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その風邪症状はウイルス性、細菌性?見分け方と原因別の正しい対処法

風邪をひいた男性

風邪をひいてしまったと言うことを経験したことのない人は本当に少数でしょう。軽いのどや鼻の不快感だけで済む人がいるかと思えば、高熱が出て入院する羽目に陥る人まで、その範囲や病状もさまざまです。

また、風邪の大半はウイルスによって引き起こされますが、一部は細菌によって引き起こされる場合があります。この2つは、症状を抑える対症療法は同じになることもありますが、原因病原体を抑える方法は異なってくるのです。

症状が軽い場合ならともかく、それなりにひどい症状が出ている時は、原因を突き止めて対応しなければならないこともあるのです。

まずは風邪の症状と対応の一覧表

あとの方でお話しする内容と重複しますが、まずは一覧表で見て下さい。これを覚えておいて頂くと風邪をひいたときに便利だと思います。これは15歳以上65歳未満の健康な大人用です。

風邪の症状のどれか1つが次のようなレベルになったら、必ず受診して下さい。そうでない場合は自宅療養でOKですが、体温が38℃以上で上昇傾向だと言う場合のように、症状がひどくなりそうだと思ったら受診される方が良いこともあります。

症状 重症度
発熱 39℃以上
くしゃみ 立て続けに出る
鼻水 緑色や黄色で混濁している
鼻づまり 口呼吸している
呼吸が苦しくなる
喉の腫れ 強い痛みを伴う
膿や血液が混じる
風邪をひいてからの日数 5日以上継続している
65歳以上の方や慢性の基礎疾患がある方、妊娠・授乳中の方は、風邪をひいたら必ず受診して下さい。状況ごとに使えるお薬などが変わるので、お医者さんの判断が必要です。

また、お子さんについては対応が異なりますので、小児科などに貼ってあるポスターなどを参考にして下さい。

風邪の原因病原体はたくさんの種類がある

風邪の大半はウイルスによって引き起こされていますが、そのウイルスにも様々な種類があります。寒くて乾燥した環境が好きなインフルエンザウイルスは冬に大暴れします。

一方でヘルパンギーナや手足口病などの夏風邪グループの病気は、暖かくて湿った環境が好きなエンテロウイルスによって引き起こされるのです。エンテロとは「腸」のことですので、腸の中のような暖かくて湿った環境が好きなのでしょう。

インフルエンザには効く薬が存在している

冬の風邪の代表格、インフルエンザに対しては抗ウイルス薬が存在しています。飲み薬としてはタミフル(一般名:オセルタミビル・ジェネリックなし)があります。一部副作用で有名になった感もありますが、よく効くお薬です。

また、吸入薬としてリレンザ(一般名:ザナミビル水和物・ジェネリックなし)やイナビル(一般名:ラニナミビル オクタン酸エステル水和物・ジェネリックなし)もあります。タミフルよりさらに有効範囲が広いようですね。

いずれもウイルスが患者の細胞に入り込んで増殖した後、外に出てくるときに使う酵素を使えなくしてしまうお薬です。つまり、ウイルスを増殖できなくするためのお薬です。

特に10代の若者ではタミフル服用が原因の可能性がある異常行動があったため、その世代にはリレンザかイナビルが処方されます。

また、抗生物質に対する耐性菌のように、抗ウイルス剤に対する耐性ウイルスと言うものも一部で発見されています。現段階ではそれほど大きな問題にはなっていませんが、今後注意しなければいけないかもしれません。

また、こうしたお薬によってインフルエンザが治るのは、お薬を飲まなかった人より1日から、よく効いても2日程度治癒期間が短くなっただけだということは知っておく必要があります。

ですので、インフルエンザはワクチン接種によって予防することも非常に重要だと言えるでしょう。

夏風邪のウイルスに効く薬はない

一方、夏風邪の原因になるエンテロウイルスは非常に種類が多い病原体です。一般的な呼吸器疾患としての夏風邪の場合にはエコーウイルスとコクサッキーウイルスが多いですね。

