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肉と魚だけであなたの脳は大丈夫?認知症予防の最新食事法

寿命の増加や老年人口の増加によって、認知症がもたらす問題はより深刻なものになりつつあります。人は誰しも「死ぬまで健康」でありたいと願うものです。その「健康」には、胃や肝臓、腎臓、腸だけでなくきちんと脳を含めなければなりません。

認知症は予防が肝心

認知症の症状は主に物忘れです。最初は少しぼうっとしているだけに思えていても、それが認知症のサインかもしれません。認知症が進行すると、物忘れをしていることを認識できず、家族の名前や、自宅への帰り道なども忘れてしまいます。

平成22年のデータでは、要介護になった原因は、認知症が男性の2位、女性の1位であり、その重大性が分かります。認知症にはいくつかの種類があり、一つは脳の色々な箇所に動脈硬化などによって梗塞ができる血管性認知症です。

これは、脳細胞に血液が行き届かなくなることが原因であるといえます。もう一つはアルツハイマー病と言われているので、脳萎縮、特殊なタンパク質が脳に沈着することで発生します。

これらの病気はいずれも、60歳以上で発症すると言われていますが、若年性アルツハイマー、若年性痴呆症という病名があるように、それより若い人(64歳以下)でもこのような病気になることがあります。

認知症は、症状を軽くしたり、改善したりすることはできても、完全に元通りにするような、根本的な治療法はないとされています。まずは発病する前に予防することが大切です。

認知症にならない食事の秘訣

福岡県久山町の60~79歳の認知症ではない住民を対象に、食事と認知症の関係を調べるための研究が、15年に渡り行われてきました。これは、半世紀にわたる生活習慣病の疫学調査の一環です。

この調査から、脳が健康な高齢者はどんなものを食べているのかが分かり、栄養学者の中でも注目されています。今回はそれらを、ポイントをおさえてご紹介しましょう。

肉?それとも魚?

人間にとって、たんぱく質を摂ることは非常に大切なことです。たんぱく質は筋肉を作る成分であり、食べ物によって摂る以外に方法がないのです。筋肉は毎日代謝されているので毎日食べることが大前提です。

「あまり運動しないから」「もう年だから」という理由でたんぱく質を摂らないと、どんどん筋肉が落ち、動けなくなってしまいます。元気な高齢者が多く食べていたものの中に、魚や卵、大豆製品がありました。これらは代表的なたんぱく質源です。

いかにも健康そうな食べ物が並びましたが、魚が多いのは久山町が海に近いという地理的な要因も含まれるかもしれませんね。では、肉を食べると健康ではいられないのでしょうか。そうではありません。

肉のたんぱく質はとても良質ですし、肉の脂肪分も身体には必要なものです。また、豚肉のようにビタミンB群を多く含む肉もあります。毎日とは言いませんが、肉を敬遠しがちな高齢者には是非とも食べてもらいたい栄養が含まれています。

さて、日頃から健康に良いと脚光を浴びている魚ですが、認知症予防の効果は魚の脂肪分に関係しているようです。魚には多価不飽和脂肪酸という脂肪分が含まれています。DHAやEPA(IPA)に代表されるこれらは、次のような働きをしてくれます。

  • 悪玉コレステロールを減らして血液をサラサラにする
  • 善玉コレステロールを増やして動脈硬化を予防
  • エイコサノイドの活性を抑えて血圧の上昇を抑える
  • 血栓の生成を抑制して脳梗塞を防止する

エイコサノイドとは、特定の構造を持つ生理活性物質の総称で、血管の収縮や拡張、血小板の凝集、子宮平滑筋の収縮など、様々な働きをします。

二つの脂肪酸は、血管や血液に作用することにより血管性認知症を予防してくれるのです。こうした働きをするDHA(ドコサヘキサエン酸)、EPA(エイコサペンタエン酸)は、肉には含まれていません。

ですから、認知症の予防をしていく上で、食事に魚を取り入れることは必須であると言えます。ですが、魚ばかりに偏るのではなく、肉や卵、大豆製品も上手に組み合わせましょう。

牛乳は毎日飲んでいますか?

