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急変する高齢者の容態!素早く対応するための正しい見極め方法

高齢者を介護する時に大切なのが本人に代わって容態を見極めることです。といっても介護人は医者ではないのでどのような病気なのかを判断する必要はありません。しかし医師に委ねた方がよいかどうかだけは判断できるようにしておきましょう。

容態の見極めは介護の要

この記事に関心を持たれた方は、家族に介護が必要、もしくはこれから必要になってくるかもしれない高齢者が、身近におられると思います。介護にはさまざまな知識が必要ですが、中でも「生命にかかわる容態が急変した時の見極め」は一番重要です。

まずは、信頼がおける主治医をみつけておきましょう。高齢者にとって身体的機能の低下は、老化だと分かっていても不安なものです。家族が支えてあげることが一番大切ですが、やはり専門的な知識を持った主治医の存在は欠かせません。

このような主治医をホームドクターと呼びます。ホームドクターは身体が不調になった時に、真っ先に診てもらう医師であり、たとえ小さな町医者であったとしても、信頼のおける医師なら的確に容態を見極めて、大きな病院を素早く紹介してくれます。

まずはこのホームドクターとのパイプを、しっかりと結んでおきましょう。普段の状態を知っていて、細かな体調の変化でも気づいてもらえるホームドクターがいれば、介護人も本人も精神的に楽になります。

しかし、どんなに優れたホームドクターがいても、病院に委ねなければ意味がなく、手遅れになることがあります。そうならない為にも、介護人が基本としてぜひ知っておきたい、高齢者の急変した容態の対応について、症状別に詳しくご紹介いたしましょう。

呼吸の異常

呼吸の異常は生命の危機に直結するため、一刻も早く異常に気づく必要があります。身体に何らかの異常が発生した時は、十分な酸素をとり込むことができなくなるので、安静時とは違う呼吸の仕方になります。ではどのような呼吸が危険といえるでしょうか。

  • ベッドで安静にしている時なのに、胸式呼吸になっている。
  • 鼻翼がピクピクと動き、息を吸うたびに顎が下がる。
  • 受け答えがない状態で、大きな呼吸が次第に浅くなり、ピタっと無呼吸になる。これを繰り返す。
  • 受け答えがない状態で、ハァハァと速い呼吸が続いたあと、ピタッと無呼吸になる、これを繰り返す。
  • 呼吸のたびにヒューヒューゼーゼーといった音が聞こえる。
  • 呼吸が苦しく、横になれずに身体を起こしている。

異常な呼吸パターンはこれらの他にもありますが、重要なのは呼吸に異常が見られた時は、いずれも重大な状態だということです。受け答えがなく、いつもと違う異常な呼吸をしている時は、ためらわずすぐに救急車、もしくは主治医に連絡してください。

体温の異常

高齢者の体温の異常に気づくには、まず若い人との平熱の違いを認識しておく必要があります。一般的に平熱といえば37℃以下をさしますよね。しかし高齢者には35℃台という方がたくさんおられます。

体温というのは、体の中で燃えるエネルギーの量で、高くもなり低くもなります。若い人は筋肉や脂肪も多く、燃えるエネルギーも大きいですが、高齢者は逆に筋肉や脂肪も減少しているので、燃えるエネルギーは少ないため、体温は低めなのです。

一般にいう37℃未満が平熱というのは成人のことであり、体温が低めで、しかも不安定な高齢者には当てはまらないということ覚えておきましょう。まずは普段の体温をしっかりと把握しておくことが、異常な体温に気づく第一歩となります。

ですから高齢者の場合は、自力で布団をとったり、服を脱いだりの動きができるかできないか、そのようなそれぞれの状況を合わせて、本当に体温が異常なのか判断しなければいけません。

【35℃未満】
寝たきりの場合は、気温が低いのにもかかわらず布団をかけていなかったかを確認、またいつもと同じ時間帯の体温とあきらかに違うことを確認
→熱が逃げていた場合は、原因を解消して30分後に再検温。変わらない場合は医師へ連絡する。
【35℃~37℃未満】
いつもと同じ時間帯の体温とあきらかに違うことを確認
→いつもの同じ時間帯の体温から1℃以上の差があれば医師に連絡する。また、たとえいつもと差がなくても、他に体調に異常があれば医師に連絡する。
【37℃~38℃未満】
寝たきりの場合は、気温が高いのにもかかわらず布団をかぶっていなかったか確認、またいつもと同じ時間帯の体温とあきらかに違うことを確認
→熱がこもる原因を解消し30分後に再検温。普段の体温と1℃以上の差、または他に異常があれば医師に連絡する。
【38℃以上】
寝たきりの場合は、気温が高いのにもかかわらず布団をかぶっていなかったか確認→熱がこもっていたら原因を解消し、30分後に再検温。それでもまだ38℃以上ある場合は医師に連絡する。

血圧の異常

血圧は、体調の異変を調べるのにとても有効的です。介護が必要な高齢者がいる家庭では、血圧計をひとつ常備しておくと良いでしょう。今ではドラッグストアなどでも安いものは3,000円から、高いものは20,000円くらいのものが置いてあります。

安いものでも構いませんが、高い血圧計ほど精密に測ることができます。大切なのは正しい測定の仕方をしなければ、いくら精密な血圧計でも意味がないということです。まずは血圧の正しい測り方をしっかり確認しておきましょう。

  • 腕にまきつける帯(マンシェット)を心臓と同じ高さにする(心臓より下にすれば高めに、上にすれば低めの数値がでます)
  • 椅子、ベッドに座り5分間安静にして測定
  • 測定中は話さない、動かさない
  • 意外な数値が出た時は落ち着いて5分間待ち、再測定

いずれの注意事項の場合も、必ず同じ時刻、同じ条件で測定してください。毎日測定するのが理想的ですが、まずは体調が平常な時の血圧の数値だけは確認しておくようにしましょう。それにより容態の急変を的確に判断することができます。

では血圧の測定により、絶対に危険だという状態をしっかり確認しておきましょう。最低血圧の数値が120~130mmHg以上の時は、すぐに医師に連絡をとってください。

ここで注意するのは最高血圧の数値ではなく、最低血圧の数値ですので間違わないでください。ではなぜ、最低数値が容態急変のポイントとなるのでしょうか?

