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慢性閉塞性肺疾患、copdの症状と治療

「あ~空気が美味しい!」まぁ空気には味がないので美味しいはずはないのですが、高原や山に来たらついこのように言ってしまいますよね。

でも確かに普段吸っている空気とは何かが違う感じがするのも事実で、気分もリフレッシュされるような感覚になります。しかしこのような環境の中でも、「ゴホゴホ」咳き込んでいる人がいます。

特に風邪を引いている訳でもないのに、なぜ彼は咳き込んでいるのでしょうか?実は彼には長年の生活習慣によってもたらされたある持病を持っていたのです。それが近年増加の著しい「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」です。

人間にとって肺はどのような位置付けにあるのか

「息吸って~…吐いて~」深呼吸は気持ちの良いものです。肺を一杯に膨らませて吐き出す行為は、身体の中に溜まった悪いものを吐き出す感覚さえ覚えますよね。

人間にとって肺と呼ばれる臓器はどのような働きを行っているのでしょうか?

生きていく上で必須の物資中でも酸素は特別なもの

人間は特に意識をしなくても呼吸を行い、酸素を血液中に送っています。人間が生命を維持するためには「酸素」「水」「栄養」は必須な物質であり、これらが無くなると人間は死亡するしかありません。

【ここで皆さんに質問】

「質問.1 人間は水が無くなったらどのくらいで死亡しますか?」

「質問.2 人間は栄養が無くなったらどのくらいで死亡しますか?」

ちょっと曖昧な質問で申し訳ないのですが、これは前提条件によって答えに違いがでてきますよね。例えば炎天下の環境と氷点下の環境では答えに違いが出てきます。

しかし、それを無視して答えを出すとすれば「直ぐには死なない」が正解になります。つまり人間は水や栄養が無くなっても直ぐに死亡することはなく、中には数週間も生き続ける人もいるくらいです。

それでは酸素はどうでしょう。「酸素が無くなったら人間はどのくらいで死亡しますか?」の答えは「数分で死亡する」です。

このことから考えると酸素、水、栄養は人間にとって必須の物質ですが、どうも酸素だけは特別で、無くなることで直ぐに命が奪われる物質だったのです。無くなることで直ぐに生命が維持できなくなる物質は酸素だけではないでしょうか。

それくらい私たちにとって酸素は大切な物質だといえるでしょう。

肺は酸素を抽出する重要な臓器

この大切な酸素を私たちはどのように得ているのでしょう。「何言っているの?スーハースーハー息をしているでしょう」って子供にも言われてしまいそうですが、実際にはもう少し複雑な働きで酸素は抽出されています。

私はスキューバダイビングのライセンスを持っていますが、ダイビングで使用される器材の中で最も重要なのは「酸素ボンベ」です。ダイビングをやらない人に、酸素ボンベの中身を質問すると大部分の人が「酸素でしょう」と答えます。

しかし実際に入っているのは「圧縮された空気」であり、酸素はその一部分に過ぎないのです。つまり人間は酸素を吸っているのではなく、あくまで地球の大気を吸っているのであって、それは空気を指しているのです。

勿論空気には酸素が含まれていますが、その量は約21%で残りの78%が窒素になっています。つまりダイビングで使用されるボンベは、酸素ボンベではなく、空気ボンベと呼ぶのが正しかったのですね。

ちょっとかっこ悪い言い方かも知れませんが…事実ですからね。

人間は空気を呼吸して酸素を得ていることは事実です。しかし空気には21%程度の酸素しか含まれていないので、それを抽出しなくてはいけません。その抽出を行うのが「肺」だったのです。

肺が酸素を抽出する仕組みとは

人間は空気を吸うことで酸素を得ています。これを「呼吸」と呼びますが、呼吸は特に意識しなくても自然に行う動作で、24時間休まずに行う必要があります。呼吸から酸素抽出までの流れを見てみましょう。

  1. 鼻から空気を吸い込む
  2. 気道を通って左右の気管支に入り込む
  3. 肺門を通過して肺の中に入る
  4. 細い気管支から肺胞に到着
  5. 肺胞で血液中の二酸化炭素とガス交換を行う
  6. 二酸化炭素は気管支を通って吐き出される

