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右・左・真ん中…胸の痛みが起こる場所から予想される病気

胸の痛みを感じ押さえる女性

急に胸が痛くなったら心臓の病気を疑うことが多いのではないでしょうか。実際、胸が痛くなった時に予想される病気は心臓、呼吸器、消化器とさまざまなのです。

中には原因を見分けてすぐに受診することが必要な病気もあります。右・左・真ん中と胸が痛む場所ごとに予想される病気の特徴についてまとめましたので、いざという時のためにチェックしておきましょう。

右胸の痛みは胆嚢の病気が原因ということも

胸が痛む時は、心臓や肺だけでなく消化器の病気が原因で起こることもあります。

右胸が痛む時は、主に胆嚢の病気が原因と考えられます。胆嚢は、肝臓の下にぶら下がっている小さな臓器で右肺の下にあります。胆嚢が炎症を起こすと、右のみぞおちから右胸にかけて痛みが起こります。

胆のうの位置と胆石ができる位置

胆石

食後に右のみぞおちから右胸の辺りが急に痛み出した場合、「胆石症」による胆石疝痛発作を起こしている可能性があります。

胆石疝痛発作とは、胆嚢に生じた結石(胆石)が胆嚢を刺激した瞬間に激しく痛む現象のことです。

胆石疝痛発作の症状には次のような特徴があります。

  • 食後1~2時間後ぐらいに急に痛みが起こる
  • 転げまわるほどの激痛を伴う
  • 背中、右肩、腰に痛みが広がることもある
  • 痛みは数時間でおさまる
  • 油っこい物を食べた後に起こる

また、そのほかに吐き気、寒気、嘔吐(黄色い液を吐く)などの症状を伴うこともあります。

胆石は、肝臓で作られ胆嚢に貯蔵してある「胆汁」が結晶化して石のように硬くなったものです。胆石は特に珍しいものではなく、成人の10人に1~2人が持っていると言われていますが、胆石症の人が必ず疝痛発作を起こすというわけではありません。

胆石自体は悪さをするものではなく、砂粒のように小さい胆石の場合は自覚症状のないことがほとんどです。発作を起こさない胆石は「サイレントストーン」と呼ばれ、胆石症の人の1/3~1/2が検診などで偶然に発見されています。

胆石が小石のように大きくなると胆汁が分泌される時に動き、狭い胆道や胆管に詰まると発作的に激しく痛むことがあります。

痛みが起こった時の対処法

胆石疝痛発作が起こったら鎮痛剤や鎮痙薬で痛みを抑える必要があります。内科または消化器内科を受診してください。発作は夜間に起こりやすいので、痛みが激しい時は救急外来を利用します。

胆石は体外衝撃波で粉砕する治療が一般的ですが、胆嚢がある限り再発しやすいので、根本的な治療法は胆嚢の切除手術になります。

胆石を予防するには

胆石は加齢と共に発生しやすくなる病気で、中年女性に多く見られますが、肥満、油っこい食事を好む高脂血症の人にも起こりやすくなっています。

肥満や高脂血症は動脈硬化や糖尿病などさまざまな生活習慣病のリスクも高めます。日頃から規則正しい生活をしたり定期検診を受けたりして、体重やコレステロール値を標準範囲に保ちましょう。

疝痛発作がない人でも軽い上腹部痛や吐き気の起こることがあります。胃の不調と間違えて見過ごしてしまいやすいので、定期検診を受けて胆石の早期発見に努めることをおすすめします。

胆石が小さいうちに見つけて薬で溶かしてしまえば、痛い発作に合わずに済みますよ。

急性胆道炎(急性胆嚢炎、急性胆管炎)

食後に右のみぞおちから右胸にかけて急に痛みが起こった場合、急性胆道炎(急性胆嚢炎または急性胆管炎)を引き起こしている可能性もあります。

急性胆道炎の原因は約90%以上が胆石症で、感染症や胃の手術などでも発症することもあります。胆石症が原因の場合、胆嚢管や胆管に胆石が詰まって完全にふさがり、胆汁が流れなくなって胆嚢または胆管に炎症が起こったり細菌が感染することで発症します。

急性胆道炎でつまる胆嚢管や胆管

胆石を持っている人が急性胆嚢炎を併発する確率は、約10%前後、急性胆管炎は1%前後といわれています。また胆嚢と胆管はつながっていることから、同時に両方の病気を引き起こす場合もあります。

