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20代でも起こる?若者に増えている脳梗塞にはこんな原因が

日本人の死因トップ3をご存知ですか?1位は悪性新生物、2位は心疾患、3位は脳血管疾患です。これらは高齢者に多い病気なのですが、近年は若者に脳血管疾患のひとつ「脳梗塞」が増えてきています。

テレビを見ていても、脳梗塞を起こすアーティストやタレントのニュースを目にすることがありますね。なぜ若者に脳梗塞が増えているのでしょうか。また、どうすれば脳梗塞が予防できるのでしょう。

若者に起こる若年性脳梗塞

脳梗塞は、脳の血管が詰まって血流が滞ってしまう病気です。血液が流れなくなった脳細胞は壊死が起こり、その部位がつかさどっている機能が働かなくなってしまいます。最悪の場合は死に至り、命を取り留めても重症の場合には体の機能に障害が残ります。

脳梗塞が60代以上の高齢者に起こりやすい理由は、加齢によって「動脈硬化」が起こりやすくなるためです。ところが、まだ若くて健康なはずの20~50代でも、脳梗塞は起こることがあります。これは「若年性脳梗塞」と呼ばれており、この10年間で1.5倍に増えているという報告もあります。

若年性脳梗塞が増えている理由

脳梗塞が若者にも増えている理由は、生活習慣病の低年齢化が関係しています。若者に動脈硬化が増え、昔は中高年以上の病気だった脳梗塞の発症が、低年齢化してきているのです。

オークランドテクノロジー大学のバーリー・フェイギン教授によると、近年の若者に脳梗塞が増えている理由は「不規則な生活」「栄養バランスの偏った食事」「ストレス」などの増加とされています。

昔と比べライフスタイルも大きく変わり、現代っ子は生まれた時から便利な文化とおいしい食べ物に囲まれ、生活に不自由することがありません。その結果、食が豊かでも栄養のバランスは偏りがちで、便利すぎる世の中も何かとストレスの多い環境になってきています。

まだ若いからと油断して不摂生を続けてしまえば、いつ生活習慣病にかかってもおかしくありません。さらに生活習慣病は自覚症状がないため、中高年のように定期検診を受ける機会がないと、見過ごすことも多くなってしまいます。

そこで子どものいる家庭や20~30代の人は、若い人の生活習慣病も珍しくないことを意識し、常に規則正しい生活習慣や食生活を心がけて、生活習慣病を避けることが必要になってくるのです。特に、以下のような対策は重要です。

  • 動物性脂肪を摂り過ぎない
  • 喫煙しない
  • 適度な運動を行う
  • 日頃から水分をこまめに摂る

若年性脳梗塞の原因

しかし若者の場合、高血圧・糖尿病・高脂血症・動脈硬化がない人でも、脳梗塞を引き起こすこともあるのです。例えば次のような原因で若年性脳梗塞が起こる場合があります。

脳動脈解離

若者の若年性脳梗塞で多いのが「脳動脈解離」です。これは外部からの衝撃により、動脈の壁の内側がはがれ、2枚に裂けてしまう状態のこと。脳動脈解離が起こった部分は血液が流れにくくなり、脳梗塞に進みやすくなるのです。

10~20代の健康な人でも、脳血管に衝撃が加わると脳動脈解離を引き起こしてしまう可能性もあります。特に、次のような行為が脳動脈解離を引き起こしやすいです。

  • ゴルフなど首をひねることの多いスポーツ
  • スポーツによる転倒事故
  • 交通事故

日常の動作で、首をひねった際に引き起こされることもあります。首をポキポキ鳴らす癖も良くないと言われていますね。脳動脈解離を防ぐには、脳血管に衝撃を与えないことが基本的な予防になります。

しかし、スポーツや日常生活の何気ない動作を、完全に避けることは難しいでしょう。そこで、頭痛が起こった時には脳動脈解離を含む脳血管の異常を疑い、すぐに受診して大事を防ぐことが対策となります。

脳動脈解離が起こっていても無症状という場合も多いのですが、事故や外傷の後にひどい頭痛が起こるようなら、脳動脈解離または脳卒中に進んでいる可能性も考えておいたほうが良いでしょう。脳動脈解離自体は、内科治療や手術によって治療でき、必ずしも脳梗塞に進むというわけではありません。

奇異性脳塞栓症

「奇異性脳塞栓症」は、心臓の心房に「卵円孔」という穴の開いている成人に起こる脳梗塞です。心臓の穴でなぜ脳梗塞が起こるのか不思議に思われるかもしれませんが、足などの静脈で生じた血栓が、この卵円孔を通過して脳動脈に流れついた時に、脳梗塞を起こすことがあるのです。

ちなみに胎児の時には誰にもある穴で、まれな現象というわけではありません。通常は成長と共に閉じていきますが、20%もの成人には卵円孔が残ります。この穴はとても小さく、普段は閉じているので健康上の問題はありません。

ただし力が入った時には開いて穴から血液が流れ、血栓があれば脳梗塞につながるので注意しなければなりません。心房に卵円孔があっても、ほとんどは無症状で治療は不要であることが多いのですが、卵円孔の開いていることが確認されている人は、血栓ができないように次の対策を心がけると良いでしょう。

