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介護保険制度とは?サービスの内容と活用法、在宅介護の注意点とは

私たち日本人が、これから乗り越えなければならない課題はたくさんあります。中でも、激しい勢いで進む少子高齢化の波を乗り越えるのは簡単なことではありません。この問題は、何かひとつだけクリアすればよいというものでもないからたいへんです。

年金支給の問題もそうなら、労働人口確保の問題もそうです。

しかし中でも、乗り越えるべき最も険しい山がもうほんの目の前に立ちはだかっています。それが介護の問題です。これからの時代は、単に寿命が長いだけでは意味がない時代になっていきます。

できるだけ介護を必要としない「健康寿命」という発想が、非常に重要になってくるのです。

とはいえ、その方面への啓発が大きく遅れている日本の現状を考えると、当面は介護とどう向き合うかが最大の課題ということでまず間違いないでしょう。

今回は、そうした課題が山積みの介護に関係したお話をいろいろしていきたいと思います。

まずは介護保険制度について理解を深めよう!

介護の問題を解消するための制度のひとつに、介護保険制度があります。もちろん介護保険制度ができたからといって介護の問題がクリアされることはありません。

ただ、国がようやく介護に向けた取り組みを始める意思を表した証拠になる制度とはいえるでしょう。

当然多くの人が、介護保険制度と呼ばれるなにがしかの制度が比較的最近つくられたということは理解していると思います。しかしその内容を理解できているのかときかれると、正直首をかしげざるを得ないのが実際のところでしょう。

そこでまずは、この介護保険制度とはいったいどういった制度なのかということについて、少しでも理解を深めていただきたいと思います。

介護保険制度のコンセプト・理念はどこにあるの?

ある日突然、「法律で決まったから、これから毎月介護保険料をおさめなさい」といった形でスタートしたようなところもある介護保険制度。多くは「国が決めたことだから仕方がない」という鷹揚な国民のスタンスでした。

しかし中には、それはちょっとおかしいんじゃないの?とまでは言わないものの、どうして突然そんなことが始まったのかちょっと納得できないという、制度自体には反対ではないものの、説明不足の感は否めないといったスタンスの国民もいました。

かくいう筆者も実はそのひとりなのですが、いくばくかの税を新たに国民から徴収するなら、せめて介護保険制度のコンセプトというか、その理念がいったいどこに存するのかをはっきりさせてくれよという気持ちにもなります(よね?)。

そこでまずは、介護保険制度の理念からおさらいしておきましょうか。以下は東京都が発行している介護保険制度のパンフレットからの抜粋になります。

    ・高齢者人口は、平成27年(2015年)まで急速な増加を続け、それ以降も75歳以上の後期高齢者人口が増加を続けていきます。

    ・このような高齢社会の介護問題に適切に対応し、介護を必要とする方を社会全体で支えるための社会保険制度として、平成12年4月から介護保険制度が開始されました。その後、在宅サービスを中心にサービス利用が急速に拡大するなど、老後の安心を支える制度として定着してきました。

    ・介護保険制度は、加齢に伴う病気などにより介護を必要とする状態になっても、尊厳を保持し、できる限り自立した日常生活を送れるよう、利用者の選択に基づいて、必要なサービスを総合的かつ一体的に提供する仕組みです。

まああくまでも「理念」なので、具体的なことは何ひとつ書かれていません。

具体的に書かれていないから制度自体の善し悪しを論じる材料は何ひとつないのですが、いかがでしょうか?理念としては「まあ、そうだよね」と同調できるでしょう。

介護保険制度のあらましをおさえよう!