急性胆道炎の症状には次のような特徴があります。

  • 食後1~2時間後ぐらいに急に痛みが起こる
  • みぞおちから右肩、背中にかけて激痛が起こる
  • 高熱が出る
  • 吐き気・嘔吐を伴う
  • 黄疸が出ることもある
  • 油っこい物を食べた後に起こる

黄疸が出るのは、胆汁に含まれる黄色い色素ビリルビンが血液中にあふれるためです。細菌感染に伴い高熱が出ます。

発症から時間が経過すると腹膜炎、細菌感染が全身に広がると敗血症といった命に関わる合併症を引き起こす危険性があり、発症したら油断することはできない病気です。

痛みが起こった時の対処

重篤化すると命に関わることもあるため、すぐに治療が必要です。消化器内科または救急外来などを受診してください。

軽症の場合は輸液、抗菌薬、鎮痛剤を用いて炎症をしずめます。胆嚢に溜まった胆汁や膿を抜く「胆嚢ドレナージ」を行なうこともあります。胆嚢の摘出手術をするのが最も有効です。

胆道炎を予防するには

胆石症の発作を繰り返している人は胆道炎を併発しやすいので、発作を起こさないよう注意しましょう。脂肪の摂り過ぎ、不規則な食生活、ストレスは胆石・胆道炎の原因になります。日頃から健康管理を心がけましょう。

左胸が痛む場合は心臓、膵臓の病気が予想される

左胸が痛む時にはまず心臓の病気が疑われます。左上腹部に膵臓があるため、膵臓の病気で左胸に痛みを感じることもあります。 

急性心筋炎

特に心臓に異常のない人が、風邪をひいた後に左胸の胸痛を訴えるようになったら「急性心筋炎」を引き起こしている可能性があります。

心筋炎は、心臓を動かしている「心筋」に炎症が起こり心臓の機能に障害が起こる病気です。急性心筋炎は、心筋にウイルスや細菌が感染した時に心筋が炎症を起こし、突然に発症することが多くなっています。

健康な人も急に発症することも多く、どの年齢でも起こり得る病気ですが、40歳以下の若い人や乳児に起こりやすいと言われています。

急性心筋炎の症状は次のように進んでいくのが特徴です。

  1. 初期に風邪に似た症状があらわれる(発熱、悪寒、頭痛、筋肉痛など)
  2. 風邪に似た症状に消化器の症状も伴う(食欲不振、吐き気、下痢など)
  3. 初期症状に続いて、胸の痛み、不整脈、息苦しさなど心臓の症状が起こる
  4. 血行不良によって、手足が冷たくなったり倦怠感が起こったりする
  5. 劇症の場合は、けいれん、呼吸困難、チアノーゼなど重篤な症状が起こる

急性心筋炎は症状が軽症から重症まで多岐にわたり、軽症の場合は風邪と間違えられて見過ごしやすく、重症になると短時間で死に至ることもある厄介な病気です。発症したら適切に判断して早急に対処しなければなりません。

痛みが起こった時の対処

風邪の後に胸の痛みが起こると、心臓ではなく肺や気管支の痛みと誤解してしまいがちですが、心筋炎の場合は不整脈によって脈拍数が異常に早くなったり遅くなったりしやすいのが特徴です。

少しでもおかしいと感じたら家庭の風邪薬で対処せず、すぐにかかりつけ医に相談するか循環器科を受診するようにしてください。

血液生化学検査や心電図などで心筋炎と診断された場合は、入院して安静にし、症状に応じてステロイド剤や免疫抑制剤などで薬物療法を行ないます。不整脈の治療には一時的に体外式ペースメーカーを用いることもあります。

