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がん放射線治療の種類を知ろう!自分で理解して治療法を選ぶ

医療道具

日本においての死亡原因で癌(がん)はあい変わらずのトップを維持しています。この状況は当分変わらないとの専門家の予測がありますが、その状況においてもがん医療は着実に進歩しています。

ある面白い話を耳にしました。その話とは「日本のがん医療が世界とは違う」と言う内容です。はたしてこれはどのような意味なのでしょうか?

この記事ではがんの放射線治療に目を向け、その最新技術や費用などをご紹介します。

日本のがん治療をおさらいしてみよう

毎年多くの人ががんを罹患(発症)し、またがんが原因で亡くなっています。日本ではがんに対してどのような治療を行っているのでしょうか?

がん治療は種類によって治療法に違いがある

がんとは細胞の遺伝子が変異することにより、増殖を繰り返すがん細胞(悪性腫瘍)ができる病気で、周りの臓器に転移を繰り返すことで全身に広まる病気です。

がんは悪性腫瘍が発生する臓器によって「肺がん」「大腸がん」「胃がん」「肝臓がん」「乳がん」などに分類されています。

過去には「死の病」と恐れられていたがんも、種類によっては早期発見に努めることで完治できるものもあり、治療法も確立されつつある状態になってきました。

しかし、まだまだがんは恐ろしい病気であることには違いなく、種類によっては治療が難しいのも現実ではないでしょうか?

悪性腫瘍が原因のがんは、発症する臓器によって「効果のある治療」「効果のない治療」があり、全てを同じように扱うことはできないのです。

現在のがん治療は3本柱に支えられている

がん治療の基本治療は「手術療法(外科療法)」「化学療法」「放射線療法」の3本柱によって支えられています。この中で患者に症状に合った治療を単独もしくは併用して行われるのが一般的です。

手術療法外科
手術によって悪性腫瘍を切り取る
化学療法
抗がん剤によって悪性腫瘍を死滅させる
放射線療法
放射線を利用して悪性腫瘍のDNAを破壊する

手術療法は適合するかが問題

手術療法は外科手術で臓器にできた悪性腫瘍を切り取る手術であり、一番解りやすい治療法とも言えます。

がんにおける手術療法は古くから行われている治療で、手術自体の技術も進歩しておりがん治療で真っ先に考えるのは手術療法だと思います。

手術では原発巣(悪性腫瘍が初めてできた部分)だけでなく、転移巣(悪性腫瘍が転移した部分)も同時に取り除くことが必要であり、転移が多い場合は対応ができません。

また近年では手術でがん細胞を触ることで増殖が進行したり、他の臓器へ転移したりする事例も確認されていることが問題視されています。

また手術によって術後の生活に影響が出ることも多く、特に高齢者には体力面から難しい側面があります。

抗がん剤の使用が基本の化学療法

化学療法とは薬で悪性腫瘍を死滅させる治療法で、一般的には「抗がん剤」と呼ばれている薬剤を身体に注入することで治療を行います。

基本的な抗がん剤はがん細胞の細胞分裂を阻害することで、増殖を抑えることを目的に作られており、増殖できなくなったがん細胞は自然に死滅するのです。

手術療法との大きな違いは手術療法では、予定された部分以外の治療はできませんが、化学療法であれば血液中に抗がん剤を入れることで身体全体にその効果が出てきます。

しかし現在の化学療法には問題があるのも事実であり、特に副作用の問題は改善されたと言っても多くの患者を苦しめているのです。

また、がんの種類によっては抗がん剤の効果が薄いものもあり、抗がん剤の副作用でかえって寿命を縮めてしまう可能性さえ指摘されているのです。

抗がん剤の開発には世界中の多くの製薬メーカーが参入しており、様々な研究&開発を行っています。

がん細胞の遺伝子を破壊する放射線療法

放射線とはX線、γ線、電子線などの総称ですが、これらを使ってがん細胞を破壊するのが放射線治療です。

一般的に細胞が放射線を浴びるとその遺伝子(DNA)は傷ついてしまいます。例えば正常な細胞に放射線を多く浴びせてしまうと、遺伝子が傷ついてがん細胞に変異してしまうかもしれません。

それではがん細胞に放射線を浴びせるとどうなるでしょうか?がん細胞も正常細胞と同様に遺伝子を持っています。もともと正常細胞とがん細胞の違いは増殖スピードにあります。