鼻から入った空気は気管支を通って左右の肺に送られ、最終的に肺胞と呼ばれる小さな袋状の細胞に送られます。肺胞は毛細血管と接しており、血液中に酸素を注入すると共に、血液中の二酸化炭素を抽出します。

この作業を「ガス交換」と呼び、これが空気から酸素を取り出す実質的な働きとなるのです。肺胞は片方の肺で3億個以上、両方の肺で7億~8億個以上あります。

この膨大な数の肺胞があって初めて生命維持に必要な酸素が得られていたのです。また酸素を抽出するのは肺胞だけの力ではありません。

空気を肺胞に届けるためには空気の管である、「気管支」も重要な働きを持っており全てが正常に働くことで酸素が抽出されていたのです。

空気の汚れは気管支が処理していた

空気の中には酸素や窒素などの成分意外に、汚れや細菌などの異物が含まれていることがあります。特に大気汚染の激しい地域や春の花粉症の季節には、空気に含まれる異物も多くなり、それらが肺胞に届くと障害を起こす可能性もあるのです。

そこでこれらの異物を除外するフィルターが必要なのですが、その働きを行うのが気管です。気管の表面は粘膜組織で作られており、空気が気管を通過することで異物が粘膜に付着して、「痰」として排出されることになります。

気管の粘膜が何らかの原因によって、本来の機能を出せなくなることは、空気に含まれた異物までが肺に送られてしまう危険性があるのです。

肺を正常に維持するためには肺だけでなく、気管も正常に機能させることが重要だと理解して下さい。

呼吸が停止すれば人間は即座に死亡します。呼吸は死に直結するもので、肺は生命を維持する鍵でもあるのです。

COPDとはどのような病気なのか?

「肺の病気で思い当たるものは?」と質問されると、まず思い浮かべるのが「肺炎」や「肺ガン」ですよね。特に最近では肺関係でも死亡が増加しており、毎年のように肺炎や肺ガンで多くの人が亡くなっています。

肺の病気は突然発症することもあるのですが、多くは徐々に肺機能が低下してから重篤な病気に進行します。中でも「慢性閉塞性肺疾患(COPD)」は近年増加が著しい病気として、注目されている病気です。

COPDは肺胞から気管支までを包括した炎症性疾患

肺が正常に機能するには、直接のガス交換を行っている肺胞だけではなく、空気を送る気管も重要な要素になっています。このどれかに問題があったなら、呼吸に障害が出て酸素の抽出に弊害が出てしまう恐れがあります。

「日本呼吸器学会」のホームページにはCOPDを以下のように紹介しています。

慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)とは、従来、慢性気管支炎や肺気腫と呼ばれてきた病気の総称です。

タバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じた肺の炎症性疾患であり、喫煙習慣を背景に中高年に発症する生活習慣病といえます。

COPDとはこれまで「慢性気管支炎」や「肺気腫」と呼ばれていた炎症性の疾患を総称して作られた病名であり、その発症原因こそが有害物質の吸入によるものだったのです。

またその中でも最も増加が危惧されている要因が「喫煙習慣」と指摘されています

COPDは世界で増加が懸念されている病気

COPDは世界中で増加が懸念されている病気です。日本においても厚生労働省の調査において、2014年にCOPDで死亡した数は16184人で、増加傾向にあると指摘されています。

死因別で見るとCOPDが原因による死亡は、全原因中の10位(2014年)となっていますが、これはあくまで肺炎を除いた順位です。

現在肺炎は死亡原因の三位であり、この肺炎の中には多くのCOPD患者が含まれていると想定されることから、実質的にはその数は大幅に増加していることが想定されます。

またもともと男性に多い病気でしたが、生活習慣の変化から女性にも増加が見られることで、まだまだ増加傾向は続くことが懸念されています。

タバコの喫煙習慣がCOPDの直接原因

COPDは有害物質を空気と共に吸い込むことで発症する病気ですが、主な有害物質とは「タバコ」に含まれる成分です。実はCOPDを発症している患者の90%が喫煙者であり、その他の10%にも受動喫煙の人がいます。

