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高齢者に多くなる嚥下障害!上手に水分補給するコツとは

高齢になると誰でも身体的能力が衰えてくるものです。その中でも生命の危険にまで及ぶことがあるのが、嚥下(えんげ)障害です。高齢者は健康維持のために、若い世代よりも水分をしっかりと補給する必要があるのですが、この嚥下障害の症状が邪魔をしてしまう場合が多々あるのです。

どうすればこの問題を解決できるのでしょうか?無理なく続けられる高齢者の水分補給のコツをご紹介していきます。

嚥下障害でも必ず水分補給を!

嚥下障害とは、飲食物が上手に呑み下せない障害です。たとえば逆立ちをしながら飲み食いをしても、きちんと胃まで飲食物は送り込まれますよね。それは嚥下機能が正常に働いているからこそなのです。

高齢になると、このように若い世代では当たり前だった機能が衰えてくるために、日常的なことが困難になってきてしまうのです。人間にとって「食べること」「飲むこと」は死活問題です。特に水分補給は、食べることよりも生命維持において一番に最優先しなければいけません。ですからたとえ嚥下障害でも、しっかりと水分補給をすることが大切なのです。

なぜ高齢になると水分補給が必要なのか

高齢になると、水分補給が若い世代の時よりもさらに重要となります。それはなぜなのでしょうか?具体的にみていきましょう。

筋肉の減少

人間の身体は60%が水です。血液も水分ですので、身体中を巡って栄養素を隅々にまで届けてもらうためには、十分な水分が必要です。そして筋肉にも水分はたくさん含まれています。実は筋肉は、水分の大切な貯蔵庫でもあるのです。

しかし高齢になると、身体中の筋肉が次第に減ってきます。この筋肉の減少により、高齢者の身体の水分は成人が60%なのに対して50%まで下がってきているといわれます。ですから水分の貯蔵庫である筋肉が少ない分、多めに水分補給をする必要があるわけです。

腎臓機能の低下

高齢になると、腎臓機能が低下してきます。そうなると腎臓の大切な役割である尿を濃縮する機能が衰え、再吸収機能も低下してしまいます。これによって尿の量が増えてしまうのです。その結果、さらに体内の水分が抜けてしまい、脱水状態を引き起こしやすくなります。

高血圧の治療薬の弊害

腎臓の機能が低下している高齢者にとって、高血圧の治療薬は逆に弊害となる場合があるので、注意しなければいけません。高血圧の治療薬としてよく処方されるのが利尿剤です。なぜ高血圧の治療に利尿剤が使われるのでしょうか?

それは腎臓に働きかけ、ナトリウムと水分の排泄を促すことによって血液量を減らし、血管の負担をなくして血圧を下げるためです。しかし先に述べましたように、血液は身体中に大切な栄養素を運ぶ役割があります。

水分が利尿剤によって排出されたことにより、たとえ血圧が下がったとしても、脱水状態により血液がドロドロになってしまっては意味がありません。利尿剤の使用によってさらに脱水状態が進んでしまえば、身体の他の機能を低下させることに繋がる可能性もあります。

もちろん血圧の高さによって血管にかかる負担の大きさも人それぞれ違いますから、一概に利尿剤が良くないとは言い切れません。もしも高齢で、高血圧の治療薬として利尿剤を処方されている方で不安に思われる方は、一度かかり付けの医師に相談してみるのがよいでしょう。

身体の感度が鈍くなる

高齢になると嚥下障害だけでなく、身体の感度そのものも鈍くなってしまいます。人間は何もしていなくても、常に呼吸や皮膚から目には見えない水分を蒸発させてしまっています。これを不感蒸泄(ふかんじょうせつ)と言います。不感蒸泄は特に夏が要注意です。

高齢者は身体の感度が鈍ってしまっているので、喉が渇いたという感覚が成人よりも素早く自覚することができません。実は成人の場合でも、身体の水分補給の理想タイミングは喉の渇きを感じる前に補給することなのです。なぜならば、喉の渇きを感じた時にはすでに脱水状態が始まってしまっているからです。

筋肉トレーニングをしている人、または美容に気を使っている女性などは、このように水分を摂るタイミングにも気を使っているものです。身体の感度が鈍くなってしまった高齢者ならば、なおのこと水分補給のタイミングに注意をしなければいけません。

「喉が渇いたから水分を摂る」のではなく「定期的に水分を摂る」ことをしなければ、すぐに脱水状態へと繋がってしまいます。しかしその肝心の水分が上手に摂取できなければ意味がありません。

高齢者の水分補給の強い味方「とろみ剤」

高齢者は成人よりも多めに水分補給をしなければいけませんが、身体機能が衰えていますからとても困難です。では嚥下障害の症状がある高齢者でも、上手に水分補給をすることができる「とろみ剤」を詳しくご紹介していきます。

嚥下障害の強い味方「とろみ剤」

嚥下とは、口の中に入ってきた飲食物が脳で認知され、咽頭から食道を通過し胃に送り込まれるまでの一連の働きのことをいいます。

高齢者の嚥下障害の原因は、喉や食道の筋力低下に加えて、歯が義歯になり噛みにくくなる、顎の力が弱まり咀嚼力が低下する、唾液量の減少、口の中の感覚の鈍化、また味覚を感じる細胞の減少など、たくさんの要素が組み合わさっています。