正常細胞がゆっくりとまた制限をもって増殖するのに対して、がん細胞は早く制限なく増殖を繰り返してしまいます。もともと正常細胞の遺伝子が傷ついたことで変異したがん細胞ですが、そこにさらに放射線で遺伝子を破壊するのです。

そうすると今度は増殖することができなくなり、最終的には死滅してしまうのです。

放射線を浴びせることは、がん細胞の周りの正常細胞にまで影響を与えますが、正常細胞はがん細胞よりも強いので自然に再生されると言われています。

現在は遺伝子療法など様々ながん治療があります。しかし、現状ではこの3本柱が治療の中心になっています。

日本の常識は世界の常識ではない

テレビ番組でも「世界の常識…」などの番組を見かけることがあります、どうも医療の世界においても日本の常識と世界とでは違いがあるようです。そしてがん医療にもそれが見えています。

3本柱のバランスがちょっとおかしいことに

日本ではがん治療に際して3本柱を中心に行っていることは説明しましたが、実はこのバランスがちょっとおかしいことになっているようです。

「手術療法」「化学療法」「放射線療法」…本来であればこれらは単体もしくは組み合わされて行われるはずです。

先日ある新聞に面白い記事が掲載されました。その記事には「日本でのがん治療において放射線治療の比率が少ない」ことが紹介されていました。

これが本当ならちょっとアンバランスな気がしますね。

アメリカの半分しか行われていなかった放射線治療

日本では年間に100万以上の人ががんを発症させています。しかし、その中で放射線治療を受けているのが約24%であり、多くの患者が手術療法と化学療法のみを選択していることが解ります。

ここで重要なのはこの24%とは全国平均であって、地方ごとに見ると違う数字が見えてくるのです。例えば東京であれば約40%の患者が放射線治療を行っていることに対して、地方では10%台しか行っていない県もあります。

日本では都会で放射線療法が選択されることが多く、地方では敬遠される傾向が見えていますね。

世界を見てみるとアメリカでは、がん患者の約65%が放射線治療を受けており、日本の倍以上の数値になります。日本とアメリカは共に医療先進国で、医療技術に関してはさほど差はありません。

しかし、日本はアメリカの半分以下しか放射線治療を行っていない理由は一体なにが原因なのでしょうか?

日本で放射線治療が広まらない理由とは

同じがんの治療を行っていても治療方法に違いがあることは驚きですが、まさか半分以下とは思いませんよね。もしかしたら私達はがんに有効な治療法を放棄していたのかもしれません。

ちょっと原因を探ってみましょう。

日本では手術が絶対的な信頼を得ている

病院を題材にしたテレビドラマや漫画が人気ですが、その中ではある序列が描かれていることが多いようです。

特に大学病院では手術を行う外科医が権勢を誇っており、「外科医以外は医者ではない!」なんてシーンを見たことがあります。これではまるで「平家物語」と同じですよね。

まぁこれは原作者の悪ふざけでしょうが、実際に外科医が持つプライドはなかなか高いのではないでしょうか?

日本では医師を「先生」と呼び、治療を「依頼」するのではなく、頭を下げて「お願い」する風潮が未だにあります。特に外科手術では命を預けるのですから、患者サイドは擦りつけるように頭を下げますよね。

そうなると「病気を治しているのは、手術をしている我々だ」などと言う風潮が生まれても仕方がありません。そして私達もなるべく手術によって治して欲しいと考えるようになってしまったのです。

ちょっと言いすぎかもしれませんが、信頼とはこのような歴史から生まれるものだと思います。まさか最近の若い医師にはこのような人はいないと思いますが、私達が意識を変えることも必要です。

もし担当医から「手術で綺麗に切除できるし、放射線でも対応できますよ」って言われたら貴方はどちらを選びますか?

日本の手術の腕前は世界一だ

日本人は昔から手先が器用なことが有名です。日本の職人さんが作る製品は機械で作れないものも多く、安易にコピーできないものも沢山あります。

これは日本人の特性としての「我慢強さ」「根気」が関係しており、その特性が手術においても生かされています。

つまり、日本には手術が上手な外科医が沢山おり、病院としても経験を積ませる上で手術を行いたいと言う状況があるのです。また反対に放射線治療を専門とする医師が少ないことも、手術療法を選択せざるを得ない状況を生み出しています。