つまり一部を除いてCOPDは喫煙が原因で病気であり、「タバコ病」と呼ばれている由縁になっています。

タバコの煙には様々な有害物質が入っています。「ニコチン」「タール」「一酸化炭素」などですが、特にタールや一酸化炭素は発ガン性も認められている有害物質でCOPDと密接な関係が疑われているのです。

タバコの有害物質が肺や気管支に入ると、まず気管支の粘膜を傷つけ、そして肺に入ると肺胞を傷つけてガス交換などの肺機能に支障をきたすことになります。

しかしこの影響は少しずつであり、一気に症状が進行することはありません。肺胞は7億個以上あるので少しくらい傷ついても他の肺胞がカバーしてくれるのですね。

しかしこれが更に症状を悪化させてしまう原因で、少しずつ悪化した症状はある日、COPDの発症として表面化してしまうのです。

COPDは中毒症状とは違いその進行は遅く、気が付かない間に肺機能が低下してしまいます。そしてある日、呼吸が上手くできていないことに気付くのですが、もうこれは後の祭りとしか言いようはありません。

一度発症すると治療を行っても回復しない病気になってしまったのですから。

COPDの症状を確認してセルフチェックを

COPDが発症すると治療を行っても完全に回復させることは難しく、何よりも早期発見が重要とされています。

COPDの症状を理解して自分の肺の状態をチェックすることが大切です。COPDの発症ポイントを紹介しますので、自分の状態と比較してみましょう。

【COPDチェックリスト】

  1. タバコの喫煙を10年以上習慣化している
  2. 年齢は40歳以上である
  3. 階段や坂道を歩いていると息切れがしてしまう
  4. 運動をすると呼吸が苦しくなる
  5. 風邪を引いていないにも関わらず咳や痰が出る
  6. 呼吸時に出る音が「ヒューヒュー、ゼィゼィ」に聞こえる
  7. 最近感染症(風邪など)にかかりやすい

まずCOPDの症状として上げられるのが、肺機能の低下です。今まで問題なく歩けていた階段や坂道が、急に苦しくなって歩くことができなくなります。これは肺機能に低下によって酸素が十分に抽出されないことで起きる症状です。

また気管支が慢性的な炎症により細くなるのもCOPDの症状で、この場合においては気管が細くなることで十分な空気を肺に送れなくなります。気管が細くなることで「ヒューヒュー」など、まるで笛を吹いているような呼吸音が聞こえてきます。

さらに慢性的な炎症は感染症リスクを高めることにも繋がり、頻繁に風邪を引きやすくなるのです。タバコを吸っている人の中には、免疫が低下している人も多いので注意が必要です。

今回紹介したチェックポイントで複数の該当がある場合には、COPDの発症が疑われますので、呼吸器科、呼吸器内科、内科などの専門医に診察を受けるようにしましょう。

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COPDを発症すると気管支はどうなるのか?

長年の喫煙習慣からCOPDが発症した場合、肺はどのような状態になっているのでしょうか?タバコに含まれる有害物質は空気と共に気管を通り肺胞に送られます。

まず有害物質は肺へ空気を送る管である気管支に悪影響を与えます。気管支の内側は粘膜で出来ており、空気に含まれる異物を取り除く働きがあります。しかし有害物質による刺激は、粘膜組織を破壊して炎症を引き起こしてしまうのです。

炎症が起きた気管支細胞は再生過程で弾力のない「硬くて厚い組織」になってしまい、それが気管支を細くしてしまう原因になります。

また粘膜もカサカサになることで、本来の異物を取り除く機能も低下してしまうでしょう。

気管支が変異してしまうことで3つの大きな問題が生じてしまいます。

  • 気管支が細くなることによる空気量の減少
  • 気管粘膜の乾燥により異物の排除に支障が出る
  • 免疫作用の低下

特に免疫作用の低下は大きな問題です。人間が細菌やウイルスに感染してもその多くは、咽頭部や気管支までにしか侵入しません。しかし気管支の機能が低下してしまうと、細菌などが肺まで侵入しやすくなってしまいます。

その結果「肺炎」など命の危険性もある病気が発症しやすくなってしまうのです。

COPDを発症すると肺はどうなるのか?

