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これがアルツハイマーの危険因子・防げるものと防げないもの 

認知症の患者数は、世界中で毎年770万人ずつ増え続けています。日本でもアルツハイマー型認知症の増加は、深刻な問題。このままでは現在の子ども達が大人になった時、大きな負担を負うことになってしまいそうです。そこでアルツハイマーの危険因子をふまえ、どのような対策を心がければ予防することができるのかについて、まとめてみました。

加齢で起こるアルツハイマー型認知症

アルツハイマー型認知症は、1906年アロイス・アルツハイマー博士によって発見された脳の病気です。

病気の特徴

  • 加齢により60歳以上で発症する
  • 脳が委縮していく
  • 脳に老人班(アミロイド斑)や神経原線維変といった病原が認められる
  • 病気は進行していき、脳機能は元に戻らない

残念ながら現在のところ特効薬はなく、発症したら進行を抑える薬で対処するしかありません。病気が進行すると人格は失われ、やがて寝たきりとなり数年で死に至ります。発症のはっきりした原因は不明で、予防薬のような効果的な対策もありません。

家族の顔も、自分の名前も分からなくなってしまう、そんな怖い病気を予防することはできないのでしょうか?いえ、アルツハイマーには避けられない原因もあるのですが、多くは避けることのできる原因が関係しているため、若いうちから気をつけておくと、将来発症をまぬがれることができるようになるのです。

アルツハイマーの危険因子

アルツハイマーには次のような危険因子のあることが分かっています。

避けられない危険因子

  • 年齢
  • 性別
  • 遺伝・家族歴

避けることのできる危険因子

  • 食生活
  • 運動の習慣
  • 喫煙
  • ライフスタイル

避けられない危険因子

年齢

最も大きな危険因子が年齢です。発症率は加齢で上昇していき、85歳以上で発症者が急増します。

アルツハイマーの発症率
65~69歳…1.5%
70~74歳…3.6%
80~84歳…14.6%
85歳以上…27.3%

性別

アルツハイマーには性差も関係しており、男性に比べて女性が2倍多くなっています。単に女性のほうが長寿で、高齢者に女性が多いことも理由ですが、女性ホルモンのエストロゲンが関係しているとも考えられています。エストロゲンには脳神経を保護する作用があり、閉経によってエストロゲンの量が激減することで、脳神経に大きな影響を及ぼしてしまうのです。

遺伝・家族歴

親のどちらかがアルツハイマーの場合、そうでない人よりも発症リスクが10~30%高くなることも分かっています。ただし、多くのアルツハイマーは後天的な理由で発症するものであり、「身内にアルツハイマーの人が何人かいるからアルツハイマーの家系だ」と、むやみに気にする必要はありません。

ちなみに遺伝で起こるのは「家族性アルツハイマー病」という、30代くらいで発症する特殊な病気です。この病気の場合、親のどちらかが発症していると、1/2という高い確率で子どもも発症しますが、めったに起こらない病気です。

避けることのできる危険因子

食習慣

脳はたくさんのエネルギーを必要とするので、栄養が欠乏すると脳はスムーズに機能できません。特に脳神経の働きに大きく関与するビタミンB12が欠乏してはいけません。不足すると、うつ病やアルツハイマーにかかりやすくなります。

実際にアルツハイマー患者の脳は、正常な人の脳に比べ、ビタミン量が1/6以下に減っていることも分かっています。不規則な食生活は、高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満など生活習慣病の原因に。糖尿病や肥満はアルツハイマーの発症率を2倍に高めてしまいます。特に、次のような食生活が良くありません。

  • 魚、野菜、果物をあまり食べない
  • 動物性脂肪が多い
  • 高カロリーな食事

運動の習慣

運動すると脳の血流が促進され、脳細胞に酸素や栄養がしっかり届きますが、運動不足だと脳の血流が減るため、脳機能が低下しやすくなります。また、運動不足で起こりやすい生活習慣病や脳血管障害、心疾患も、アルツハイマーの発症リスクを高めることが指摘されています。

喫煙

喫煙でアルツハイマーの発症率が、1.79倍に上昇することが分かっています。長期間の喫煙は、記憶力の低下や隠れ脳梗塞を引き起こすことも。さらに、喫煙者だけでなく受動喫煙者(喫煙者が出す煙草の煙を吸い込んだ人)もダメージを受ける恐れがあるのです。

ライフスタイル

知的活動は脳を活性化させ、若々しい脳機能を保ちます。知的活動を行っていない人、社会との交流の乏しい人は脳機能が低下しやすく、アルツハイマーの発症リスクが高まってしまいます。

