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脳梗塞は夏も起こる!脱水が引金になる脳梗塞の症状と予防法

夏に体調を崩している人

厚生労働省の統計では脳血管疾患を

  • くも膜下出血
  • 脳内出血
  • 脳梗塞
  • その他の脳血管疾患

の4つに分類しています。その中でも最も死者数が多いのが脳梗塞であり、脳血管疾患による死亡者数の約60%を脳梗塞が占めています。

脳卒中と言えば冬場に注意が必要とお考えの方が多いかと思います。それはある意味間違いではありません。脳卒中の中の脳内出血は寒い時期の発症が多くなるからです。

では脳卒中に関しては夏場は安心かと言いますと、そうとも言い切ることは出来ません。脳卒中の中の脳梗塞は夏場に発症のリスクが上がる場合があるからです。

ここでは脳血管疾患、脳梗塞について知識を整理して、夏場に注意すべき脳梗塞についての理解を深めていただければと思います。


死者数は横ばい!1年で11万人が亡くなる脳血管疾患

昭和23年から日本人の3大死因と言えば

  • 悪性新生物(がん)
  • 心疾患
  • 脳血管疾患

でした。脳血管疾患は昭和50年代半ばまで日本人の死因第1でしたが、その後急増してきた悪性新生物、心疾患に抜かれて長らく3位の死亡原因でした。

そして平成23年にはこれまた急増してきた肺炎に抜かれて現在では死因の4位となっています。

脳血管疾患は日本人の死亡原因の4位となりましたが、それは他の疾患による死者が急増したからであり、脳血管疾患による死者数はここ数年横ばいです。平成27年には脳血管疾患で111,875人の方が亡くなっています。

また、平成27年の厚生労働省の統計資料によると脳血管疾患は55歳から74歳までの男性と40歳から89歳までの女性の死亡原因第3位となっています。(50歳から54歳の女性では第4位)

全年齢の女性の死因で見た場合脳血管疾患は第4位ですが、女性の死因第3位は老衰なのです。病気による死亡原因で考えた場合、女性では依然死因の第3位は脳血管疾患なのです。

このように、脳血管疾患自体の危険性は決して低くなってはいないのです。

脳梗塞、脳卒中、脳出血?脳血管疾患の言葉の整理

脳血管疾患は脳血管障害と呼ばれることもありますが、これはどちらも同じことを指しています。脳の血管が障害を受けることで起こる疾患の総称です。

脳血管疾患の分類

脳卒中の卒中とは「突然起こる」という意味です。つまり脳卒中とは脳血管疾患の中でも急激に発症したもののことを言います。

脳血管疾患は、脳の血管が破れるものと脳の血管が詰まるものの二つに大きく分けられます。脳の血管が破れるものは、脳出血とくも膜下出血に分けられます。

脳の血管が詰まるものは脳梗塞あるいは虚血性脳血管障害と言います。これは3つに分類されて一過性脳虚血発作、脳血栓症、脳塞栓症の3つです。

一過性脳虚血発作以外の脳梗塞の場合、脳細胞に血が通わない状態が持続し、脳細胞が壊死してしまいます。死んでしまった脳細胞は元に戻りません。

脳のどこの血管がどの程度詰まったか(梗塞)によって死んでしまう脳細胞の場所が異なります。脳のどの部分がやられてしまうかによって後遺症の出方が異なるため、脳梗塞の後遺症の種類は沢山あります。

脳梗塞の後遺症の代表的なものは、脳性麻痺、言語障害、認知症です。脳梗塞によって寝たきりになってしまうこともあります。

先程の脳梗塞の3つの分類は脳梗塞の臨床病型分類と呼ばれるものです。脳梗塞はその他に発生の仕方によって、血栓性、塞栓性、血行力学性の3つに分けられます。

この血行力学性に起こる脳梗塞が夏場に注意が必要な脳梗塞なのす。

脳梗塞は夏場に注意、は本当?報告されている集計結果から見る

秋田県脳血管センターが1984~1990年の脳梗塞の月別発生割合を示しています。4月と5月が1年間の平均発生率を上回っていますが、突出して多いわけではありませんでした。よって脳梗塞は季節変化が少ないと報告されています。