早急に適切な治療を施せば良好な予後を得ることができます。治療が遅れると治っても慢性心筋炎に移行してしまったり、心臓に後遺症が残ることも少なくありません。

急性心筋炎を予防するには

日頃から手洗いやうがいを励行して風邪やインフルエンザを予防すること、心筋炎の疑わしい症状がみられたらすぐ受診することが予防につながります。

狭心症

左胸が締め付けられるような痛みがしばしば起こる場合は、原因のひとつに「狭心症」が考えられます。

狭心症は心臓の表面を流れる「冠動脈」に動脈硬化ができて血管が狭くなり、一時的に心筋の血流が滞ってしまう病気です。

心臓自体に炎症はありませんが、血液から心筋に送られる酸素や栄養が不足して心臓機能が低下するため、胸が痛む発作が起こります。

狭心症の症状には次のようなが特徴があります。

  • 左胸から胸の中央にかけて胸が痛む
  • 締め付けられるような痛みが起こる
  • 胸の圧迫感、重苦しさ、冷や汗を伴う
  • 左側の肩、歯、顎、背中に痛みが放散することもある
  • 胃の痛みと似ていることもある
  • 坂道や階段を昇った時、興奮した時に起こりやすい
  • 発作は数分でおさまる

狭心症の発作は自然におさまるものですが、放置していると冠動脈の動脈硬化が進んで、命に関わる「心筋梗塞」を引き起こす可能性が高くなります。狭心症の発作が起こったらすぐ受診し、心筋梗塞を予防する必要があります。

痛みが起こった時の対処

痛みがすぐにおさまり安静にしていて発作が起こらないようであれば、その場で病院へ搬送する必要はありません。ただし、少しでも早く循環器科を受診して検査を受けるようにしてください。

ただし発作が5分以上続いたり発作が繰り返し起こったりするようであれば、心筋梗塞を引き起こしている可能性があり危険です。救急車かタクシーを呼んですぐに病院へ行ってください。

治療には薬物療法と外科療法があり、病状や患者の体調にあわせて治療法が選択されます。

薬物療法では、血液の詰まりを予防するために血液をサラサラにする抗血小板薬、心臓の負担を軽くするβ遮断薬などを用います。

外科療法には、冠動脈の狭窄部を広げる手術があります。

冠動脈形成術 狭窄部を広げてステント(金属)で固定する
冠動脈バイパス術 他の場所の動脈を使って血管のバイパスを作る
動脈硬化切除術 狭窄部の血管内側にある動脈硬化部分を削り取る

処方される硝酸薬(ニトログリセリンなど)は冠動脈を広げ、発作をしずめたり発作を予防したりする効果を持ちます。日常生活では硝酸薬を携帯しながら体調管理を心がけ、心臓に負担がかからないように過ごします。

狭心症を予防するには

高齢者に多い病気ですが、肥満、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病が原因で起こりやすく、ストレス、喫煙、運動不足も狭心症のリスクを高めます。若い時から規則正しい生活をしたり定期検診を受けたりして、生活習慣病を予防することが大切です。

心筋梗塞

冷や汗を伴う激しい痛みが左胸に起こったら「心筋梗塞」を起こしている可能性が考えられます。

心筋梗塞は、冠動脈が閉塞したために心筋に血液が流れなくなり心筋が壊死してしまう病気です。心筋梗塞と狭心症とあわせて「虚血性心疾患」と呼びます。

心筋梗塞と狭心症の血管の様子と比較

心筋梗塞の前駆症状には狭心症があります。狭心症で動脈硬化を起こしていた部分の冠動脈が閉塞して心筋梗塞が起こるのです。

心筋梗塞は狭心症と異なり、心臓そのものがダメージを受けて重篤な症状を引き起こしやすいのが特徴です。また心筋梗塞の痛みは、尿路結石・痛風と共に「三大激痛」と呼ばれるほど強烈です。

心筋梗塞の症状には次のような特徴があります。

  • 左胸から胸の中央にかけて痛みが起こる
  • 締め付けられるような激しい痛みがある
  • 冷や汗、吐き気を伴う
  • 圧迫感や不安感を伴う
  • 左の肩、腕、背中まで痛みが放散する
  • 発作は30分以上続く
  • 硝酸薬(ニトログリセリン)が効かない
痛みが起こった時の対処

