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おかしで栄養補給!高齢者向けおやつの作り方、注意すべきポイント

スイーツを食べる高齢者

歳をかさねていくにつれ、段々と少なくなっていく食事の量。

加齢とともに食事量が減少するのは、多くの方に見られる傾向です。ですが、食事は身体をつくる基礎となるものです。高齢だからと言って、あまりいい加減に考えてはいけません。

高齢者に不足しやすい栄養素とは何か。不足することで、どのような病気にかかりやすくなるのか。それを補うためには、どのような食事をこころがけたらよいのか。それらを学び、いつまでも活力を失わなずにいられるよう気を付けていきましょう。

高齢者の食事量が少なくなりがちな理由

「歳をとったから、食事は少なくていいんだ」「あまり動かないし、この程度の食事で十分」と考える方も多いのではないでしょうか。また、「なんとなく食べる気持ちにならない」「それほど食欲がわかない」という高齢者も多いでしょう。

ですが、高齢者は本当に、栄養を必要としていないのでしょうか。体が栄養を必要としていないわけではなく、食べる気持ちになれない理由が他にあるのではないでしょうか。

高齢者にはどれくらいの栄養が必要か

人間は、食事をして摂りこむエネルギーがなくては、生きていくことはできません。

一日に必要なエネルギー量は、基礎代謝量と身体活動レベルから割り出すことができます。基礎代謝量は年齢や性別などによって異なり、身体活動レベルは日常的な運動量によるため、必要なエネルギー量にも個人差がでてきます。

例えば、体重が68.5kg、30歳から49歳の男性の場合、基礎代謝量は1530Kcal程度です。この基礎代謝量に運動量を加味し、普通程度の運動をする方であれば、一日に2677.5Kcal程度のエネルギーが必要という計算になります。

エネルギーは身体の機能や活動を維持するために基本となるものです。必要なエネルギー摂取量はエネルギー消費量に反映される身体活動量の大きさによっても異なってきます。

成人・高齢者の場合、体重変化がないときはエネルギー摂取量と消費量がほぼ等しい状態と考えられます。

同財団では以下のように基準となる数値を提示しています。

運動量が少ない男性高齢者(70歳以上) 1,850kcal
運動量が少ない女性高齢者(70歳以上) 1,450kcal

これらのことから、「年寄りだから、あまり食べなくていい」「高齢者は、少ない栄養でいい」というわけではないことが見えてくるでしょう。やせ型の高齢者は特に、体に水分やタンパク質などのたくわえが少ないので、一日ごとの栄養をしっかり摂る必要があると言えます。

ただし、寝たきりだったり、疾患を持っていたりする場合は、食事には特に注意が必要です。医師から処方されている服薬も、食べ合わせてはいけない食材がある場合もあります。

どうして食事量が少なくなるのか

しっかり食べなくてはいけないと言われても、食欲がなければ、無理に食べることは難しいでしょう。「食べないから元気が出ない」「元気が出ないから食べたくない」という悪循環にも陥りがちです。

ならばなぜ、食欲が落ちてしまうのでしょうか。

高齢者は、加齢による問題を心身に抱えがちです。気持ちの問題や、身体的な問題が、食欲に影響していることが考えられます。原因として考えられることを、ひとつずつ見てみましょう。

歯が悪くて、噛めない
歳をとると、歯や歯茎が弱くなりがちです。入れ歯を入れてもなじめずに、食べ物を噛むことが難しくなる場合もあります。歯が悪くなると、歯ごたえなどの食感も愉しめなくなり、食べ物のおいしさを素直に味わえなくなってしまいます。
嚥下が悪く、うまく飲みこめない
加齢により唾液の量が少なくなったり、疾患によってのどの動きが悪くなったりして、うまく飲みこめなくなることがあります。何かを食べるたびに、食べ物がのどにつかえてしまったり、気管に入ってむせてしまったりするようでは、食事が苦痛になってしまいます。
食事の用意が難しい
高齢夫婦の世帯や、高齢者単独の世帯が増加しています。買い物や調理が難しく、食べたいときに食べたいものを用意することが難しい場合もあるでしょう。すぐに食べられる菓子パンなど、簡単なものに偏りがちになる傾向もあります。
食事が楽しくないので、食べる気持ちにならない
孤食という言葉があります。ひとりきりで食卓に向かい、もくもくと食事を摂るのでは、食事を楽しみとして感じられないものです。これでは食事がただの空腹を満たす作業となり、食べようという意欲も落ちてしまうでしょう。