人間の身体は高い血圧を受けると細い血管などが傷つき、各臓器に損傷がでます。最低血圧が低くて、最高血圧のみが高ければまだ良いのですが、最低血圧まで高いとなると、特に脳、心臓、腎臓などの重要な臓器が大ダメージを受けることになります。

また、このように最低血圧の数値が高い上に頭痛やめまい、吐き気などの症状が見られる場合は、一刻も早く躊躇することなく医師を呼ぶ、もしくは救急車を呼んでください。

意識の異常

急を要する容態を判断する上でとても大切なのが「意識レベル」です。たとえば意識がしっかりとしていて受け答えができる場合と、何を聞いても「うん」しか言わない場合や、うなづくことしかできない場合などでは、容態の重症度が違ってくるからです。

レベル1→意識はあるがボンヤリしている、名前と生年月日を聞いてもなかなか出てこない
レベル2→呼びかけると目を開ける、もしくは大声、身体をゆさぶることで目を開ける
レベル3→まったく動かない、もしくは手足を少し動かしたりする

このように、レベル別での重症度の違いを把握しておけば、電話で医師に連絡をする時に即座に容態を伝えることができ大変便利ですので覚えておきましょう。

脳の異常

脳の異常は最も命にかかわるため、緊急に対応しなければいけません。ここでは脳に一大事が起こっているかもしれないという、医師ではない介護人が見ても判断ができるポイントをあげておきます。

  • 急にうまくしゃべれなくなった
  • 急に激しい頭痛が起こった
  • 急に力が抜けてしまった、急に身体に麻痺が起こった
  • 片方、もしくは両方の瞳孔が小さくなっている
  • 目がどちらかに偏ってしまっている

このような症状が見られた場合は、脳に異常がある可能性が大きいですので、すぐに医師、または救急車を呼んで下さい。

注意点としては、高齢者は目の手術を受けていて瞳の形が違っていたり、以前、脳梗塞などを起こし普段から目が偏っている場合もありますから、大切なのは普段の状態を詳しく知った上で判断するようにしてください。

痰の異常

高齢者の容態の異常に気づくのに、痰はとても分かりやすいポイントです。痰の色で身体の免疫力が勝っているのか、それとも劣勢となってしまっているのかが分かるからです。

透明・白→正常もしくは、免疫システムがきちんと働いている状態
黄色・緑色→免疫システムが劣勢になってしまっている状態

通常の体調の時の痰の色をまず把握しておきましょう。一般的に痰の色が透明や白から黄色や緑色になった時は、免疫システムが負けている証拠ですので医師に連絡をしてみてください。

これらの痰の変化を医師に連絡することによって、服用している薬の変更などがあるかもしれません。ただ血が混じった時は高齢者の場合、咳のしすぎで混じるケースが多いですから、落ち着いてまずは医師に相談しましょう。

尿の異常

尿も、介護人にとって高齢者の容態の異常に気づきやすいポイントです。しかし尿の色や量などは気温や、汗の量、また飲酒などによっても変わってくるので、そのような状態を確認しておくことが大前提です。

薄い黄色~濃い黄色→特には異常なし
白く濁りがある→膀胱で細菌感染のおそれがあるので検査が必要
赤褐色・茶褐色→内臓疾患のおそれがあるので検査が必要
コーラ・赤ワイン色→重大な疾患のおそれがあるのですぐに医師に連絡

便の異常

便は身体からのとても分かりやすいメッセージでもあります。食事内容によって変わりやすいので普段の色を知っておくことと、いつもと違う色の便が出た時は慌てず経過を見ながら医師に連絡しましょう。

しかし緊急性のある便の色もあります。白色は胆汁の不足、赤色の便は出血のおそれがあるので、すぐに医師に連絡してください

黒い便も臓器からの出血のおそれがありますが、便が黒っぽくなることは多々あります。まずは慌てずよく観察しましょう。いつもより真っ黒な便が出る場合は胃や十二指腸からの出血のおそれがあるので検査が必要です。

高齢者の健康は医師と二人三脚で

高齢者の場合、老化という自然現象も含めて、身体の異常はよく起こります。それが老化なのか病気なのかを判断するには、やはり専門である医師に任せないといけません。それには冒頭に述べたようにホームドクターをもつことです。

老化により変わりやすい高齢者の容態ですから、大切なのは通常の健康である状態を知っておくことです。それにはきちんと信頼できるホームドクターをもっておきましょう。

そうすれば少し気になる容態の変化でも、電話などで気軽に相談がしやすいものです。そして医師からきちんと指示を受けることで、安心して毎日の介護をしてあげることができます。ですからそれは本人だけでなく、介護人のためでもあります。

しかしご紹介してきたように、医師でなくても、容態の急変を見極めるポイントを事前に知っておけば、手遅れになる事故を極力、防ぐことができます。ぜひ、日々の安心安全な介護のために確認しておいてください。

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