心筋梗塞による心臓の壊死が進むと心不全を引き起こし、最悪の場合は命に関わります。胸の痛みが起こったら一刻も早く救急車を呼んでください。

速やかに心筋の血流を再開させる必要があり、救急治療として冠動脈の詰まりをなくす「再灌流療法」が行なわれます。

血栓溶解療法 薬物で血管にできた血栓を溶かす
冠動脈形成術 詰まった部分を広げてステントで固定する

その後は入院して安静をとり、薬物療法や酸素吸入で心臓の負担を抑えながら過ごします。退院後は生活習慣を改善して規則正しい生活を送り、良好な予後の維持に努めます。

心筋梗塞を予防するには

心筋梗塞の約半数には、前兆として狭心症の発作が繰り返し起こります。この時点で循環器科を受診して治療を始めておけば心筋梗塞の発作を予防することができます。

ただし前兆なく心筋梗塞が起こったり、痛みを伴わない心筋梗塞が起こったりする場合があるため、発作を100%予測することも困難です。動脈硬化のある人は虚血性心疾患のリスクが高いので、医師に指示に従って体調を管理しましょう。

狭心症の人は、発作の回数が1日5回以上に増えたら心筋梗塞に進む可能性が高くなっていると考え、すぐに受診して発症予防に努めてください。

急性心不全

激しい呼吸困難と共に胸の痛みが起こったら「急性心不全」を起こしている可能性があります。 

心不全は病名ではなく、何らかの病気によって心臓のポンプ機能が低下する状態を意味しています。心不全の原因には心筋梗塞、甲状腺機能亢進症、先天性の心疾患などがあります。

心臓のポンプ機能とは心臓から血液を全身に送り出す力、肺から心臓に血液を吸い取る力のことです。

心臓から血液を全身に送り出す力が弱まると全身がうっ血しやすくなり、肺から心臓に血液を吸い取る力が弱まると、肺に血液が溜まって気管支が圧迫され、呼吸困難が起こります。

急性心不全の症状には次のような特徴があります。

  • 激しい呼吸困難を起こす
  • 胸の痛みが起こる
  • 咳とピンク色の痰が出る
  • 喘息のようなゼイゼイした呼吸音が出る
  • 冷や汗を伴う
  • チアノーゼが起こり皮膚の色が紫色になる
  • 手足が冷たくなる
  • 仰向けに寝ると息苦しく、状態を起こすと楽になる

中でも心筋梗塞による急性心不全が多く、心筋梗塞に不整脈を併発した場合は心停止が起こって、短時間で死に至る確率が高くなってしまいます。

痛みが起こった時の対処

呼吸困難を伴って危険な状態なので、すぐに救急車を呼ぶなどして病院に搬送する必要があります。

心停止が起こる場合もあります。躊躇せずに救急車を呼んでください。心停止から5分以上経過すると蘇生が難しくなるので、救急車が来るまでは人工マッサージなどの心肺蘇生法で応急処置を行ないます。

呼吸の楽な半座位の姿勢をとり、強心薬や利尿剤などの薬物療法でうっ血を解消させます。呼吸困難の改善には酸素療法も必要です。並行して心不全の原因となる病気も治療していきます。

入院して安静をとり、退院後は医師の指示に従って体調管理を行ないます。

急性心不全を予防するには

心臓などに持病のある人は、日頃からストレスや過労を避けて心臓に負担がかからないよう注意して過ごします。塩分、アルコール、喫煙は心臓に負担をかけるので控えましょう。

激しい運動は心臓に負担をかけるので良くありませんが、医師の指示のもとに行なう適度な運動は心臓のポンプ機能を向上させ、心不全を予防する効果も期待できます。

心臓神経症

左胸のごく一部にチクチクした痛みが起こる場合は「心臓神経症」の可能性もあります。心臓神経症は、検査をしても体に器質的な異常が見つからないのに起こる心因性の病気です。

原因は精神的なストレスや過労など。神経質な人や女性に起こりやすい病気です。

心臓神経症症状は次のようなが特徴があります。

  • 左胸にチクチク・ズキズキした痛みを感じる
  • 胸の重苦しさを伴う
  • 動悸・息切れ・めまいを伴うこともある
  • ため息が出る
  • 安静時にも症状が起こる
  • 不安や緊張を感じた時に起こりやすい
  • 痛む部分を押すと痛みが強くなる
痛みが起こった時の対処

緊急治療を急ぐ病気ではありません。心療内科か精神科で治療を受けるのが適切ですが、狭心症と症状がよく似ていて器質的な原因がないか確認しておく必要があります。一度は循環器科を受診して検査を受けておきたいです。