修復可能な7つの危険因子

このような研究結果もあります。カリフォルニア大学サンフランシスコ校は、修復可能なアルツハイマーの危険因子7つを発表しました。

1.低学歴
2.喫煙
3.運動不足
4.脳血管性のうつ病
5.中年期の高血圧
6.中年期の肥満
7.糖尿病

最も大きな危険因子は1の低学歴としています。知的活動をあまり行わないライフスタイルは、脳にとって非常に良くないということ、そして不規則な食習慣や運動不足から起こる生活習慣病も、アルツハイマーの原因になっているということですね。

アルツハイマーを防ぐために若いうちから実践したいこと

避けられない危険因子があったとしても、避けられる危険因子を減らしていくことで発症を防ぐことが十分に可能です。アルツハイマーにかかる人の脳は、10年以上前からすでに変化が始まっているため、若い人も予防対策を実践するのがおすすめです。

栄養価の高い食事

規則正しい食生活、栄養価の高い食事が脳や体を健康に保ちます。特に次の栄養素を意識して摂取すると良いでしょう。

【ビタミンA(βカロテン)・ビタミンC・ビタミンE】
抗酸化作用により、細胞の老化を予防します。これらの栄養素は一緒に摂取するのがおすすめ。相互作用が働き効果が高まりますよ。

ビタミンA(βカロテン)…緑黄色野菜、みかん
ビタミンC…かんきつ類、ピーマン、いちご
ビタミンE…ナッツ類、植物油、アボカド

などに多く含まれています。

【DHA・EPA】
青魚に含まれるDHA、EPAという不飽和脂肪酸に、脳細胞の炎症を抑え死滅を予防する効果があります。また、すでに死滅してしまった脳細胞の周りにある脳細胞の働きを高める作用もあります。動脈硬化を予防する効果もあるので、積極的に摂取しましょう。

DHA・EPA…いわし、さんま、まぐろ、さば、あじなどに多く含まれています。

【ビタミンB12】
脳ビタミンと呼ばれるビタミンB12を十分に補いましょう。脳細胞に病変を起こすホモシスチンという物質の血中濃度を下げて、アルツハイマーを予防する効果も確認されています。

ビタミンB12…肉、魚介類などに多く含まれています。

【葉酸】
ビタミンBの一種で、ビタミンB12と共にホモシスチンの血中濃度を下げる働きをします。ビタミンB群は、まとめて摂取することで効率良く働く栄養素です。ビタミンB12と一緒に摂取しましょう。

葉酸…レバー、えだまめ、ほうれん草、アスパラガス、納豆などに多く含まれています。

ライフスタイルの改善

運動不足、知的活動の減少がアルツハイマーの危険因子となっているため、該当する人はライフスタイルを改善することが望ましいです。頭脳を使う職業に従事している人や、知的好奇心の高い人は、アルツハイマーの発症率が低い傾向にあることが分かっています。

色々なことに関心を持ち、学習や趣味の時間を増やすことが脳機能を高めるのです。有酸素運動は脳の血流を促進し、脂肪や血液中の糖・コレステロールを燃焼させて、生活習慣病も予防します。ウォーキングやジョギングを積極的に行いましょう。

シニアがアルツハイマーを防ぐために実践したいこと

60歳以上のシニアは、積極的にアルツハイマーの予防対策を実践しましょう。すでに発症した人でも進行を抑える効果が期待できます。

食生活

規則正しい食生活を心がけ、上記で挙げた栄養素を十分に補いましょう。すでに発症した人の根本的な治療にはなりませんが、症状の改善には効果を奏します。次の成分にもアルツハイマー予防・改善効果のあることが分かっています。

カレーに含まれる香辛料のクルクミン(ウコン)
トマト、ジャガイモ、みかん、発芽玄米に多く含まれるギャバ

適度な運動

1日に20分ほどの有酸素運動を、無理のない程度に行いましょう。ウォーキング、サイクリング、軽いジョギングなどが効果的です。シニアには数を数えながら踏み台の昇り降りをする運動もおすすめ。有酸素運動と脳トレーニングが一度にでき、さらに効果が高まりますよ。

趣味を持つ

趣味に関心を持ち、脳、手先や体を使って作業をすることが、脳機能を活性させます。知的な作業は脳神経に良い刺激を与えます。何かテーマを決めて学んでみるのも良いでしょう。

社会に参加する

シニアになると室内に引きこもりがちな人も増えてきますが、脳や体の機能低下を進めてしまうので積極的に出かけ、社会とのコミュニケーションを増やすことをおすすめします。友人と出かけたり、サークルに入ったり、ボランティア活動を行うのも良いでしょう。

最後に

現在65歳以上の高齢者の5%前後が認知症、2026年にはさらに10%に跳ね上がるとも推測されています。現在健康で「アルツハイマーなんて無縁」と油断している人が、将来発症してしまう可能性も少なくないのです。アルツハイマーは後天的な原因で発症しやすいことが分かりました。健康に長生きするためにも、防げる部分はしっかり努力し、発症をくいとめたいですね。

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