エコーウイルスはエンテロウイルスBのグループに入っているウイルスで”Enteric Cytopathogenic Human Orphan virus”(ヒト細胞変性孤立性腸管ウイルス)の頭文字から命名されました。

コクサッキーウイルスはアメリカのニューヨーク州コクサッキーで初めて分離されたエンテロウイルスです。

一般的な夏風邪の場合、エコーの血清型4・8・9・11・20やコクサッキーの血清型A21・A24・B1・B3・B4・B5などが良く見られます。

症状としては比較的軽い風邪ですが、子供では「お腹に来る風邪」になることが多いです。

一方、夏風邪と言えば必ず名前が上がるヘルパンギーナはほとんどがコクサッキーウイルスA型の、A2・A4・A5・A6・A8・A10です。まれにB型やエコーウイルスが分離されることもあるようです。

症状としては突然の発熱やのどの痛みと同時に、口の中が赤くなって小さな水疱ができるということが見られます。

さらに、ヘルパンギーナが乳児や小児に多いのに対して、幼児に多いのが手足口病です。手足口病もコクサッキーウイルスが多いですね。A6・A16とエンテロウイルスEV71が検出されています。

この中で注意が必要なのはEV71です。これに感染すると、手足口病が治るころに中枢神経症状が出て重症化することがあります。お医者さんで検査して注意を促されたら、お子さんの様子をしっかり見てあげておいて下さい。

このエンテロウイルスに効くお薬は開発中で、2016年現在発売されていません。ですので、治療についてはお医者さんで症状を軽くするお薬を出してもらうと同時に、細菌による続発感染に注意することが重要になります。

基本は最初にお話しした「安静にして水分や栄養を充分に摂っておく」と言うことで、自然治癒を待つことになります。

冬から春の風邪はまた別のウイルスによるもの

RSウイルスとヒトメタニューモウイルスは、冬の終わりから春にかけてかぜ症候群をもたらすウイルスです。主に小さな子供に感染しますが、大人がかからないという訳ではありません。

特に、免疫力の落ちた高齢者では、思わぬ重い症状をもたらすことがあるので、赤ちゃんとお年寄りが同居している場合などは、赤ちゃんからお年寄りへの二次感染にも充分注意してください。

このウイルスに対しても、ウイルスを駆除するお薬はありません。「安静にして水分や栄養を充分に摂っておく」と言うことが基本になりますが、比較的重症化しやすいので、様子がおかしければすぐに病院へ行って下さい。

さらに、細菌による継続感染が起こりやすいことも知られています。4日以上熱が続くようであれば、そのことをお医者さんに相談して、抗生物質などの処方を受けて下さい。

なお、RSウイルスに対しては重症化予防の抗ウイルス薬は存在しています。しかし、日本では早産の赤ちゃんや重い基礎疾患がある子供にしか保険適用にはなっていません。

また、世界的な問題でもありますが、このお薬は非常に高価です。場合によっては保険適用であっても、この注射薬だけで自己負担額の上限に届いてしまう可能性もあります。万が一の場合は病院とよく相談して、注射の必要性を判断して下さい。

風邪の代表的ウイルスは一年中活動している

かぜ症候群の最も一般的なウイルスはライノウイルスとアデノウイルスです。しかし、症状の出方はこの二つでずいぶんと異なります。

ライノウイルスによる風邪は、「くしゃみ・鼻水・鼻づまり」と体のだるさと言う、典型的な風邪の症状ですが、熱はそれほど出ません。しかし、継続感染による細菌感染が起こりやすいので注意が必要です。

そんなにひどい風邪じゃないのに長引いて、だんだん鼻水が黄色や緑色に濁ってきた場合はお医者さんへ出かけて下さい。細菌による継続感染の可能性が高まっています。

一方、アデノウイルスの感染では咳やのどの痛み、鼻水、目の痛みなどが表れ、小さな子供では39℃を超すような高熱が5日以上続いて出る場合もあります。また、プール熱として知られる感染症も、アデノウイルスによるものです。