上の「理念」のところにあったように、後期高齢者の数が増え続けている現状ですから、サービスの利用者は続々増え、関連する事業所・施設も増加の傾向にあります。

とはいえ介護保険制度を詳細までご紹介することは残念ながらできません。

そこで、(後期)高齢者および介護サービス利用者が増加している状況を踏まえ、介護保険制度のあらまし(重要なポイント)だけでも簡単にご紹介しておきたいと思います。

運営主体(保険者) 住民が居住する地域の自治体(市町村)
加入者(被保険者)
  • 65歳以上の方(第一号被保険者)
  • 40歳~64歳までの方(第二号被保険者)
サービス利用者
  • 要介護1~要介護5のいずれかに該当する方
  • 要支援1または要支援2の方
  • 上記に該当しないサービス事業対象者の方
利用できるサービス
  • 介護給付(要介護1~要介護5の方)
  • 予防給付(要支援1・要支援2の方)
  • 介護予防・生活支援サービス事業(要支援1・要支援2ならびに要介護、要支援に該当しないサービス事業対象者の方)
  • 一般介護予防事業(すべての高齢者が利用の対象)

要介護1~要介護5に該当する人は、居宅サービス計画(ケアプラン)が、地域のケアマネジャーによって作成されます。同様に、要支援1・要支援2に該当する人も、介護予防サービス計画をケアマネジャーが作成します。

これらのケアプランが作成されることによって、介護給付、予防給付、介護予防・生活支援サービス事業などの各サービス給付が可能になります。

ちなみにケアマネジャーとは、「介護支援専門員」のことを指し、通称で「ケアマネ」とも呼ばれます。

要介護、要支援に関しては、申請がとおるかとおらないかによって多少変化が起こりますので、まずは要介護、要支援の前に「要申請」ということになります。

問題は、「利用できるサービス」のほうでしょう。

そこで、上記でお話した介護保険サービスの具体的な内容についてもお話していきたいと思いますが、その前に、たった今でてきた「ケアマネジャー」という用語について、もう少し具体的に説明しておきたいと思います。

私たちが介護保険関連サービスを利用する、あるいは父母、祖父母などともに生活する家族がサービスを利用するようになったとき、ケアマネさんの力が非常に大きくかかわってくるからです。

ケアマネさんはどんな役割を担ってくれるの?

ケアマネジャーという職業は、いろいろな役割を担っているので、ひと口に説明することはできません。そこでまずは、ケアマネジャーという立場を明確に定義しておくことにします。

「介護支援専門員」(以下「ケアマネジャー」という。)は、介護保険法に位置づけられた職種であり、介護保険の根幹をなす「ケアマネジメント」を担う立場です。

これでケアマネさんの職業を定義することができました。ただ、肝心なのは、「ケアマネジメント」の内容です。ケアマネジメントとはいったいどんな仕事なのか、この点についても概要(イメージ)を説明します。

まずは、介護保険関連サービスを利用する利用者は、基本的には私たち民間です。これに対し、介護保険関連サービスを提供しているのは、冒頭でもお話した各市町村ということになります。

しかし残念ながら、介護保険のサービス内容については、私たちも自治体も素人です。もちろん自治体は介護保険の「制度」についてはプロですが、「サービス」についてはノンプロです。

そのため、私たち民間が直接自治体にサービス利用を申請したところで、所詮素人から素人への意思伝達が行われるにすぎないことになります。これは少々まずいことになるといわなければなりません。

そこで、ケアマネジャーという介護保険サービス関連の知識が豊富で、専門性の高い資格を持った職員が必要になるのです。つまり、ケアマネジャーの役割をひと言で説明するなら、私たちと自治体、つまりは素人どうしの意思伝達の役割ということになります。

ケアマネージャーのような職種を、ふつうに生活する上ではなかなかイメージできませんが、仲介人のようでもあり、通訳のようでもあるのがケアマネジャーだとでも表現すると、少しはイメージできるかもしれませんね。いかがでしょうか?

さあ、ここまでで、ケアマネさんの仕事内容を含む介護保険制度のあらましを大ざっぱにでもイメージしていただけたかと思います。完全に理解していなくても、あらましなのでイメージしていただければ問題ありません。

ただ、いくらあらましとはいっても、利用できるサービスに関してはある程度はっきりしていないと、利用者からすればわけがわからなくなってしまいます。次はどんなサービスを利用することができるのかという部分にも迫ります。

サービス利用者が利用できるサービスって、どんな内容?

