知らないところで知るようなことはないということです。

安心して答えられますね。なお、受けるかどうかは任意であって、強制されることはありません。

職場のメンタルヘルスチェックリスト

法律では、一年に一回、調査票により労働者のメンタルヘルスをチェックすることが決まっています。

厚生労働省は57項目のチェックリストを推奨しています。(簡易版として23項目のものも用意されています。)

職場ごとに設置項目は選ぶことが可能ですが、いずれであっても次にあげる3つの領域に関する項目を含めることが必須です。

  1. 仕事のストレス要因
  2. 心身のストレス反応
  3. 周囲のサポート

例えば、1「仕事のストレス要因」は、次のような質問があります。

  • からだを大変よく使う仕事だ
  • 私の部署内で意見の食い違いがある など

2「心身のストレス要因」に関しての質問は、以下のような質問が用意されています。

  • 元気がいっぱいだ
  • 悲しいと感じる

3「周囲のサポート」に関しての質問には、

  • 次の人たちはどのくらい気軽に話ができますか? (上司、同僚、配偶者・友人等で選択)
  • あなたの個人的な問題を相談したら、次の人たちはどのくらい聞いてくれますか? (上司、同僚、配偶者・友人等で選択)

などの質問項目が設けられています。

チェック項目に素直に答えても、守秘義務が守られているので不利な扱いをされることはありません。こういった質問項目に答えることにより自分の置かれている環境の良いところ、悪いところ、自分のストレス状況を知ることができるのです。

しかも、職場全体の回答結果を分析して職場環境の改善につながるとすればとても良い取り組みではないでしょうか。

うつ病などの病気を発見する目的のものではないのですが、ストレスは万病のもと。原因の分析にまで一役買うという制度をご紹介しました。

人間関係や職場環境の改善のためにできることは?

職場のメンタルヘルスの取り組みとしては日本で初めて法制化された制度をご紹介しました。前半では、ストレスの体に及ぼす影響について触れましたね。

何度も繰り返しますが、人間関係は生きて行く上で避けては通れません。これは職場に限ったことではありませんよね。

まず、私たちが冷静になって考えなければならないことは、私たちは影響しあっているということです。会話していて、相手の表情に明らかな変化がなくてもです。

皆、喜怒哀楽を持って生きていることを忘れがちです。何かとうるさい上司、仕事をしない部下、気楽そうにしている同僚…それぞれに考えがあり事情があります。

ストレスを感じない人はいません。感じないのではなく、うまく付き合っていると捉えた方がいいでしょう。

ストレスを抱えて悩んでいる人へ

もし、ご自身が以前より何かうまく行かないと思うようであれば、是非「味方」を作ってください。

「味方」はそんなに近い人でなくても良いのです。配偶者や家族などでももちろん良いのですが、ベストなのは職場の人でなくて客観的にあなたの話を聞いてくれる人です。

友人でももちろん良いです。大切なのは、「共感」です。その代わり、あなたも心を開いて相手と共感する、体験を共有する準備が必要です。

落ち込んでいる時、感動的な映画や音楽を視聴して涙を流した後は、少し気持ちがさっぱりするという経験はおありではないでしょうか。

相手が言葉を受け止め、気持ちや意味を理解し共感してくれれば、心がすっきりします。これを「浄化作用(カタルシス効果)」と呼びます。共感しあえる味方がいれば、心強く感じられるはずです。

涙を流すことは恥ずかしくないことです。気分がふさぎ込んでしまった、落ち込んでしまった時、感動するような映画を見て泣いたり、読書したり音楽を聴いたりということは有効です。

涙を流すとスッキリした経験がある方もいらっしゃるでしょう。是非、そういう経験・体験を生活に活かしてください。

必ず、一人で立ち上がらなければならないということはないのです。ときには他の人の力を借りてください。それぞれが様々な悩み苦しみを感じているので心を開けば相手も心を開いて返してくれるでしょう。

あなたに良い味方ができることを願っています。

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