高熱が出た場合は、すぐに受診して下さい。ライノウイルスもアデノウイルスも、ウイルス自体を駆除するお薬はありませんが、症状を抑えるお薬は存在しています。

ウイルスに感染すると細胞が変質して死んでしまう

ウイルスは最初にお話しした通り、生き物の細胞に入り込んで増殖します。ウイルスに感染すると、身体の一部の細胞がウイルスに利用されて、その結果死んでしまうのです。

その際、身体の防御機構はウイルスそのものと同時に、ウイルスに感染した自分自身の細胞も攻撃対象にして、ウイルスの増殖を抑えにかかります。

その結果、体のあちこちに炎症が出たり、発熱や痛みや分泌過剰といった現象が起こるのです。一方、身体の防御機構の準備が整っている場合(そのウイルスに対して免疫がある場合)には、ウイルスが体内に入ってきた段階で対応が始まります。

すると、ウイルスのほとんどは細胞に感染する暇もなく退治されてしまうので、発病しなかったり、しても軽くで済んだりするのです。

また、初めて感染した場合でも免疫機構がそのウイルスを記録すると、直ちに排除にかかりますので、ウイルス性の風邪は数日で治ることが多いという訳です。

抗ウイルス薬は抗生物質とは異なり、ウイルスに細胞がないということから、広く効くというお薬はあり得ません。ですので、それぞれに専用薬が必要になるため、開発に時間と費用が多くがかかるのです。

風邪は重症度によって医療機関を受診するかどうかが変わる

風邪は、正式には「かぜ症候群」と言う病気です。風邪をひらがな書きしていますが、これは日本呼吸器学会がそうしているのにならったものです。

風邪自体はインフルエンザを含めて、本来おとなしく寝ていれば治ってしまうものです。しかし、その重症度に応じて医療機関を受診しないと危険になる場合もありますから注意が必要です。

どの段階で受診すればいいのかの目安

まず、慢性呼吸器疾患・心疾患・糖尿病などの基礎疾患がある人は、風邪をひいたら医療機関を受診することを原則に考えて下さい。

また、妊娠中の人や健康に不安のある65歳以上の人の場合は、風邪をひいてからの受診はもちろん、インフルエンザの流行期には、健康なうちにワクチンを接種してもらいに医療機関を受診されることをお勧めします。

ご家族に学校に通っておられるお子さんがおられる場合は、特に積極的にインフルエンザワクチンの接種を受けて下さい。

さらに、健康な成人を含めて、次のような場合には必ず受診して下さい。

  • 39℃以上の発熱がある場合
  • 黄色や緑色の混濁した鼻汁が出る場合
  • 激しいのどの痛みや腫れがある場合
  • 激しい咳が出る場合

一方、38℃以下の発熱や鼻水が出ても透明な場合、のどの症状が軽い場合には、健康な成人の場合、自宅で療養しておけばOKです。この中間である場合には、複数の症状が重なったら受診するという対応をして下さい。

言い換えれば、「明らかに風邪であるという発熱以外の複数の症状」があって、38℃以上の発熱があれば受診した方がいいと言うことです。

風邪の治療は安静、水分・栄養でお薬は二の次

風邪の原因は80%~90%がウイルスによる物だと言われています。ウイルス性の風邪であれば、安静にして水分や栄養を充分に摂っておくことで自然に治ってしまいます。

最近では続発感染を防ぐための抗生物質や合成抗菌薬を使うことも少なくなっています。これは予防的にこうしたお薬を使うことによって、かえって耐性菌が発生して状況が悪化することを防ぐためです。

また、解熱剤についても適宜処方する程度というレベルになっているようです。脳に悪影響が出るほど高熱でない限り、熱は下げない方が良いという考え方が一般的になってきたのでしょう。

発熱そのものは、人体を病原体の棲みにくい温度にすることや、免疫系を活性化する目的があると考えられています。ですから、せっかく出た熱を、むやみにお薬で下げない方がいいんです。