介護士と高齢者のイラスト

それでは、今度は実際の介護保険関連サービスの給付内容について見ていきたいと思います。皆さんにとっては、介護保険制度のあらましをイメージし、サービス内容を把握するという流れがベターかと思います。

以下はすべて、ケアプランの作成などをケアマネさんにお願いして、事務手続きもしてもらったら、要介護者や要支援者が実際に利用することができる介護保険関連サービスになります。

ただし、自治体によって介護保険の適用範囲(つまり、サービスの内容)が異なることが、現在社会問題としても指摘されています。ですから以下の具体的なサービスについては、一例(イメージ)としてお話します。

介護給付ってどんなサービス内容なの?

介護給付(要介護1~要介護5に該当する方)の項目で給付されるサービスは、大きく分けると「在宅サービス」、「施設サービス」、「地域密着型サービス」の3タイプのサービスです。それぞれについて簡単に説明します。

介護給付におけるサービスの1つである在宅サービスとは、文字どおり、在宅(自宅)での介護給付になります。その内容は、以下のとおりです。

在宅サービス一覧 各サービスの概要 各サービスの例(事業所・事業者によって異なる場合あり)
訪問介護 地域事業所の介護スタッフが自宅を訪問して行う身体介護および、家事や調理など
  • 食事、入浴、衣服着脱、排せつ(トイレ)の介護、身体の清拭、洗髪、通院の介助などの身体の介護に関するサービス
  • 調理、衣服の洗濯、買い物など、家事に関するサービス
  • 障害者総合支援法の居宅介護・重度訪問介護のサービス
訪問看護 看護師などが自宅を訪問して行う、病気や障害を持った方が自宅で自分らしく生活するためのケア
  • 健康状態の観察
  • 血圧・体温・脈拍などのチェック、病気や障害の状態の観察、上記に基づく健康状態の変化を予測した看護

  • 治療継続のための看護
  • 医療機器やカテーテルの管理、床ずれや創傷の処置、その他主治医の指示による処置、お薬についての相談

  • 在宅でのリハビリテーション
  • 自立支援のための生活リハビリテーション、生活環境の整備、福祉用具の利用相談

  • 日常生活の看護
  • 食生活・排泄・清潔・睡眠のケア、生活の中で今できていることを続けるためのケア

    通所介護(デイサービス) 在宅介護が必要な方に、入浴、食事、アクティビティなどの日帰りサービスを提供
  • 自宅・施設間の送迎(車いすのままで可能な場合あり)
  • 来所時血圧測定などの健康診断
  • 入浴介護、介助
  • 昼食やおやつの提供(費用が別途発生する場合あり)
  • レクリエーションを通じた体力強化、脳の活性化促進などの介護予防
  • 短期入所生活介護(ショートステイ) 自宅の介護者(要介護者の子供や孫などの家族)が病気、出産、出張などにより介護ができない期間だけ入所することができる 上記のデイサービスの内容が、日帰りではなく期間を設けて提供されるイメージ(入所施設・事業者によって大きく異なる)

    上記が在宅サービスの概要になりますが、特に介護保険の範囲外の料金体系に関しては、地域や事業所によって体系が大きく異なる場合がありますので、詳細は各施設・事業所に問い合わせて確認してください。

    次に、介護給付のひとつである施設サービスについてお話していきます。施設サービスは、自宅における介護ではなく、施設に入居して介護を受けるタイプのサービスになります。

    施設サービス一覧 各サービスの概要 各サービスの例(事業所・事業者によって異なる場合あり)
    介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム・特養) 寝たきり状態など要介護度が高い方ができるだけ少額で入所できる、社会福祉法人や地方自治体などにより運営される公的な介護施設 施設サービス計画(ケアプラン)に基づいて行われる入浴、排せつ、食事等の介護その他の日常生活上の世話、機能訓練、健康管理及び療養上の世話
    介護老人保健施設(老健) 比較的少ない費用負担で医療管理下での看護や介護、回復期のリハビリが受けられ、医療法人や社会福祉法人などが運営する公的な施設 ケアプランに基づいて行われる介護、医学的管理の下における介護及び機能訓練その他必要な医療ならびに日常生活上の世話
    介護療養型医療施設 比較的重度の要介護者に対し、充実した医療処置とリハビリを提供する、主に医療法人などが運営する施設 ケアプランに基づいて行われる療養上の管理、看護、医学的管理の下における介護その他の世話及び機能訓練その他必要な医療