他にも、食欲がわかない理由は、個人によって差があるでしょう。偏食やこだわりがあったり、アレルギーをお持ちの方もいるかもしれません。ですが、必要な栄養が足りないと、さまざまな病気を招くことにもなります。

栄養が足りないとどうなるのか?必要な6大栄養素

私たち人間は、自分の体で栄養を作り出すことはできません。生きるために必要なエネルギーは、食べ物から摂りこむ必要があります。そのため、特定の栄養素ばかり多かったり少なかったりすれば、それを理由に体調を崩すこともあります。

タンパク質
肉や筋肉、内臓、髪など、肉体の主要な部分を作る栄養素です。肉や魚、乳製品、大豆などに多く含まれています。タンパク質が足りないと、貧血が起きたり、体力がなくなったり、免疫力が落ちたりします。
脂質
現代社会では過剰に摂りやすい栄養素ですが、足りなければ良くない結果を招きます。脂質は、エネルギーとなる他、脂肪としてエネルギーを貯めておいたり、体温を維持したり、粘膜を保護する役目もあります。良質な脂質を適量に摂ることが大切です。
炭水化物
米や麦、いも類など、でんぷん質の多い食品です。タンパク質や脂質と同様に、体を動かすためのエネルギーとなりますが、炭水化物が優先して消費されます。余剰となれば、身体に蓄積されます。
ビタミン
体の調子を整えるのに必要な栄養素です。13種類のビタミンがあり、含まれる食品や働きは種類によって様々です。緑黄色野菜や玄米などの植物由来の食材に含まれているビタミンもあれば、レバーや肉など動物由来の食材に含まれているビタミンもあります。
ミネラル
カルシウム、鉄、ナトリウム、カリウムなど、無機質とも呼ばれる栄養素です。多すぎても少なすぎても、体に不調をきたします。ナトリウムなどは特に、塩化ナトリウムとして過剰に摂取しやすい成分ですが、低ナトリウム血症などの疾患で摂取する必要がある場合もあります。
食物繊維・水
食物繊維は、消化されにくい成分です。便通をよくするのに有効なほか、体内に長くとどまるので、腹持ちをよくさせたり、血糖値の上昇を緩やかにしてくれたりします。人体の構成成分の6割を占める水分は、いわずもがな人間の生命維持に必要不可欠です。

エネルギー源となる、タンパク質・脂質・炭水化物。体調を整える役割を持つ、ビタミン・ミネラル・食物繊維、生命維持に必要不可欠である水。これらをバランスよく摂取することが、万病の予防と健康的な体づくりにつながります。

体を維持するエネルギーが足りない栄養失調状態となる低栄養や、貧血、活力の低下はもちろんのこと、脱水症状や認知機能の低下なども、栄養不良によっておこりえる症状です。適切な食事を摂れていなければ、便秘や腸閉塞などの疾患にもなりかねません。

たとえば、白飯と漬け物だけで食事を済ませれば、タンパク質・脂質・ビタミン等が不足します。たとえ空腹が満たされたとしても、必要な栄養素が足りなければ、健康な体を維持することはできないのです。

食事で足りない栄養はおやつで補おう!作る時のポイント

「必要と言われても、一回にそんなに食べられない」とおっしゃる方もいるでしょう。食が細くなっている方にいくら周りが勧めても、「おなかがいっぱいで、一度にそんなに食べられない」と言われてしまえば、無理に食べさせることはできません。

普段から少ない食事に慣れてしまった方が、いきなり食事の量を増やすことは、とても難しいことです。

そういった時には、一回あたりの量を増やすのではなく、栄養補給をする回数を増やすことを考えてみましょう。食事と食事の合間に少量のおやつを加えたり、食後にデザートをつけるなどして、足りない栄養を補うのです。

おやつ、スイーツは老若男女に広く愛されています。食欲がない時でもおやつだったら受け付ける、という人も少なくありません。ちょっと工夫してあげると食べる人の喜びが増え、食事に対する興味が出てくる良い効果をもたらすのです。手作りのスイーツには次のようなメリットがあります。