細菌感染による風邪には抗生物質や合成抗菌薬が有効

風邪の大半がウイルス性だといっても、全体の10%~20%はウイルス以外の原因で起こっています。その原因とは細菌と「非定型病原体」と呼ばれる、細菌ではあるものの、ウイルスに近い少し変わった病原体によるものがあります。

いずれも抗生物質を選べば有効であるので、抗生物質や合成抗菌薬による治療が行われます。ここがウイルス性の風邪と大きく異なるところです。

細菌による感染症は特徴をとらえて受診する

一般的な細菌感染によるかぜ症候群では、黄色や緑色の濁った鼻水や痰が見られます。こうしたものが出たからと言って、100%細菌感染があるわけではありませんが、細菌感染があると非常に出やすくなるので、受診されることをお勧めします。

こうした症状で受診されると、お医者さんの診断結果によっては抗生物質や合成抗菌薬が投与され治療することができます。多くの場合、ウイルス性の風邪ではこうした鼻水や痰が出ることは少ないです。

また、最初はウイルス性の風邪をひいた場合であっても、風邪が長引いてこうした症状が出るようになることもよく見られます。

これはウイルス性の風邪によって傷んだ粘膜から細菌感染が起こったと考えられる場合もあります。その場合でも抗生物質などが有効ですので、「風邪が治りません」と言って受診されることをお勧めします。

溶連菌感染症は細菌性の風邪で抗生物質がよく効く

かぜ症候群としての溶連菌感染症は、「A群溶血性レンサ球菌咽頭炎」と言って、子供ではさまざまな重い症状が出やすい病気ですが、大人の場合風邪程度で治まることも少なくありません。

猩紅熱もこの病気の一つの形態ですが、この病気の症状は多彩なので、気になる症状があればまずは受診と言うことが必要です。急な発熱とのどの痛み、口をあいて奥を見ると、膿がくっついているように見えるのが良く見られる症状です。

また、首のリンパ節が腫れることもよくありますので、こうした症状が見られたらすぐに受診して下さい。一方、この病気では下痢や目のかゆみはめったに起こらないので、そうした場合はウイルス性の可能性が出てきます。

この病気にはペニシリン系の抗生物質やマクロライド系のエリスロマイシン(商品名:同じ)がよく使われます。その他セフェム系のお薬やクリンダマイシン(商品名:ダラシン・ジェネリックなし)、アモキシシリン/クラブラン酸(商品名:オーグメンチン、クラバモックス・ジェネリックなし)も用いられます。

細菌によるたんぱく質の合成を阻害するクリンダマイシンとマクロライド系以外は、全部細菌の細胞壁が作られるのを阻害するタイプの抗生物質です。こうした抗生物質は、お医者さんの判断で10日以上を出されることが多いです。

これは体内に菌が残ることが多いからなので、症状が治まっても、かならず全量を飲み切って下さい。

百日咳も最初は風邪の症状で始まる

百日咳は、当初風邪の症状で始まりますが、数週間以上にわたって咳が続くことが特徴です。ですので、「長引く風邪」と感じたら受診してお薬を処方してもらうことをお勧めします。

目安としては1週間以上咳が続くようでしたら診てもらった方がいいでしょう。百日咳は百日咳菌によって引き起こされる呼吸器疾患です。特徴としては熱があまり出ないということが挙げられます。

百日咳菌にはマクロライド系抗生物質のエリスロマイシン(商品名:同じ)やクラリスロマイシン(商品名:クラリシッド、クラリスなど・ジェネリックあり)が良く処方されます。

百日咳に対する抗生物質の投与は、症状自体が5日程度で治まることを前提に2週間以上の処方が行われます。これも体内に菌が残りやすく、短期間で服用を中止すると、再発したり耐性菌ができたりする可能性があるからです。必ず飲み切って下さい。

マイコプラズマには最もメジャーな抗生物質が効かない

非定型病原体と呼ばれているのは、肺炎マイコプラズマと肺炎クラミドフィラが代表格です。いずれも分類としては真正細菌ですが、非常に小さくウイルスサイズの細菌なのです。

