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学校恐怖症とは違う…子供の慢性疲労症候群に気づいてあげるには

最近の小中学生の中には、なんだかだるくて学校生活についていけず、学校を休みがちになってしまう、といった子供が増えてきています。さらに我が子が不登校になってしまうと、親は「いじめや引きこもりではないか?」と気が気ではありません。

しかし、ここで子供への対処が正しくできないと、子供は大きなストレスを受け、状況が悪化してしまう可能性もあるのです。原因不明な子供の不調は、もしかすると「慢性疲労症候群」かもしれません。ここではその可能性がある場合の、気づき方や対処法について説明していきたいと思います。

慢性疲労症候群とは

慢性疲労症候群は、近年よく目にするようになった病名ですが、検査しても異常がなく、大人でも気づいてもらえることが少ない病気です。誰にでも起こる「慢性的な疲労」とは異なり、強い疲労が6ヶ月間以上続く場合に、この病気が該当します。慢性疲労症候群には次のような特徴的な症状があります。

  • 精神的・肉体的な激しい疲労感がある
  • 睡眠を取っても回復しない
  • 抑うつや情緒不安定がみられる
  • 体に痛みを感じる
  • 睡眠障害がある
  • 微熱が続く など

検査しても体に異常がなく、自律神経失調症やうつ病と誤診されたり、周囲からは「怠け病」と誤解されることも少なくありませんでした。原因ははっきりしていませんが、生活環境によるストレスや、ウイルス感染などで起こるのではないかと考えられています。

また近年になって慢性疲労症候群患者の脳は、炎症を起こしている状態だということが分かりました。研究が進めば今後は、慢性疲労症候群が本人の甘えで起こっている病気ではないことが、もっと知られるようになっていくでしょう。

子供の慢性疲労症候群の兆候

では、子供の慢性疲労症候群には、どのような症状がみられるのでしょうか。子供の場合でも、ほとんどは成人の症状と似ていますが、次のような症状の変化を伴うのも特徴です。初期には兆候として、以下のような症状が出てきます。

  • 頭痛、腹痛を訴えることがある
  • 遅刻・保健室通い・欠席がみられるようになる
  • 夜更かしが増え睡眠不足になっている
  • ぐったり疲れているように見える
  • 帰宅するなり寝てしまうことがある
  • 微熱が出やすくなる

単なる疲れや他の病気とまぎらわしいのですが、子供の様子を慎重に観察すれば、慢性疲労症候群に気づけるかもしれません。これらの症状がみられたら、別の病気も疑って受診してください。夜更かしが原因なら、早寝早起きへの修正を試みてください。睡眠不足が原因での疲弊なら、規則正しい生活に戻すことで体調不良が治る可能性があります。

慢性疲労症候群が進行すると

しかしそのまま放置してしまうと、進行して症状は悪化してしまいます。

  • 保健室通いや欠席が増えるようになる
  • 抑うつや不安がみられるようになる
  • 集中力や記憶力が低下し成績が落ちてくる
  • 友人関係がうまくいかなくなってくる
  • 何かあると急に具合が悪くなり「怠けているのでは」と誤解されやすくなる

といった態度がみられ、この段階で受診すれば、医師も慢性疲労症候群だと診断できるようになります。しかし「学校嫌い」「学校恐怖症」と決めつけられてしまうことも多く、叱咤激励されたり無理に登校させられたりして、子供は余計に疲弊してしまいます。

学校恐怖症と慢性疲労症候群は、判別することもできるはずです。学校恐怖症は学校のない日には元気になりますが、慢性疲労症候群の場合は、学校が休みの日も具合の悪いのが特徴です。

できればこの段階で専門科を受診し、慢性疲労症候群のケアを始めることが望ましいです。ただし治療は遅れると、次のような状態に陥り社会生活が難しくなるため、多くの子供が不登校になってしまいます。

  • 睡眠時間が異常に長くなる
  • 疲労感が激しい
  • 布団から起き上がれない
  • 思考能力が低下し考えがまとまらなくなる

実は、起き上がれないのは「起立性調節障害」が原因ということが多いのです。体を起こすと脳の血流が悪くなり、めまいや倦怠感が起こるため、起きているのが辛くなります。

慢性疲労症候群が回復してくると

家で休んでいる子供は、しばらく経つと体力が少し回復し、起き上がって過ごす時間も増えてきます。部屋でテレビを見たり、ゲームをして過ごすことは可能です。ただし、規則正しい生活を送ることが難しく、だらだらと過ごしてしまいがちです。

精神面では情緒不安定が強くなり、キレることも多くなります。絶望感にとらわれることも多いでしょう。家族や友達とはうまくコミュニケーションが取れなくなるかもしれません。しかし時が経過してさらに回復してくると、心身の状態が安定して、元気を取り戻すようになってきます。

病状は一進一退で登校は難しいですが、学校に行ってみようかなという気持ちも起こり始めるでしょう。身の疲労がかなり回復してくると、行動範囲が広がるようになります。ただし完全に回復していなければ、あまり無理はきかず、症状がぶり返す場合もあります。

