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認知症症状が劇的改善!北欧で行われるタッチセラピーとは?

warmth of hand

手には不思議な力があります。互いに手を触れることで愛情や思いやりの心が伝わったり、気持ちが落ち着いたりすることがあると思います。病気の治療や看護するという意味の「手当て」は、まさに手を当てることが語源とも言われています。

認知症の治療においても、手を使って行なうタッチセラピーによって症状が顕著に改善した例が多数報告されています。認知症の症状を改善するタッチセラピーとはどのような治療法なのか、ご紹介します。

愛情の力で認知症を緩和する!タッチセラピーとは?

タッチセラピーは福祉先進国・北欧スウェーデンで開発された認知症の症状を緩和する施術法です。認知症の症状がある患者の手や足、背中などを手でやさしく触れてあげ、ヒーリング(癒し)を行なう方法がタッチセラピーです。

皆さんにも経験があると思いますが、子供が転んでケガをした時、痛いところに手を当てて「痛いの痛いの飛んでいけ!」と唱えると痛みが和らぐ気がしますよね。

体調が悪い時に背中を擦ってもらうと体が楽なると感じたり、泣いている赤ちゃんを抱きかかえ優しく揺すってあげると泣き止んだりします。

お医者さんが診察の時に患者の胸や背中に聴診器を当てるのも、心音や呼吸音を聞くと同時に、患者に安心感を与えることで心理的な治療効果を発揮させるためとも言われています。

人と人が手を触れ合うことはそれだけで互いの優しさや思いやりの気持ちを感じることができます。タッチセラピーは「愛情の力」によって病気を治そうとする人間らしい治療法と言えるのです。

触れるということは思っている以上に治療効果があるのです。

元気くんは私よりヘレンさんに手当てしてほしいって言いますけどね…しゅん。

タッチセラピーを始める前に!認知症の症状をおさらいすべき理由

illustration of the elderly suffering

認知症の症状を改善する方法に関心をもたれた方にとっては、すでに認知症という病気の性質を理解されているかもしれませんが、念のために認知症という病気についておさらいしておきたいと思います。

もし正しい知識を持っていなければ、タッチセラピーの効果を十分に発揮できないことがある!という理由もあります。

認知症が起こる原因は?日本人の認知症の7割はアルツハイマー型

認知症は何らかの理由によって脳の機能が低下し、物事を正しく理解したり記憶したりする能力が衰え、日常生活が円滑に行なえなくなる状態のことです。

認知症にはいくつかの種類がありますが、日本人の認知症の70%はアルツハイマー型認知症といい、β-アミロイドというタンパク質の一種が脳細胞を破壊したり脳を萎縮させたりすることが原因で起こります。

認知症の発症メカニズムはまだ完全には解明されていませんが、認知症を予防したり進行を遅らせたりする効果的な方法は日々研究が進められており、タッチセラピーもその1つです。

早く対処することが肝心!認知症には中核症状と周辺症状の2種類ある

認知症の症状は、認知症患者のほとんどの人に起こる中核症状と、人によって起こる場合や度合いが異なる周辺症状の2種類があります。

アルツハイマー型認知症では多くの場合、初期段階としての中核症状が起こり、その後ストレスなどが加わり、序々に症状が進行して周辺症状を発症すると考えられています。できるだけ早く症状に気付き治療や改善を試みることが大切です。

【 認知症の中核症状 】

記憶障害
新しいことが覚えられない。記憶がスムーズに思い起こせなくなる。
見当識障害
ここはどこか、あなたは誰か、など場所や人、時間の認識が正しくできなくなる。
理解・判断力障害
考えるスピードが遅くなったり、状況判断が混乱する。
実行障害
計画を立て、段取りよく物事を進めることができなくなる。

【 認知症の周辺症状 】

焦燥 焦ったり、イライラしたりする。
多動 落ち着きがなくなり、不必要に動き回る。
感情障害 笑ったり喜んだりする感情がなくなる。
暴力・暴言 暴力をふるったり、大声を出したり、暴言を吐いたりする。
睡眠障害 夜、眠れない。朝と夜が逆転する。
抑うつ 何もやる気が起こらない。
せん妄 誰もいないのに話しかける。
徘徊 突然、どこかへ行ってしまう。