また、肺炎マイコプラズマは一般的な細菌が持っている細胞壁を持っていません。ですので、最も一般的な、細菌の細胞壁の生成を阻害するタイプの抗生物質には意味がありません。

肺炎マイコプラズマによるかぜ症候群・マイコプラズマ肺炎は発熱と全身のだるさ、頭痛などで始まり、それに咳が続いてだんだん痰が絡むようになるという、典型的な風邪の症状です。

マイコプラズマ肺炎は一般的な細菌感染による肺炎に比べて症状が軽く、レントゲン撮影の様子も異なることから「異形肺炎」に分類されています。異形肺炎の大半がこの病気ではないかと言う説もあるようですね。

先にお話しした通り、ペニシリンやセフェム系など、細菌が細胞壁を作るのを阻害する抗生物質は全く効きませんので、異なるお薬が処方されます。

先にも少し紹介した通り、マクロライド系の抗生物質は、細胞壁ではなくたんぱく質の合成を阻害しますので肺炎マイコプラズマによく効きます。

百日咳のところでも紹介したエリスロマイシン(商品名:同じ)やクラリスロマイシン(商品名:クラリシッド、クラリスなど・ジェネリックあり)が第一選択になるでしょう。

さらに、テトラサイクリン系のミノサイクリン(商品名:ミノマイシン・ジェネリックあり)が処方されることもあります。

クラミジアにも最もメジャーな抗生物質は無効

そして、もう一つの非定型病原体は肺炎クラミドフィラです。これはいわゆるクラミジアの仲間です。これも非常に小さい細菌です。これには細胞壁がありますが、抗生物質が効く部分が欠損しているため、やはり細胞壁に働く抗生物質が効かないのです。

この病原体による感染症は子供だけでなく高齢者にも多く見られる病気です。喉の炎症から気管支炎、肺炎、さらには副鼻腔炎と、呼吸器全体に炎症が広がります。

ちょっと具合が悪いのは、この病原体に対する免疫が成立しにくいことで、何度でもかかってしまう可能性がある病気だと言うことです。

この病気では発熱が見られるものの、その体温は比較的低く、気管支炎まででは痰の絡まない咳が出ます。痰が絡んでくるのは肺炎になってからです。小さな子供では重症化しにくいですが、お年寄りや基礎疾患のある人では重くなってしまうこともあります。

また、この病気にはこれと言った特徴がありません。強いて言えば、風邪の症状が長引くということが特徴として挙げられるでしょう。ですので、風邪は長引いたら受診することが大事です。

お薬としては、やはり細菌によるたんぱく質合成を阻害するテトラサイクリン系のミノサイクリン(商品名:ミノマイシン・ジェネリックあり)、塩酸ドキシサイクリン(商品名:ビブラマイシン・ジェネリックなし)が第一選択になるでしょう。

その他、マクロライド系抗生物質のエリスロマイシン(商品名:同じ)やアジスロマイシン水和物(商品名:ジスロマック・ジェネリックあり)が優先される場合もありますし、ニューキノロン系の合成抗菌薬が使われる場合もあります。

細菌性の風邪の可能性があったら市販薬に頼らず受診を

ウイルス性の風邪であっても、インフルエンザのように高熱を伴うものはすぐに受診することが必須です。しかし、症状が軽い場合は、たいていの場合市販薬を飲んで寝ているという人が多いでしょう。

それどころか、市販薬は飲むけれど、仕事を休めないといって風邪を長引かせてしまう人も少なくありません。これは感心しませんね。全体の作業効率から見れば、1日休んでもらった方が会社にとってありがたいことも少なくないのです。

いずれにせよ、安静・水分・栄養は風邪の治療の絶対条件です。

そして、「寝てれば治る」と感じた風邪であっても、次のような場合には細菌感染が疑われますので、受診して症状を抑えるお薬だけではなく適切な「治療薬」を処方してもらうことをお勧めします。

  • 5日以上続く風邪
  • 黄色や緑色に濁った鼻水
  • 膿のような痰
風邪は「かぜ症候群」ですから、非常に範囲が広い病気です。それだけに判断に困ることも多いのですが、基本的に長引くものは病院へと言うことを意識しておくだけでもかなり違うと思いますよ。