肺機能で実際に酸素を抽出している組織は肺胞です。つまり最終的に有害物質は肺胞にまで到着して、その細胞を傷つけることになります。

肺胞を構築する「肺胞壁」は伸縮性があり、それが膨らんだり収縮したりすることで、呼吸の「吸う」「吐く」を行っています。しかし有害物質で傷つけられた肺胞壁は、少しずつ硬く伸縮性のない膜へと変異してしまうのです。

そうなると空気を吸って肺胞壁を膨らませても、収縮することができないことから、空気を吐き出すことができなくなります。つまり息を吸っても吐くことが困難になってしまうのです。

例えば空気を2リットル吸っても、吐き出す時にその半分しか吐き出せなかったら、残りの空気(1リットル)は肺に残った状態ですよね。そうなると再度空気を吸おうとしても肺に空気が1リットル残っているので、1リットル分しか吸えません。

これが続くとどんどんと肺が膨らんでしまい呼吸ができなくなってしまいます。また膨らんだ肺は横隔膜を圧迫して心臓に対して悪影響を与えることもあります。

COPDは増悪を繰り返すことで症状が悪化する

COPDには「増悪(ぞうあく)」と呼ばれる症状があります。これは「急性増悪」とも言われており、COPDの症状が進行する状況下で表れる変化と考えても良いでしょう。

COPDの増悪の症状は主に以下の3点です。

  • 咳が増加する
  • 痰が多く色が付く
  • 呼吸が苦しくなる

これらはCOPDの症状にも含まれますが、これが急に多くなった時は増悪と考えて下さい。増悪は症状の全てが一度に出るのではなく、単独に出ることが多く、一過性の風邪などと勘違いしてしまう医師も少なくありません。

しかしCOPDはこの増悪症状を繰り返すことで、着実に進行しており肺の症状も悪化させている証拠です。急にこのような症状が出た場合には、増悪と考えて専門医で診察を受けるようにしましょう。

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COPDと肺ガンには深い関係があった

ガンは日本人の死亡原因の一位ですが、中でも「肺ガン」は男性の1位、女性では2位となっています。減少傾向にある胃ガンと比較して、増加傾向にある肺ガンはこれからも増加が懸念されている病気です。

この肺ガンとCOPDには大きな関係性があることが解っています。ある調査によるとCOPDを発症している人は、そうでない人と比較して肺ガンを発症するリスクが約5倍も高まります。

さらにCOPDと肺ガンを併発している患者の死亡率も、肺ガンだけの患者よりも約7倍高まるそうです。

ガンは細胞が悪性腫瘍に変異することで発症する病気ですが、そのきっかけは慢性炎症とも考えられています。つまりCOPDが引き起こす慢性炎症と有害物質による刺激が、肺の細胞をガン化させていたのです。

COPDの発症はガンの入り口を開いたことと同じだと覚えておきましょう。

COPDは増悪を繰り返すことで症状を進行させます。一見して解りにくい増悪を一過性と思い込まないことが大切です。

COPDの治療と予防法を考えてみよう

COPDは肺機能を低下させるだけではなく、肺ガンなどの病気の原因にもなります。治療が困難な病気ですが、現在行われている治療と予防法にはどのようなものがあるのでしょうか?