  • 長時間同じ姿勢を続けない
  • 水分をたくさん摂る
  • 適度に脚を動かす

また、同じく静脈でできた血栓によって起こる病気に「エコノミークラス症候群(肺血栓塞栓症)」があります。飛行機に長時間乗ることで圧迫された下肢の血行が滞り、血栓ができてしまうことで起こる病気です。

脳血管で詰まれば脳梗塞となるので、飛行機をよく利用する人も特に注意してください。もし重い物を持ったり、せき込んだりした時、めまいやしびれの起こる場合は、卵円孔が開いて脳梗塞の前兆を起こしている可能性があります。早めに受診して検査を受けてください

もやもや病

5~10才頃の小児と40代に起こりやすい脳の病気です。「もやもや」という表現は、細い脳血管の影がタバコの煙のようにもやもやと網状に見えることから使われました。このような細い血管網は脳の血流が不足した時に生じます。

血流不足を解消しようとして脳に細い血管が構築されるのです。アジア人に多く、小児の場合は遺伝子、成人の場合は脳出血の経験が原因で起こります。細い血管は弱く脳出血や脳梗塞を起こしやすいので、もやもや病が発覚した人は適切な治療をしていかなければなりません。もやもや病の特徴は、脳の血流が不足した時に起こる一時的な症状です。

  • 手足の脱力や麻痺が起こる
  • 激しい頭痛が起こる
  • 物がゆがんで見える
  • 色が識別できなくなる

といった発作症状が、次のような行為の後に起こるならば、もやもや病の疑いがあると考えてください。

  • 熱いラーメンにフーフー息を吹きかけた時
  • 楽器を吹いた時
  • スポーツをした時
  • 激しく泣いた時(小児)

聞き慣れない珍しい病気のように見えるかもしれませんが、成人は誰でも脳出血からもやもや病を引き起こす可能性を持っています。脳出血の引き金となる高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満を防いでください。

脳動静脈奇形・血液凝固異常

少ないケースですが「脳動静脈奇形」や「血液凝固異常」で、若年性脳梗塞が起こる場合もあります。脳動静脈奇形は、生まれつき脳の動脈と静脈が直接つながっているために、動脈の圧力によって静脈に血管の固まりが生じてしまう病気です。

血管の固まりは強い圧力がかかった時に破裂して出血を起こしやすく、頭痛やてんかん発作が起こるようなら、この病気の疑いもあります。血液凝固異常は自己抗体によって血液が固まりやすくなる免疫異常の病気で、原因ははっきり分かっていません。

脚の静脈に血栓が詰まりやすく、痛みや腫れで気づくことがあります。どちらの病気も適切な治療によって脳出血や脳梗塞を未然に防ぐ必要があります。軽い自覚症状があった場合でもすぐに検査を受けるようにしましょう。

早目に気づいて受診することが大切

脳梗塞で脳細胞が壊死すると、大きな脳機能障害を引き起こし、一度壊死した脳細胞は二度と元には戻りません。とにかく脳梗塞を起こさないことが第一です。とは言え、脳梗塞の発作は突然に起こり、本人や周囲がパニックになることも少なくありません。

実は脳梗塞が起こる前には「一過性脳虚血発作」という軽い脳梗塞のような前兆がみられることも多いのです。もし注意深く症状を観察することができていれば、脳梗塞に気づくチャンスとなります。

そしてこの時点で治療すれば、脳梗塞を防ぎ後遺症を残さずに回復することも可能です。一過性脳虚血発作には次のような症状があります。気づいたら至急受診するようにしてください。

一過性脳虚血発作の症状

  • めまい・ふらつきが起こる
  • 手足の力が抜ける
  • 体の片側にしびれや麻痺が起こる
  • 顔の片側がゆがむ
  • ろれつがまわらない
  • 物が二重に見える
  • 視野が半分欠ける
  • 食べ物が飲み込めない
  • 言葉が出てこない
  • 人の言葉が理解できない

腕を上げようとしても腕が上がらない、「イー」と発音すると左右の口の高さが違う、「らりるれろ」を連続して言うことができないといった場合、一過性脳虚血発作の可能性が高いです。この発作は1回に付き10分くらいで自然に消えてしまいます。

そのため、中には単なる疲れや飲酒による酔いと勘違いされる症状もあります。しかしそのまま放置すると、数日~数ヶ月以内に脳梗塞を起こす可能性が高くなってしまうので、症状が繰り返し起こるようなら危険だと判断するべきでしょう。

若者は後遺症に注意したい脳梗塞

脳梗塞で怖いのは後遺症です。日本では寝たきりになっている人の3割が、脳梗塞の後遺症によるものとなっています。若くして脳梗塞を起こし、後遺障害が残ってしまったら、その後の長い人生に大きな負担がかかってしまうことになります。

この記事を読んで、若年性脳梗塞が不安になった方は健康管理を行い、もし思い当たる症状がある方は、すぐ脳卒中科または神経内科、脳神経外科など専門科の受診をおすすめします。

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