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COPDの治療で酸素ボンベを手放せなくなる前に手軽な禁煙を

COPDという病気の名前は、まだあまり一般的ではないでしょうか。21世紀に入ってから定義づけられた病気で、かつて肺気腫と呼ばれていた病気を中心に、慢性気管支炎の概念を統一したものです。日本男性の死亡原因の第7位に入っているという事は、腎臓や肝臓の病気、老衰よりも多いという事ですね。

世界ではもっと多いという事ですが、この病気の怖さは死ぬことではありません。実はこの病気には「死より怖い病気」という別名が付けられているのです。日本の厚生労働省は、日本名を決める過程で「たばこ病」というネーミングも候補に入れていました。

つまり原因は喫煙なんですね。死ぬより怖い思いをするくらいなら、たばこなんか止めちゃえばと思うものの、喫煙者にとって禁煙が難しいことは、やっとの思いで20世紀にたばこを捨ててきた私には、よく分かります。

でも、高価なアイテムを買わされる禁煙ビジネスに乗っかることなく、喫煙者にとって最も手軽な方法で禁煙を実行できます。それはたばこを吸う事なんですね。

ニコチンガムもニコチンパッチも置き換えです

禁煙というと一番に思い浮かぶのは、ニコチンガムやニコチンパッチです。最近では禁煙外来でニコチンパッチや飲み薬の保険適用もあって、2万円程度で治療を受けられるそうです。でも、まずそこに出かけようという踏ん切りがつかないのが、喫煙者の悩みだったりします。

結局禁煙できない訳ですが、ニコチンガムやニコチンパッチで禁煙に成功するかというと、これも完璧には程遠い状態です。それはたばこの習慣性というのは、ニコチンだけからくるものじゃないからなんですね。そこで、よくある方法ですが、まずたばこが原因で発症するCOPDの恐ろしさを知って、モチベーションにつなげてもらいましょう。

慢性閉塞性肺疾患

漢字ばかりの面倒くさい名前ですが、これがたばこ病・COPDの正式な日本名です。主な症状は息切れです。初期症状も死因も息切れなんです。ですから発見が手遅れになるケースが多く、死亡率の高さにもつながっていると言えるでしょう。

これは、主にたばこを原因として肺の組織が徐々に侵され、弾力性を失い、酸素を取り込む器官としての働きを失ってくる病気なんです。一度発症すると完治しません。できることは生活の質を保ちながら、少しでも長く生きてもらう事なんです。

そのために必要なことは禁煙です。薬も手術も、ボンベによる酸素補充も治療法の一つですが、禁煙にかなうものはありません。言い換えれば、どんな治療をしていようと、たばこをやめなければ非常に苦しんで死ぬという事です。

私は身近な先輩3人をこの病気で見送りました。みなさん働き盛りでしたが、たばこを止められなかったんです。皆さんたばこを止められたのは、たばこの煙を吸い込む力がなくなった時でした。酸素ボンベを持ちながらたばこを吸うという、危険極まりないことをしていた先輩もいます。

病名が付いた最初は皆さんお元気で、笑いながら「医者がたばこにうるさくて」とおっしゃっていました。でも、そこから3年持った方はおられません。息切れに始まり、薬を飲み、酸素ボンベをキャリーカートに乗せて持ち歩き、そのうち出歩くのが困難になり…。

正直、見ているこちらまでが息苦しくなり、夜中に息ができなくなる夢を見るくらいでした。ご本人たちの苦しみたるや、いかばかりかと思いました。ある先輩は病院でトイレに立った時、一歩歩くたびに顔を真っ赤にして酸素ボンベにすがり、そしてまた一歩。

結局たどり着けず粗相をする段に至って、それまで頑なに拒否されていたおむつを着用されました。死より怖い病気と言われるゆえんです。幸いだったのは、あれほど嫌がっておられたおむつを使用された期間が、二週間ほどであったという事でしょうか。

禁煙の具体策

さて、COPDの恐ろしさは感じていただけたでしょうか。そこで禁煙にチャレンジです。ただ、この方法は両切りたばこやパイプ、キセルなどを愛用されている方には不向きです。また、ニコチン量15mg以上のたばこを普段お吸いになっている方にも向きませんので、禁煙外来へ行かれることをお勧めします。

逆に、健康のことを考えて1㎎などのライト系たばこをお吸いになっている方には、結構有効だと思いますので試してみて下さい。

下準備は心構え

まずどのような方法をとるにしても、「私はたばこをやめる」という心構えだけは必要です。それをしっかり心に置いてスタートしましょう。

たばこ屋さんに向かいます

まず今吸っているたばこ、何本・何箱残っていても、全部捨てて下さい。そしてたばこ屋さんに行って、ロングピースをひと箱だけ買ってきます。ニコチン1.9mg・タール21mgの、フィルター付きでは日本で一番強いたばこです。

次はたばこを吸わない努力です。どうしても吸いたくなるまで我慢して下さい。もう我慢できないとなった時にロングピースを一本、火をつけてしっかり根元まで吸います。途中でくじけちゃだめですよ。少なくとも製造番号が全部燃えるくらいまではしっかり吸って下さい。

吸い終わったら火の用心に気を付けて、再びたばこを我慢します。これを繰り返すだけです。ポイントは朝起きてから最初の一本を吸うまでの時間を、できるだけ長くすることですよ。早ければそのひと箱を吸い終わるまでに、たばこを一本も吸わない日が現れるでしょう。