【COPDの治療.1】病気を正しく理解する

COPDは喫煙習慣などの日常生活が引き起こした「生活習慣病」と捉えるのが正しい理解と言えます。つまり生活習慣を見直さなくては、治療を行っても効果は半減してしまうかもしれません。

そこでまず重要なのは「COPDを理解する」ことです。病院で医師に説明を受けたり、製薬会社が発行している冊子を読んだりするのも良いでしょう。

またインターネットには日本呼吸学会などのホームページがあり、COPDに関する情報を掲載しています。自分の病気がどのようなリスクを持っているのかを知ることはこれからの治療にとって重要です。

まずは正しい理解を得ることを心がけましょう。

【COPDの治療.2】言い訳無用!禁煙せよ

大部分のCOPDが長年の喫煙による原因で発症しているのは間違いない事実です。その意味で禁煙することは必須の要件となります。

「1日1箱だったのを1日10本にしたらダメかい?」なんて弱気な発言が聞こえてきそうですが、「ダメです」きっぱりと禁煙するようにしましょう。

研究では禁煙自体が肺の状態を改善させる効果は少ないのですが、悪化を防ぐことはできることが確認されています。つまり禁煙することで、COPDの進行をある程度止まらせることは可能なのです。

「そうは言っても…」いくら言ってもダメなものは駄目です。

【COPDの治療.3】薬物療法で炎症を改善

薬物療法で重要なのは気管支の炎症を抑えて、気道を十分に確保することです。特に気管支が細くなっている状態では、増悪症状が出やすく肺に与えるダメージも高まってしまいます。

そのために直接気管支に作用する「気管支拡張薬」を、呼吸薬として吸引するのです。また増悪を繰り返すように重症時には「吸引ステロイド薬」を使用することもあります。

【COPDの治療.4】運動により体力をつける

COPDが発症すると呼吸が苦しくなることから、外出や運動を控えてしまうことが珍しくありません。しかし運動を行わなくなると、筋力が低下してしまいそれが症状を悪化させてしまう可能性があります。

これは「負のスパイラル」であり「息が苦しい→運動を控える→筋力低下→さらに息が苦しくなる…」が循環してしまい、症状の急激な進行を招いてしまう可能性があります。

無理のないウォーキングやプールでの水中歩行などはオススメの運動です。筋力が低下しないように身体を動かすことを意識して下さい。

【COPDの治療.5】栄養を十分に摂取する

COPDが発症すると普通にしていても「ハァハァ」「ゼィゼィ」と呼吸が荒くなってしまいます。見ていると肩を上下にさせてとても苦しそうに見えるのですが、この動作を行うためには一定のカロリーが必要になることを忘れてはいけません。

つまりCOPDを発症している人は、健常者と比較して多くのエネルギーを呼吸で使用しており、それが疲労の原因の一つにもなっているのです。

COPDの発症には体型は関係ありませんが、重症化して行く過程で体重が減少することが多く見られます。これは「呼吸動作におけるエネルギーの消費が増加」や「COPDによる食欲低下」が原因と考えらます。

定期的な体重測定により体重をコントロールし、必要十分な栄養を摂取するようにして下さい。

【COPDの治療.6】呼吸にもリハビリがある

「呼吸リハビリテーション」と言う言葉を聞いたことがありますか?先ほど紹介した運動や栄養摂取もこの中に含まれるのですが、呼吸動作を低下させないために行う呼吸のリハビリの総称を表す言葉です。

COPDは肺の機能が低下してしまうので、酸素不足から活動に対する意欲が少なくなってしまいます。それを補うのが運動や食事なのですが、さらに重要なのは現状の肺に合わせた呼吸法をマスターすることです。

そこで肺のリハビリとも言える「呼吸訓練」が重要になります。COPDの特徴は空気を吸えても吐き出すことができなくなることですよね。

そこで呼吸の中で吸うことではなく吐くことに集中した呼吸法を練習します。「口すぼめ呼吸法」は鼻で吸った空気を、口をすぼめた状態でゆっくりと吐き出します。吸うことに要した時間の3倍~5倍かけてゆっくりと吐き出します。

口笛を吹くみたいにゆっくりと肺の空気を吐き出す感覚で行うようにしましょう。このリハビリを繰り返すことで自分の症状に合った呼吸法が確立して、増悪症状の発症を抑えてくれることになるでしょう。

呼吸のリハビリはCOPDにとって重要な治療法です。

【COPDの治療.7】重症化したら酸素療法を

COPDが悪化した状態になると、呼吸を行っても十分な酸素が得られないことがあります。そうなると「頭痛」「目眩」「吐き気」「意識混濁」などの症状が表れ、日常生活にも大きな影響を与えてしまうことになるのです。