1.食べる人の食欲や喜びを増す効果

  • 市販のものと違い素材の香りや味が楽しめる
  • 食べる人への愛情が感じられる
  • 介護される人の状態に合わせて調理の微調整がきく

2.市販のものよりコストを抑えることができる

  • よく食べてくれるので介護する人の負担が減る
  • ちゃんと食べることで栄養が摂れ体調が良くなる

体に合わせたおやつを選ぼう

栄養をとることを目的におやつを摂るのであれば、足りない栄養素はなにかを考えましょう。普段から摂れている栄養は、おやつで上乗せする必要はありません。本来の食事だけでは足りない栄養を、おやつとして補給するべきだからです。

食事を抜くことが多かったり、摂取量が全体的に少ないなら、カロリー自体が足りていないかもしれません。

おかずを食べずに白米と漬け物などで済ませてしまう方なら、タンパク質や脂質が足りないでしょう。野菜が不足がちなら、ビタミンやミネラル、食物繊維が不足しやすいです。

おやつを考えるときは、食べやすさにも気を配りましょう。たとえば、歯が弱い方におせんべいを勧めても、食べにくいものです。飲みこむ力が弱い方にとっては、水分の少ないポクポクした蒸かしいもなどは、食べることがつらいおやつになってしまいます。

必要な栄養が補え、かつ、食べやすいものを、補食として用いましょう。一般的に、噛んだり飲んだりする力が弱くても食べやすい食品は、以下のようなものがあります。

噛んだり飲んだりする力が弱くても食べやすい食品

  • ムース
  • ゼリー
  • プリン
  • ヨーグルト
  • 水ようかん
  • アイスクリーム
ぱさぱさ・もさもさはNG
パサパサしたものやボソボソしたものは飲みこみにくく、しっとりと水分の多いものが飲みこみやすいです。カステラなど、水分が少なく飲みこみにくいものは、シロップなど水分をしみこませたりする工夫をすることで食べやすくなります。
詰まるものはNG
もちや団子は喉に詰まりやすいので要注意です。和菓子は高齢者に喜ばれるスイーツなので、出す時には柔らかく小さくした物にしてあげるようにします。
ひっかかるもの、むせるものはNG
粉っぽいものや薄皮があるものは喉にひっかかったりむせたりすることがあります。素材は裏ごししたり皮をむくなどの配慮をし、食べる人が安全に飲み込めるような状態に仕上げます。

蒸かしいもなどのいも類は、牛乳や生クリームなどを加えてのばすことで、飲みこみやすく食べやすい食品になります。

必ず飲み物を添える
いくら水分が多く軟らかいものを用意しても、スムーズに飲み込めない場合もあります。必ず飲み物を用意して食事がスムーズに通るようにしておきましょう。
カロリー、栄養のコントロールをしよう
高齢者や生活習慣病患者はカロリーや栄養のコントロールが必要になるので、通常のスイーツでもうっかりしているとカロリーや脂質・糖質が多くなりがちですが、介護食向けのスイーツを作る時には油、バター、生クリーム、砂糖を控えるようにします。

軽量いらず!目分量でつくれる簡単おやつ

ご家族や親しい方に「食事量が少なくて心配」という方がいるのであれば、手作りのおやつをお勧めしてみてはいかがでしょうか。

手作りおやつは、手間がかかります。その分だけ、食べてもらう相手への思いやりがこもります。おやつを通して気持ちが伝われば、生きることへの活力につながります。生きる気持ちが湧いてくれば、食欲も湧こうというものです。

とはいえ、作る側からしてみれば、そうそう時間をかけてはいられません。一回に手間がかかりすぎると、まめに作ってあげることもできなくなってしまいます。

そこで、軽量せず目分量でつくれる、簡単なおやつをご紹介します。レクリエーションの一環として、一緒に作ってみても良いかもしれません。

何にでも応用できる、素材にひと手間かけただけのおやつ

食材にちょっとひと手間かけるだけの、簡単なおやつです。ここから様々にアレンジを加えて楽しめますが、このまま食べてもおいしいです。

かぼちゃ・さつまいも・じゃがいもペースト
柔らかくなるまでレンジで蒸かしたかぼちゃを木べらでつぶし、溶かしバターと牛乳を加えてペースト状にのばします。味見をしながら、食べてみて「おいしい」と思える味になるように、砂糖を加えます。はちみつを加えてもいいですし、冷凍かぼちゃでも大丈夫です。

さつまいもで作る場合は、皮を厚めに剥いて、水にさらしてからレンジにかけましょう。かぼちゃと同様に、牛乳・バターを加えてペースト状にのばし、砂糖などで甘味を加えます。市販の焼きいもを使用しても大丈夫です。レモン汁を少々入れると、あっさり風味になります。