そうすればそれを維持するだけです。ダメならふた箱目を買いに行って下さい。ただし、一日目より二日目、二日目より三日目の本数を、一本でも少なくするように頑張ってくださいね。

たばこの中毒性はニコチンだけじゃありません

実はこれって、ニコチンガムなどのニコチン補充療法と同じなんですよ。で、たばこを利用することで、他の中毒要素も満足させられるので、ニコチンガムを噛みながらたばこを吸うというマンガのような失敗をしなくて済みます。たばこを習慣づけている要素はニコチンだけじゃないのです。羅列してみると、

  • 即効性で強力な神経毒性を持つニコチン
  • 口の中やのど、肺にチリチリとした刺激を与えるタール
  • 立ち上る煙を眺めるという視覚効果
  • たばこの香り
  • 口に何かをくわえているという感触

など、人間のさまざまな感覚に訴えかけて刺激し、依存症をもたらしてくれるのです。強いて言えば免れているのは聴覚ぐらいでしょうか。そして私自身の禁煙体験からいうと、最も離脱するのに時間がかかったのは「口に何かをくわえているという感触」でした。

考えてみれば赤ちゃんのおしゃぶりのように、口に何かをくわえるという行為は、生存本能に根差した大変原始的な感覚ですので、爪咬みや指しゃぶりと同じく、なかなか離脱しにくいものなのかもしれません。

そういった意味から、普段吸っているたばこよりずっと強烈なものを、本数を減らしながら、かつ吸うことが少し苦痛なぐらいになるよう置き換えてゆけば、他の感覚も満足されます。多分、たばこを完全にやめてからも、何かを口にしたいという欲求は、しばらくの間…2~3ヶ月は残るでしょう。

ニコチンは3日で抜けます

私自身は当時セブンスター(ニコチン1.2mg・タール14㎎)を一日に4~5箱吸っていました。まだ280円になって間もない頃でしたが、一ヶ月に3~4万円を煙にしていたって、今から思えば結構リッチでしたね。(笑)

で、「21世紀に持って行くようなもんじゃないな」と思いついて禁煙したわけですが、ロングピースでは物足りないかもと思い、さらに強い両切りたばこのショートピース(50本・缶入り)を買ってきて使いました。

結局、初日に12本、二日目に7本、三日目に1本吸って終わり。身体が「たばこは要らない」って思ってくれたようです。結局30本残っちゃってもったいなかったですが、しばらくはその空き缶をペン立にして、禁煙記念として使ってました。

その後2~3日は何となく吸いたくなる時もありましたが、それほど強い欲求ではなく、体からニコチンが抜けたんだなって実感できるような状態です。でも、先に言ったように何かをくわえているという感覚が欲しくて、「私はコレで」のたばこ型禁煙グッズを購入、数ヶ月口にしていました。

今から考えれば、下手に香りの付いたものより、たばこを差し込んで使うフィルターパイプの方が良かったかもですね。たばこを差さずにフィルターパイプだけをくわえた方が、その香りが習慣になる可能性も避けられたでしょうし、第一お値段がずっと安いです。

禁煙にまつわる都市伝説

禁煙すると、良いことも悪いこともあるっていう話です。世間でよく言われる禁煙の影響のうち、私が感じなかったものをご紹介しましょう。

禁煙しても太りません

多分、太ったという人は、たばこをくわえることの代償行為として、何かを食べてしまったのでしょう。些細なポケット菓子でもたばこを吸うような頻度で食べると、結構大きいかもしれません。上でご紹介したように、何かを口にくわえるという行為に、対策を施しておけば太らないでしょう。

禁煙しても味覚や嗅覚は良くなりません

これは機械などで数値を測ったわけじゃないので主観的なものですが、たばこをやめたからといって、食べ物が美味しくなったとか、香りに敏感になったという事はありませんでした。おそらく喫煙は生活習慣なので、もともとそれを含めた味や香りを感じていたから、今度はそれのない味や香りを感じるのに慣れが必要だったからでしょう。

あるいはたばこの煙で鈍感になった味覚や嗅覚は、復活しないのかもしれませんね。いずれにせよ善悪を問わず、生活に影響が出ることはありませんでした。

禁煙しても体臭の問題は解決しません

ヤニ臭さというのは、自分の体や衣服、家や車の中などがきれいになれば消えてくれるのですが、人間の出す臭いはそれだけではありません。

むしろたばこを吸っていた時は「あの人はたばこ臭い」でまとめられていたのに、それがなくなって「加齢臭が」とか「おっさん臭い」とか。ですので、たばこをやめてもデオドラントなど、体臭対策は行いましょう。でも…デオドラントが悪臭にならないようほどほどにね。

禁煙してもお小遣いは増えません

毎月何万円も燃やしてきたのが残るようになるのだから、お小遣いは増えそうな気がしてたんですが、これは期待はずれでした。気持ちのどこかに「禁煙した分お金が使える」ってのがあったんでしょうね。結局いまもお小遣い不足にあえいでいます。(笑)

それでも、禁煙したことで得られたその他のメリットは数知れません。特に消極的メリット(病気になりにくくなったなど)は、目に見えないだけにありがたみは少ないですが、確実に自分のためになっています。

身体だけの問題じゃなく、焼け焦げが減ったとか、自販機の営業時間を気にしなくなったとか、実に生活を改善してくれてるんですよね。恐ろしい病魔から身を守ることが主目的ですが、禁煙のもたらしてくれるメリットは計り知れませんよ。

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