治療には、抗不安薬などによる薬物療法や心理療法が用いられます。交感神経の興奮を抑えるβ-遮断薬が処方されることもあります。

心臓神経症を予防するには

日頃から気分転換を心がけてストレスが溜まらないようにします。規則正しい生活や十分な睡眠で自律神経のバランスを整えることも大切です。

急性膵炎

食後や飲酒後に左のみぞおちから胸にかけて痛みが起こったら「急性膵炎」を引き起こしている可能性があります。膵炎は胃の後ろにある膵臓に炎症が起こる病気です。

急性膵炎は、膵臓が分泌する膵液で自らを消化して急性症状を起こす病気です。膵液には消化酵素が含まれますが、通常は膵臓が消化されることはありません。しかし膵臓の機能が低下すると、なんらかのきっかけで膵臓が消化され炎症を起こしてしまうのです。

膵炎が起こると、膵臓と周辺の臓器に大きなダメージを与えることがあります。

急性膵炎の2大原因は飲酒と胆石症です。

普段からお酒をよく飲む人は膵臓の小管が詰まりやすくなっており、急性のアルコール性膵炎を起こすリスクが高くなっています。胆石性膵炎は、胆石が胆管や膵管に詰まった時に起こります。アルコール性膵炎は男性に、胆石性膵炎は女性に多いのが特徴です。

特殊な薬の副作用や脂質異常症が原因になるほか、原因不明の場合も比較的多くなっています。

急性膵炎の症状には次のような特徴があります。

  • 飲酒後または食後に起こりやすい
  • 食べ過ぎた時、油の多い食事をした後に起こりやすい
  • 左のみぞおちから胸、背中に痛みが放散する
  • 鈍痛から激痛まで痛みの強さはさまざま
  • 吐き気、食欲不振、嘔吐を伴うこともある
  • 発熱、嘔吐が起こる
  • 嘔吐しても痛みは軽くならない
  • 痛みは仰向けで強くなり背中を丸めると軽くなる
  • 痛む場所を押すと痛みが強くなる

症状は胃や十二指腸の炎症や胆石ともまぎらわしいこともあるのですが、急性膵炎は重篤な症状を引き起こしやすく短時間で死に至る可能性があるため、症状がみられたら一刻も早く判断して適切な対処を始めなければなりません。

痛みが起こった時の対処

痛みの軽い場合は消化器内科を受診し、早めに治療を始めてください。痛みが激しい時は周辺の臓器に炎症が広がっている可能性があり、集中治療が必要です。すぐに救急車を呼んで、施設の行き届いた総合病院に搬送してもらうのが適切です。

軽症の場合は、飲食なしで安静にして輸液を投与することで回復させることができます。重症の場合は、全身に合併症が起こりやすく危険なため、集中治療室で全身管理をしながら慎重に経過を観察していきます。

急性膵炎を予防するには

膵炎は暴飲暴食で発症しやすい病気なので、日頃から規則正しい食生活を心がけることが予防につながります。特に飲酒と油の多い食事は良くありません。胆石症の予防も含め、規則正しい食生活を心がけてください。

胸の真ん中で起こる痛みは心臓、肺、消化器の病気が原因

胸の真ん中の痛みは、心臓、呼吸器、消化器などの病気が原因で起こります。

逆流性食道炎

みぞおちから胸の真ん中にかけて痛みの起こることがあり酸っぱいげっぷが喉まで上がって来ることが多いようなら「逆流性食道炎」を引き起こしている可能性があります。

逆流性食道炎は、通常なら食道に上がってくることのない胃酸が食道に逆流して食道を刺激するようになる病気です。

加齢や肥満によって食道と胃の入り口の境目にある下部食道括約筋がゆるくなることや、欧米型の食生活によって胃酸の分泌が亢進することが胃液の逆流の原因につながります。

逆流性食道炎の症状は次のような特徴があります。

  • みぞおちから胸の真ん中にかけて締め付けられるような痛みが起こる
  • 酸っぱいげっぷが喉まで上がる(呑酸)
  • 胸やけが起こる
  • 咳や喉の痛みが起こる
  • 口の中が苦くなる

胸の痛みは狭心症、咳は気管支喘息と間違えられることもあります。

痛みが起こった時の対処

呑酸を伴う胸の痛みが起こったら、食道のトラブルを疑って消化器内科または内科を受診してください。食道炎は食道がんのリスクを高めるので、早目にきちんと治療しておきましょう。