そこで行われているのが「酸素療法」で、空気ではなく高濃度の酸素を吸う治療法です。

酸素療法は家庭で行う「在宅酸素療法(HOT)」が一般的で、空気から窒素を取り除く「酸素濃縮器」と、外出時に使用する「酸素ボンベ」が使用されています。

COPD重症患者は大気中に含まれている21%の酸素では十分な酸素が抽出できないので、高濃度酸素でこれを補うと言う訳ですね。

HOTは基準を満たすことで健康保険の適用となり、3割負担で約23000円の月額費用が必要になります。酸素を十分に得ることは増悪を抑えるだけでなく、生活環境を向上させて寿命も高める効果があります。

COPDの症状が悪化した場合には、我慢しないで酸素療法を取り入れた方が良さそうです。

【COPDの治療.8】最悪の場合には手術も選択肢に

どの治療法も効果が見られない重症化のケースでは、「外科手術」が治療の選択肢に上がります。COPDは肺胞の弾力性が失われて、その部分が膨張している状態です。

それを改善するには手術によって、その肺胞を取り除くしか方法はありません。そこで特に症状が進行している肺胞を、胸腔鏡や開腹手術によって切除し取り除くのです。

この手術は一定の患者に適応される治療法で、肺の全てに破壊が見られる場合には適用されません。局部的に症状が悪化している場合に行われることが多いようです。

結局は予防も治療も同じで禁煙が大切

肺の障害は一度発症すると進行を止めることはできても、肺組織を回復させることはできません。したがってCOPDの対策として重要なのは、治療ではなくむしろ予防になります。

しかしCOPDの発症原因の90%以上が喫煙行為にあることから、その予防も禁煙意外には見つからないもの事実です。また治療法も色々と説明しましたが、これも結局は禁煙がメインになっているのです。

結局COPDについては予防も治療も禁煙するしか方法は無いみたいですね。

しかしちょっと待って下さい。確かにCOPDの原因は喫煙が90%を超えていますが、残りの10%には何があるのでしょうか?原因不明の項目もありますが、その中で特に注意したいのが「副流煙」の問題です。

副流煙は自分がタバコを吸っていなくても、周りからタバコの煙が流れてきてそれを吸ってしまう問題です。特に奥さんが禁煙者でも、旦那さんが喫煙者であればこのような環境になりますよね。

また仕事場で喫煙している人の煙が流れてくることもあるでしょう。近年では「分煙法」もできており、このような環境は減少しましたが、中小企業では未だに改善されていないこともあります。

予防として大切なのは禁煙することではなく、「全くタバコと関わらない環境」にあることを十分に肝に命じて下さい。

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タバコを吸ったことのない人にもCOPDは発症が見られます。副流煙などの生活環境を一度見直してみるのも大切なことです。

海で溺れることと陸で溺れることの違いはない

夏になると痛ましい水辺の事故が急増します。最近では海と共に川で溺れてしまう子供も多いように見受けられます。

水の事故で死亡原因になるのが「溺れる」ことによる「窒息」で、肺に水が入ることで呼吸ができなくなってしまうのです。最初に説明した通り人間は酸素が遮断されると、瞬時に生命を維持することができなくなります。

肺に水が入ると本来空気がある場所に、水が入り込むのだから酸素を抽出することができなくなるのです。また酸素不足による苦しさも想像を絶するものでしょう。

しかしCOPDはこの状態を陸地で再現しています。いくら呼吸をしても空気が肺に入らずに、酸素を得ることができなくなるのですから、これは溺れることと同じ状況です。つまりCOPDは「陸で溺れる」状況を作り出してしまうと言えます。

現在タバコを吸っていない人は、そのままタバコと縁のない人生を歩みましょう。また現在喫煙している人は、このような状況に陥らないようにまずは禁煙から初めてみませんか?

「ウッ 息が で・き・な・い…」と陸で溺れたら洒落にならないですから、今すぐ決断した方が良いかも知れません。

「エッ最後の1本だけって?」…駄目ですったら!

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