もし、ほぼ完全に回復できたようなら、登校の目途も立ってきます。ただし授業の遅れや人間関係の不安などの現実的な問題を伴っているので、自分のペースに合わせて慎重に復帰を試みることが大切です。

子供の慢性疲労症候群は発症してから回復するまで平均して3~4年かかります。一部の人は回復が遅れたり、自宅療養が必要になることもありますが、ほとんどの人は社会復帰することが可能です。

兆候に気づいたらどんな対処をすれば良いのか

子供の異変に気づいたら、保護者はどのような対処をすれば良いのでしょうか。子供に遅刻や欠席がみられるようになったら、まず何か病気を疑います。必ずしも慢性疲労症候群とは限らず、他の病気が原因の可能性もあるからです。

具合が悪い日は学校を休ませて、病院に連れて行きます。小学生(または中学生)は小児科、中学生以上の子供は内科が良いでしょう。医師に症状を伝えて検査をし、体調不良の原因を確認します。

もし原因が見つかれば治療をすることになりますが、原因がなければ体の病気ではないということで、受診はそれきりになる可能性もあります。子供の体調不良が続くようならば、さらに大きな病院や思春期外来・不登校外来といった専門的な病院を受診して、詳しく検査することをおすすめします。

このように、子供が原因不明の体調不良で学校を休みがちな場合、どのように対処すれば分からない場合には、各自治体の「教育センター」「児童相談センター」の窓口に相談するのも良いでしょう。これらの機関は子供や保護者の悩み、不登校などの問題に対応しています。

どの病院を受診すれば良いのかアドバイスを得ることもでき、慢性疲労症候群の発見につながるでしょう。また些細なことで子供の体調が気になった時点で、早目に担任やスクールカウンセラーに相談するのが望ましいです。その際には、保護者が子供に代わってでも、病状を適切に第三者に伝えることが重要となります。

子供は表現が未熟で、自分の体に起こっている状況を言葉でうまく表現できないからです。慢性疲労症候群や不登校は、周囲に理解されないことも少なくありません。子供を救うためにも、子供がとても辛い立場に陥っていることを、周囲に把握してもらうよう心がけてください。

こんな子供が慢性疲労症候群になりやすい

では、どのようなきっかけで慢性疲労症候群を発症してしまうのでしょうか。この病気は、子供の気質に加え、生活環境によるストレスが重なった時に発症することが多いといわれています。

慢性疲労症候群になりやすい子供の気質

  • 好奇心旺盛
  • 協調性が少ない
  • 野心が少ない
  • 衝動的
  • どちらかというと内向的

慢性疲労症候群の引き金となるストレスの例

  • 感染症
  • ゲームやインターネット漬けの生活
  • 睡眠不足
  • 引越しや転校など環境の変化
  • 親の離婚や家族との離別など家庭の問題
  • 友人や教師との人間関係のトラブル
  • 事故などのショッキングな体験
  • リーダーなどに選ばれた時のプレッシャー など

そして、近年の子どもに慢性疲労症候群が増えているのは、次のような背景も関係しています。

  • 塾通いや部活のハードなスケジュール
  • インターネット・ゲーム依存による夜更かし
  • 人間関係のストレス

現代は、子供社会の人間関係も複雑になってきており、特に小学校高学年以上になると、学校社会で常に気を遣いながら過ごしている子供も多くなってくるのです。このように、現代の子供はさまざまなストレスや情報量にさらされており、脳がオーバーヒートしやすい状態となっている可能性が高いです。

また、学校嫌い・勉強嫌いと慢性疲労症候群は異なりますが、学校生活に象徴される規律的な集団生活が苦手な子供のほうが、慢性疲労症候群にかかりやすい傾向もあります。

慢性疲労症候群は予防できる?

慢性疲労症候群はさまざまな要因が絡み合って突然に発症するので、どの子供においても完全に予防することは難しいかもしれません。しかし、多くは睡眠不足やハードスケジュールが原因になっているので、保護者が子供の生活パターンを見直し、規則正しい生活習慣と余裕のあるスケジュールを提供してあげることが望ましいです。

日頃からコミュケーションを増やすように心がけ、子供の不安を取り除いてあげたり、学校の様子や体調に異変がないか、すぐ発見できるようにしておくことも大切です。

慢性疲労症候群はと付き合うには

子供が不登校や引きこもりになってしまうと、本人も保護者も大きな不安や焦りを感じてしまいます。周囲の人は叱咤激励を避け、回復を気長に見守ることが必要です。なかなか周囲には理解してもらえず、辛い思いをするかもしれません。

「学校や医療機関も分かってくれないな」と感じる場合には、同じ状況の人と悩みを共有するのも良いでしょう。不登校の子供を対象にしたスクールを利用したり、保護者の方がインターネットを利用して、子供の慢性疲労症候群に関するサークルや掲示板で、情報交換するといった方法があります。

慢性疲労症候群を経験しても、多くの子供は進学・就職して社会に出ることができているので、焦らずに病気と付き合って回復に努めてください。学校を休みがちな子供に、このような病気の可能性があることを多くの方に知っていただき、もし悩んでいるご家庭があれば、参考にしていただきたいと思い、紹介させていただきました。

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