治療は薬物療法が中心です。胃酸の分泌を抑える「H2ブロッカー「やプロトンポンプ阻害薬」などの薬を服用することで、すみやかに症状のおさまることが多いです。ただし再発しやすいので、症状がおさまっても薬はしっかり飲み続ける必要があります。

併せて日常生活では、飲酒や喫煙など刺激の強い物を避けたり胃酸の分泌を促進するたんぱく質や脂質を控えた食生活を心がけたりして、胃や食道を保護します。

逆流性食道炎を予防するには

動物性食品(肉、乳製品)や油を使った料理の食べ過ぎに注意し、食事の量は腹八分にすると胃酸の過剰な分泌が抑制されます。

猫背や肥満体型が胃を圧迫し、胃液の逆流を引き起こします。正しい姿勢を心がけたり肥満を解消したりすることは、逆流性食道炎だけでなくほかの病気の予防にもつながります。

気胸

突然に乾いた咳を伴う胸の痛みが起こったら、気胸という病気を引き起こしている可能性が考えられます。

気胸は、肺の中の肺胞にできたブレブ(ブラ)という組織が破裂して空気が漏れてしまう病気です。理由もなく自然に起こるため「自然気胸」とも呼ばれています。

正常な肺と肺気胸が起こっている肺の比較

10~30代のやせて背が高い男性に起こりやすい病気です。また発症者の大半は喫煙者です。肺の病気がある年配者や子宮内膜症のある女性にもみられます。

気胸の症状には次のような特徴があります。

  • 何でもない時に突然胸が痛くなる
  • 乾いた咳を伴う
  • 呼吸困難を起こす
  • 肩や背中に違和感を伴うこともある

気胸が重症になると空気が大量に漏れ、チアノーゼやショックを起こし命に関わることもあります。

痛みが起こった時の対処

若い男性に咳と胸の痛みが起こったら、呼吸器内科または内科を受診してください。

軽症の場合は安静にすることで自然に回復します。重症の場合は「胸腔ドレナージ」という治療で肺から漏れた空気を抜き出し、肺の膨らみを正常に戻します。気胸の再発を繰り返す場合は、胸腔鏡手術でブレブを切除します。

気胸を予防するには

自然気胸は原因がはっきりしていない突発性の病気なので、残念ながら予防することは困難です。発症したら早めに適切な治療を受けることが良好な予後につながります。

胃・十二指腸潰瘍

みぞおちを中心に痛みがありお腹の膨満感を伴うようなら胃・十二指腸潰瘍を引き起こしている可能性が考えられます。

胃・十二指腸潰瘍は、胃や十二指腸の粘膜が傷ついてただれや出血を引き起こしてしまう病気です。胃潰瘍はピロリ菌やストレスなどが原因で胃の機能が低下した時に、十二指腸潰瘍は胃酸の分泌が高まり刺激された時に起こります。

胃・十二指腸潰瘍を起こしている図

粘膜の炎症が軽い時は粘膜の表面にびらんができる程度ですが、進行すると潰瘍から穿孔(壁に穴が開く)と重症化し、激しい痛みを引き起こします。

胃・十二指腸潰瘍の症状は次のような特徴があります。

  • みぞおちから胸にかけて痛みが起こる
  • 胃もたれ・食欲不振・膨満感を伴いやすい
  • 胸やけしやすい
  • 胃潰瘍は食後に痛みが起こりやすい
  • 十二指腸潰瘍は空腹時に痛みが起こりやすい
  • 痛みは鈍痛から疝痛までさまざま
  • 潰瘍から出血があれば、コーヒーかす状の吐血やタール状の便を伴う
痛みが起こった時の対処

みぞおちの痛みに胃もたれや膨満感などの消化器症状があれば、胃や十二指腸の炎症を疑って消化器内科または内科を受診し治療を受けてください。激しい疝痛は潰瘍が穿孔している可能性があり緊急治療が必要なので救急外来を受診してください。

治療には、胃酸の分泌を抑制する薬と粘膜を保護する薬を用います。ピロリ菌の感染が見つかれば、ピロリ菌の抗菌剤も併用します。

胃・十二指腸潰瘍に出血があれば、止血をするためにレーザー治療や手術が行なわれます。

胃・十二指腸潰瘍を予防するには

胃・十二指腸潰瘍の主な原因は、ピロリ菌の感染や薬の服用です。非ステロイド性抗炎症薬(アスピリンなど)や風邪薬などの薬は、胃の粘膜を阻害して潰瘍を作ります。胃の粘膜を阻害する副作用を持つ薬は医師や薬剤師の指示に従って使用しましょう。