タッチセラピーを行なうことで、認知症の根本的な原因である脳細胞の破壊や脳の萎縮を元にもどすことはできませんが、こうした認知症の中核症状や周辺症状を改善・緩和することは十分期待できます。

認知症の前段階・軽度認知症にはタッチセラピーの効果も高い

healthy elderly illustrations

認知症はある日突然起こるものではなく、歳を重ねるごとに少しずつ進行していきます。ほとんどの場合、本格的な認知症に移行する前に軽度認知障害(MCI)という認知症の一歩手前の状態を経ることになります。

この軽度認知症の段階でタッチセラピーを行なうと、その後の認知症への進行が大幅に食い止められることや症状が軽度で済むことが分かってきました。

ですから、明らかな認知症ではなくても認知症の手前の段階を把握してタッチセラピーを行なうことが、認知症の進行を食い止める上でとても大切です。

【 軽度認知症の症状(MCI)の症状 】

  1. 自分に記憶障害があることを自覚している。
  2. 客観的にも記憶障害があると認められる。
  3. 単なる物忘れとは言えない症状が見られる。
  4. 記憶障害があるが、日常生活では大きな支障はない。
  5. 日常生活での大きな支障がないため、認知症とは診断されない。

こうした症状が複数見られる場合は軽度認知症が疑われます。しかし認知症なのか単なる物忘れなのかを区別することは医師でも難しいので、もしかすると軽度認知症が起こっているかもしれない、と考え対処することが重要です。

適切なタイミングで行うべきタッチセラピー。

症状や段階を見極める力と「もしかして認知症?」と疑う気持ちが必要です。

早ければ10分程度で効果が現れる!タッチセラピーの効果

タッチセラピーは、認知症の人の手や足、背中などを手でマッサージするように触れることで症状を改善する方法です。

認知症の患者にタッチセラピーを施術することによって、実際に次のような効果があったという報告が多数あげられています。

  • イライラすることがなくなった
  • 焦る様子がなくなり、落ち着きがでてきた
  • 大声を出したり、暴言を吐くことがなくなった
  • 夜、よく眠れるようになった
  • 徘徊することがなくなった

こうした効果は、タッチセラピーを行うことで脳の血流が改善したり、脳細胞が活発に働くようになったり、患者が抱えるストレスが軽減したりすることなどが要因として考えられます。

タッチセラピーの効果は早ければ10分~15分で現れることもあります。イライラしている患者の手を取りタッチセラピーを行ったところ、あっという間にイライラがなくなったというような例もあげらているのです。

マッサージとは異なるタッチセラピーの方法

タッチセラピーはマッサージとは異なります。筋肉をほぐすことが目的ではなく、手に触れて優しい気持ちを伝えるということが目的です。

力を入れてマッサージのように揉みほぐすのではありません。「優しく、ゆっくりさする」というイメージで行うことが大切です。また施術にはオイルのようなものを使う必要はありません。

手のタッチセラピー

両手で患者の手のひらを包むようにして取り、両手の親指で患者の手のひらをさするようにします。そして、手のひらの中心から外側へ親指をすべらします。30秒くらい、優しく丁寧にさするようにします。揉んではいけません。

次に、3本の指で患者の手のひらを円を描くように、ゆっくり優しくさすります。同じく30秒程度さすります。

touch therapy

それから、指の一本一本を軽くにぎり、指の付け根から先の方へ優しくこするように動かします。1本毎に2~3回くらいで良いでしょう。10本の指全てに行います。

touch therapy1

最後に、手の甲も手のひらと同じようにさすります。そして、手の甲にある骨と骨の間をすべらすように、上下にさすります。

touch therapy2

手のタッチセラピーはこれで終了です。

足のタッチセラピー

手の甲と同じように、両手で患者の足を抱えるように持ち、足の甲を中心から外側へこするように滑らします。30秒程度行って下さい。

touch therapy3

足の甲にある骨と骨の間も親指でこするように上下にすべらせましょう。

touch therapy4

次に、手のひら全体で、足をおおうように包みながら全体的にすべらせます。足の裏も全体的に滑らせるようにしますが、くすぐったがる場合は無理に行う必要はありません。

足の場合も手と同様ですが、マッサージではないので足の裏を揉みほぐすようなことはしてはいけません。また、足の指をひっぱたりする必要もありません。

背中のタッチセラピー

両手のひらを服の上から背中にあて、背中の中心から外側へ放射状に直線的にすべらすようにします。

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次に両手のひらで、背中の中心から時計回りに渦巻きを描くように回しながら外側へ滑らせます。