放射線に違和感を持っている国民が多い

日本は世界で唯一の被爆国です。国民の中で「放射線=放射能=嫌い(怖い)」との感情があるのは仕方がないことです。さらに福島原発の事故によってさらにその感情は高まったとの可能性があります。

特に放射能の副作用が福島原発事故後にテレビで繰り返し放送されています。「同じような副作用が放射線治療でもあるのではないか?」と考えて、放射線治療を拒否する患者もいるそうです。

アメリカと比較して半分以下とは驚きの数字です。最新の放射線装置が高価なことも関係しているのかもしれません。

世界でスタンダードな放射線治療を理解しよう

世界のがん治療でスタンダードに使用されている放射線治療ですが、日本で24%しか使われていないのは勿体ない話です。放射線治療を理解してもしもの時は選択肢に入れるようにしたいものです。

そのためには現在日本で行われている放射線治療を理解することから始めましょう。

放射線治療で使用されている放射線とは

放射線とは高いエネルギーを持ち高速で空間を移動する粒子と、エネルギーの高い短い波長の電磁波のことを意味します。

現在日本においてがん治療に用いられている放射線は大まかに2種類あります。

電磁波タイプ X線、γ線など
粒子線タイプ 電子、陽子、重粒子など

現在一般的に治療で使用されているのが「X線」「γ線」「電子線」であり、陽子線や重粒子線は専門施設での研究用に使用されています。

それでは放射線を使用した治療について説明します。

様々な角度から腫瘍を狙う定位放射線治療

放射線治療と言えば患者がベッドに横になった状態で放射線を浴びせる治療ですが、昔は一方向からの照射が標準でした。つまり、悪性腫瘍がある位置に対して真直ぐ放射線を照射していたのです。

もちろんがん細胞に対して最も効果が出るように調整されていましたが、表面の皮膚や細胞には大きなダメージを与える結果になっています。

このように同じ部分に対して何度も放射線を使用することは、がん細胞だけでなく上部や下部の正常細胞にまで大きなダメージを与えていたのです。

昔に放射線治療を行った人には治療の跡として火傷跡のようなケロイドが見られることが多いのはこれが理由です。

しかし、現在普及している「定位放射線治療」はこのような心配はありません。この装置は多方向から悪性腫瘍を狙うことが可能なのです。

つまり、放射口が移動し様々な角度から放射することで、周りの細胞に影響を与えずに中心の線量を高くすることが可能です。また狙いも正確であり小さながん細胞に対しても、ピンポイントで照射することが可能です。

定位放射線治療はもともと手術の難しい「脳腫瘍」で始まった技術で、「ガンマナイフ」と呼ばれる装置が開発されたことで進化しました。ガンマナイフは頭蓋骨を固定した状態で、様々な角度からγ線を照射します。

もともとは外科手術の一環として開発されたので、「腫瘍を切り取る」意味でナイフと名づけられたそうです。

そしてこのガンマナイフを一般的に普及している直線加速機である「リニアック」に応用したのです。リニアックやベッドを回転させることで、様々な角度からの照射を可能にして、脳腫瘍以外のがんにも適用できるようにしたのです。

さらに「CT-リニアック」は放射線治療室にCTスキャンとリニアックを設置することで、CT画像を確認しながらリニアックで治療が可能となる治療法です。リニアックは日々進化していたのです。

ガンマナイフやリニアックにおける定位放射線治療も現在保険適用となっています。また高額療養費制度も使用できますので、安心して選択することが可能です。

コンピュータで最適な線量を計算するIMRT

強度変調放射線治療(IMRT)はコンピュータが腫瘍の位置や形を計算して、悪性腫瘍に対して最大限効果の出る線量を集中照射する技術です。

実際のがん細胞は位置も形も患者によって様々です。予め精密な検査によってそれらを計測することで、人間ではなくコンピュータが何万通りのパターンの中から最適を選択します。

放射線は患部に対して強いと効果が高くなります。これは当たり前ですがそうなると周りの正常細胞にまで影響が出てしまうのです。

その意味で現在の放射線治療には、正常細胞に影響が出ないぎりぎりまでしか照射できない限界があります。しかしIMRTを利用することでコンピュータが全てを計算して、最適且つ最大限効果のある照射パターンを設定してくれるのです。