また胃や十二指腸はストレスの影響で粘膜に炎症が起こりやすい場所です。普段からストレス解消法を見つけてストレスが溜まらないように心がけて胃や十二指腸に負担をかけないようにしましょう。

解離性大動脈瘤

胸から背中にかけて引き裂かれるような激痛が起こり、その痛みが次第に下に移っていった場合は「解離性大動脈瘤」を引き起こしている可能性があります。

解離性大動脈瘤は大動脈の内側にある内膜が裂け、血管を構成する外膜と内膜の間に血液が流れ込むために起こる病気です。

内膜が裂けた所は血液の通り道ができて瘤のように膨れ、これを大動脈瘤と呼びます。主に、胸にできる胸部大動脈瘤と腹部にできる腹部大動脈瘤があります。

大動脈瘤の原因は大動脈の動脈硬化で、生活習慣病を持っている高齢者に起こりやすくなっています。大動脈瘤が大きくなると動脈解離が起こりやすくなります。

解離性大動脈瘤の症状は次のような特徴があります。

  • 胸から背中にかけ、引き裂かれるような激痛が起こる
  • 痛みが下肢に移っていく
  • 短時間で意識喪失、ショックを起こすこともある

多臓器が虚血状態に陥って壊死が起こりやすく、死に至る確率も高い病気です。

痛みが起こった時の対処

命に関わる病気なのですぐに救急車を呼んで病院に搬送します。

大動脈解離が心臓に近い上行大動脈に起こっている場合は、人工血管に置き換える緊急手術が必要です。手術を行なわない場合は薬物療法と安静で回復を待ちます。

解離性大動脈瘤を予防するには

大動脈瘤には自覚症状がないため、知らない間に大きくなっていて突然に動脈解離を引き起こしてしまうことが多くなっています。

ただし大動脈瘤は消化器の検診で偶然に発見されることも多いので、大動脈瘤を切除する手術を受けておくと、命に関わる動脈解離の発症を予防することも可能になります。

また高血圧と喫煙が大動脈瘤のリスクを高めます。ほかの病気の予防もかね、日頃から高血圧を予防したり禁煙することをおすすめします。

解離性大動脈解離は短時間で死に至ることもある怖い病気です。それほど頻度の高い病気ではありませんが、年々発症者が増えているので私達も気をつけたいですね…!

こんな時は救急車を!迷ったら救急窓口へに相談を

胸の痛みを伴う病気は緊急治療が必要な場合も少なくありません。胸の痛みを訴えて苦しそうにしている人がいたら、救急車を呼んだほう法が良いでしょう。

次のような症状があれば、ためらわず119番に電話してください。

  • 突然の激痛
  • 急な息切れ、呼吸困難
  • 胸の中央が締め付けられるような、または圧迫されるような痛みが2〜3分続く
  • 痛む場所が移動する

119番に電話してよいのか迷う場合は、救急相談センターの#7119番に電話してみましょう。(小児の場合は#8000です。)

全国の市町村にある相談窓口につながり、医師、看護師、救急隊などで構成される医療チームが対応してくれます。365日24時間対応で安心です。

急病人が出た時、周囲の人は気が動転してしまい病人の情報を的確に伝えることができない場合も少なくありません。そこで救急車を呼ぶ前には、

  • 住所
  • 具合が悪くなった人の病状
  • 持病や飲んでいる薬の情報
  • 応急手当の内容

などをメモに書いておくと、通報する時や救急車が来た時に冷静に対応することができます。

胸が痛くなったら受診して原因を特定させましょう

急に胸が痛くなると「何の病気なんだろう」と強い不安にかられます。

痛む場所によってどんな病気が予想されるのか予備知識を持っておくことで、いざという時に冷静に対応できるのではないかと思います。

今回は、発症頻度の高い代表的な病気をピックアップいたしました。ただし、ほかの病気が原因の場合もあるので自己判断で病名を決めつけず、胸が痛くなったら受診して原因を特定することをおすすめします。

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