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次に両手の10本の指先を使い、腰から首へ向かって小さな円を描きながら、首の方へ手を動かしていきます。

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最後に両手のひらで背中を全体的に上下にこするように動かして終了です。

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繰り返しますが、タッチセラピーはマッサージではありません。筋肉を揉みほぐしたり筋をひっぱたりしてはいけません。あくまでも手には力を入れず、さするように動かすだけです。優しくゆっくりと、なでるように動かしましょう。

ノットもみもみ!オーケーなでなで!

タッチセラピーの効果は介護する側にも良い影響を与える

認知症の高齢者にタッチセラピーを行うことは、患者の症状を軽減するだけでなく、タッチセラピーを行う人にとってもメリットがあります。

例えば、イライラした患者にタッチセラピーを行うことでストレスが緩和され落ち着くようになれば、介護する人は介護がしやすくなります。患者と介護する人の間でのコミュニケーションも取りやすくなるでしょう。

そうすれば介護する側も心に余裕をもって介護ができるようになるので、介護への負担が楽になります。患者が大声を出したり暴言を吐いたりすることが少なくなれば、介護する側の人が受けるストレスも少なくなります。

タッチセラピーは介護を受ける人だけでなく、介護する人にも大きなメリットがあると言えるのです。

愛情ホルモンを分泌させるタッチセラピーの効果

タッチセラピーを行うと、オキシトシンというホルモンの分泌が良くなることが分かっています。オキシトシンは愛情ホルモンとも呼ばれ、親が子供をいたわるよううに、人に対する愛情や優しさを生み出すホルモンです。

タッチセラピーを受ける患者のオキシトシンの分泌が良くなると、自然に人に対するいたわりや優しい気持ちが生まれ、介護してくれる人や周りの人にも優しい気持ちで接するようになり、行動が穏便になっていきます。

そのため介護する側の人たちにとっても、介護への負担やストレスが軽減されるという効果をもたらします。

またタッチセラピーによって介護する人のオキシトシンの分泌も良くなることが分かっています。介護する側の人の気持ちも優しくなり、介護される人の気持ちを理解してより良い介護をしようという気持ちが強くなります。

こうしたことにより、介護される人も介護する人も互いに相手に対していたわりの気持ちや優しさを持って接するようになるので、良い面での相乗効果が生まれ、認知症の症状が軽減することにつながります。

まさにいいことだらけですね。

大変な介護だからこそ、お互いに気持ちよく取り組みたいものですから。

タッチセラピーで注意すること2点

繰り返しますが、タッチセラピーを行う場合は、決して無理に行おうとしてはいけません。誰のためにタッチセラピーをするのかと言えば、それは患者さんのためです。良かれと思ってのことでしょうが、嫌がる患者に無理をして行ってはいけません。

また男性の患者が男性に手を触られるのは気持ちが悪く感じる人もいるでしょう。嫌がるような素振りがあれば決して無理に行なう必要はありません。

タッチセラピーをする側の人は、できるだけ手を温めてから施術を行なうようにして下さい。冷たい手で急に触られるとびっくりしたり、不快に思ったりする人もいます。特に初めてタッチセラピーを行なう時には十分に気をつけて下さい。

認知症の介護を受ける人も介護をする人も、互いに相手に対する思いやりの心が大切です。タッチセラピーは人と人とが触れ合うことで得られる優しさを育む手段の1つです。手に心を込めて介護に活用していただければ幸いです。

オラオラ!タッチセラピーの時間だよ!はブッブーです。

心地よい程度に温めた手で優しく触れてあげましょうね。

キャラクター紹介
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