    ただ、上記にはそれぞれメリット、デメリットがありますので、そのあたりまで十分考慮する必要があります。それぞれのメリット、デメリットを以下にまとめておきます。

    メリット デメリット
    介護老人福祉施設(特養)
    • 24時間体制で介護サービスを受けることができる
    • 長期入所が可能(看取りが行われることもある)
    • レクリエーションや年間行事がある(施設によって家族同伴可)
    • 入居一時金が不要かつ低料金での利用可
  • 医療処置が充実していない
  • 要介護1・2の方は入所できない(要介護3~5の方のみ入所可)
  • 回復期リハビリテーションは少ない(要介護度が高い方向け)
  • 入居までの待機期間が長く、入所が難しい(施設の数と入所希望者数のバランスが取れていない)
  • 介護老人保健施設(老健)
    • 医療処置が充実
    • 機能訓練が充実
    • 低料金での利用可
    • 入居一時金が不要
    • 長期入所は原則不可
    • 多床室がほとんど(原則個室ではない)
    • レクリエーションなどは少ない(事務的なサービス)
    • 要介護度の改善などにより退所が求められる(定期的に判定会議が行われる)
    介護療養型医療施設
  • 医療ケアが充実している
  • 機能訓練が充実している
  • 比較的低料金で入所できる
  • 入居一時金が不要
  • 入居難易度が高い
  • 多床室がほとんど(原則個室ではない)
  • レクリエーションなどは少なく事務的なサービス(医療行為がベース)
  • 病状の改善が見られると、要介護度が高くても退所を求められる
  • 一時廃止される流れがあり、施設自体が少ない
  • それぞれの施設を利用するメリット・デメリットのバランスを考えて、施設選びをしていただきたいと思います。さて、それでは最後に地域密着型サービスについても簡単にまとめておきます。

    地域密着型サービスは、大きく2つのサービスに分かれます。ひとつが「夜間対応型訪問介護」、もうひとつが、「認知症対応型共同生活介護(いわゆるグループホーム)」です。

    まずは前者ですが、「夜間対応型」とはいっても、夜間だけサービスが提供されるわけではありません。夜間だってサービス提供しますよ、というコンセプトの介護給付になります。

    実は、夜間対応型訪問看護もさらに2つのサービスに分けることができます。

    • 「定期巡回」と呼ばれるサービス
    • 「臨時対応」と呼ばれるサービス

    基本的なサービスのコンセプトはどちらも同様で、何か問題が起きたときにオペレーターと緊密な連絡が可能で、状況に応じ職員が駆けつけてくれるサービスです。

    定期巡回は夜間に30分単位で提供される訪問介護サービスです。

    随時対応に関しては、サービス利用者本人またはそのご家族からの通報が入ったときに提供されるサービスになります。以下にサービス提供時間帯(一例)のイメージを示しておきます。

    看護サービスの提供時間帯の一例

    そしてもうひとつの「認知症対応型共同生活介護(グループホーム)」についてですが、こちらは少々特殊なサービスなので、以下に分けて説明することにしましょう。

    グループホームって、いったいどんなところ?

    グループホームと高齢者イラスト

    認知症対応型共同生活介護は、おそらくグループホームというほうがなじみがあるかもしれませんね。認知症対応型・・・と言われてもピンとこない人が、グループホームといわれるとなんとなくイメージできるケースもきっと多いと思います。

    認知症の方々をケアするための施設というイメージが強いグループホームですが、その特徴についても触れておくことにします。まずはグループホームを定義しておきましょう。

    グループホームとは、

    認知症の高齢者が少人数で共同生活を送りながら、専門スタッフによる身体介護と機能訓練、レクリエーションなどが受けられる施設

    のことを指します。行政で扱う書類上の呼称としては、「認知症対応型共同生活介護」ですが、より施設の特徴を示すように「認知症高齢者グループホーム」と呼ばれることもあります。