和食を食べていると不足しがちな牛乳、乳製品。実は、久山町の高齢者は牛乳や乳製品を多くとっていることが分かりました。さらに、牛乳や乳製品を多くとると、アルツハイマー病の発症率が低下するという有意な結果があるのです。

朝食がパンであれば、牛乳を飲もう思えますが、ご飯、味噌汁、焼き魚などの食事にあえて牛乳を付けていた人は少ないかもしれません。ですが、これを機会に是非牛乳を常備して、一日にコップ1杯の牛乳を飲むようにしましょう。

たくさん飲めばより効果があるというわけではなく、かえって脂肪の摂りすぎになる可能性もあるので、一日2杯を上限としましょう。近年では乳和食といって、乳製品と和食を組み合わせるスタイルが流行っています。

みそ汁に牛乳を少し入れてみたり、卵焼きに牛乳やチーズを入れてみたりと、意外と美味しい組み合わせがあります。チーズと醤油はとても相性のいいものです。料理に乳製品を取り入れることで、より手軽に食べることができますね。

忘れちゃいけない抗酸化ビタミン

ビタミンEは、体内で抗酸化作用を発揮するビタミンです。抗酸化作用を示すビタミンには、ビタミンEの他にビタミンCもあります。ですがビタミンCは使い捨て電池のようなもので、一度使うと捨てるしかありません。

対してビタミンEは充電池のようなもので、身体に留まり、一度使われた後も再び還元されることで、抗酸化能力を取り戻します。ただ、使われたビタミンEを還元するのはビタミンCの仕事なので、どちらも摂ることが大切です。

ビタミンEは様々な食品に含まれていますが、大根の葉、カボチャ、赤ピーマン、ほうれん草、菜の花などに多く含まれています。油脂分に溶けやすい性質があるので、油を使った料理をすると吸収率アップが期待できます。

ビタミンCはピーマン、ブロッコリー、かいわれ大根、ミニトマトなどの野菜や、柿、キウイフルーツ、オレンジ、イチゴ等の果物に多く含まれています。久山町の高齢者は緑黄色野菜、淡色野菜、果物、果物のジュースを多く食べているようです。

つまり、日常からこうしたビタミンを摂取しているのですね。現在では、百円均一でもビタミンEやビタミンCのサプリメントが販売さています。しかしこうした微量栄養素は、食事から摂ることが大切であるとされています。

特にビタミンEはその性質から、身体に残りやすい成分です。サプリメントによって、食事では摂れないような膨大な量を摂り、過剰症を引き起こしてしまうことも考えられます。注意しましょう。

長寿の島サルディーニャ島の地中海式食事に学ぶ

これまで久山町の高齢者の食事をご紹介してきましたが、ここで注目する地域をイタリアに移してみましょう。サルディーニャ島は、世界有数の長寿地域なのです。さらにこの地中海式食事は、久山町の食事内容と類似する点がたくさんあるのです。

地中海式食事は、たくさんの野菜に果物、くるみやアーモンド等の種実類、穀類、豆類、魚、オリーブオイル、ワインを食べるというもので、時にチーズなども含まれます。今回ご紹介した栄養素を網羅できるような内容であるのが分かりますね。

さて、問題は日本人がこの地中海式食事を取り入れたとして、満足できるかどうかです。若い世代の人は良いかもしれませんが、高齢者がこういった食生活を取り入れて、続けていくことは難しいでしょう。

地中海式食事から学ぶべきはそのバランスにあります。何歳になっても、食べる喜びを持ち続けること、一つの食べ物ばかり食べるのではなく、色々な食材を少しずつ食べることが健康の秘訣なのです。

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