さらに大阪にある国立循環器病研究センターも月別の脳梗塞患者数を報告しています。

2008年から2011年の患者数の集計結果は以下のようになっています。

1月 178人
2月 169人
3月 179人
4月 174人
5月 152人
6月 165人
7月 186人
8月 178人
9月 152人
10月 187人
11月 161人
12月 174人

一見するとやはりあまり季節変化は無いように見えます。国立循環器病研究センターは上記の数字を3カ月毎に集計をして検証を行っています。

春(3~5月) 505人
夏(6~8月) 529人
秋(9~11月) 500人
冬(12~2月) 521人

この結果から、当センターでは夏に脳梗塞が増えるとして注意を呼び掛けています。確かに6月から8月の患者数が多くなっています。ただ、他の季節でもあまり変わらないくらいの患者数が示されています。

夏場になると血行力学性によって発症する脳梗塞が増えることが考えられます。ただ、それ以外の原因である血栓性、塞栓性の脳梗塞もあるため夏以外の季節でも患者数に大きな変動なく脳梗塞は発生するのです。

血行力学性に起こる脳梗塞はなぜ夏に増加すると考えられるのでしょうか。 その仕組みを理解し予防にお役立ていただきたいと思います。

夏が危険な脳梗塞を起こさないために!対処法と予防法

高血圧、高脂血症、糖尿病、肥満などのメタボリックシンドロームの方の血管の壁にはコレステロールなどがたまり血管が内側が細くなっているところがある場合があります。

血管が細くなっていると血が通りにくくなっているのですが、血を送りだす圧力(=血圧)でなんとか血が通っている状態です。

そのような状態で血圧が急に下がってしまうと、血管が細くなっている部分より先に血が行かなくなってしまいます。

このように血行力学性に起こる脳梗塞があるのです。

このタイプの脳梗塞が夏に危険なのです。血行力学性に脳梗塞が起きる場合は、急な血圧の低下と脱水の状態になっていることが考えられます。

なぜ夏が危険なのか?暑さと脱水が起こす血液への影響

暑いところに長時間いて体温が上がってくると体は皮膚の近くに血液を集めて体温を逃がそうとします。そうすると一時的に普段行かないところに血が行くようになるので全体としては血液の量が不足します。

血液の量が不足すると血圧は下がってしまうのです。ホースで水まきをしているときに蛇口からの水の供給量を減らすと水圧が下がるのと同じ現象です。血圧が下がると頭に行く血液の量が減ってしまいます。

お風呂でのぼせて立ちくらみになるのはそういった仕組みなのです。同じような現象が真夏の炎天下でも起こりえます。そうなると脳の血管が細くなっているところを血が推し抜ける圧力が足りなくなるのでその先に血が行かなくなってしまうのです。

夏の暑さの中ででめまいや立ちくらみを感じた場合は涼しいところへ移動して横になり足を頭より高くしてください。そうして体の中心に血を集めて血圧と脳への血流を維持します。

また夏は他の季節よりも汗をかきやすい季節です。汗は血から作られているので、汗を大量にかけば血液の量が減り、血圧が低下します。

血液は、液体の部分と赤血球、白血球、血小板などの細胞成分から出来ています。汗をかいて液体部分が減ってしまうと血液の濃度があがりいわゆるドロドロ血になります。こうなりますと血液は流れにくくなりますので脳梗塞を起こす可能性があります。

脳梗塞予防のための水分補給の仕方

脱水による脳梗塞を防ぐには水分補給を行うことが大切です。

脳梗塞は睡眠中と起床後2時間以内に発症することが多くみられます。睡眠中には汗をかきますし、血圧も低下します。

寝る前に水分補給をするようにしてください。夜中にトイレに行った後にも水分をとるようにしましょう。そして起きた時も水分をとって下さい。

また日中でも運動や屋外での作業で汗をかくことが予想される場合はこまめに水分補給をお願いします。

クーラーの効いたお部屋の中にいるときも脱水になる可能性はあります。クーラーを使っていると乾燥するので体から水分が抜けやすいのです。 こまめな水分補給を習慣にして下さい。