    グループホームはあくまでも「地域密着型」の介護施設ですから、地元の社会福祉法人や地方自治体、NPOなどによって運営されることがほとんどです。

    地域密着型ゆえのメリット、デメリットもありますので、以下にまとめます。

    グループホームのメリット

    • 少人数で家族的な介護サービスの提供
    • 認知症専門のスタッフが常駐
    • レクリエーションが充実している施設が多い
    • 小規模でアットホームなところが多い
    • 自立を目指し、社会復帰できるレベルまで回復することもある

    グループホームにお邪魔すると、施設内もしくは施設の近所にグループホーム専用のちょっとした畑(農場)が用意されている施設もありました。

    農作物をつくったり収穫したりすることが認知症の進行を食い止め、場合によっては改善させることもあるそうです。

    グループホームのデメリット

    • 軽度認知症高齢者向けの施設で、中程度以上の認知症には対応していない施設が多い
    • 健康状態や認知症レベルが悪化すると退去を求められることがある
    • 医療ケアには原則対応しない(その分近隣医療機関と連携しているホームもある)
    • 施設と同じ地域に住民票がないと入居できない

    メリットにしてもデメリットにしても、所在地の自治体や施設によって多少異なる場合があります。まあこのことはグループホームばかりでなく、在宅サービスでも施設サービスでも同様です。

    介護給付に関しては以上ですが、予防給付についても簡単にまとめておきます。

    予防給付ってどんなサービス内容なの?

    予防給付のサービス利用の対象になるのが、要支援1・2の高齢者の方です。予防給付のサービスは、「在宅サービス」と「地域密着型介護予防サービス」とに分かれます。それぞれについて簡単にまとめます。

    予防給付の在宅サービス

    • 介護予防訪問看護(介護にならないためのレクチャーや健康チェックなど)
    • 介護予防通所リハビリ(通所による介護予防のためのリハビリなど)
    • 介護予防居宅療養管理指導(通院が困難な自宅療養高齢者に対する医師や看護師、管理栄養士などの派遣)
    • など

    地域密着型介護予防サービス

    • 介護予防小規模多機能型居宅介護(通所+宿泊のタイプの介護予防サービス)
    • 介護予防認知症対応型共同生活介護(認知症の進行を遅らせるための機能訓練を重視した入所施設)
    • など

    いいかがでしょうか?介護保険制度は、高齢者の方の症状や状態によって、これだけきめ細かい介護サービスを提供することができる制度なのです。

    もちろんこうしたサービスに、私たちの貴重な税金(介護保険料)が投入されています。

    しかしながら、現時点では介護保険料だけでまかなえているとは言えず、今後はさらに介護財政が厳しくなる見通しとなっており、早急な対策が検討されてはいます。ただ、明確な打開策は未だ見いだせていないのが現状です。

    そんな状況ですから、とてもではありませんが、公的な介護サービスを満足に提供できていないのが現状でもあります。それだけに、未だ有料老人ホームへの入居を検討しなければならないご家庭も多いです。

    ただ、やはり有料老人ホームへの入居ははじめから検討の候補に入らない経済状況のご家庭のほうが実際は多いでしょう。

    となると、公的な介護施設への入居もままならない現状では、自宅での介護しか選択肢がないご家庭も多いはずです。

    そこで、ちょっと長くなってしまいましたが、最後に、在宅介護での注意点についてご紹介しておくことにしましょう。

    在宅介護ではどういった点に注意すればいいの?

    高齢者ととりまく人々の笑顔

    これまで自宅での介護の経験がないという人にとって、自分が親や祖父母などを在宅で介護しなければならない立場になったときのことを考えると、これはもう恐怖に近い感覚にとらわれることになると思います。

    確かに、これまでのライフスタイルがガラッと変わってしまうわけですから、「在宅介護なんてどうってことないよ」なんて絶対に言えません。そういえるとしたら、よほどの知識と自信があるか、まったく何も知らないかのどちらかでしょう。

    そこでここからは、在宅介護ではどんな点に注意しなければならないのかということについてお話していきたいと思います。この部分は、実はけっこう重要なことなので、熟考を重ねていただきたいと思いますし、その参考になれば幸いです。

    「自分のこと」を最優先にして!