また嚥下障害の症状が出ると、食べることも億劫となってしまいがちです。そして最もむせやすいのが水分なのです。そのため脱水状態になりやすくなります。さらに誤って気管支から肺まで飲食物が入ってしまうと、誤嚥性肺炎を起こすきっかけにもなりますので、注意が必要です。

嚥下障害でも上手に水分を補給する方法は、むせないように水分にとろみをつけることです。薬局などにいけばとろみ剤が購入できますので、これを料理だけでなくお茶などにも使えば、上手に水分補給をすることができます。

おすすめのとろみ剤

ひとくちにとろみ剤と言っても色々な種類があります。でんぷんだけで作られているものや、でんぷんに増粘多糖類を加えたものがありますが、おすすめはでんぷんは一切使わず、増粘多糖類とデキストリンだけで作られたとろみ剤です。

でんぷんが入っていないため、つるつるとした喉越しで違和感なく食べ物や水分を補給することができます。また嬉しいのは、でんぷんのように白く濁ったりして、食べ物の見た目を損なうことがないですし、味への影響もないので、安心に安全に高齢者でも食事を楽しむことができます。

今では介護施設の現場でもこのとろみ剤が使われ、高齢者にとっても、また介護する側にとっても負担が減るのでとても重宝されています。

片栗粉よりもとろみ剤が良い理由

食事にとろみをつける時は、一般的に片栗粉を使いますよね。しかし片栗粉を使ったとろみはあまりおすすめできません。片栗粉は熱を加えなければとろみが出ませんので、食べ物や水分が温かいうちに摂取する必要があります。

しかし高齢者は先に述べましたように、歯の問題や、咀嚼力の低下、唾液量の減少などで、若い人たちのように素早く食べることができません。その間に冷めてしまっては、せっかくのとろみも弱まってしまうことになります。

そうなるとまた温めなおさなくてはならなくなり、介護する側にとっても負担がかかることになるでしょう。気管支への誤嚥下を防ぎ、安全に飲食をして水分を補給するためには、とろみ剤に頼ったほうが賢明です。

その他の水分補給のコツ

とろみ剤の使用で、嚥下障害であっても安全に水分補給をすることができますが、その他にも水分補給の仕方にはコツがあります。それらの各ポイントをご紹介いたしましょう。

定期的に無理なく摂取する

高齢者は食事だけの水分では足りません。しかし喉が渇いたという感覚が衰えていますので、時間を決めて定期的に摂取するのが望ましいでしょう。その場合、一度にたくさんの水分を摂るのではなく、こまめに何度も分けて少量ずつ摂取することです。

また介護が必要となった高齢者は、水分を摂りすりぎると排泄が気になってしまい、嫌がるケースが多々あります。このような場合は、排泄面の方でも高齢者が安心していられるようにサポートしてあげることが大切ですね。

発熱や下痢の時は多めに

高齢者の発熱や下痢は注意が必要です。体内から大量の水分が失われますので、普段より多めの水分補給を心がけてください。熱中症の場合もそうですが、自力で水分補給などが間に合わない場合は、すみやかに救急車などを呼ぶなどをして対処してください。

どんな種類の水分が効率的か

とろみ剤などを使用するにしても、量的にたくさんの水分を摂取することは高齢者には難しいものです。そこで、ただのお茶や水で水分補給をするよりも少ない量で、もっと効率よく身体に吸収される水分を選ぶことをおすすめします。

吸収力の優れたハイポトニック飲料とは

スポーツドリンクとして、大手のメーカーからたくさんのイオン飲料が販売されています。アイソトニック飲料はよく耳にしますよね。でも高齢者におすすめしたいのは、ハイポトニック飲料とよばれるものです。ではこの二つの違いはなんでしょうか。

  • アイソトニック飲料→人間の体液と浸透圧が同じ
  • ハイポトニック飲料→人間の体液よりも浸透圧が低い

このように浸透圧に違いがあります。水分は腸で吸収されてから全身に巡るのですが、この時、大切なのが浸透圧です。水分は吸収される時に細胞膜を通過するのですが、その時に圧力がかかります。

この圧力を浸透圧といいます。この浸透圧が低いほうが、水分は細胞膜を通過しやすく、つまり吸収されやすくなるのです。たくさんの水分量を摂取するのが難しい高齢者には、おすすめの飲料水です。

まとめ

高齢になると誰でも身体的な能力は落ちるものです。しかしだからといって日常的な楽しみは我慢したくありませんし、いつまでも健康でいたいものです。それには身体的な能力が低下しても、それを上手に補っていくことが大切です。

水分補給は健康維持には欠かせません。また食事は生きていく楽しみのひとつでもあります。嚥下障害であることを気にしなくても、ご紹介したようにコツが分かればカバーすることが可能です。しっかりと水分補給をして、そして食事も楽しんで日常生活を安心安全に過ごしましょう。

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