ウイルス性の病気と細菌性の病気は性質が異なる

さて、最後に病原体について少しお話ししましょう。

病気の話題になると、○○菌による感染症だとか、××ウイルスによって引き起こされたとか言う表現をよく見聞きしますね。いずれも病気を引き起こす病原体についての表現なのですが、その種類によって対応も異なってきます。

有名なところでは、上でもお話しした「抗生物質は細菌には良く効くけれど、ウイルスには効かない」と言うものがありますね。では、ウイルスと細菌の間にはどのような違いがあるのでしょう。

ウイルスは生き物じゃないかもしれない

一番わかりやすい違いは大きさです。細菌はμm(マイクロメートル:100万分の1m)を単位として測るのに対して、ウイルスはnm(ナノメートル:10億分の1m)を単位として測定します。ただ、最小の細菌と最大のウイルスでは比較的サイズが近い場合もあります。

例えば、有名なT4ファージと言うウイルスは全高が200nmくらいある、まるで月着陸船のような形をした、もっとも小さな細菌に近い、大きなウイルスです。

t4ファージのイラスト

ウイルスはあまりに小さいため、電子顕微鏡でしか姿がとらえられませんので、上の画像はイメージ図ですが、実際の電子顕微鏡写真でもモノクロながら、機械のような形をしたT4ファージの姿がとらえられています。

このT4ファージは大腸菌に感染するウイルスです。大腸菌は桿菌ですが、長さ方向のサイズは2~4μm、つまり2000nm~4000nmですので、このウイルスは感染対象の1/20~1/10くらいの大きさだということです。

このウイルスは大腸菌に感染して自分のDNAを大腸菌の細胞に送り込みます。そしてそのDNAによって作られる酵素によって大腸菌の染色体は切り刻まれて、ウイルスのDNAを複製するための材料にされます。

そして、感染から約30分で大腸菌は溶かされて、中から100個以上の娘ウイルスが放出されます。つまり、ウイルスは細菌にも感染できるくらい小さな存在で、しかも何らかの宿主に感染しないと増殖もできないものだと言う事なのです。

また、細菌は単細胞生物です。1個だけの細胞で生命を維持している、非常に原始的な生物です。それに対してウイルスには細胞がありません。遺伝情報を持つDNAまたはRNAが存在していて、それに基づく自分自身のコピーが行われるため、生物とされることもあります。

上でお話しした通り、ウイルスは他の生物の細胞に寄生しない限り自分だけでは増殖できません。地球上の生物に共通のエネルギー物質であるATPの合成も、たんぱく質の合成もできません。細胞がないので細胞分裂によって増えることもできません。

そのため、ウイルス自体を生物ではないとする考え方もあるのです。「生物に一番近い無生物」とか「生物と無生物の間にいるもの」と言う表現もよく見かけます。

細菌は細胞を持つ生物なので倍々ゲームで増殖する

細菌は単細胞生物です。中学の時の理科を思い出してください。細胞は増える時には2つに分裂して増えましたね。遺伝情報を持つ染色体がコピーされて2倍になり、それぞれが新しい細胞の核になることで増えるので、必ず2つに分かれて増えてゆくのです。

これはすべての生物において共通の現象です。ですから、細菌ははっきりと生き物であると言えるのです。ウイルスは、一度宿主の細胞に感染すると一気に数百倍に増えますが、細胞の中に入り込まないと増えることすらできません。

それに対して細菌は1度の分裂では2倍にしかなりませんが、宿主の細胞に入り込む必要はなく、宿主の体内で居心地の良い場所に移動して、どんどん分裂して増えることができるのです。

どちらが悪質であるかと言うことは一概に言えませんが、病原体としての性質がまったく異なるのが細菌とウイルスだということなのです。

普段は細菌とウイルスはどっちも病気の原因と言うことで、特に区別を意識することもありませんし、実用上はそれで問題ありません。でも、知識として知っておいた方が良いこともあるのです。
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