    在宅介護ともなると、介護について独学で勉強しながら即実践に移さなければならない難しさがあります。要は、過去に経験がない人にとっては、ビギナーさんがある日いきなりプロの介護の世界に飛び込むようなものです。

    介護に限らずどんなことでもそうですが、ビギナーさんは、結果を求めるために必死になります。しかしなかなかうまくいかず、悩みながら成長していきます。

    そんなときに救いになるのが、その道で生きるための技術や精神を教えてくれる人や同僚です。

    ところが在宅介護に限っては、そういったプロの手は基本的に借りることができないという難しさがあるのがふつうです。難しさというよりは、精神的支柱がない不安感、孤独感にさいなまれやすい状況であるといえるのです。

    それでもビギナーさんは一生懸命介護をしようとします。しかしうまくいかない。悩む。誰も救いの手を差し伸べてくれない。それでもがんばらなければならない。がんばる。でも思うようにいかない・・・ジレンマだらけです。

    たいていの場合、この状況が長く続くと、正常な人間は精神なり身体なりのどこかに、必ず何らかの破綻をきたすことになります。その瞬間、すべてが破綻します。ですからまずは、「自身の破綻」をどんなことがあっても回避することが最重要です。

    こんなことを言うと、介護しなければならない立場なのになんて自分勝手なのだ!と思われるかもしれませんが、自分がパンクしてしまったら、介護を待っているお父さん、お母さん、おじいさんやおばあさんやその他親戚の方が破綻することも、その時点で約束されたことになるのです。

    万一そんなことが起こってしまったら、誰にとっても幸せな結果が得られないことになります。そういう状況だけは、絶対に避けるべきだと思いませんか?そのためにはどうしたらよいかというと、「自分のことが最優先!」と割り切ってしまうのです。

    これは、介護を待っている親や祖父母や親戚・親類を放置しておけばよいということを意味しているわけでは、無論ありません。自分のことを最優先にするためにはどうすべきか、という知恵を出そうというプラスが働くのです。

    介護というマイナスのイメージばかりの状況に置かれながら、自分だけでも前向きになれることほど素晴らしいことはありません。ですから、まずは自分のことを最優先にすることを意識して、在宅介護に励んでいただきたいのです。

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    それでは、「自分のことを最優先!」にする(もしくは、できるだけその環境に近づける)ために考えていくべきことを順にお話していくことにします。

    初動が大切!在宅介護をはじめるにあたってまずすべきことは?

    なんでもかんでも自分でやろう!という気概は悪くないかもしれませんが、在宅介護で重要なことは、限界を知ることです。在宅介護には、必ず限界があります。介護を待っている人の状態によっては、その限界は意外とすぐやってくることもあります。

    限界である以上、どれだけ気概があってもどんな創意工夫を巡らせ努力を重ねても、それ以上何も好転することはありません。限界点に到達してからだと、いろいろと破綻するリスクも高まりますので、「誰かに頼る」ことを視野に入れておかなければなりません。

    ただ、一生懸命がんばっていて、限界を感じてから誰かに頼るとなると、なんだか自分の努力が報われなかったようにも感じてしまうものです。それならはじめから誰かに頼ってしまえばよいのです。

    在宅介護をするにあたってまずすべきことは、誰かに頼ることです。そして、頼る相手は誰かというと、他のご家族はもちろんですが、主に以下の人々に専門的な相談をすることが大切です。

    介護生活をどう進めるかを相談すべき専門スタッフ

    • 病院(かかりつけのお医者さんや看護師さん)
    • 福祉サービス(市町村の福祉課)
    • 老人医療サービス(保健所・保健センター)

    まずは、やはり専門性の高いプロフェッショナルに遠慮なく相談を持ち掛けること、ここから在宅介護への第一歩を踏み出しましょう!