IMRTでは治療よりも事前の検査や測定が大切です。そのために一般的な放射線治療と比較して、事前の準備が長くなってしまのは仕方ないところでしょうか。

IMRTも保険適用となっていますので、定位放射線治療と同様に治療費の心配はさなさそうですね。

リニアックが進化したサイバーナイフ

リニアックの定位放射線治療は多方向からの放射線照射と言っても、照射範囲は立体的ではなく平面照射でした。それを解消して立体的な外部照射を可能にしたのが「サイバーナイフ」です。

アームに小型化したリニアックを搭載して、アームを3次元に回転させることで立体的な照射を可能にしています。

またサイバーナイフでは腫瘍の位置のずれを補正する機能を持っており、頭を固定することもなく1mm程度の誤差で照射を行うことが可能です。

サイバーナイフは

  • 脳腫瘍
  • 頭頸部がん
  • 肺がん
  • 肝臓がん

などに保険が適用されていますが、その他のがんには保険は適用されていません。

保険が適用されないがんで治療を受ける場合は、自費診療となり治療全体で約60万円程度がかかるようです。

光速の70%の陽子線でがんをやっつける

水素の原子核である「陽子」を加速器で加速させることで作られる「陽子線」は、身体への透過力が大きくがん細胞を破壊する力があります。

この時陽子線のスピードは光の70%にもなると言われていますが、その特徴はコントロールしやすいことにあるようです。

陽子線が一定のエネルギーで身体に入ると、一定の場所で止まります。またその止まった場所が最大のエネルギーポイントとなるのです。

つまり、身体の中にある悪性腫瘍に対して陽子線を照射すると、がん細胞の位置に停止して最大のエネルギーを放出すると言うことです。

陽子線はがん細胞の位置で停止するのですから、その下に位置する正常細胞には影響を与えません。更にがん細胞の上にある正常細胞に対しても軽い影響しか与えることはありません。

これを3次元で照射することで正常細胞を意識することなく、患部に対して強い陽子線を集中させることが可能になるのです。

陽子線治療は

  • 肺がん
  • 肝臓がん
  • 前立腺がん
  • 脳腫瘍

などのがんに適用されますが、保険の適用外であり高額な治療費が必要です。

治療費は約280万円が患者負担になりますが、厚生労働省から先進医療に指定されたことで民間の医療保険(先進医療特約)が利用できます。

治療を検討される場合は保険会社に相談してみましょう。

陽子線より粒の大きい重粒子線治療

放射線の中の粒子線はいわゆる粒のようなもので、種類によって大きさ(重さ)が違います。重粒子線とは陽子線と比較して3倍~4倍の大きさの粒子をもった粒子線です。

陽子線よりも大きく重いので「重粒子」とのネーミングが付けられたようですね。

重粒子線治療も陽子線治療と基本的な仕組みは変わりません。光速の70%程度まで加速して体内に照射します。また、コントロールしやすくがん細胞の位置で停止するのも同様です。

しかし粒子の大きさが大きいことから、がん細胞にあたえるダメージは陽子線の2倍~3倍と言われています。

イメージを説明しますと陽子線では野球ボールをぶつけていたのですが、重粒子線ではボウリングの玉をぶつけていると思って下さい。同じスピードならボウリングの玉の方が破壊力はありますよね。

陽子線よりもダメージが高い重粒子線を使用することは、放射線治療の回数を減らすことになり患者の負担も軽減させてくれます。適用されれば陽子線治療よりも治療期間が短く済む可能性があるのです。

重粒子線治療は保険の適用外です。費用は約310万円が患者負担となりますが、こちらも先進医療に指定されているため、民間の医療保険(先進医療特約)が利用できます。
陽子線や重粒子線などの治療には大金が必要です。民間の医療保険で先進医療特約が付いていると安心ですね。

治療を選択するのは医師ではなく患者

現在の情報化社会では医療に関する情報もたやすく入手することが可能です。またセカンドオピニオンの普及によって、患者が治療方法を選択することも可能な時代になったのです。

がん専門病院の中には

  • 手術が得意な病院
  • 抗がん剤が専門の病院
  • 最新の放射線装置がある病院

など様々な特徴を持っています。

「手術が得意な病院」へ行って最新の放射線治療の相談をしても無理な話で、手術を勧められるのがオチですよね。

しかし、それぞれの病院で意見を聞いてから、自分で治療方針を決めても遅くないことをしっかり理解しましょう。アメリカでは65%も行われている放射線治療が、日本では24%なんてやっぱり変だと思いませんか?

もしかして日本人は損をしているのかもしれません。医師に進められるだけでなく、自分に最適な治療を求めたいものですね。

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