じゃがいもでつくる場合は、ふかしたじゃがいもに、牛乳・粉チーズ・バターを加えてペースト状にのばしましょう。お好みで塩コショウを加えて、味を調整してください。

水切りヨーグルト
ざるにキッチンペーパーを敷き、市販のヨーグルトをあけます。数時間から一晩程度おいておくと、ヨーグルトの水分が切れて、柔らかめのクリームチーズ状になります。お好みで、ジャムや砂糖、フルーツソースを加えてください。
シロップ漬けカステラ
一口サイズにカットしたカステラやスポンジケーキに、シロップを刷毛で塗り、しっとりするまで染み込ませます。シロップには、砂糖を多めに入れたコーヒーや、ラム酒で香りづけした砂糖水、水で溶きのばしたジャムなどがお勧めです。

シロップの水分を染み込ませることで、パサパサのカステラがしっとりして、唾液の少ない高齢者でも飲みこみやすい食べ物になります。

さらにひと手間!見栄えも良い簡単おやつ

素材にひと手間かけただけのおやつに、さらにひと手間加えたり、市販品を加えたりしただけの簡単おやつです。盛り付け次第で、おしゃれなおやつに早変わりします。

かぼちゃとあずきの一口カップ
お好みの大きさの容器(ショットグラスやアルミカップなど)にかぼちゃペーストを盛り、市販のゆであずきを添えるだけです。あずきの甘味がある分、かぼちゃペーストの甘味は控えめに作ると美味しいです。さつまいもペーストでも同様に作れます。
かぼちゃとレーズンのヨーグルトカップ
レーズンを刻んで、かぼちゃペーストとさっくり混ぜ、お好みの大きさの容器(ショットグラスやアルミカップなど)にかぼちゃペーストを盛り、水切りヨーグルトを添えて出来上がりです。あればミントを添えましょう。

歯ごたえがある方が良ければ、レーズンは刻まなくて大丈夫です。砕いたクルミやスライスアーモンドを加えてもおいしいです。ヨーグルトはバニラ味や生クリーム仕立て、酸味が強めなものなど、お好みで選びましょう。さつまいもペーストでも同様に作れます。

じゃがいもペーストの簡単タルト
シュウマイや餃子の皮を、アルミカップに敷いて型を作り、トースターで焼き色がつくまで焼きます。焼けた皮をタルト代わりにして、じゃがいもペーストを盛ります。じゃがいもペーストに、食べやすくカットしたチーズやコーンをまぜてもおいしいです。
水切りヨーグルトとシロップ漬けカステラのトライフル
小さなグラスやプラスチックカップに、シロップ漬けカステラと水切りヨーグルトを交互に重ねていきます。一口大の缶詰フルーツやジャムを一緒に重ねてもおいしいです。

カステラのシロップは、ヨーグルトの味に合わせましょう。バニラ系のヨーグルトには、コーヒー系のシロップが合います。フルーツ系のヨーグルトには、ラム酒風味やジャムのシロップがお勧めです。

シロップ漬けカステラのプディング
耐熱皿に、シロップ漬けカステラを入れます。卵ひとつに砂糖・牛乳を適量混ぜたプディング液を流し込み、しばらく置いて、プディング液をカステラに染み込ませます。トースターで焼いて、できあがりです。

アイスクリームやクリームチーズなどをトッピングしてもおいしいです。缶詰の桃やジャムなど、フルーツを一緒に焼いてもおいしくいただけます。

簡単で手軽だからこそ、できることから始めてみよう

いかがでしょう。味見をしながら目分量で材料を加えていくだけで、本当に簡単に、手軽なおやつを作ることができるのです。お菓子作りが得意でなくても、一品にじっくり時間をかけることができなくても、これならきっと作ることができるのではないでしょうか。

一度食欲が落ちてしまった高齢者にとっては、一日ごとのカロリーをしっかり摂ることが重要になります。

人の気持ちというのは不思議なもので、「自分のために作ってくれた」と思うだけで、食べる意欲が出てくることもあります。相手を大切に思って、手ずから作ったおやつは、それだけで特別な意味を持つのです。

是非、気負わずに一度作ってみてください。ちょっぴりの手間と、あたたかな心を込めた手作りおやつは、きっと大切な人との懸け橋にもなってくれるはずです。

キャラクター紹介
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