お酒を飲んでも脱水になる危険があります。お酒を飲んだ後はお水を飲むようにしましょう。

「私は水分補給を常に心掛けているから大丈夫よ」と言っているあなた。本当に水分補給をしていますか?実は水分を飲むだけでは水分補給になっていないかもしれません。

夏にかく大量の汗には水分以外に塩分やミネラルなどの成分も含まれており、それらが体外へと排出されてしまいます。つまり、水分だけではなく塩分も少なくなってしまうのです。

人間の身体は血液中のナトリウム濃度を一定に保つ作用がありますので、ナトリウム(塩分)濃度が下がると水分を吸収しなくなるのです。水分補給だと思ってミネラルウォーターやお茶を飲んでも、大部分が尿として排出されて、血液として利用されることはないのです。

人間は喉が渇いたら水分をほしがりますが、塩はほしがりませんよね?つまり、夏場の水分補給の鍵は水ではなく、塩分の補給にこそ重要性があったのです。

しかし、お茶と塩を舐めていてはどこかの酒飲みと同じなので、スポーツドリンクを飲むように心掛けましょう。しかし、スポーツドリンクでも塩分濃度が高い商品や低い商品もあります。

実際に販売されているメーカーの飲料水を例に挙げますと、この商品は0.1%程度の塩分濃度となっています。水分の吸収を効率的に行うためには、0.2%程度が理想なので少し足りないようです。また糖分も含まれていることを考えても、塩分が足りないように感じます。

そこで0.5gから1g程度の塩を入れることで理想的な塩分濃度が出来上がるのです。また最近では経口補水液も多く販売されているので、これを利用するのも良い方法ですね。

夏場は塩分を補給しないといくら水分を補給しても、血液がドロドロになってしまいます。脳梗塞を発症させないためにも塩分&水分を忘れないようにしましょう。

脳梗塞の前兆、一過性脳虚血発作を見逃すな!

脳梗塞の分類でみましたように一過性脳虚血発作という脳梗塞があります。これは一時的に脳の血管が詰まって脳細胞に血が行かなくなりますが脳細胞の壊死まで至らないものです。

一過性脳虚血発作は脳梗塞の前兆と言われています。以下の症状が見られた時はお医者さんに相談して下さい。

  • ろれつが回らない
  • 言葉が出ない
  • 人の言うことが理解できない
  • 片方の目が見えなくなる
  • ものが二重に見える
  • 視野の一部が欠ける
  • 片側の手足に力が入らない
  • 身体の片側がしびれる
  • ふらついて立てない
  • めまいがする
  • 転びやすい
  • 歩けない
  • 片脚を引きずってあるく

一過性脳虚血についてはこちらの記事で詳しく紹介しています。
【脳梗塞】一過性脳虚血とは?簡単な検査で早期発見を!

脳梗塞は時間との勝負!救急車を呼ぶ判断基準「FAST」

  • 顔がゆがむ(Face)
  • 腕が上がらない(Arm)
  • 言葉がもつれる(Speech)

これらのうち1つでも確認されたら脳梗塞を疑いすぐに救急車を呼んで下さい。その際には発症時間(Time)もお知らせください。

この英単語の頭文字をとってFAST キャンペーンと呼ばれています。アメリカ脳卒中協会が始めた運動で、アイルランドではこのキャンペーンが大成功したと伝えられていますが日本ではほとんど知られていません。

脳梗塞の治療に革命的な前進をもたらしたt-PA静注療法というものがあります。この治療で血管の詰まりを溶かして脳細胞のダメージを最小限にすることができます。

しかしこのt-PA静注療法は脳梗塞発症から4.5時間以内の患者さんにしか使えないのです。

脳梗塞は時間との勝負です。 FAST キャンペーンの内容を記憶して、脳梗塞を疑った場合は直ちに119番をして下さい。

キャラクター紹介
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