    在宅介護に必要な条件は「3つ」ある!

    在宅介護に関しては、あれもこれもすべて・・・というわけにはいかないということをご理解いただけたかと思います。そのために上記に示した専門スタッフへの相談からスタートしていただきたいわけです。

    専門スタッフは、相談を聞いてくれるだけではありません。たとえばお医者さんであれば、健康面のトラブルに対処してくれますし、福祉サービスでは書類の手続きなどを行ってくれます。

    つまり、専門スタッフというのは、在宅介護を行う上で絶対に必要となる人々でもあるのです。そういった人々が、在宅介護を(少しでも)スムーズに進めるためのカギを握っているといっても過言ではありません。

    逆に、そういう人たちが必要となる事態に備えておくことは、在宅介護における必要条件であるともいえるのです。その条件が、3つあります。以下にまとめます。

    1. 定期的な診察・往診に対応し、様態が急変したときに24時間受け入れ体制の整った医療機関がある
    2. 人手や地域サービスが充実している(ホームヘルパーの派遣、デイサービス、ショートステイ、入浴サービスなど)
    3. 自立した生活ができ、介護者が介護しやすい住宅環境が整っている(階段、風呂場、トイレなどの改善や段差をなくす工夫)

    上記3つの条件をすべてクリアして、在宅介護を行う土台づくり、環境づくりをしっかりと行いましょう。

    在宅介護者が心得えておくべき点も「3つ」ある!

    在宅介護を行う上で、まずは「自分のことが最優先」であることが大前提です。もちろん実際にはそんなに簡単なことではありませんが、日々の生活のペースをつかむことで、ベターに、そしてベストに近づけていくことは可能です。

    そこで今度は、「対介護を待っている人」というスタンスで考える必要もやはりあるでしょう。つまり、在宅介護者が介護者の立場として心得ておくべき点です。これに関してもやはり3つあります。以下にまとめておきます。

    1. 規則正しい生活のリズム:時間配分を意識し、大まかな日課表を立てる。洗面、食事、入浴、睡眠や介護者の息抜きの時間も取り入れることを忘れずに。
    2. 介護者自身の健康管理:運動、休養、栄養のバランスを考えて、心と体どちらかに疲れを感じたら休養をとる。デイサービス・ショートステイを利用してみることも一考。
    3. 心の理解:病人やお年寄りを弱い存在としてあつかわない。わがままを言ったり頑固になったりしても、それを個性と思ってふつうに接し、理解を示すことが重要。

    正直、上記だけ満足していれば在宅介護もスイスイこなせます・・・なんて絶対に言えません。ただ、最低でも上記のことは留意していただきたいと思います。そこからいろいろ勉強して、より良い介護者になっていただきたいものです。

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    あせらないこと、怒らないこと、自分を大切に

    介護を苦にしていたたまれないトラブルに発展してしまう悲しむべき社会問題も近年は多数起こっています。介護をしていれば、ときに絶望的な気分になることもあるでしょう。腹立たしいこともあるでしょう。自暴自棄になることもあるでしょう。

    ただ、やっぱり介護者としての立ち位置は、「自分がいなかったらみんな不幸になってしまう」という非常に難しい立場です。だからこそ、自暴自棄にならず、まずはご自身を大切にしてあげてください。

    そのためには、あせらない、怒らない、適度にストレスを発散する、規則的な生活を意識するなど、努力してできないことではないファクターもたくさんあります。「すべきこと」、「すべきでないこと」を理解することで、問題がクリアされることも多いです。

    そして、やはり何といっても「誰かに頼ること」、これはほんとうに大切なことです。これから私たち日本人の多くが経験することになる未曾有の高齢化社会を乗り越えるためには、「他人の力」が必要です。

    また、今回はちょっと専門的な用語が多くなってしまっているので、いきなりすべてを理解するのは難しいと思います。介護関連の資格取得を志している人などは、もっと詳細を知り、理解していなければなりませんが、そうでもなければ、そんな必要はありません。

    必要な用語だけをピックアップしていただき、お役立ていただければ幸いです。

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